チャルメラのかくし味、あなたは豚骨だと思い込んでいませんか?
「明星 チャルメラ」は、1966年(昭和41年)9月7日に発売されたロングセラーのインスタント袋麺です。ビートルズが来日し、日本の総人口がちょうど1億人を突破した年に誕生しました。その誕生から60年近くにわたり、パッケージとCMを支え続けてきたキャラクターが「チャルメラおじさん」です。
チャルメラおじさんは、1966年の発売当初からパッケージに登場しており、夜の屋台でラーメンを作り続ける人物として描かれています。明星食品の公式サイトによれば、「ただひたすらラーメンを愛して、日々屋台を引いている人物」という設定で、詳細な背景はあえて定めていないとのこと。これが長年にわたって老若男女に愛される理由の一つです。
チャルメラおじさんは時代とともに少しずつ変化しています。2010年にはイメージを若返らせるリニューアルが実施され、まばらに生えていた無精ひげが剃られ、ぞうりがスニーカーに履き替えられました。小さな変化に見えますが、鼻の赤らみも消え、より清潔感があって親しみやすい印象になっています。
おじさんと並んでいつも近くにいる「くろネコ」も重要な存在です。いつもおじさんが屋台を出す辺りを縄張りとして、屋台の到着とともに居着くというキャラクター設定で、パッケージの裏面ではかつおの上に乗ったり体重計に乗ったりとさまざまな活躍を見せています。つまり、チャルメラのCM世界は長年かけて丁寧に育てられてきたということですね。
2020年には10頭身のイケメンキャラになったチャルメラおじさんが登場し、SNS上で「一体何があった?」と大きな話題になりました。これはラップバトルを表現したプロモーションで、新旧おじさんのギャップが笑いを誘い、若い世代の注目を集めることに成功しました。昔のイメージだけが全てではありません。
明星食品のチャルメラ公式ブランドサイトには、こうした歴史的な開発秘話が掲載されています。
明星食品 チャルメラ 秘伝の小話(開発秘話・パッケージの裏話)
チャルメラといえばおじさんのイメージが強い方も多いでしょう。ところが2020年9月から放映された新CMは、まったく異なるアプローチをとりました。それが女優・本田翼さんを起用した「宮崎辛麺」のCMです。
このCMは、力の抜けた音楽に合わせて本田翼さんが無表情でゆるく踊るという「脱力系」の仕上がりで、従来のチャルメラのイメージを大きく覆すものでした。さらに注目すべき点は、CMで使用されたBGMがTikTokから生まれたインフルエンサー発の楽曲だったことです。テレビCMがSNS発の人気曲を採用することは当時としては極めて珍しい試みでした。これは使えそうです。
その結果は数字に如実に表れました。2020年3月の発売から半年後にCMが放映されると、翌週の売上が放映前の1.6倍に急伸したと報告されています(日経クロストレンド調べ)。ターゲットとして狙っていたのは「30代女性」でした。それまでチャルメラを手に取る機会の少なかった主婦層・女性層に対して、本田翼さんという親しみやすいイメージと、SNSのトレンド音楽を組み合わせることで、新規購入者の獲得につなげたのです。
30代の主婦の方が日常的にインスタントラーメンを夕食や軽食に使う場面は少なくありません。それでも「チャルメラって男性向けでは?」というイメージが購入のハードルになっていたとすれば、このCM戦略がそのハードルを取り除いたと言えます。結論はターゲット変更×SNS活用の掛け算です。
本田翼さんが切り開いた女性・若年層への訴求は、その後さらに強力なコラボで加速しました。それが人気キャラクター「ちいかわ」との連携です。
「ちいかわ」とチャルメラの関係は、実は偶然から生まれました。ちいかわの世界に登場するキャラクター「ハチワレ」が、作中でチャルメラのことを「チャリメラ」と言い間違えてしまうエピソードがあり、これがファンの間で大きな話題になりました。この「公式の言い間違い」をそのままコラボのきっかけとして活かしたのが明星食品の上手い判断です。
2021年4月に初コラボが実現し、2022年9月にはちいかわがチャルメラのCMに出演。その後、コラボパッケージや専用商品の展開が続きました。その経済的効果は目を見張るものがあります。ちいかわとのコラボCM放映期間(2022年10月〜2023年2月)において、「明星 チャルメラ しょうゆラーメン 5食パック」の出荷金額が前年同期比144%という驚異的な伸長を記録しました(日経クロストレンド調べ)。
144%というのはどれほどの数字か、少し想像してみてください。たとえば毎月100個売れていた商品が、144個売れるようになったということです。スーパーの棚1段分が丸ごと追加で売れてしまうようなイメージに近い変化です。意外ですね。
チャルメラとちいかわのコラボは2026年3月現在も続いており、チャルメラ発売60周年を記念した「ちいかわ」デザインの数量限定パッケージが2026年3月中旬から全国で出荷されました。子育て中のご家庭では、お子さんがちいかわを好きな場合も多いでしょう。そういったご家庭には「子どもが喜ぶちいかわパッケージのチャルメラ」という選択肢として覚えておくと、買い物の際に楽しい発見になるかもしれません。
明星食品公式 ちいかわデザインのチャルメラパッケージ(2026年3月中旬出荷分)の詳細はこちら
2025年9月7日、チャルメラの誕生日にあわせて新しいCMが全国で放映開始されました。チャルメラおじさん役として登場したのは、アーティスト・俳優の岡崎体育さんです。
このCMで使用された楽曲「エッホエッホの歌」は、2025年上半期にSNSを席巻したネットミーム「○○って伝えなきゃ。エッホエッホ」をベースにしています。Z世代が選ぶ2025年上半期トレンドランキングで「流行った言葉」の第1位に輝いたフレーズです。マルチアーティストの「うじたまい」さんが作曲し、その楽曲を岡崎体育さんが本人歌唱するというこだわりの構成になっています。
CM制作のメイキング映像では、岡崎体育さんがラーメンをすするシーンを実に15回以上撮り直したという撮影秘話が公開されています。「自信あったんですけどね」と語る一方、「どんだけすすっても監督が鼻で笑ってるんですよね」という裏話は微笑ましいですね。
このCMがアピールする内容は、チャルメラのかくし味が「北海道産ホタテ100%を使用しただし」に進化したというリニューアル情報です。実は、チャルメラのかくし味はホタテだしが発売当初から続く伝統なのですが、その素材のグレードをさらに引き上げたという内容です。ホタテだしが基本です。
このCMは、SNSのトレンドを活用することで従来の「懐かしいイメージ」のチャルメラを若い世代や子育て世代にも新鮮に届けることに成功した事例として、広告業界でも注目されました。チャルメラおじさんというキャラクターへの敬意を保ちながら、時代のリズムを取り込む手腕は見事です。
岡崎体育さん自身も「自分が子どもの頃からずっと食べていたチャルメラのCMをやるとは、まさか夢にも思わなかった」とコメントしており、昭和から続くブランドと現代のアーティストの接続が自然なかたちで実現した好例と言えます。
明星食品公式 チャルメラ新TV-CM「伝えなきゃ篇」(岡崎体育出演)の詳細はこちら
ここまでCMの歴史を振り返ってきましたが、各CMが共通して伝えようとしているメッセージがあります。それが「チャルメラのかくし味はホタテだし」という事実です。
チャルメラは1966年の開発段階から、ラーメン店を食べ歩きして味を研究した末に、独自のアイデアとして「ホタテのエキス」をスープに加えることで商品化が決まりました。この「ホタテの旨み」は60年近く受け継がれており、今や麺・スープ・スパイスのすべてにホタテ由来の成分が入っています。ホタテだしが原則です。
「ちいかわ」との最初のコラボから始まったCMシリーズでもホタテがテーマになり、「ホタテ三重奏篇」「北海道産ホタテ100%だし」と段階的にアピールを強化しています。2025年の岡崎体育さんのCMでも「かくし味はホタテだしって伝えなきゃ♪」「北海道産になったって伝えなきゃ♪」というフレーズがCMの核心です。
では、これを知ることで主婦の方にどんなメリットがあるのでしょうか?ポイントは「アレンジのしやすさ」にあります。ホタテだしは、豚骨や鶏ガラベースのスープとの相性が良く、上品な旨みを加えてくれます。つまり、チャルメラのスープをベースに牛乳少々を加えてクリーミーなアレンジを加えたり、残り野菜を加えて汁物として利用したりと、「ホタテだしが入っている」という知識があることでアレンジの幅が広がります。
また、スーパーで袋麺を選ぶとき、「チャルメラはホタテだしで旨みがしっかりあるから、シンプルな作り方でも十分おいしく仕上がる」という判断材料にもなります。インスタントラーメンは手抜きに見えてしまう…と躊躇していた方は、食材の背景を知ると選び方も変わります。知っていると確実に得する知識です。
さらに、チャルメラには「秘伝のスパイス」も別添されており、このスパイスは発売当初から中身がほとんど変わっていないという貴重な一品です。スパイスを最初に少量入れて徐々に味を調整することで、子どもから大人まで好みの辛さに調整できます。
| チャルメラCM歴代キャラ | 放映時期 | 特徴・結果 |
|---|---|---|
| チャルメラおじさん(アニメ) | 1980年代〜2012年頃 | ブランドの原点・長期にわたる認知確立 |
| 本田翼(宮崎辛麺) | 2020年〜 | 翌週売上1.6倍・30代女性の新規獲得 |
| ちいかわ×本田翼 | 2022年〜 | 出荷金額前年比144%・若年・ファン層拡大 |
| 岡崎体育(エッホエッホ) | 2025年9月〜 | Z世代ミーム活用・ホタテだし100%をPR |
こうして見ると、チャルメラのCMは単に商品を宣伝するだけでなく、時代の空気を読みながら「新しいお客さんをどう迎えるか」を常に考えてきたことがわかります。それが60年近く愛され続けている理由の一つでもあります。