葉酸を妊娠初期だけ飲んでいると、産後に赤ちゃんの発育に関わる栄養が不足して出産後も体調不良が続くことがあります。
「妊娠がわかってから飲めばいい」と思っていたとしたら、それは大きな見落としかもしれません。
厚生労働省は、妊娠を希望する女性に対して妊娠の1か月以上前から葉酸を摂取することを明確に推奨しています。この理由は、赤ちゃんの神経管が形成されるのが受精後およそ28日以内(妊娠4〜5週頃)と非常に早く、妊娠に気づいた時点ではすでに神経管が閉鎖しているケースが多いからです。
葉酸が不足すると「神経管閉鎖障害」のリスクが高まります。神経管閉鎖障害とは、脊椎や脳の形成に関わる神経管がうまく閉じない状態で、二分脊椎や無脳症などが代表例です。厚生労働省の資料によると、食事に加えてサプリメントなどで1日あたり400μg(マイクログラム)の葉酸を摂取することで、このリスクを最大で約7割低減できるとされています。
これは意外ですね。7割という数字は非常に大きいです。
つまり、妊活を始めた段階からサプリの摂取を開始するのが原則です。「妊娠確認後でOK」という考え方は、厚生労働省の方針とはズレがあります。
実際には「妊活中に葉酸サプリを飲み始める」行動が、赤ちゃんへの最初のプレゼントとも言えます。妊活をスタートしたタイミングを「葉酸を始める日」と同一に考えておくと、飲み忘れなく習慣化しやすいでしょう。なお、葉酸は水溶性ビタミンのため体内に蓄積されにくく、毎日コンスタントに摂ることが大切です。
| 摂取フェーズ | 開始目安 | 推奨摂取量(サプリ分) |
|---|---|---|
| 妊活中 | 妊娠希望の1か月以上前から | 400μg/日 |
| 妊娠初期(〜13週) | 継続 | 400μg/日 |
| 妊娠中期〜後期 | 継続(食事からも摂取) | 食事+必要に応じてサプリ |
| 授乳中 | 産後も継続推奨 | 340μg/日(推奨量) |
参考:厚生労働省「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための葉酸の摂取について」(eHealthnet掲載情報)
厚生労働省|葉酸の摂取と神経管閉鎖障害について(公式情報)
「初期が終わったからもう安心」と飲むのをやめてしまう方が多いですが、それは少し早いかもしれません。
葉酸は妊娠初期に最も重要とされていますが、妊娠中期・後期においても胎児の細胞分裂や成長を支える重要な役割を持っています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、妊娠期の女性の葉酸推奨量を1日480μg(食事由来240μg+付加量240μg)と定めており、妊娠全期間を通じて通常の女性より多くの葉酸が必要とされています。
240μgという付加量は、一般女性の推奨量(240μg)と同量です。つまり、妊娠中はいつも以上に葉酸を意識する必要があるということですね。
食事だけで480μgを毎日安定的に摂るのはかなり難しいのが現実です。例えばほうれん草100gに含まれる葉酸は約210μg。付加量の240μgをほうれん草だけで補おうとすると、毎日100g以上の調理が必要になります。茹でると含有量が減るため、実際にはさらに多くの摂取が必要です。これはなかなか大変ですね。
妊娠中期以降は「特定の食品を意識して食べる+サプリで補う」というハイブリッド戦略が現実的です。日本人女性が葉酸を多く含む食品として活用しやすいのは、ほうれん草・ブロッコリー・枝豆・納豆・レバーなどです。ただし、レバーはビタミンAの過剰摂取リスクもあるため、妊娠初期の大量摂取は避けたほうが無難とされています。
妊娠中期・後期も引き続きサプリを使う場合、上限量(耐容上限量)である1,000μgを超えないよう注意が必要です。サプリのラベルに記載された1粒あたりの含有量を確認し、食事からの摂取と合計して超えないように調整することが大切です。
産後に葉酸サプリをやめると、母乳を通じた赤ちゃんへの葉酸供給が3割以上減るケースがあります。
「産んだら葉酸はもう関係ない」と考える方は少なくありませんが、実はそうではありません。母乳を飲む赤ちゃんは、母親の母乳から葉酸を摂取しています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によれば、授乳中の女性には1日あたり340μg(推奨量240μg+付加量100μg)の葉酸が必要とされています。これは通常時より100μg多い数値です。
100μg多いというのは、一見小さな差のように感じますが、食事だけで毎日安定的にカバーするのはハードルが高いです。産後は睡眠不足や育児疲れで食事が不規則になりがちです。そういった状況でこそ、サプリによる補給が役立ちます。
授乳期間の目安は一般的に産後6か月〜1年程度ですが、授乳を続ける限りは葉酸の付加が推奨されます。つまり、断乳または卒乳まで継続することが条件です。産後のホルモンバランスの乱れや貧血対策にも葉酸は関係しており、授乳中の継続には複数のメリットがあります。
赤ちゃんへの影響も見逃せません。生後6か月までの赤ちゃんは完全母乳で育つ場合も多く、母親の栄養状態がダイレクトに反映されます。この時期の葉酸不足は、赤ちゃんの造血機能や細胞分裂にも影響する可能性があります。産後こそ継続が大切です。
産後に使うサプリを選ぶ際は、葉酸だけでなく鉄・カルシウム・ビタミンDも含まれた「産後・授乳期向け」の商品を選ぶと、1本でまとめて補えます。「産後のマルチ栄養補給」という視点でサプリを選び直すタイミングにもなりますね。
「いいものだから多く飲めば飲むほどいい」は葉酸には通用しません。
厚生労働省は、葉酸のサプリメントによる耐容上限量を成人女性1日あたり900〜1,000μg(年齢によって異なる)と定めています。この上限を超えると、以下のようなリスクが出てきます。
注意したいのは、「食事性葉酸」は上限量に含まれないという点です。耐容上限量はサプリメントや栄養強化食品から摂る「プテロイルモノグルタミン酸」の形の葉酸に限った数値です。つまり、ほうれん草や納豆から葉酸を多く食べても上限には引っかかりません。これは重要な区別です。
市販の葉酸サプリの多くは1粒あたり200〜400μgに設定されていますが、複数のサプリを併用したり、葉酸強化食品(葉酸入り飲料・シリアルなど)を日常的に摂っている場合は合計量に注意が必要です。
合計量を把握することが大切です。サプリのラベル確認と食事内容のざっくりメモが有効です。栄養管理アプリ(「あすけん」「カロミル」など)を使うと、食事からの葉酸量を可視化できて便利です。
葉酸サプリをいつまで飲むかは、自分のステージに合わせて判断するのが基本です。
ここまでの内容を整理すると、厚生労働省が示す推奨は「妊娠の1か月以上前から妊娠初期」が最重要ですが、それ以降の中期・後期・授乳期についても付加量の設定があることがわかります。つまり、妊娠〜授乳を通じて、通常時より多くの葉酸摂取が必要ということですね。
卒乳や断乳を機に、葉酸サプリを終了する方が多いです。それが一般的なやめ時の目安と言えます。ただし、次の妊活を視野に入れている方は、授乳終了後も継続することで備えになります。妊活・妊娠・授乳はシームレスにつながっているため、「サプリを再開する」ではなく「ずっと継続する」という選択肢もあります。
サプリを選ぶときのポイントは以下のとおりです。
「モノグルタミン酸型」は食品に含まれる葉酸(ポリグルタミン酸型)より吸収率が高く、サプリでよく使われる形態です。吸収率は食品葉酸の約1.7倍とされており、少量でより効率よく補給できます。これは使えそうです。
葉酸サプリを選ぶ際は、成分表の「葉酸(フォリン酸・ジヒドロ葉酸ではなく)」の表記を確認し、配合量が400μg前後に設定されているかをチェックするだけで十分です。難しく考えなくても大丈夫です。信頼性の高いブランドを選び、適切な期間を継続することが一番大切な行動です。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」葉酸に関する記述
厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)概要(公式ページ)
参考:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「葉酸(Folate, Folic acid)」の解説
健康食品の素材情報データベース|葉酸の詳細情報(過剰摂取リスク・上限量を含む)

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