塩分10%でも梅干しは失敗しません。
塩分控えめ梅干しを成功させるうえで、最初のハードルは「梅の選び方」です。ここを間違えると、どんなに丁寧に漬けても仕上がりが硬かったり、味がぼんやりしたりしてしまいます。
塩分控えめ梅干しには、完熟した梅を使うことが大前提です。完熟梅とは、木の上で十分に熟して収穫されたもので、皮が薄くて果肉が柔らかく、甘い香りが漂うのが特徴です。品種でいえば、和歌山産の南高梅(なんこうめ)が最もよく使われます。和歌山県は全国の梅収穫量の約6割を占めており、南高梅はその中でも皮の薄さと果肉の厚さが群を抜いています。塩分を控えた分だけ梅本来の旨みが前に出てくるので、素材の質が仕上がりに直結します。
スーパーで梅を選ぶときは、全体的に黄色〜橙色に色づいていて、甘い桃のような香りがするものを選びましょう。青みが強いものは未熟なので、梅干しには向きません。ただし、青みがかった梅しか手に入らないこともあります。
その場合は「追熟」という作業で補えます。梅が重ならないようにザルや新聞紙の上に並べ、風通しの良い冷暗所に2〜3日置くだけです。これで自然に黄色く熟していきます。これが追熟です。ただし、追熟前に洗ったり冷蔵庫に入れたりするのはNGで、変色や傷みの原因になるので注意してください。
傷のある梅や黒ずんだ梅は漬けている途中でカビの発生源になりやすいため、必ず取り除いておきましょう。1粒の傷が、全体をダメにすることもあります。梅干しの選別は健康リスクを防ぐ意味でも重要な工程です。
完熟梅が条件です。梅の品質が、塩分控えめでも美味しく仕上がるかどうかの6割を決めると言っても過言ではありません。
梅干し作りの基本と品種選びについて詳しく解説(熊平の梅 公式ブログ)
梅の下準備が済んだら、いよいよ塩漬けの工程に入ります。塩漬けは、塩分控えめ梅干しで最も難しいと感じる人が多い工程です。しかし、正しい手順と道具を守れば確実に仕上げられます。
まず理解しておきたいのが、塩分濃度とカビの関係です。カビが増殖しやすい塩分濃度は15%以下とされています。昔ながらの梅干しが塩分18〜20%で作られるのは、この数値を上回ることでカビを防ぐためです。一方、塩分控えめを目指すと必然的に15%以下になります。つまり、カビのリスクを別の方法でカバーする必要があります。
そのカバー方法として最も効果的なのが、ホワイトリカー(35度以上の焼酎)による消毒です。ヘタを除いた梅を布巾でしっかり水気を拭き取ったあと、梅の表面にホワイトリカーをなじませることで、雑菌の増殖を大幅に抑えられます。また、使用する容器も消毒用アルコールで拭き上げてから使うことが必須です。
塩分濃度の目安は以下の通りです。
初めて作る場合は塩分10%が最もバランスが良くおすすめです。ホワイトリカー100ml程度を加え、梅と塩を交互にジップロック(フリーザーバッグ)に入れて空気を抜いて密閉し、重石を乗せて冷暗所に置きます。2〜3日で梅酢が上がってくるので、それ以降は冷蔵庫に移して梅雨明けまで保管します。
重石の代わりには、2Lのペットボトルに水を入れたものが手軽に使えます。これが重石の代用として機能します。重石は梅の重量と同程度(1kgの梅に対して約1〜2kg)を目安にしてください。
お酢(100ml程度)を少量加えると、梅酢の上がりが早くなり、梅が空気に触れる時間を短縮できるため、さらにカビリスクを下げられます。これは意外と知られていない裏ワザです。
塩分濃度別の減塩梅干しの作り方と保存のポイント(五代庵 公式コラム)
梅干しの鮮やかな赤色は、赤紫蘇によって生まれます。白干し(赤紫蘇を使わないもの)でも十分においしく仕上がりますが、赤紫蘇を加えることで風味と色が格段にアップします。赤紫蘇漬けの梅干しを目指す方は、ぜひこの工程を取り入れてください。
赤紫蘇を加えるタイミングは、塩漬けから約10〜14日後が目安です。梅酢がしっかり上がり、梅全体が梅酢に浸かっている状態になったら追加します。早すぎると梅がまだ不安定なため、発色が均一になりにくいことがあります。
赤紫蘇の量は、梅の重量の約20%が適切です。たとえば梅1kgなら赤紫蘇は約200g(葉のみの重量)が目安です。東京都内のスーパーでは1袋200〜300gで売られていることが多く、ちょうどよいサイズ感です。
下処理の手順はシンプルですが、アク抜きを丁寧に行うことが大切です。赤紫蘇の葉を茎から外して洗い、水気を切ったら粗塩を全体の20%ほど振りかけてよく揉みます。最初は黒っぽいアクの多い汁が出てきます。この汁を絞り捨てて、もう一度塩を加えて揉む作業を2〜3回繰り返しましょう。
アク抜きが条件です。アクが残ると仕上がりの色が濁ったり、風味が悪くなったりする原因になります。
水気を絞ったあとの赤紫蘇に、容器から取り出した梅酢を少量加えてほぐすと、鮮やかな赤色に変わります。これが発色のサインです。この赤紫蘇を塩漬け中の梅の上に広げ、梅酢が全体に行き渡るようにします。ふたたびジップロックで密閉し、冷蔵庫で梅雨明けまで保管します。
なお、赤紫蘇が市場に出回るのは6月中旬〜7月上旬頃です。梅の塩漬けとほぼ同時期なので、タイミングを見逃さないようにしましょう。スーパーでの販売期間は意外に短く、2〜3週間程度で終わることもあります。
塩漬けと赤紫蘇漬けが終わったら、最後の仕上げは「土用干し」です。土用干しとは梅雨明け後の夏の強い日差しを利用して梅を天日干しする工程で、余分な水分を飛ばして風味を凝縮させる大切なプロセスです。
土用干しを行う時期は、梅雨が明けた7月下旬〜8月上旬の晴天が続くタイミングが最適です。3日以上、雨の心配がない日を選びましょう。干す時間帯は日の出から日没まで、しっかり日光に当て続けることが大切です。
干し方の手順は以下の通りです。
盆ザルがない場合は、すだれや干し網、干しかごなどでも代用できます。これは使えそうです。重要なのはアスファルトやコンクリートの上など高温になりすぎる場所には直接置かないことです。梅が傷む原因になります。
3日間の天日干しが終わったら、清潔な密閉容器に移して冷蔵庫で保存します。容器は梅の酸に強いガラス瓶やホーロー製のものが最適です。金属製・アルミ製の容器は梅の酸で溶ける可能性があるため、絶対に避けてください。
塩分控えめ梅干しは保存期間が短く、常温保存は避けるのが原則です。冷蔵保存で食べきる目安は約3〜6ヶ月が目安です。塩分20%の梅干しと違い長期常温保存はできません。そのため、小分けにして食べきれる量を作るのがコツです。
手作りした塩分控えめ梅干しは、そのままご飯のおともにするだけでなく、日々の料理にも活かせます。また、漬けてみたら思ったより塩辛かった、という場合でも「塩抜き」という簡単な方法で調整ができます。
塩抜きの手順は非常にシンプルです。梅干し200g(約10粒)に対して水1L、塩をひとつまみ加えた「塩水」に漬けるだけです。なぜ真水ではなく塩水なのかというと、塩水に漬けることで梅の旨みを逃さずに塩分だけを抜くことができるためです。真水に漬けてしまうと梅の風味まで流れ出てしまいます。これが塩抜きの基本です。
時間の目安は30分〜数時間で、お好みの塩分になったら取り出してザルで1〜2時間水切りします。また、30〜40℃程度のぬるま湯を使うと塩抜きが早く進みます。塩抜き後の梅干しは保存期間が約1週間に短くなるため、冷蔵保存で早めに食べきることが大切です。
料理への活用法としては、以下のような使い方がおすすめです。
また、土用干しで一緒に干した赤紫蘇は、乾燥させてミルで砕けば自家製「ゆかり」ができあがります。市販品のゆかりと比べて添加物がないのが手作りの強みで、ご飯に混ぜたりおにぎりに使ったりと重宝します。手作り梅干しと自家製ゆかりのセットは、料理の幅を大きく広げてくれます。
塩分控えめだからこそ、梅本来の豊かな風味が料理のアクセントとして生きてきます。手間をかけた分だけ、食卓が豊かになるのが塩分控えめ梅干し作りの醍醐味です。
塩分控えめ梅干しの詳しい作り方と活用レシピ(AJINOMOTO PARK)

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