ジクロフェナクNaゲル ラクール 販売中止と代替品・対応策

ジクロフェナクNaゲル「ラクール」の販売中止・限定出荷が相次いでいます。25g規格は経過措置なしで終了済み。代替品や供給状況、処方変更の実務ポイントを医療従事者向けに解説。最新情報を把握していますか?

ジクロフェナクNaゲル ラクール 販売中止の最新情報と対応ガイド

25g規格が経過措置なしで販売中止となり、代替品へ切り替えなければ処方が止まります。


🔍 この記事の3ポイント要約
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25g規格は経過措置なしで販売中止済み

ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」25g×10は令和5年10月下旬に在庫消尽・販売中止。50g×10は2025〜2026年に断続的な限定出荷が続いており、現場での在庫管理が重要です。

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代替品への切り替えは同成分・異包装から検討

同一成分のボルタレンゲル1%(先発品)、ジクロフェナクNaゲル1%「日本臓器」、また日本臓器製薬の製造販売終了に伴いラクール製品が代替品として案内されている状況です。

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日本臓器製薬のジクロフェナクNaゲルも2025年終了

日本臓器製薬はジクロフェナクNaゲル1%「日本臓器」を含む複数製品の製造販売を終了(最終供給2025年10月)。代替品として「ラクール」製品が指定されているが、そのラクールも限定出荷という二重の問題が生じています。


ジクロフェナクNaゲル ラクール 販売中止の経緯と現在の供給状況


ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」は、変形性関節症・肩関節周囲炎・腱炎・腱鞘炎・筋肉痛などに広く処方されてきた後発品(ジェネリック)の経皮吸収型消炎鎮痛剤です。製造販売元は三友薬品株式会社、発売元はラクール薬品販売株式会社(東京都足立区)であり、長年にわたって整形外科や皮膚科、リハビリテーション科の現場で使用されてきました。


販売中止が最初に告知されたのは2023年4月28日のことです。対象は25g×10本(統一商品コード:435476012)の包装規格で、令和5年10月下旬を在庫消尽見込みとして、販売中止の案内が出されました。注意すべき点は、この規格に関して「50g×10・60g×10を販売しているため、経過措置は設けない」とメーカーが明示していたことです。通常、薬価基準収載品の販売中止には一定の経過措置期間が設けられますが、同一成分・同一規格の別包装が継続販売されるため、例外的な対応がとられました。


これは現場にとって大きな影響を意味します。25g×10の薬価(包装薬価750円)で処方していた医療機関や薬局は、50g×10(包装薬価1,500円)への切り替え対応が必要となりました。処方変更に際して疑義照会が不要な範囲かどうかの確認も、薬剤師として押さえておくべき実務知識です。


その後も供給状況は安定せず、50g×10についても2024年末から2026年にかけて断続的な限定出荷が続いています。医療用医薬品供給状況データベース(DSJP)によると、50g×10規格は2025年10月に「限定出荷(Aプラス-④)」が告知され、2026年2月には「限定出荷(A-③)」、同年3月9日にようやく「通常出荷(Aプラス-①)」へと移行しています。つまり、断続的な出荷制限が2年近くにわたって繰り返されてきたという事実があります。


薬価は1gあたり3.00円(2026年3月時点)です。先発品のボルタレンゲル1%は1gあたり3.20円(2026年3月31日まで)であり、薬価差はわずか0.20円/gに縮小しています。これが現場での後発品採用の意義を相対的に低下させている一因ともいえます。


参考リンク(ラクール薬品販売 公式:2026年2月更新 出荷調整製品一覧):

ラクール薬品販売 出荷調整・出荷停止製品一覧(2026/2/2更新)PDF


参考リンク(DSJP 供給状況データベース:ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」50g×10規格の告知履歴):

DSJP|ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」供給状況詳細


ジクロフェナクNaゲル ラクール の販売中止・限定出荷の理由

ラクール薬品販売は、25g規格の販売中止について「諸般の事情により」とのみ案内しており、具体的な理由は非開示です。後発医薬品業界では、こうした「諸般の事情」という表現が広く使われており、一般的には製造ライン集約や採算性の低下、包装資材の調達問題などが背景にあることが多いとされています。


50g×10規格の限定出荷については、ラクール薬品販売が公表している出荷調整一覧にその理由が記載されています。限定出荷の理由として「1.需要増(他社品の影響による自社品への需要集中)」が挙げられているケースが複数確認できます。実際、同時期に日本臓器製薬がジクロフェナクNaゲル1%「日本臓器」の製造販売終了を発表しており(最終供給時期:2025年10月)、その代替品としてラクール製品が指定されました。これにより需要が一時的にラクール製品へ集中し、限定出荷状態が悪化したと考えられます。


つまり構図としては、「日本臓器ゲルの終了→代替品はラクールゲル→ラクールゲルに需要集中→ラクールゲルも限定出荷へ」というドミノ倒し的な状況が発生しました。これが現場の供給不足感を増幅させた主因です。


さらに、ジクロフェナクNaテープ「ラクール」(15mg・30mg、7枚×10および7枚×100)は2025年7月4日付で出荷停止(供給停止)となっています。テープ製剤とゲル製剤は適応症が重なる部分もあるため、テープが使えない患者に対してゲルを代替として処方する動きも生じており、ゲルへの需要をさらに高める一因となりました。


こうした一連の状況は、後発医薬品メーカーの供給体制の脆弱性という業界全体の課題を映し出しています。医療従事者として、単一メーカーへの依存度を下げることが安定供給の観点から重要だということです。


参考リンク(日本臓器製薬 製造販売終了のご案内:ジクロフェナクNaゲル1%「日本臓器」の最終供給時期と代替品情報):

日本臓器製薬 製造販売終了のご案内(PDF)


ジクロフェナクNaゲル ラクール 販売中止時の代替品と薬価比較

ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」が入手困難または使用不能となった場合、医療現場ではどの製品に切り替えるべきでしょうか。まず整理しておきたいのは、ジクロフェナクNaゲル1%の製品カテゴリです。


現時点(2026年3月)で保険収載されている主なジクロフェナクNaゲル1%系製品は以下の通りです。


























販売名 区分 薬価(/g) 備考
ボルタレンゲル1%(ノバルティス) 先発品 3.20円 2026/3/31まで
ナボールゲル1%(久光製薬) 先発品 5.10円 2026/3/31まで5.30円
ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」(三友薬品/ラクール) 後発品 3.00円 50g・60g規格あり


薬価だけで見ると、先発品のボルタレンゲル1%(3.20円/g)とラクール後発品(3.00円/g)の差はわずか0.20円/gです。50gチューブ1本あたりの差額は10円程度にすぎません。処方量が1本あたり50gだとすると、月1本の処方で年間120円程度の差になります。後発品推進の文脈でラクールを選択していた施設では、この薬価差が縮小している点を踏まえて、先発品への戻し処方を選択する判断も合理的といえます。


有効成分・規格・剤形がすべて同一であれば、後発品から後発品への変更は処方箋の「後発品変更可」の範囲内であり疑義照会不要のケースが多いです。ただし、後発品から先発品への変更や、ゲル剤からクリーム剤への剤形変更は処方医への確認が必要になります。この区別は薬剤師の実務において重要です。


ジクロフェナクNaゲル1%「日本臓器」の代替品としても「ラクール」製品が案内されていましたが、2025〜2026年にかけてラクール自体が限定出荷になるケースがあったため、ロキソプロフェンNaゲル1%「ラクール」(別成分)やボルタレンゲル先発品を一時的に採用した施設もありました。代替品選択は一成分一製品に絞るのではなく、複数の選択肢をあらかじめ施設内で整理しておくことが重要なのです。


参考リンク(ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」の先発品・後発品・薬価一覧):

薬価サーチ|ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」の同種薬・薬価一覧


ジクロフェナクNaゲル ラクール 使用継続・処方対応の実務ポイント

販売中止や限定出荷が発生した際、医療従事者がまず確認すべきは「今手元にある製品はいつまで使えるのか」という点です。ジクロフェナクNaゲルの有効期間は製造から2年であることが多く、在庫が残っていても期限を超えれば当然使用不可となります。在庫を抱えすぎても廃棄損が発生するという点で、供給が不安定な時期の発注管理は繊細なバランスが必要です。


経過措置についても現場で混乱が生じやすいポイントです。ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」25g×10規格は前述のとおり経過措置なしで販売中止となりました。一方、日本臓器製薬のジクロフェナクNaゲル・テープ・パップなど12製品については「2026年3月31日を経過措置期限として予定」と明示されています。経過措置期限内であれば保険請求が可能なため、手元在庫の品目ごとに期限を確認しておく必要があります。


処方箋上のルールとして、後発品変更可(「変更不可」欄に署名なし)の場合、薬剤師は同一成分・同一剤形・同一規格の範囲で銘柄変更ができます。これが原則です。25g規格から50g規格への変更は規格違いとなるため、原則として処方医への確認(疑義照会)が必要です。ただし、同一銘柄での規格変更であれば医師判断のもと対応するケースもあります。このあたりは施設のプロトコルに沿って対応することが大切です。


処方変更が必要になった場合のフロー例を整理しておきましょう。



  • Step 1:供給状況を確認する(DSJP、ラクール薬品販売公式サイトのPDF等)

  • Step 2:手元在庫の品名・包装規格・使用期限を確認する

  • Step 3:代替品候補(同成分の他社品または先発品)を施設フォーミュラリに基づき選定する

  • Step 4:処方変更が規格変更・剤形変更・銘柄変更のいずれに当たるかを確認し、必要に応じ疑義照会を実施する

  • Step 5:患者への使い方説明(塗布量・回数・注意事項)を改めて実施する


供給不安定期は患者への丁寧な説明が欠かせません。同じジクロフェナクナトリウム1%ゲルであっても、製品によってチューブの硬さや伸び感、添加物の違いによる使用感が異なることがあります。特に高齢患者では「いつものと違う」という不信感から自己判断で使用を中断するケースも報告されており、切り替え時には一声かける配慮が大切です。


参考リンク(DSJP 供給状況:ジクロフェナクNaゲル関連銘柄一覧):

DSJP|ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」関連品の供給状況まとめ


ジクロフェナクNaゲル ラクール 販売中止が示す後発品供給問題という独自視点

ジクロフェナクNaゲル「ラクール」の一連の問題は、個別製品の話にとどまりません。日本の後発医薬品業界が抱える構造的な脆弱性を象徴しています。


2020〜2021年にかけて複数の後発品メーカーで製造管理上の問題が発覚し、業界全体が品質・製造管理の抜本的見直しを迫られました。その影響で多くのメーカーが製造ライン数を縮小し、採算性の低い品目・包装規格から順次撤退する動きが加速しています。ジクロフェナクNaゲル「ラクール」の25g規格販売中止も、こうした流れの一環と考えることができます。


厚生労働省は後発医薬品の使用促進(2029年度末までに数量シェア80%目標)を継続しつつ、供給安定性の確保を課題として取り上げています。後発品の供給が不安定なまま使用促進だけを進めると、今回のような現場の混乱が繰り返されます。これが問題の本質です。


医療従事者の立場からは、「後発品=安定供給」という前提が必ずしも成立しない時代になっていることを認識しておく必要があります。特に長期処方を行う慢性疾患患者(変形性関節症など)においては、処方する製品の供給状況を定期的にモニタリングする習慣が重要になってきました。


供給状況の確認に役立つのが、DSJP(医療用医薬品供給状況データベース)です。このデータベースでは品目ごとの出荷状況・告知日・限定出荷の理由が時系列で確認でき、処方設計の判断材料として活用できます。アクセスは無料です。日常業務の中でブックマークしておくだけで、情報収集の効率が大幅に上がります。


また、各メーカーが公表している「出荷調整製品一覧」のPDFも定期確認のルーティンに組み込むことをおすすめします。ラクール薬品販売の場合、公式サイトの「医療用医薬品更新情報一覧」ページから最新PDFを取得できます。情報は随時更新されるため、月に一度の確認が現実的な目安です。


参考リンク(ラクール薬品販売 医療用医薬品更新情報一覧ページ:最新の出荷調整・販売中止情報の確認に):

ラクール薬品販売|医療用医薬品更新情報一覧(全件)


参考リンク(DSJP:医療用医薬品供給状況データベース。全成分の供給情報を無料で検索可能):

DSJP|医療用医薬品供給状況データベース(トップページ)




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