かまどさんは、火を止めてからも20分間ご飯がどんどん美味しくなります。
長谷園の「かまどさん」は2000年の発売以来、累計120万個を売り上げたロングセラー炊飯土鍋です。これはコーヒーメーカーや電気ポットなどの調理家電でも珍しい数字で、陶器という割れもの・手間がかかるイメージの商品としては異例中の異例といえます。
なぜここまで支持されるのか。その答えは「伊賀の粗土」にあります。伊賀の地は約400万年前に琵琶湖があった場所で、湖底に堆積した生物・植物の化石を多く含む陶土が産出されます。この土は日本中を探してもここにしかないほど高い耐火性と蓄熱性を持っており、直火にかけても割れず、じっくりと熱をため込む特性があります。つまり「伊賀の粗土だから土鍋がつくれる」のであって、他の産地の土では同じものはできません。
普通の土鍋よりもおよそ1.5倍の肉厚成形で、蓄熱力がさらに高くなっています。中ふたと上ふたの二重構造が昔のかまど炊きの「重い木蓋をのせた羽釜」を再現しており、内部の圧力と熱対流が自然に保たれます。だから火加減なし、吹きこぼれなしでご飯が炊き上がるのです。
実はこれが最大の驚きポイントです。中強火で約13分、外蓋の穴から勢いよく蒸気が出たら火を止め、そのまま20分蒸らすだけ。その間に味噌汁を作ったり、お皿を並べたりしているうちに、つやつやふっくらのご飯が仕上がっています。炊飯器並みの手軽さが、一度使ったら手放せない理由です。
大手炊飯器メーカーが「かまどさんを超える炊飯器を作る」と訪ねてきたこともあったそうですが、8代目当主・長谷康弘さんによれば「どこもうちの土鍋を超えることができなかった」とのこと。直火で土鍋を使ったときの熱の伝わり方は、金属素材では再現できないのです。
かまどさんは一合炊き・二合炊き・三合炊き・四合炊き・五合炊きの5サイズ展開です。どれを選ぶかは「日常の最大炊飯量」で決めるのが原則です。
サイズ選びで多くの方が悩むのが、二合炊きにするか三合炊きにするかというところ。重量で見ると、二合炊き(約3kg)から三合炊き(約3.6kg)へのジャンプは数字以上に体感差があります。毎日ひとりや二人分だけ炊くなら二合炊きで十分ですが、週末に家族が集まる・来客がある・お弁当も炊くという場合は三合炊きが長く使いやすいです。
| サイズ | 目安の人数 | 重量(目安) | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| 一合炊き | 1〜2人 | 約2kg | 11,000円 |
| 二合炊き | 1〜3人 | 約3kg | 13,200円 |
| 三合炊き | 2〜4人 | 約3.6kg | 16,500円 |
| 四合炊き | 3〜5人 | 約4.5kg | 19,800円 |
| 五合炊き | 4人以上 | 約5.5kg | 24,200円 |
サイズが大きくなるほど重くなります。毎日使うものなので、洗いやすさ・収納しやすさも含めてちょうどよいサイズを選ぶことが大切です。
また「かまどさん」と「かまどさんプレミアム」の違いも押さえておきましょう。通常の「かまどさん」は空焚き調理ができませんが、「かまどさんプレミアム」は焼き芋・ローストチキンなどの空焚き調理もでき、料理の幅が大きく広がります。色もプレミアムは墨・白・飴の3色展開と選べるのが魅力です。
なお、かまどさんはガスの直火専用です。IH対応の「かまどさん」は現在製造されていません。IH環境の方は「かまどさん電気(sirocaとのコラボ商品)」や「陶珍かまど 極」を選ぶ必要があります。これを知らずに購入して使えなかった、という失敗談もあります。購入前に自宅のコンロ環境を必ず確認してください。
▶ かまどさんのよくある質問・IH対応可否など(長谷園公式通販)
伊賀焼土鍋を使い始めるときには、必ず「目止め(めどめ)」が必要です。目止めとは、最初にお粥を炊くことで土鍋の表面にある無数の小さな気孔をでんぷんで塞ぎ、水漏れやひび割れを防ぐ作業のことです。
伊賀の粗土は蓄熱性を生み出す多孔質な素材であるため、使い始めにこの工程を省略してしまうと、水がしみ出てきたり、においが染み込みやすくなったりします。面倒に感じるかもしれませんが、目止めは土鍋を長持ちさせるための最重要工程です。
目止めの手順は以下のとおりです。
お粥は食べても問題ありません。ただし炊く前に土鍋を十分洗って乾かすことが条件です。
目止め後は洗いすぎないように注意することも大切です。洗剤を使う場合はスポンジで軽く手洗いし、長時間の浸け置きは避けてください。洗った後は底面を上にして自然乾燥させます。土鍋が濡れたまま収納してしまうとカビの原因になるため、乾燥が完全に終わってから片付けるのが基本です。
重曹でお手入れした後も、必ず目止めのお粥をもう一度炊いてからご使用ください。これを省くと土鍋の状態が不安定なままになります。目止めが条件です。
かまどさんでのご飯の炊き方は、ポイントさえ押さえればシンプルです。
まずお米を研いで20分以上浸水させます。この浸水が短いと芯が残りやすくなるため、20分は守ってください。次に中ふたと上ふたをセットして中強火にかけます。約10〜13分で外蓋の穴から力強い蒸気が出てきたら、そのタイミングで火を止めます。あとは20分蒸らすだけです。蒸らしの途中で蓋を開けないことが大切です。
「火を止めてから20分もかかるの?」と思いがちですが、この蒸らし時間中に土鍋の余熱でご飯の芯まで均一に火が通り、ふっくらと仕上がります。蓄熱力が高い伊賀の粗土ならではの仕組みです。これはいいことですね。
炊飯以外の用途も豊富です。かまどさんは炊飯以外にも煮物・お粥・スープなどに幅広く使えます。お米のコストが気になる昨今、同じ土鍋でいろんな料理をこなせるのは家計にやさしい使い方といえます。
ご飯を鍋の中に長時間放置するのは避けましょう。食べ終わった後は早めに別容器に移して保存してください。長谷園から「陶製おひつ」も販売されており、土鍋で炊いたご飯の水分をちょうどよく調整しながら保存できるため、翌日のご飯がより美味しくなります。おひつを使うなら問題ありません。
玄米も炊き方レシピが公開されており、白米とは浸水時間・水量・炊き時間が異なりますが、土鍋の蓄熱力のおかげで外はかりっと中はもっちりした玄米に仕上がると評判です。
長谷園の土鍋をお得に入手できる方法として、毎年5月2・3・4日に三重県伊賀市で開催される「窯出し市」が知られています。これは長谷園が主催する陶器まつりで、約40の窯元が集まり、正規品のほかにアウトレット品が市価の3〜8割引きで販売されます。
アウトレット品は色ムラや外観の細かいキズなど品質上の問題はありますが、機能的には問題ありません。人気No.1の「かまどさん」も通常1万円以上するものが3,000〜4,000円程度で手に入ることもあり、毎年3万人近くが訪れる大イベントです。山あいの細い道に1,000台近くの車が並ぶほどの盛況ぶりで、目当ての商品はお早めに確認するのが得策です。
会場に行けない場合も、長谷園の公式通販サイト「store.igamono.jp」や楽天市場の長谷園公式店から購入できます。また万が一使用中に蓋を割ってしまっても、長谷園ではパーツ単体での販売に対応しています。本体・ふた・中ふたを別々に購入できるため、割れたパーツだけ交換すれば長く使い続けられます。これは使えそうです。
「作り手は真の使い手であれ」という代々の工房訓のもと、長谷園が使い手の視点でこうしたサービスを整えてきた積み重ねが、120万個というロングセラーの背景にあります。
また長谷園には伊賀本店(三重県伊賀市)のほか、東京・恵比寿に「東京店igamono」があります。実物を手に取りたい方、サイズ感を確かめてから購入したい方は直営店への来店がおすすめです。料理教室やワークショップも開催されており、土鍋を使いこなすためのノウハウを直接学べる貴重な機会です。
▶ 長谷園「窯出し市」の公式情報(毎年5月2・3・4日開催)
長谷園の伊賀焼土鍋を上手に使うためには、いくつかの注意点を知っておくことで失敗を防げます。
まず最も大切なのがIH非対応の問題です。かまどさんはガスの直火専用であり、IH調理器には対応していません。ラジエントヒーター・スーパーラジエントヒーターでの炊飯も推奨されていません。「鍋料理なら使える」という場合もありますが、炊飯においては長谷園が推奨する美味しさの再現には直火が必要です。IH環境の方は「かまどさん電気」を選ぶ必要があります。
次に重量の問題があります。かまどさんの三合炊きは約3.6kgあり、水を入れた状態では5kg以上になります。毎日扱う道具としてこの重さが負担にならないか、購入前に確認しておくと安心です。これが条件です。
粗土の性質上、蓋が欠けやすいという特徴も覚えておくとよいでしょう。ただしこの欠けやすさは、美味しいご飯を炊くために必要な粗土の特性のトレードオフです。蓋だけのパーツ販売があるため、万が一割れても買い直し不要で対応できます。
収納場所も事前に確認しておくことをおすすめします。かまどさんは背が高く二重蓋の構造のため、普通の鍋よりもかなり高さがあります。棚に収まるかどうか、サイズ(三合炊きは直径約23cm×高さ約18cm)を確かめてから購入するとスムーズです。
伊賀の大地が400万年かけて育てた土と、江戸時代から続く窯元の技術が詰まった長谷園の土鍋は、毎日の食卓を確かに豊かにしてくれます。一度使ったら炊飯器に戻れなくなる方が続出している、というのも納得の完成度です。

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