フードバンク フードドライブ 違い|仕組み活動内容を理解しよう

フードバンクとフードドライブは食品ロス削減のための重要な活動ですが、その仕組みや参加方法は全く異なります。寄付先や集まる食品の種類、利用方法まで、両者の違いを詳しく知っていますか?

フードバンク フードドライブ 違い

この記事の概要
🏢
フードバンクとは

企業や農家から余剰食品を集め、福祉施設や生活困窮者へ無償で提供する団体活動

🏠
フードドライブとは

一般家庭で余った食品を集めて寄付する活動で、誰でも気軽に参加できる社会貢献

🔄
両者の関係性

フードドライブで集められた食品はフードバンクへ寄付され、必要な人々へ届けられる

フードバンクの仕組みと活動内容

フードバンクとは、包装破損や印字ミス、賞味期限が近いなどの理由で市場流通できない食品を、企業や農家から無償で引き取り、福祉施設や生活困窮者へ無償提供する団体のことです。日本では、子どもの9人に1人が貧困状態にあり、フードバンクは食の社会インフラとして重要な役割を果たしています。
参考)https://losszero.jp/blogs/column/news_m2

フードバンクの主な活動は「集める」と「配る」の2つに分けられます。企業からは災害備蓄品や規格外商品、農家からは規格外野菜などを回収し、子ども食堂、福祉施設、フードパントリーなどの支援団体を通じて必要な人々へ届けます。特徴的なのは、単に食料を提供するだけでなく、就労困難者への働く場づくりや自立支援も行っている点です。
参考)フードバンクとは

フードバンクの活動は6つの定義項目で明確化されており、食品ロス削減と貧困問題解決の両面でSDGsのゴール2「飢餓をゼロに」、ゴール10「人や国の不平等をなくそう」、ゴール12「つくる責任 つかう責任」に貢献しています。2023年時点で農林水産省が把握しているフードバンクは全国に151団体存在します。
参考)フードバンクとは|フードバンク活動を推進する全国ネットワーク

フードドライブの参加方法と寄付できる食品

フードドライブとは、家庭や企業で余った食品をフードバンク団体に寄付する活動のことを指します。英語の「Drive」は「寄付」を意味し、アメリカではペーパードライブ(古紙回収)やブックドライブ(本の寄付)など様々なドライブ活動が存在します。参加方法は、フードバンク拠点への直接持ち込み、店舗や施設に常設されたボックスへの投入、インターネット通販での購入・郵送、イベント会場での特別開催時の持ち込みなど多様です。
参考)【用語解説】フードバンクとは?フードドライブとは?フードパン…

寄付できる食品には条件があり、賞味期限まで1か月以上余裕がある未開封品、原材料や食べ方が日本語表示されている常温保存可能なものが対象となります。具体的には、インスタントラーメン、乾麺、パスタ、乾物、調味料、お菓子、レトルト食品、缶詰、瓶詰、飲み物、お米などが歓迎されます。一方、賞味期限が1か月未満のもの、開封済み、常温保存不可、アルコール飲料、サプリメント、手作り品などは受け付けられません。
参考)食品の寄付をする

フードドライブは低コストで実現できる地産地消型の社会貢献活動として注目されており、スーパーの入り口や自治体のイベントで食品回収コーナーを見かける機会が増えています。実施には事前計画、広報活動、当日の受付・仕分け作業、寄付先団体への引き渡しという流れがあり、地域住民が気軽に参加できる仕組みとなっています。
参考)【簡単参加!】フードドライブについてご紹介

フードバンクとフードドライブの主な違い

両者の最も大きな違いは「寄付する主体」です。フードバンクは企業や農家が参加する団体であるのに対し、フードドライブは一般家庭の人々が参加する活動です。つまり、フードバンクは食品を提供する「団体」そのものを指し、フードドライブは食品を集める「活動」を指すという点で性質が異なります。
参考)フードドライブとは?そのやり方、フードバンクとの違いを紹介

集まる食品の種類も違います。フードドライブでは家庭で余っている賞味期限内の食品が中心ですが、フードバンクでは賞味期限が近い食品、規格外野菜、包装に傷がある商品など、より多様で大量の食品が集められます。また、フードバンクは企業からの大量寄付に対応するため農林水産省が輸送費を補助していますが、フードドライブでは各家庭が送料や交通費を負担する点も相違点です。
参考)貧困とフードロスを救う「フードドライブ」の役割 フードバンク…

さらに、フードバンクは消費期限が過ぎた食品の再生利用も活動内容に含んでおり、飼料や肥料への再生を通じてフードロス削減と再生利用事業者の活躍の場創出という二重の効果を生み出しています。一方、フードドライブは家庭にある未使用食品の有効活用に特化しており、より身近で参加しやすい活動として位置づけられます。​

フードバンクの利用方法と受け取り対象者

フードバンクから食品を受け取れるのは、生活困窮者、母子家庭、ひとり親世帯、経済的困難を抱える子育て世帯などです。利用には通常、支援機関(社会福祉協議会、自立相談支援機関など)を通じた申請が必要となります。一部のフードバンクでは直接申し込みも可能ですが、生活状況の確認のため面談や登録手続きが求められることが一般的です。
参考)食品を受け取りたい方へ

食品の提供方法には、定期的な配布会への参加、宅配サービスの利用、フードパントリー(食品配布拠点)での受け取りなどがあります。2023年度にはパルシステムなど生協が「購入型フードドライブ」を開始し、組合員が商品を注文してフードバンクに寄付する新しい仕組みも登場しました。提供される食品は、お米、野菜、果物、乾麺、調味料、レトルト食品、缶詰などの基本的な食材が中心です。
参考)フードパントリーとは?その仕組み、フードバンクとの違いをご紹…

フードバンクは単なる食料提供に留まらず、支援を通じて人と人をつなぎ、自立へのサポートも行っています。失業者や不安定就労者に対して、就労に結び付ける働く場づくりを進めている団体もあり、食料支援を入り口とした包括的な生活支援の役割を担っています。
参考)生活困窮者世帯にお米や缶詰、レトルト食品等を定期的に提供し、…

フードパントリーとフードバンクの関連性を知る

フードパントリーとは、何らかの理由で食品を手に入れることが困難な人へ直接無料で食品を配布する会やその行動のことです。フードパントリーはフードバンクやフードドライブを行っている団体から食品寄付を受け、それらをボランティアスタッフが仕分けして1世帯分のセット組みを行った上で配布します。つまり、フードバンクが「食品の仲介役」であるのに対し、フードパントリーは「配布拠点」として機能します。
参考)NeighbourFood(ネイバーフード) - フードバン…

開催者はNPO法人や地域の実行委員会で、地域住民、児童館職員、大学生、高校生などがボランティアスタッフとして参加しています。利用者は子育て世帯、母子家庭、1人暮らしの高齢者、経済的困難者が中心で、そのうち3割から4割は子どもが3人以上いる多子家庭です。コロナ禍で一時的に困窮した世帯がスポット的に利用するケースも多く見られます。​
フードパントリーは地域密着型の支援活動として、子ども食堂と並んで重要な役割を果たしています。奈良市では市が主導で「フードバンクセンター」を設立し、市役所などでフードドライブを実施して集めた食品を市内5ヶ所の配布拠点から対象世帯へ配布する仕組みを構築しており、行政とNPO法人の連携による先進的な取り組み事例となっています。
参考)「こどもの居場所」「こども食堂」「フードパントリー」って何?…

フードバンク活動に企業が参加するメリット

企業がフードバンクに食品を寄付することで、廃棄にかかる運搬費や処理費の削減、保管コストの削減という直接的な経済メリットが得られます。税制上も寄贈食品に関しては全額損金処理が可能となっており、農林水産省のページで詳細が確認できます。これは企業にとって経営効率化と社会貢献を両立できる重要なポイントです。​
さらに、CSR活動(企業の社会的責任)としてのアピール効果も大きなメリットです。フードバンクとの協力は、社員や関係者のモチベーションアップにもつながり、企業文化の醸成に貢献します。株式会社明治、コカ・コーラボトラーズジャパン、株式会社ファミリーマート、生活協同組合コープみらいなど、大手企業も積極的に参加しており、業界のスタンダードとして定着しつつあります。​
企業からの寄贈品はすべてトレーサビリティが確保されており、希望があればどの団体にいつ送られたかのレポートが提供されます。この透明性により、企業は自社の社会貢献活動の成果を具体的に把握し、ステークホルダーへの説明責任を果たすことができます。外装破損、印字ミス、余剰在庫、災害備蓄食品、社内フードドライブなど、様々な形で参加できる柔軟性も企業にとって魅力的です。​