フェアトレードチョコレート明治の取り組みと選び方

明治のメイジ・カカオ・サポートによる持続可能なカカオ調達や児童労働撤廃への取り組みを解説。フェアトレードチョコレートを選ぶことで、カカオ農家の生活向上と環境保護にどう貢献できるのでしょうか?

フェアトレードチョコレート明治の特徴と取り組み

この記事で分かること
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明治のカカオ支援活動

2006年から続くメイジ・カカオ・サポートの具体的な内容と成果

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カカオ農家への支援

9か国で展開される技術支援や生活向上プログラムの詳細

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持続可能なチョコレート

環境保護と児童労働撤廃に向けた明治の具体的アクション

フェアトレードチョコレート明治「ザ・チョコレート」の特徴

明治が展開する「ザ・チョコレート」は、メイジ・カカオ・サポートを実施するベネズエラ、ブラジル、ペルー、ドミニカ共和国の4カ国で生産された「明治サステナブルカカオ豆」をカカオマスに使用したチョコレートです。通常の明治商品の倍の価格(40g・220円)で販売されており、パッケージには「Bean to Bar」のラベルと、サステナビリティへの取り組みに関する情報が掲載されています。
参考)サステナブルなチョコレートとは?使用しているカカオの特徴やS…

このチョコレートは、カカオ豆の個性を引き出すため、各産地のカカオ豆に合わせて製造工程にこだわり、香料不使用で仕上げられています。カカオ豆の生産からチョコレート製造までの全工程を自社で管理・製造することで、品質の高さと持続可能性を両立させています。
参考)https://in-myshoes.org/meiji_thechocolate/

明治は2026年度までに「明治サステナブルカカオ豆」の調達比率100%を目指しており、2022年度時点で62%の調達率を達成しています。この取り組みにより、カカオ農家への適正価格での購入と継続的な支援が実現されています。
参考)株式会社 明治のカカオ産地活動実績

フェアトレードチョコレート明治のメイジ・カカオ・サポート活動

メイジ・カカオ・サポート(MCS)は、2006年に始まった明治独自のカカオ農家支援活動で、現在アフリカ・中南米・アジアの9か国で展開されています。この活動では、カカオ豆生産の持続可能性を高めるために、産地に直接足を運び、さまざまなパートナーと協働しながら、カカオ豆の品質向上への技術支援や農家の生活向上、地域の環境保全・回復等の社会課題解決に取り組んでいます。​
具体的な支援内容としては、カカオ苗の配布、肥料の提供、農機具の無償貸出、発酵法などの技術支援が挙げられます。例えばベネズエラでは累計144,630本のカカオ苗が配布され、ブラジルでは17,958の肥料が提供されています。​
また、明治はカカオ豆調達時にプレミアム価格で購入することで、この活動の維持・推進を図っています。すべての調達先において農園までのトレーサビリティの確立を進めており、ブラジル、ドミニカ、エクアドル、メキシコ、ベトナムでは農園までのトレーサビリティ100%を達成しています。​
明治のカカオ産地活動実績の詳細(公式サイト)
メイジ・カカオ・サポートの具体的な取り組み内容と各国での支援実績が確認できます。

 

フェアトレードチョコレートがカカオ農家にもたらす効果

フェアトレードチョコレートは、チョコレートの原材料となるカカオ・砂糖・バニラなどを原料生産者から適正な価格で直接購入し継続的に取引することで、生産者の生活向上を支援し貧困問題の解決に取り組んでいます。カカオ豆は「カカオベルト」と呼ばれる赤道を中心に緯度約20度以内の熱帯地域で栽培されており、その多くは仲買人が決めた価格で取引され、立場の弱い生産者に適正な価格が支払われず、十分な収入が得られないことで貧困や児童労働などの問題が生じています。
参考)フェアトレードチョコレート|第3界ショップ|作り手と商品の紹…

明治がガーナで導入している村内貯蓄貸付組合(VSLA)では、銀行のサービスへのアクセスが難しいコミュニティの農家が自ら立ち上げ、運営している組織を通じて、農業資材の購入や新しい商売の開始、子供の養育費などに資金を活用できるようになっています。2021年10月から2022年9月の期間で2つのVSLAが新規設立され、60人(うち女性41人)が参加し、EUR 2,340の貯蓄が集まっています。​
ブラジルのトメアスーでは、10年以上に渡り「アグロフォレストリー農法」に取り組んでいます。この農法は森をつくる農業で、単一栽培では困難な持続的な生産が可能になると共に、カカオ以外の農作物も収穫でき、収入の安定に繋がっています。​

フェアトレードチョコレート明治の児童労働撤廃への取り組み

カカオ生産国として第1位、第2位であるコートジボワール、ガーナでは、18歳未満の児童労働者が156万人に上るとされています。コートジボワールだけでも約13万人の子どもが農園での労働に従事しており、農園経営をする家庭の子ども(6~17歳)の3分の1は一度も学校に行ったことがありません。
参考)チョコレートと児童労働

明治は児童労働が社会課題となっているガーナで、現地パートナーと協力して児童労働監視改善システム(CLMRS)による支援を行っています。調査員が各農家や農園へ足を運び、家族構成などを確認し、啓発活動によって児童労働の認識を高め、児童労働を特定し、改善支援およびフォローアップを継続的に行っています。
参考)児童労働撤廃への取り組み|サステナビリティ|明治ホールディン…

2021年10月から2022年9月の期間で、3,629の農家でモニタリングが実施され、20件が児童労働と特定されました。そのうち15件が是正過程にあり、5件が是正済となっています。また、明治は2021年10月に西アフリカのカカオ栽培における児童労働・強制労働撲滅を目的としたNPO「International Cocoa Initiative(ICI)」に日本企業として初めて加盟しました。​
さらに、ガーナの村で「チョコレートクラス」を開講し、子供たちにカカオのことを学んだり、自分の村で収穫されたカカオを使ってチョコレートを手づくりして味わってもらったりする活動も実施しています。これらの活動を通じて、カカオの魅力や価値、カカオ農業の重要性について理解を深めてもらう機会を提供しています。​
明治の児童労働撤廃への取り組み(公式サイト)
児童労働監視改善システムの詳細とICIへの加盟について詳しく解説されています。

 

フェアトレードチョコレート明治と環境保護の関係性

カカオの生産は、森林伐採による自然環境破壊や生物多様性の損失という重大な社会課題を抱えています。明治はガーナにおいて、カカオ農園に関わる森林減少を停止し、森林の保護・回復を目的とした取り組みを推進しています。​
調達先の農家に対して、Cocoa and Forests Initiativeの考え方に基づき、森林保護や回復に関する情報提供や農業生産工程管理に関する教育を実施しています。2021年10月から2022年9月の期間で、クライメートスマート・カカオ・トレーニングが3,221の農家で実施され、GAP(Good Agricultural Practice)トレーニングが3,883の農家で実施されました。​
現地パートナーと協働し、調達先の農園が森林減少へ関与していないか、マッピングと訪問調査によりモニタリングを実施しており、森林保護区の侵害が発見された場合にはサプライチェーンから除外しています。4,585の農家で農地マッピングおよび現地への訪問調査が実施され、森林保護区に存在する43の農園と36の農家が特定され、そのうち28の農家が制裁措置を受けました。​
カカオ農園とその周辺地域における森林環境と生態系の維持・回復に繋げることを目的に、多目的樹木(累計124,680本)、カカオ苗(累計231,684本)、野菜苗(累計100,000本)、シェードツリー(累計25,500本)などの苗や肥料を配布し、カカオの木の保護、農地の土壌改善に貢献しています。これらの取り組みにより、持続可能なカカオ生産と環境保護の両立を実現しています。​