秋の七草は「食べるもの」と思って飾り付けを準備すると、当日に大恥をかきます。
秋の七草は、一般的に7月から11月にかけて順番に花を咲かせます。ただし、すべての草花が同時に見ごろを迎えるわけではありません。それぞれの開花時期には幅があります。
代表的な開花カレンダーをまとめると以下のとおりです。
| 草花の名前 | 見ごろの時期 |
|---|---|
| ハギ(萩) | 8〜10月 |
| オバナ/ススキ(尾花) | 8〜11月 |
| クズ(葛) | 7〜9月 |
| ナデシコ(撫子) | 7〜10月 |
| オミナエシ(女郎花) | 8〜10月 |
| フジバカマ(藤袴) | 9〜11月 |
| キキョウ(桔梗) | 6〜10月 |
最も多くの種類が重なる「7種の花が咲きそろいやすい時期」は、8月下旬から9月下旬です。つまり「秋の七草を楽しむなら9月がベスト」ということですね。
お月見(中秋の名月)のタイミングとも重なるため、ススキを飾る習慣は秋の七草の文化と深くリンクしています。中秋の名月は毎年9月中旬から10月上旬に訪れ、2024年は9月17日でした。このタイミングに合わせてススキを飾ると、秋の七草を暮らしに取り入れる第一歩になります。
意外と知られていないのが、キキョウの開花が6月という点です。初夏からすでに咲き始めるため、秋のイメージと少しずれを感じる方も多いでしょう。実際には、キキョウは夏から秋まで長期間にわたって花を咲かせる植物です。これは覚えておきたいポイントです。
秋の七草を構成する7種の草花には、それぞれ個性的な見た目と背景があります。一つひとつの特徴を正確に把握しておくと、植物図鑑や公園での観察がぐっと楽しくなります。
🌸 ハギ(萩)
マメ科の落葉低木で、紫紅色または白色の小さな花を房状に咲かせます。草花の中では珍しく「低木」に分類される植物で、高さは1〜2メートルほどに成長します。七草の中で最も「木らしい」存在です。
🌾 オバナ/ススキ(尾花)
稲穂のような穂が特徴的な多年草です。お月見の定番として知られ、日本各地の秋の野原で見られます。「尾花」という呼び名は、穂の形が動物の尾に似ていることに由来します。
🌿 クズ(葛)
葛根湯の原料としても有名な、マメ科のつる性植物です。根からとれるデンプン(葛粉)は料理にも使われ、七草の中で唯一、現代の食品製造に直接つながっている植物です。これは意外ですね。
💜 ナデシコ(撫子)
ピンク色の花びらがフリル状に縁取られた繊細な花です。「大和撫子」という言葉の語源になった花で、日本女性の慎み深さの象徴とされてきました。
🌼 オミナエシ(女郎花)
黄色い小花が房状に集まって咲く多年草です。「女郎」とは平安時代の美女を意味し、黄色い花の美しさをたとえた名前です。湿った草地に自生しますが、現在は野生種が減少しており、環境省のレッドリストにも掲載されています。
🟣 フジバカマ(藤袴)
淡紫色の小さな花を多数つける多年草で、乾燥すると桜餅のような甘い香りを放ちます。アサギマダラという渡り蝶が好んで飛来する花として知られており、蝶の観察スポットとしても人気です。こちらも絶滅危惧種に指定されています。
🔔 キキョウ(桔梗)
星形の青紫色の花が美しい多年草で、家紋や和菓子のモチーフとしても広く使われます。根は漢方薬「桔梗根」として利用されており、咳や喉の炎症に効果があるとされています。
7種すべてが日本の在来植物です。ただし、現在では野生で見られる種が少なくなっており、山野草の販売店や植物園などで苗を入手して育てる方も増えています。
秋の七草は語呂合わせで覚えるのが定番です。最もよく使われる覚え方を2つ紹介します。
語呂合わせ①「おすきなふくは?」
| 頭文字 | 植物名 |
|--------|--------|
| お | オミナエシ |
| す | ススキ(オバナ) |
| き | キキョウ |
| な | ナデシコ |
| ふ | フジバカマ |
| く | クズ |
| は | ハギ |
これだけで7種類すべてが入ります。シンプルです。
語呂合わせ②「はすきなおふくろ」
ハギ・ススキ・キキョウ・ナデシコ・オミナエシ・フジバカマ・クズ、という順で「はすきなおふくろ」と覚えることもできます。語感が自然なため、子どもに教える際にも使いやすい覚え方です。
語呂合わせの他に、原典として知っておくと記憶が定着しやすいのが、万葉集に収められた山上憶良の2首の歌です。
> 秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花
> 萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝貌の花
2首目の「朝貌の花」は現在ではキキョウと解釈されるのが一般的ですが、朝顔(アサガオ)を指すという説もあり、1300年以上にわたって議論が続いています。つまり、キキョウかアサガオかは未確定です。
この2首を書き写すだけで7種類の草花が頭に入るため、語呂合わせと一緒に覚えるとより確実に記憶できます。
秋の七草と春の七草は「七草」という言葉が共通しているため混同されやすいですが、目的がまったく異なります。これが最大のポイントです。
| 比較項目 | 春の七草 | 秋の七草 |
|---|---|---|
| 時期 | 1月7日 | 7〜11月(観賞期) |
| 目的 | 食べる(七草粥) | 見て楽しむ(観賞) |
| 由来 | 無病息災の祈願・食文化 | 万葉集の和歌 |
| 選定基準 | 食用になる草 | 美しい花が咲く草 |
| 代表的な行事 | 七草粥を食べる | お月見・野外観察 |
春の七草はセリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロの7種で、1月7日に七草粥として食べる食文化が基本です。対して秋の七草は「観て・詠んで楽しむ」ためのものです。
つまり、秋の七草は食べません。
「秋の七草で粥を作ろう」と思い立って草を集めても、食用に向かないものがほとんどです。特にフジバカマやキキョウは生食には向かず、誤って大量に食べると体調を崩すリスクもあります。秋の七草は目で楽しむものと覚えておけばOKです。
春の七草をすでにご存じの方は、「七草=食べるもの」というイメージが強いかもしれません。しかしその前提を秋の七草に持ち込むと混乱の原因になります。目的の違いを意識するだけで、季節の文化をより深く理解できます。
秋の七草は「知識として知っている」だけではなく、日常生活に少し取り入れることで、季節を感じる豊かな暮らしにつながります。特別な道具は不要です。
🌿 飾る:秋の花を一輪挿しに
ススキやハギは花屋や道の駅でも入手しやすく、一輪挿しに飾るだけで秋らしい雰囲気が出ます。ススキは穂が出た状態のものを切り取って花瓶に入れると、そのまま2〜3週間ほど楽しめます。水は少量でもOKです。
オミナエシやフジバカマは、山野草専門店や園芸店の秋の季節コーナーで取り扱いがある場合があります。切り花よりも鉢植えの方が長く楽しめます。
🔍 観察:植物園・公園で七草を探す
日本各地の植物園では、秋の七草を一か所で観察できるコーナーを設けているところがあります。例えば京都府立植物園や新宿御苑などでは、秋の七草の展示スペースがあります。家族や子どもと一緒に「七種類全部見つけられるか」という観察ゲームにすると楽しめます。
🪴 育てる:ベランダ菜園感覚で
秋の七草の中で育てやすいのはキキョウとナデシコです。どちらも市販の草花用培養土で育てられ、日当たりのよいベランダや庭で管理しやすい植物です。特にキキョウは一度根付けば数年にわたって毎年花を咲かせてくれます。
フジバカマは絶滅危惧種であるため、購入する際は「種子や苗が適切なルートで販売されているもの」を選ぶことが重要です。野山で無断採取することは、地域によっては条例で禁止されています。購入先は信頼できる園芸店か、環境省が連携している保全活動団体から入手するのが安全です。
七草すべてを揃えるのは大変に感じるかもしれません。でも、一種類から始めれば十分です。キキョウの鉢植えを窓辺に置くだけで、秋の七草の文化が日常に少し入ってきます。まず一種類選んでみることをおすすめします。
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