おしりを強く押すと、数千円のメロンが台無しになります。
マスクメロンは、購入したその日が食べ頃ではありません。収穫直後はまだ青臭く、果肉も硬い状態です。収穫後に時間をかけて「追熟」することで、甘みと香りが引き出されていきます。一般的な追熟期間の目安は収穫後3〜7日ですが、室温や個体差によって前後します。箱に書いてある食べ頃の日付は、あくまで参考程度に考えましょう。
食べ頃のサインとして最もわかりやすいのが、香りの変化です。追熟が進むと、メロン全体から甘くて芳醇な香りが自然と漂いはじめます。部屋に入ったときにふわっと甘い香りがしてきたら、食べ頃に近づいているサインです。リビングや台所など、毎日目にする場所に置いておくと、香りの変化に気づきやすくなりますよ。
次に確認したいのが果皮の色です。収穫直後は淡い黄緑色をしていたマスクメロンの表面が、追熟とともに徐々に黄色みを帯びてきます。網目の隙間から見える地肌部分(地色)が明らかに黄みがかってきたら、完熟のサインです。ただし、あまりにも黄色が強すぎる場合は熟しすぎているおそれがあるため注意が必要です。
そして3つ目がおしり(底)の弾力。おしりの部分を指でそっと押したときに、ほんのわずか沈みこむような弾力を感じれば食べ頃です。つまり「香り・色・弾力」の3つを組み合わせて判断するのが原則です。1つだけで決めようとするのは失敗の元になります。
参考リンク(食べ頃の5つのサインと保存方法について、ふるなびが詳しく解説)。
メロンの食べ頃は「追熟」してから!正しい見極め方と保存方法をご紹介|ふるなび
食べ頃を判断する方法は、香り・色・弾力だけではありません。あまり知られていない2つのサインがあります。これは使えそうです。
まず「ツル(ヘタ)の状態」です。収穫直後のマスクメロンは、ヘタ全体が青々としてピンと立っています。追熟が進むにつれて細くしおれてきて、先端が茶色っぽく枯れてくると食べ頃のサインになります。ただし、品種によってはツルがほとんど変化しないものもあるため、あくまでも参考の一つとして捉えましょう。
もう一つのサインが「音」です。メロンに耳を近づけながら、果実の真ん中を指でやさしく弾いてみてください。追熟が進んでいない硬い状態では、高くて澄んだ音がします。一方、完熟したメロンは果肉が柔らかくなっているため、低くくもったような鈍い「ボンボン」という音がします。静岡県経済産業局の研究によると、未熟なメロンの打音は260〜270Hzほどなのに対し、食べ頃に近づくと220Hz前後まで低下することがわかっています。数値だけだとイメージしにくいですが、ピアノでいえばラの音(220Hz)よりも低い音に変わるような感覚です。
音の変化は微妙な差なので、ほかのサインと組み合わせて判断するのが安全です。わずかな違いに気づくには、追熟前のメロンを叩いた音と、食べ頃になったときの音を比べてみると感覚がつかみやすくなります。
参考リンク(打音でメロンの食べ頃を判断する研究について詳しく解説)。
追熟中のマスクメロンに、やってしまいがちな失敗があります。それが「冷蔵庫に入れること」です。「早く冷やして食べたい」「傷まないように保存したい」と思って冷蔵庫に入れてしまうと、追熟がそこでピタッと止まってしまいます。
冷蔵庫の低温環境は、メロンが追熟しようとする働きを抑制します。一度でも冷蔵庫に入れてしまうと、再び常温に出しても追熟が再開しにくくなることもあります。せっかく数千円、場合によっては1万円以上するマスクメロンが、本来の甘さにならないまま食べることになってしまうのです。痛いですね。
正しい追熟中の保存方法は、直射日光を避けた風通しの良い室内で、常温(20〜25℃)に置くことです。エアコンの冷風が直接当たる場所も避けてください。毎日目につく場所に置くことで、香りの変化を見逃さずに済みます。
また、追熟を早めたいときは「ポリ袋に入れて口を閉じて常温保存」が効果的です。メロン自身が発するエチレンガスが袋の中に充満し、追熟を促進してくれます。バナナやリンゴと一緒に袋に入れる方法も有効ですが、その場合は毎日状態を確認することが必須です。
| 状態 | 保存場所 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 追熟中(未完熟) | 常温(直射日光NG) | 3〜7日 |
| 食べ頃を迎えた後 | 冷蔵庫(野菜室) | 2〜3日以内 |
| 食べきれない場合 | 冷凍庫(一口サイズにカット) | 約1ヶ月 |
「おしりを押して柔らかければ食べ頃」というのは広く知られた見分け方です。ただし、この方法には大きな落とし穴があります。一点に集中して強く押しすぎると、その部分から傷みが広がってしまうのです。金沢の老舗八百屋・HORITAのスタッフは、スタッフ全員が「おしりを強く押すのは絶対NG」と口をそろえるほどです。
正しい触り方には2つのポイントがあります。まず、押す回数は1〜2回にとどめること。何度もグリグリと触り続けると、その刺激が実の内側に伝わり、局所的な傷みの原因になります。次に、ゆっくり、やさしく、手のひら全体で包むように押すこと。指の一点に集中した圧力を避け、面で弾力を感じるのが正しい方法です。
クラウンメロンのような高級マスクメロンは、果肉が非常に繊細です。明らかにブニブニと柔らかい状態になったときは、すでに熟れすぎているケースが多いと言われています。弾力があるかどうか、あるかないかわからないくらいのほんのわずかな沈みこみを感じたら、それが食べ頃のサインです。
弾力チェック以外の見分け方として、香りや色・音のサインも確認することが大切です。一つの方法だけに頼らず、複数のサインを組み合わせて総合的に判断する。それがマスクメロンの食べ頃を正確に見極めるための原則です。
参考リンク(老舗八百屋による正しい食べ頃の見分け方を詳しく紹介)。
それ間違い?金沢の老舗八百屋が直伝、メロン食べごろの見分け方|HORITA
食べ頃を正しく見極めたのに、最後の一手間で損をしてしまうケースがあります。それが「冷やしすぎ」です。「冷たいほうがおいしそう」と思って長時間冷蔵庫に入れておくと、甘さや香りが感じにくくなってしまいます。意外ですね。
マスクメロンに含まれる甘さの主役は「ショ糖」で、果糖のように冷やすほど甘く感じるタイプではありません。冷やしすぎると、むしろ本来の甘みも香りも鈍くなってしまうのです。
プロが推奨する食べ方は、食べ頃になったメロンを食べる2〜3時間前に冷蔵庫(野菜室)に入れて冷やし、取り出した後30分ほど常温に置いてから食べるという方法です。理想の食べごろ温度は10〜15℃程度。冷蔵庫から出したばかりのキンキンに冷えた状態は5℃前後になっていることが多く、これでは甘さが半減してしまいます。
食べきれなかった場合は、一口サイズにカットして種とワタを取り除き、ジッパー付き保存袋に入れて空気を抜いて冷凍しましょう。冷凍保存は約1ヶ月可能で、スムージーやシャーベット、メロンジュースとして活用できます。せっかくの食べ頃メロンを余らせるより、上手に冷凍しておくほうが結果的においしく使い切れます。これは使えそうです。
食べ頃を逃さないためにも、冷蔵庫に入れたタイミングをメモしておいたり、食べ頃になったらスマホのアラームをセットしておいたりすると安心です。食べ頃管理を仕組み化するだけで、失敗ゼロに近づけます。