生ごみの約8割は水分なので、そのまま捨てると臭いの元になります。
コンポストとは、生ごみや落ち葉などの有機物を微生物の力で分解・堆肥化させる仕組みのことです。英語の「compost(堆肥にする)」が語源で、日本では大正時代から農家を中心に活用されてきた古くて新しい技術です。
仕組みはとてもシンプルで、「有機物を入れる→微生物が分解する→堆肥ができる」この3ステップだけ。人間がやるのは定期的にかき混ぜることと、毎日の生ごみを追加することだけです。つまり放置で進む仕組みです。
家庭にとってのメリットは大きく4つあります。まず、市販の化学肥料を買わずに無料で堆肥が手に入ること。次に、生ごみの量が減るためゴミ袋の節約になること。さらに、できた堆肥を家庭菜園やプランターに使えること。そして、CO2削減に直結するエコ活動になることです。これは使えそうです。
特に家庭菜園をしている方には大きな恩恵で、市販の培養土に自家製堆肥を約2割混ぜるだけで、野菜のうまみが格段に変わります。「ふかふかの土」と呼ばれる理想的な状態になり、水はけ・通気性・保水性がバランスよく整います。
また、日本全体の食品ロスは2021年度で523万トンにのぼるとされています(消費者庁「令和3年度食品ロス量推計値」より)。コンポストを使って生ごみを堆肥化することは、この問題に家庭レベルで貢献できる数少ない行動のひとつでもあります。
参考:消費者庁「令和3年度食品ロス量推計値の公表について」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/efforts/
段ボールコンポストは、初期費用が約1,000円〜と最も始めやすい方法です。道具も少なく、準備も30分もあれば完了します。
必要なものは以下の通りです。
- 🗃️ 段ボール箱(みかん箱サイズ以上の厚みのあるもの)
- 📰 新聞紙(底の補強・吸湿用に2〜3日分)
- 🌿 ピートモス(15リットル/ホームセンターで300〜500円程度)
- 🌾 もみ殻くん炭(10リットル/ホームセンターで500〜800円程度)
- 🔒 クラフトテープ(段ボールの隙間をふさぐ)
- 🧥 布やバスタオル(通気性を保ちつつ虫の侵入を防ぐ蓋代わり)
ピートモスとくん炭の割合は「3:2」が基本です。たとえばピートモス15リットルに対してくん炭10リットルを合わせます。この基材が微生物の住処となり、生ごみの分解を促進してくれます。
腐葉土と米ぬかの組み合わせでも代用が可能で、その場合は「腐葉土:米ぬか=5:3」の割合が目安となります。基材はホームセンターのほか、楽天・Amazonなどネット通販でも手軽に購入できます。
自治体によっては段ボールコンポストのキットを補助金付きで販売している場合もあります。住んでいる市区町村の環境・ごみ担当課に問い合わせると、購入費用の一部が戻ってくるケースがあるので、始める前に確認してみることをおすすめします。
参考:段ボールコンポストの基材に関する詳しい解説(名古屋市公式ページ)
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/gomi/1012351/1012358/1035061/1012367.html
準備が整ったら、いよいよ実際の手順に入ります。段ボールコンポストの作業は「作る→投入する→かき混ぜる→熟成する」の4ステップです。
【STEP1:段ボールを組み立てる】
段ボールの底・側面・角をクラフトテープで全てしっかりふさぎます。底に新聞紙を2〜3枚敷き、その上に補強用の段ボール(底のサイズに合わせてカットしたもの)を重ねます。これで水分が漏れにくくなります。
【STEP2:基材を入れる】
ピートモス(15L)ともみ殻くん炭(10L)を3:2の割合で段ボールに入れ、よく混ぜます。全体がほんのり湿る程度に水を少量加えます。握って形が崩れずしっとりする「おにぎりを作る一歩手前」の硬さが理想的です。
【STEP3:生ごみを毎日投入する】
水をしっかり切った生ごみを1日500g〜800g(三角コーナー半分〜1杯分程度)投入し、毎日底からかき混ぜます。これが原則です。生ごみは小さく切ると分解が早まります。投入期間は3〜6か月が目安で、この間は蓋(布など)をして雨や直射日光を避けながら風通しのよい場所に置きます。
【STEP4:熟成させて完成】
投入を終えたら、1〜2か月の熟成期間に入ります。週に2〜3回かき混ぜながら、水分が足りなければ500ml程度の水を加えます。全体的に土のような見た目・においになれば堆肥の完成です。
開始から約1〜2週間が経つと、基材の温度が40〜60℃まで上昇します。これは微生物が活発に働いているサインで、分解が始まった証拠です。温度が上がらない場合は、米ぬかをコップ1杯分(約100g)加えると活性化します。
参考:段ボールコンポストの作り方と管理方法(日の出町公式)
https://www.town.hinode.tokyo.jp/0000000152.html
コンポストを始めた方が最初につまずくのが、虫の発生と臭い問題です。厳しいところですね。しかし、原因のほとんどは「水分過多」と「入れてはいけないものを投入した」という2点に集約されます。ここを押さえれば、ほぼ防げます。
虫(コバエ・ミズアブ)の原因と対策
コバエやミズアブの幼虫(ウジ)が発生する最大の原因は、水分が多すぎることと、肉・魚・乳製品などたんぱく質を多く含むものを入れることです。特に夏は虫が活発化する季節で、対策なしだと1週間以内に虫が発生することもあります。
対策は次のとおりです。まず生ごみは必ず水を切ってから投入すること。次に段ボールの隙間や蓋の穴をしっかりふさぐこと。これだけで侵入をかなり防げます。
もし虫が発生してしまった場合は、基材ごとビニール袋に移して口をしっかり縛り、真夏の直射日光の下に2〜3日置きます。内部温度が上昇して虫は死滅しますので、その後段ボールに戻して再開できます。
臭いの原因と対策
コンポストが「ドブ臭い」「腐敗臭がする」場合は、嫌気性の分解が起きているサインです。酸素が足りていない状態です。底からよくかき混ぜて空気を取り込むことで改善します。
また、水分調整も重要です。生ごみの約8割が水分なので、毎日大量に投入すると水分過多になりやすい点は覚えておきたいところです。コーヒーかすや乾燥したお茶の葉を一緒に入れると消臭効果と水分調整の両方に働きます。コーヒーかすは吸水性もあるため一石二鳥です。
絶対に入れてはいけないもの
| ❌ 入れてはいけないもの | 理由 |
|---|---|
| 肉・魚(大量)| 腐敗が早く臭い・虫の原因に |
| 乳製品 | 病原菌のリスク・強い腐敗臭 |
| 貝殻・骨 | 微生物が分解できない |
| ペットの排泄物 | 病原菌・衛生リスク |
| 腐敗した生ごみ | 悪影響な菌が増殖する |
| 大量の炭水化物(ご飯など) | 水分過多・腐敗の原因になりやすい |
参考:コンポストのよくある失敗と対策(LFCコンポスト公式)
https://lfc-compost.jp/column/compost/failure-compost/
苦労して作った堆肥は、正しく使ってこそ価値が出ます。熟成が完了した堆肥は土のような見た目で、ほんのり土の香りがします。腐敗臭がなければ完成の証です。
使い方の基本は、既存の土に約2割の割合で堆肥を混ぜることです。たとえばプランター栽培なら、市販の培養土3に対して自家製堆肥1の割合でよく混ぜるのが目安になります。植え付けの2週間前に混ぜておくと、堆肥がなじんで植物にとってより良い環境が整います。
堆肥を混ぜた土は「ふかふかの土」と呼ばれ、通気性・水はけ・保水性がバランスよく整っています。この状態で育った野菜は根の張りがよく、トマト・ナス・キュウリなどの家庭菜園向き野菜で、収穫量と味の両方に違いが出ます。
堆肥には肥料成分はほとんど含まれないため、使用時には別途化成肥料または有機肥料を合わせて使うのが原則です。堆肥+肥料のセットで考えましょう。
コンポストの液体(密閉型容器の底に溜まる「コンポスト液肥」)は、水で10〜100倍に希釈してそのまま液体肥料として使えます。これは意外ですね。密閉型のコンポストに挑戦する際はぜひ活用してみてください。
自宅で野菜が育てにくい、堆肥の使い道に困るという方は、LFCコンポストのような専用バッグ型コンポストを選ぶのも手段のひとつです。LFCコンポストはLINEサポートや堆肥の回収会なども行っており、使い道まで含めてサポートが充実しています。使い切れない堆肥の行き先に悩まずに済むのはメリットが大きいです。
参考:堆肥の土への混ぜ方・プランターでの使い方(農業情報サイト)
https://www.noukaweb.com/vegetable-scraps-fertilizer/