「ビオ」と書かれていても、日本では認証なしで誰でもその言葉を使えます。
ビオワインの「ビオ」は、フランス語の「biologique(ビオロジック)」が語源で、「有機の」という意味を持ちます。つまりビオワインとは、有機栽培されたブドウを使って造られるワインのことです。栽培の段階で化学肥料や農薬・除草剤を使わず、土本来の力でブドウを育てることを重視した考え方といえます。
ここで知っておきたいのが、日本とEUでの「ビオ」という言葉の扱いの大きな違いです。EUでは「ビオ」や「オーガニック」を名乗るために専門機関の認証取得が義務付けられています。代表的な認証機関には、フランスのAB認証やECOCERT(エコサート)、ドイツのDemeter(デメター)、EU全体のユーロリーフなどがあり、厳格な審査をクリアしたワインのみがラベルに認証マークを付けられます。
一方、日本では状況がまったく異なります。日本では「オーガニック」や「有機」という言葉は有機JAS認証の取得が必要ですが、「ビオ」や「ビオワイン」という表現には認証も規制も必要ありません。つまり実態がどうであれ、ラベルに「ビオ」と印刷することが法的に可能なのです。これは消費者にとって見落としがちな重要な事実です。
お店で「ビオワイン」と書かれたものを見かけたとき、EUの認証マーク(ユーロリーフなど)の有無を確認するのが一番確実な方法です。認証マークがあるかどうかを確認する、これが原則です。
| 地域 | 「ビオ」表示のルール |
|---|---|
| 🇯🇵 日本 | 規制なし。認証なしで誰でも使える |
| 🇪🇺 EU | 専門機関の認証が必須。マーク表示も義務 |
日本でワインを選ぶ際は、ラベルに「有機JASマーク」またはEUのユーロリーフなど海外認証マークがついているかどうかを確認してみましょう。
参考:日本の有機JAS規格とビオワイン表示に関する解説はこちらで詳しく確認できます。
オーガニックワインとは?ビオワインとの違いは?|アカデミー・デュ・ヴァン
ナチュラルワイン(ヴァン・ナチュール)はビオワインよりさらに踏み込んだ考え方のワインです。ビオワインが「ブドウの栽培方法」にこだわるのに対し、ナチュラルワインは醸造の段階でも添加物をほぼ使わないことを目指します。具体的には、酸化防止剤(亜硫酸塩)の添加を極力抑えるか無添加にする、天然酵母だけで発酵させる、濾過・清澄処理を最小限にするといった要素が特徴としてあげられます。
ただし、ナチュラルワインには世界的に統一された定義や公的な認証制度がありません。これが重要なポイントです。生産者や販売店が「これはナチュラルワインだ」と言えばそのように流通する、というのが現状です。フランスのINAO(国立原産地名称機関)が2020年に自然派ワインの基準を策定しましたが、世界全体への強制力はありません。
定義がないということは、品質にバラつきがあることも意味します。本当に添加物を使わず丁寧に造られたものから、単に「ナチュラル感」を売りにしているだけのものまで、玉石混交になりやすいのです。意外ですね。
このため、ナチュラルワインを選ぶときは、信頼できるワインショップやソムリエに相談したり、生産者の情報を調べたりすることが大切です。「ナチュラルワイン専門店」では、生産者のフィロソフィーまで把握したうえで仕入れているケースが多いため、こうした専門店を活用するのが有効な方法といえます。
参考:ナチュラルワインの定義と農法・製法の詳細はこちらで確認できます。
自然派ワイン(ヴァンナチュール)とは?定義や農法・製法|たのしいお酒.jp
ビオワインとナチュラルワインの最大の違いは、醸造工程における添加物の扱い方にあります。この点を整理しておくと、ラベルを見るときの判断がしやすくなります。
ビオワインは「有機栽培のブドウを使う」ことを中心としたワインです。醸造の段階では、一定の添加物の使用が認められています。EUのオーガニックワイン規格では、赤ワインの場合、亜硫酸塩(酸化防止剤)の上限が100mg/L未満、白・ロゼワインは150mg/L未満と定められており、通常のワイン(赤150mg/L、白200mg/L)よりも少なめですが、ゼロではありません。つまりビオワインが条件です。
一方、ナチュラルワインはさらに厳しいスタンスをとります。亜硫酸塩の使用を極力ゼロに近づけるか、瓶詰め時にのみごくわずかに使う(30mg/L以下が目安とされることが多い)という考え方が一般的です。また、培養酵母を使わず野生酵母のみで発酵させ、フィルタリングや清澄処理も行わないため、瓶の底に澱が沈んだり液体が少し濁って見えることがあります。これは体に害があるわけではありませんが、慣れていないと驚く方もいます。
ビオワインはナチュラルワインの上位概念ではなく、あくまで「栽培」に重点を置いた別カテゴリです。両者は重なる部分もありますが、ビオワインだからといってナチュラルワインとは限りません。結論はこれだけ覚えておけばOKです。
「ナチュラルワインやビオワインは二日酔いになりにくい」という話を耳にしたことがある方は多いと思います。これは完全な嘘ではありませんが、正確に理解しておくことが大切です。
二日酔いや頭痛の原因として広く言われているのが、ワインに含まれる酸化防止剤(亜硫酸塩)の影響です。亜硫酸塩は体内でアルコールを分解する酵素であるグルタチオンを消費するとされており、分解能力が下がることで翌日の頭痛につながる可能性があるという見解もあります。ナチュラルワインは亜硫酸塩の使用量が非常に少ないため、亜硫酸塩に敏感な人には確かに負担が軽くなるケースもあります。
ただし、医学的・科学的に「二日酔いしない」と証明されているわけではありません。二日酔いの主因はアルコール量と水分不足であり、いくら自然派ワインでも飲み過ぎれば翌朝がつらいのは変わりません。これは痛いところですね。
ここで注意が必要なのは、ナチュラルワインには亜硫酸塩代わりに自然発酵由来のアセトアルデヒドやヒスタミンなど別の成分が多く含まれることがある点です。これらは人によっては頭痛の原因になることもあります。「添加物が少ない=体に優しい」と単純に言えないケースもあるのです。
健康面で選ぶなら、まず飲みすぎを控えることが一番の対策です。そのうえで、日常的に自然派ワインを選ぶことは、添加物を減らすという観点では一つの選択肢になります。
参考:ナチュラルワインと二日酔いの関係について詳しく解説されています。
『ナチュラルワイン』は二日酔いしない?頭痛の原因も解説|mottox
ビオワインやナチュラルワインに興味が出てきたものの、どうやって選べばよいか迷う方も多いはずです。毎日の買い物の中で賢く選ぶためのポイントをまとめます。
まず、日常的にアクセスしやすいカルディコーヒーファームやスーパーでのビオワインの見つけ方から確認しましょう。ポイントは「認証マーク」の有無です。ラベルにユーロリーフ(緑の葉っぱのマーク)、AB認証(フランス農務省マーク)、Demeter(デメター)マークなどが記載されていれば、EUの基準をクリアした本物のオーガニックワインです。これが確認のポイントです。
日本の有機JASマークが付いているワインはさらに安心感があります。ただし、JASマークがなくても実際にはオーガニックにこだわっている生産者のワインもあります。認証取得に費用がかかるため、小規模な農家はマークを取得しないケースも珍しくありません。
次に予算についてです。ビオワインは一般的なワインと比べて、手摘み収穫など手間がかかる分、1本1,500円〜3,000円程度の価格帯が多くなります。1,000円以下のワインに「ビオ」と書かれていても、日本ではその表示に法的根拠がないケースも多いことを頭に入れておきましょう。
初めてビオワインを選ぶなら、EUの認証マーク付きのワインから試すのがおすすめです。国内の通販サイトでは「ビオワイン専門」のショップも多く、生産者のこだわりが詳しく説明されているため、選びやすいでしょう。確認する、それだけで変わります。
参考:ビオワインの農法や認証の違いについてわかりやすく解説されています。
ビオワインとは?自然派ワイン・オーガニックワインとの違いは?|たのしいお酒.jp