外国産レシピの水分量のまま国産小麦粉を使うと、パンは2回りも小さく仕上がります。
国産小麦粉でパンを焼くと、どうしても外国産に比べて膨らみが物足りなく感じることがあります。その原因として、まず真っ先に挙げられるのがグルテン含有量の差です。
パンがふわっと膨らむためには、イーストが発生させる二酸化炭素ガスを生地の中に閉じ込める「網目構造」が必要です。この網目を作る役割を担うのがグルテンであり、グルテンが少ないと炭酸ガスがうまく閉じ込められず、生地が十分に膨らまないのです。
一般的な外国産強力粉のグルテン含有量は11.5〜13.5%ですが、一般的な国産強力粉のグルテン含有量はせいぜい10%前後です。この約2〜3%の差が、焼き上がりの大きな違いを生みます。つまり原因はグルテン不足です。
さらに、国産小麦と輸入小麦ではでんぷんの性質も異なります。国産小麦は「アミロース」の割合が少なく「アミロペクチン」が多いため、もちもちとした食感になりやすい傾向があります。吸水能力もやや高い一方で、グルテン構造が弱いため、外国産レシピをそのまま使うと生地がうまくまとまらないことがあるのです。
「スーパーで売っている強力粉を買ってきたのに、なぜか毎回膨らまない」という経験をされた方は、使っている粉が外国産レシピを前提としている国産小麦粉だったという落とし穴にはまっている可能性が高いです。これは知っていると節約になります。
「春よ恋」「はるゆたか」で国産小麦粉のパンが膨らまない問題を解決する方法(Crafters.jp)
国産小麦粉でパン作りをするとき、よくやってしまいがちな失敗が「外国産小麦粉向けのレシピをそのまま使うこと」です。これが膨らまない大きな原因のひとつになっています。
外国産小麦粉は吸水性が高く、水をぐんぐん吸い込みます。一方、国産小麦粉は吸水性が低めです。外国産小麦向けのレシピでは、粉に対して約70%の水分量が標準ですが、国産小麦粉でそのまま同じ量の水を加えると、生地が柔らかくなりすぎてベタベタになり、うまく膨らまなくなります。
国産小麦粉を使う場合の水分量の目安は、粉に対して65%前後が扱いやすいスタートラインです。具体的には小麦粉250gに対して水を162ml程度にするイメージです。外国産レシピを国産で代用するなら、まずは水分量を5%ほど減らしてみましょう。
水分量の調整は難しそうに聞こえますが、実はシンプルです。最初は少なめの水分から始めて、生地の状態を見ながら少しずつ追加していく方法が失敗しにくいです。生地がひとつにまとまり、手につかなくなるくらいの硬さが目安になります。
逆に、慣れてきたら水分量を少しずつ増やしてみるのもおすすめです。水分が多いほどパンはしっとりとした食感になる傾向があり、翌日もパサつきにくくなります。水分量を意識するだけで大きく変わります。
| 小麦粉の種類 | 適切な加水率目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 外国産強力粉(カメリヤ等) | 70%前後 | 吸水性が高い |
| 国産強力粉(一般的な国産) | 65%前後 | 吸水性が低め |
| 春よ恋(北海道産) | 68〜72% | 扱いやすく美味しい仕上がり |
国産小麦と外国産小麦の水分量調整方法(パン教室FUKURA)
国産小麦粉を使ってもふっくらとしたパンが焼ける銘柄が存在します。これを知っているだけで、パン作りの失敗がグッと減ります。特におすすめなのが北海道産の「春よ恋」「はるゆたか」「ゆめちから」の3種類です。
はるゆたかは1985年に登場した、日本初の国産強力粉として有名な品種です。グルテン含有量は約11.5%あり、一般的な国産小麦より高いのが特徴です。風味が豊かでふんわり柔らかなパンに仕上がります。一部では「国産小麦で一番ふっくら仕上がる」と評価する愛好家も多いです。
春よ恋ははるゆたかの改良品種として2000年に登場しました。グルテン含有量は約11.8%とさらに高く、手ごねでも扱いやすいのが魅力です。食パンに使うと加水率68〜72%程度で美味しく仕上がりやすく、国産小麦初心者にも向いています。
ゆめちからは2009年に登場した、グルテン含有量が約14%もある「超強力粉」に分類される品種です。外国産小麦粉並みの高いグルテン量を持ちますが、100%単体で使うとグルテンが多すぎて逆に膨らみにくくなるという落とし穴があります。ゆめちからを使う場合は、他の国産小麦粉とブレンドするのが正解です。
| 銘柄 | グルテン量 | 特徴 |
|------|-----------|------|
| 一般的な国産強力粉 | 約10% | 膨らみにくい |
| はるゆたか | 約11.5% | ふんわり、風味豊か |
| 春よ恋 | 約11.8% | 扱いやすく初心者向き |
| ゆめちから | 約14% | 超強力粉・ブレンド推奨 |
| 外国産強力粉 | 11.5〜13.5% | 膨らみやすい |
銘柄選びが基本です。まずは春よ恋やはるゆたかから試してみることをおすすめします。富澤商店やママパンなど製菓材料の専門店でも広く取り扱われているので、手に入れやすいのもうれしいポイントです。
強力粉「春よ恋」の特徴と魅力を紹介・加水率の目安(melkpan)
国産小麦粉でパンをうまく膨らませるためには、発酵の管理が非常に重要です。グルテン量が少ない分、発酵の状態を理想的に保ってあげることが欠かせません。いい粉を使っていても発酵が不十分では意味がないのです。
発酵に最適な温度は28〜35℃、湿度は70〜80%が目安です。この環境を家庭で作るには、オーブンの発酵機能を使うか、40℃のお湯を入れた容器と一緒にボウルをビニール袋に入れる方法が手軽です。家庭用オーブンの発酵機能は多くが35〜40℃設定になっています。
特に国産小麦粉に向いているのが低温長時間発酵(オーバーナイト発酵)という方法です。こねた生地を冷蔵庫(約4〜6℃)に入れ、一晩(8〜12時間)かけてゆっくり発酵させます。低温でじっくり発酵させることで、グルテン量が少なくても生地がしっかり熟成され、風味も増してふっくら焼き上がります。
国産小麦はゆっくり発酵させることが大切です。急いで高温で発酵させようとすると、グルテン構造が弱い国産小麦粉では生地がダレてしまい、逆に膨らみが悪くなることがあります。焦らずじっくり、これが国産小麦粉を使いこなすコツです。
また、季節による温度管理も重要なポイントです。夏場は室温が高くなりすぎるため、仕込み水に冷水(5℃程度)を使い、材料も冷やしておくと良いでしょう。冬場は逆に生地の温度が上がりにくいので、ぬるま湯(35〜40℃)を使います。これだけで仕上がりが大きく変わります。
国産小麦はゆっくり発酵させることが大切(アメブロ・パン教室)
多くの記事では「膨らませる方法」にフォーカスが当たりますが、実は国産小麦粉ならではのメリットを最大限に活かすためには、油分と砂糖の量を見直すことも非常に効果的です。これを知っている人は少ないです。
国産小麦粉の最大の魅力は「小麦本来の旨みと香り」にあります。ところが、外国産小麦粉向けに設計されたふわふわ食パンのレシピをそのまま使うと、油分(バターやショートニングなど)が8〜10%程度入ることが多く、この油分が国産小麦粉の香りを感じにくくさせてしまうのです。
スーパーで売られているふわふわの大手食パンには、多いもので油分が8〜10%も配合されています。これだけの油分が入ると、小麦の風味が底辺になってしまいます。国産小麦粉を使うなら、油分は2〜4%程度に抑えるのが理想です。砂糖も同様で、多く入れると甘みが主張しすぎて小麦の香りが感じにくくなります。
実際、こだわりのパン職人の店では油分をあえて2%程度まで絞ることで、国産小麦の香りを最大限に引き出した食パンを作っています。焼いたときのあの豊かな小麦の香りは、油分と砂糖を控えることで初めて楽しめるものなのです。
また、砂糖や油を減らしてハード系のパン(フランスパン風など)に仕立てるのも国産小麦粉の得意分野です。フランスパンのような塩・水・酵母だけのシンプル配合でも、国産小麦粉の豊かな旨みが際立ちます。国産小麦でフランスパンを焼くと、小麦の色が黄金色に輝くような仕上がりになるのも魅力のひとつです。
「ふわふわに膨らまない」という悩みから離れ、「もちもちしっとりした旨みのあるパン」という国産小麦粉の個性を楽しむ方向に発想を転換すると、毎日のパン作りがさらに豊かになります。国産小麦粉の個性を活かすことが条件です。
油や砂糖は控えめに!国産小麦の旨みと香りを引き出すパン作り(ひとぱん工房)