春キャベツの種まき時期は、お住まいの地域によって大きく異なります。冷涼地では1月下旬~4月上旬、中間地では8月上旬~8月中旬・9月下旬~10月中旬・1月中旬~2月下旬という複数の時期が設定されており、暖地では1月上旬~2月上旬が目安です。一般的に家庭菜園で育てやすいのは、10月に種をまいて越冬させ、5月に収穫する方法と、1月~2月に種をまいて一気に成長させて4月~5月に収穫する方法の二つです。種をまく品種によって時期が限定される場合もあるため、種子の袋に記載された推奨時期を必ず確認することが成功の鍵となります。低温期に種をまく春キャベツは、品種選びが収穫時期を左右する重要な要素です。
低温期に種をまく春キャベツでは、育苗期間の温度管理が成功を左右する最重要ポイントです。キャベツの発芽適温は15℃~30℃で、種まき後は温室や温床、被覆資材を利用して最低気温10℃を目安に保温します。蒸し込みすぎると苗が軟弱徒長してしまうため、日中は25℃以上にならないよう早めの換気を行うことが必須です。また、低温期は培土が乾きにくく過湿になりやすいため、土の湿り具合をよく見て水のやり過ぎに注意する必要があります。ポットを地面から30cm程度離して置くことで、ポットから余分な水が抜けやすくなり、根腐れを防ぐことができます。本葉が2枚ほどになったら健全な株を1本残して間引き、定植適期の本葉5~6枚程度まで慎重に育成することが大切です。
育苗を終えた春キャベツは、平均気温10℃以上になるころが定植適期です。桜の開花時期が目安となり、それ以前に植え付ける場合は通気性のある被覆資材を用いて保温する必要があります。定植前に苗に害虫の卵や幼虫がついていないことを確認し、定植後すぐに被覆を行います。トンネル・ハウス育苗の場合は定植1週間前から無理のない範囲で外気に触れさせ、畑の環境に慣らすことが重要です。春キャベツは過湿を嫌う作物のため、排水管理が極めて重要です。排水の悪い畑では畝を高くすることが必須で、床幅90cm程度、高さ15~20cm程度の畝を目安とします。条間50cm、株間35~40cmの2条植えが一般的で、畝の周りを整備し水がたまらないよう排水を図ることが栽培全体の成功を決める要素となります。
春キャベツ栽培では、低温で初期生育が緩やかであるため元肥主体で生育を促す戦略が必要です。キャベツの栽培に必要なチッソ成分は1平方メートル当たり30g程度で、そのうちの3分の2を元肥に、残りを追肥として施します。しかし収穫時期が高温になるため、裂球や腐敗が起こりやすくなるという大きな課題があります。そのため追肥は定植後1~2週間後に中耕も兼ねて早めに施し、栽培後半まで肥効が残らないようにすることが裂球防止の鍵です。中耕により除草だけでなく畝内の通気・排水がよくなり、根の生育を助けることができます。春先はナメクジの食害も多いため、畑周りや畝間に駆除剤を散布するとよいでしょう。ほとんどの病気は過湿が原因となるため、排水管理には常に気を配り、株間が広いほど通気がよくなり病虫害の軽減に効果的です。
春キャベツ栽培で成功するには、栽培時期に適した品種を選ぶことが非常に重要です。裂球や球腐敗しにくい品種は高温時期の6月上旬からの収穫に適しており、外葉が大きく生育が旺盛な性質があるため、他の品種よりも2割ほど元肥を減らし追肥で肥大を促す管理が向いています。5月中旬~6月上旬どりに向く品種は食感がみずみずしくサクサクとしており、甘みも強いため生食用として最適です。やわらかくてジューシーな良質系キャベツは早熟性と低温肥大性に優れるため、ゴールデンウィーク前後の早い時期の収穫に最適となります。春キャベツの収穫にあたる5~6月は高温・多雨の影響で裂球・球腐敗が発生しやすいため、上から押してみて若干の弾力を感じるくらいが収穫適期です。球が詰まりきるまで待たずに早めの収穫を心掛けることが、品質を保つための必須事項となります。
タキイ種苗の「春まきキャベツの栽培ポイント」ページでは、保温管理から定植、害虫対策、収穫時期の判定方法まで、実践的な栽培情報が詳しく解説されています。特に育苗期間の温度・湿度管理に関する具体的なアドバイスが参考になります。
ハイポネックス・ジャパンの「キャベツの育て方」では、春まき・夏まき・秋まきの栽培時期別スケジュール、地域別の種まき時期、肥料管理、病害虫対策が包括的にまとめられており、初心者から経験者まで参考になる内容が揃っています。
それでは、記事を作成します。