フォンダンショコラのあの白い糖衣は、実はチョコとは全く別の製菓材料です。
フォンダン(fondant)はフランス語で「溶ける」「柔らかい」という意味を持つ言葉です。動詞 fondre(溶かす)が語源で、フォンデュやファウンドリーと同じルーツから生まれています。お菓子の世界でこの言葉が使われるようになったのは、砂糖と水を加熱して練り上げた糖菓が「口の中でとろけるように溶ける」食感を表現するためでした。
つまり「溶ける感覚」が名前の由来です。
製菓の世界でのフォンダンは、砂糖と水を107〜115℃程度まで煮詰め、温度を40〜50℃まで下げてから力強く撹拌(かくはん)して白いクリーム状に仕上げたものを指します。このとき砂糖が再結晶化し、きめ細かくなめらかな白い糖衣に変わります。日本には古くから同じ製法の製菓材料があり、和菓子の世界では「すり蜜(すりみつ)」と呼ばれています。焼き菓子やせんべいの表面に水滴状についた白い糖衣がそれです。
意外なことにフォンダンは、日本と縁が深い材料です。
フォンダンに使う砂糖は白ざらめ糖や上白糖が適しています。白ざらめ糖はグラニュー糖より結晶がやや大きく、精製度が高いため、煮詰めても色が濁らず、甘さにクセがありません。上白糖には転化糖(ビスコ糖)が微量に含まれており、フォンダンの結晶を小さくなめらかにする効果があります。こうした砂糖の性質を活かして作られる白くツヤのある糖衣が、フォンダンの最大の特徴です。
参考:砂糖の加熱温度とフォンダンの関係について詳しく解説されています。
砂糖の加熱温度と状態の変化|SUGAR LAB(ウェルネオシュガー)
フォンダンには大きく分けて3種類あります。それぞれ用途も扱い方もまったく異なるため、どれを選ぶかを間違えると仕上がりが全然変わってしまいます。これが原則です。
① 液状フォンダン(クラシックフォンダン)
最も伝統的なタイプで、砂糖と水だけ(または水あめを加えて)作られます。シナモンロールやバームクーヘン、エクレアの表面に使われている白くツヤツヤした糖衣がこれです。湯煎で温めて液状に戻し、菓子やパンにかけてデコレーションに使います。加熱しすぎると艶が消えてしまうため、使用時の温度管理が重要です。仕上がりに艶感が出るのが、アイシングとの大きな違いです。
② ロールフォンダン(ファンダント)
ゼラチンやグリセリンを加えて、粘土のように伸ばして使えるタイプです。ケーキ全体をすっぽり覆うコーティングに使われることが多く、ウェディングケーキの表面のなめらかな白い「シート」がまさにこれです。パイ生地のように麺棒で薄く伸ばしてケーキの上からかぶせます。固まっても食べられる点が特徴です。
③ マシュマロフォンダン
マシュマロを電子レンジで溶かし、粉糖と混ぜて作るタイプです。家庭で作りやすいのが大きなメリットで、色をつけたり花や動物の形に成形したりと、自由にデコレーションが楽しめます。市販のロールフォンダンよりコストを抑えられるため、主婦のお菓子作りでも取り入れやすいタイプです。
これは使えそうです。
| タイプ | 主な用途 | 家庭での扱いやすさ |
|---|---|---|
| 液状フォンダン | シナモンロール・エクレアのコーティング | ⭐⭐⭐ |
| ロールフォンダン | ウェディングケーキ・本格デコレーション | ⭐⭐ |
| マシュマロフォンダン | カラフルなデコレーション・立体パーツ | ⭐⭐⭐⭐ |
参考:パティシエが現場で使うフォンダンの詳しい作り方・材料が解説されています。
フォンダン|パティシエのための洋菓子・製菓用語集(patissient.com)
「フォンダン」と「アイシング」は見た目が似ているため、混同されがちです。しかし材料も作り方も、仕上がりもまったく異なります。主婦がお菓子作りでよく遭遇する場面だけに、ここを理解しておくと材料選びで迷わなくなります。
フォンダンは砂糖と水を加熱して作ります。砂糖の結晶をコントロールすることで白くなめらかなツヤのある糖衣になります。一方アイシングは、メレンゲ状に泡立てた卵白に粉糖を加えて作ります。アイシングは熱を加えないため、フォンダンのような強い艶は出ません。乾くと表面がマットで白く固まるのがアイシングの特徴です。
まとめると以下のような違いがあります。
- フォンダン:砂糖+水を加熱して作る。艶やかでなめらか。パンや焼き菓子のコーティングに最適。
- アイシング:卵白+粉糖を泡立てて作る。マットで固まりやすい。クッキーの装飾に最適。
- マジパン(マルチパン):アーモンドプードル+砂糖で作る。しっかりした成形が可能で、飾り細工に使われる。
- シュガーペースト(ガムペースト):完全に固まるため、立体的な花のパーツ作りに使われる。
フォンダンとアイシングが基本です。
また、フォンダンは湯煎で温めると柔らかくなり、冷えると固まる性質があります。そのためシナモンロールを仕上げる際、少し温かいうちにフォンダンをかけるとちょうどいいトロっとした糖衣になります。これを冷めたパンにかけると、表面にきれいに広がらず白く固まりすぎる場合があります。使うタイミングも大切です。
参考:フォンダンとアイシングの違い、料理レシピまで丁寧に解説されています。
「フォンダン」という言葉が含まれているからといって、フォンダンショコラの「フォンダン」は製菓材料のフォンダンとは別のものです。ここを混同している方は意外と多いです。
フォンダンショコラ(正式名:フォンダン・オ・ショコラ)は、フランスを代表するチョコレートケーキです。フォンダンという言葉は「溶ける・柔らかい」という意味の形容詞として使われており、「中から溶けたチョコレートがとろりと出てくる」様子を表しています。つまり製菓材料のフォンダン(砂糖の糖衣)が使われているわけではありません。
共通点は「溶ける」という言葉の意味だけです。
フォンダンショコラを焼く際のポイントも知っておくと損しません。焼き方は大きく2通りあります。1つは生地を半熟状態で焼き上げる方法で、焼き時間は180℃のオーブンで約7〜10分が目安です。もう1つは中にガナッシュ(チョコレートクリーム)を仕込んでしっかり焼き上げる方法で、こちらのほうが焼き加減に関係なく「とろり」が再現しやすく失敗しにくいです。
焼きたてが最高なのは間違いありません。
一方でフォンダンショコラとよく混同されるのがガトーショコラです。ガトーショコラはフランス語で「チョコレートのお菓子」という意味で、しっかりと焼き上げた濃厚なチョコケーキです。フォンダンショコラのような「とろり」は出てきません。むしろ一晩寝かせると味がなじんでよりおいしくなるのがガトーショコラの特徴です。2つはまったく別のお菓子だと覚えておきましょう。
参考:フォンダンショコラの発祥・意味・特徴が詳しく解説されています。
フォンダンショコラとは?とろりと溶け出すチョコの秘密と魅力|chefrepi
フォンダンは難しそうに感じるかもしれませんが、マシュマロフォンダンであれば自宅で手軽に作れます。材料はスーパーで手に入るものばかりで、マシュマロ80g・粉糖150g・水小さじ1・油小さじ2が基本です。
作り方はシンプルです。
耐熱ボウルにマシュマロと水を入れて電子レンジ(600W)で約30〜40秒加熱し、溶けたら粉糖を少しずつ加えながら混ぜます。まとまってきたら台に取り出し、手で練り込んでなめらかにすれば完成です。食紅や食用色素で色をつければ、好みのカラーに仕上がります。粘土感覚で扱えるため、子どもと一緒に花や星などの形を作る楽しみ方もあります。
形を作るのが楽しい素材です。
液状フォンダンを使いたい場合は、市販品のフォンダン(製菓材料店やネット通販で入手可能)を購入するのが便利です。湯煎で温めてとろとろになったら、ケーキやシナモンロールの上からスプーンでかけるだけで、パン屋さんのような仕上がりになります。温度の目安は35〜40℃程度が扱いやすく、熱くしすぎると艶が消えてしまうため注意が必要です。
温度管理だけ注意すれば大丈夫です。
フォンダンを使ったデコレーションが気になる方には、シュガークラフト(砂糖細工)という分野もあります。ロールフォンダンを使って本格的なケーキデコレーションを楽しむ技術で、教室やオンライン講座も増えています。まずはマシュマロフォンダンでケーキの上に小さな花をひとつ作るところから始めてみると、新しい楽しみが広がります。
参考:フォンダンのウィキペディア記事で種類・材料・用途が網羅されています。
フォンダン|フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)
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