「ジェネリックはどれも同じ」と思っていると、患者の薬代が余計にかかることがあります。
フェルゼンファーマは、2018年末に後発医薬品の販売を開始してから急速にラインアップを拡充してきたジェネリック医薬品メーカーです。2025年12月版の製品一覧によれば、高血圧症治療薬からアレルギー疾患治療剤、脂質異常症治療薬、抗うつ薬、睡眠導入薬、免疫抑制剤、パーキンソン病治療薬まで、非常に幅広い薬効領域をカバーしています。
主な取り扱い領域と代表製品を整理すると、以下の通りです。
- 高血圧・循環器系:アジルサルタンOD錠「フェルゼン」(先発品:アジルバ錠)、カンデサルタン錠「TCK」(先発品:ブロプレス錠)、テルミサルタン錠「フェルゼン」(先発品:ミカルディス錠)、アムロジピン錠「TCK」(先発品:ノルバスク/アムロジン)など
- 脂質異常症:アトルバスタチン錠「Me」(先発品:リピトール)、ピタバスタチン錠「フェルゼン」(先発品:リバロ)、エゼチミブ錠「フェルゼン」(先発品:ゼチーア)
- アレルギー疾患:オロパタジン塩酸塩錠・OD錠「フェルゼン」(先発品:アレロック)、ロラタジン錠「フェルゼン」(先発品:クラリチン)
- 精神・神経系:セルトラリン錠「TCK」(先発品:ジェイゾロフト)、エスシタロプラム錠「明治」(先発品:レクサプロ)、デュロキセチンカプセル「フェルゼン」(先発品:サインバルタ)、パロキセチン錠「フェルゼン」(先発品:パキシル)
- その他:クロピドグレル錠「フェルゼン」(先発品:プラビックス)、セレコキシブ錠「フェルゼン」(先発品:セレコックス)、ゾニサミドOD錠TRE「フェルゼン」(先発品:トレリーフ)など
薬価面でも注目で、例えばオロパタジン塩酸塩錠5mg「フェルゼン」は10.40円/錠に対し、先発品のアレロック錠5は20.70円/錠と約半額です。つまり薬価差が大きいということです。アジルサルタンOD錠40mg「フェルゼン」でも40.90円/錠に対して先発品アジルバ錠40mgは112.00円/錠と、3倍近い差があります。
医療従事者が後発品への切り替えを検討する際に、まずこのような薬価差を把握しておくことが基本です。特に長期服用が必要な高血圧や脂質異常症の患者においては、月単位・年単位でのコスト差が積み上がります。
フェルゼンファーマ 製品情報データベース(添付文書・インタビューフォーム等)
後発医薬品に対して医師や薬剤師が持つ最も大きな懸念は「品質」です。実際にある調査では、医師の約6割が後発医薬品に対して不信感を抱いているという報告もあります。ただし、フェルゼンファーマの体制はその不信感に正面から向き合う仕組みになっています。
フェルゼンファーマの最大の特徴は、その成り立ちにあります。東証スタンダード市場上場の「メディカルシステムネットワーク(なの花薬局)」と、東証プライム市場上場の原薬・製剤メーカー「ダイト」が共同出資して設立した製薬会社です。ダイト側から品質のエキスパートが、なの花薬局側からベテラン薬剤師が参画しており、製造から患者への届けまでの全過程を一貫して把握できる体制を持っています。これは独自視点として注目すべき強みです。
製造販売業者としての「ふたつの顔」という考え方も特徴的です。一つ目は「工場を管理する製薬会社」として提携製造工場を法令に基づいて管理する顔、もう一つは「薬を販売する会社」として提携先が適正に業務を行っているか把握する顔です。この二重チェックの仕組みが、昨今業界を騒がせた不祥事(沢井製薬の溶出試験不正問題など)と一線を画す体制になっています。
信頼性保証は原則です。毎月、総括製造販売責任者・品質保証責任者・安全管理責任者(製販三役)が経営陣に報告し、問題があればトップダウンで即対応できる仕組みを整備しています。また、各添付文書ページからは「生物学的同等性試験データ」「インタビューフォーム」「製剤写真」などを無料で閲覧・ダウンロード可能です。
ジェネリック業界全体で「安定供給」が大きなテーマになっています。2021年以降、複数の大手後発品メーカーが品質不正・製造停止・出荷調整を繰り返し、医療現場では慢性的な後発品不足が続きました。これは医療従事者にとって実務上の深刻なリスクです。
フェルゼンファーマは「製品の供給状況に関するお知らせ」を定期的に公表(2026年2月末時点の情報まで更新中)しており、医療関係者が各品目の供給状況を確認できるよう情報を透明化しています。フェルゼンファーマのウェブサイト「医療関係者の皆様へ」のページでは、「後発品の安定供給に関連する情報の公表等に関するガイドライン」に基づいた各品目の製造情報(様式1)も2025年10月版まで公開されています。
供給安定性の背景には、親会社・ダイトとの緊密な連携があります。ダイトは富山県を拠点とする原薬・製剤メーカーで、計画生産・在庫管理・品質管理において高い水準を持っています。フェルゼンファーマはダイトおよび辰巳化学・ニプロ・日本ジェネリックなどとも販売提携を結び(直近では2026年3月にアンブロキソール塩酸塩錠・メトホルミン塩酸塩錠の販売開始)、品目数を継続的に拡大しながら供給体制を強化しています。
これは使えそうな情報です。医療機関として採用品目を選定する際に、「供給実績と情報公開姿勢」を評価軸の一つに加えることで、急な出荷調整リスクを抑えた薬局・病院運営につながります。供給状況の確認は、フェルゼンファーマ公式サイトから定期的に行うのが最も確実です。
メディカルシステムネットワーク 業界動向・後発医薬品の構造改革に関する考え方
フェルゼンファーマの製品ラインで特に注目したいのが、口腔内崩壊錠(OD錠)の充実です。嚥下困難を伴う高齢患者や、水なしで服用したいケースなど、剤形の選択は患者アドヒアランスに直結します。
フェルゼンファーマがOD錠を展開している主な品目は以下の通りです。
| 製品名 | 薬効 | 先発品 |
|---|---|---|
| アジルサルタンOD錠10/20/40mg「フェルゼン」 | ARB(高血圧) | アジルバ錠 |
| アムロジピンOD錠2.5/5mg「TCK」 | Ca拮抗薬(高血圧・狭心症) | アムロジンOD錠 |
| オロパタジン塩酸塩OD錠2.5/5mg「フェルゼン」 | アレルギー | アレロックOD錠 |
| ゾニサミドOD錠25/50mgTRE「フェルゼン」 | パーキンソン病治療 | トレリーフOD錠 |
| トルバプタンOD錠7.5/15mg「ニプロ」 | V2受容体拮抗剤 | サムスカOD錠 |
OD錠は普通錠と比べて崩壊しやすい設計のため、湿気に弱い製品もあります。処方・調剤の際は保管環境への注意が原則です。特に一包化調剤を行う際は、各製品のインタビューフォームで「一包化調剤の可否」を確認する必要があります。「一包化可能」と記載があっても、個別の製品によって安定性データの期間が異なるため、確認は必須です。
また、後発品を先発品に切り替えた場合と逆に先発品から後発品に切り替えた際に、添加剤の違いにより消化器症状などの副作用が出るケースがまれに報告されています。これは切り替え時に患者への説明を丁寧に行うべき理由です。各製品の添付文書・インタビューフォームはフェルゼンファーマの製品情報データベースからダウンロードでき、アレルギー歴のある患者には事前の添加剤確認が一段の安全策となります。
厚生労働省「ジェネリック医薬品への疑問に答えます」ー生物学的同等性試験と添加剤の考え方
2024年10月1日から、後発医薬品があるにもかかわらず患者が先発品を希望した場合には「選定療養費」として、先発品と後発品の薬価差の4分の1相当を患者が自己負担する制度が始まりました。これは医療従事者が患者に伝えるべき非常に重要な変更点です。
具体的な負担額を示すと理解しやすいです。例えば先発品のアジルバ錠40mgは1錠112.00円、フェルゼンファーマのアジルサルタンOD錠40mg「フェルゼン」は40.90円です。差額は71.10円で、その4分の1相当である約17.8円が選定療養費として上乗せされます。3割負担の患者なら通常の薬剤費とは別に消費税込みで約20円/錠が追加される計算です。1日1錠・30日分では約600円の追加負担となります。年換算にすると7,200円超の差が生まれる、と患者に数字で説明できると実感しやすいです。
医療従事者として、患者説明で押さえておきたい3つのポイントがあります。
- 「医療上の必要性」がある場合は適用除外:先発品でなければならない医学的根拠がある場合(例:先発品と後発品で同等でない、安定していた患者の切り替えで有害事象があったなど)は、特別料金の対象外となります。
- 患者の自己負担率によって影響が異なる:3割負担の現役世代と1割負担の高齢者では、もともとの自己負担額が異なるため、追加負担の実感も異なります。数字で個別に説明するのが効果的です。
- 調剤薬局との情報共有が重要:処方箋に「後変不可」を記載する場合はその根拠が必要で、薬局との連携が不可欠です。根拠のない先発品指定は患者の不利益につながる可能性があります。
フェルゼンファーマのような品質・供給実績のある後発品メーカーの製品情報を日頃から把握しておくことで、患者への後発品切り替え提案に確信が持てるようになります。医薬品ネットワーク事業との連動という独自の流通構造を持つフェルゼンファーマは、安定した薬価と供給体制を武器に、今後もラインアップを拡充していく方針です。2026年3月時点でも新規品目の発売が続いており、最新情報は公式サイトで定期確認するのがベストです。
厚生労働省「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」公式案内