ナポリピザ生地をプロの味に近づける仕込みと発酵の全手順

ナポリピザ生地をプロのように仕上げるには、小麦粉の種類・加水率・発酵時間の3つが鍵です。家庭でも本格的なもちもち食感を再現するコツを知りたくないですか?

ナポリピザ生地をプロが仕込む方法と家庭で再現するコツ

強力粉100%で作ると、プロの生地よりかたくなって失敗します。


この記事の3ポイントまとめ
🌾
小麦粉の選び方が食感を決める

プロはカプート「サッコロッソ」などの00粉を使用。家庭では強力粉+薄力粉(4:1)で代用できます。

発酵は「時間をかける」ほど旨味が増す

プロは24〜72時間の低温発酵が基本。家庭でも冷蔵庫で24時間以上寝かせるだけで本格的な風味が出ます。

🤲
麺棒NGが「もちもち耳」の絶対条件

コルニチョーネ(耳)を膨らませるには手だけで伸ばすのがルール。麺棒を使うと空気が抜けてしまいます。


ナポリピザ生地に使うプロの小麦粉「カプート」と家庭向け代替品


ナポリピザ生地の味を左右する最大の要素は、小麦粉の種類です。本場ナポリのプロが圧倒的に支持しているのが、イタリア・ナポリ生まれの製粉会社「カプート(Caputo)」の小麦粉です。


カプートの「サッコロッソ・リンフォルツァート」や「ピッツェリア」は、イタリア式の粉の分類で「00粉(ダブルゼロ)」と呼ばれる、きわめて細かく挽かれた小麦粉です。タンパク質含有量は約12.5%と、一般的な薄力粉(約8%)より高く、強力粉(約12〜13%)とほぼ同等ながら、グルテンの質が異なります。グルテンの「強さ」よりも「粘りと伸び」に優れているため、手でゆっくり生地を引き延ばしても破れにくく、あの独特のもちもち感が生まれるのです。


ただ、カプートは一般のスーパーではなかなか見かけません。購入できるのは主に製菓材料の専門店や通販です。価格は1kgあたり500〜800円ほどで、業務用5kgパックなら1kgあたり400円程度になります。


家庭で再現する場合は、強力粉と薄力粉を4:1の割合でブレンドするのが最もおすすめです。強力粉だけで作ると生地がグルテンの引っ張り合いで硬くなりやすく、伸ばしにくくなります。逆に薄力粉だけだとコシがなく、生地がクタクタになってしまいます。つまり「ブレンドが基本」ということです。


辻調理師専門学校でも「強力粉4:薄力粉1の割合で合わせると、カプートの代用として使いやすい」と紹介しています。この割合を覚えておけばOKです。


































小麦粉の種類 タンパク質量 特徴 ピザ生地の仕上がり
カプート00粉 約12.5% グルテンの伸びが良い もちもち・手伸ばし向き
強力粉100% 約12〜13% グルテンが強く張りやすい 弾力強め・やや硬くなりやすい
強力粉+薄力粉(4:1) 約11% バランスが良い カプートに近い仕上がりに
薄力粉100% 約8% グルテンが少ない コシなし・ふわふわ系


カプートはAmazonや富澤商店オンラインでも購入でき、初めてでも試しやすい500g入りのパックもあります。一度使ってみると、生地の伸ばしやすさが全然違うのを体感できるはずです。


参考:プロのピッツァ職人が語るカプートの魅力と活用法
イタリア・ナポリ生まれの粉「カプート」の魅力 vol.1 – 料理通信


ナポリピザ生地プロの加水率と材料のシンプルな配合

ナポリピッツァの正式な規定では、生地の材料は「小麦粉・水・塩・酵母」の4つだけです。オリーブオイルも砂糖も入れません。これが日本でよくある家庭用レシピとの大きな違いです。


世界一のナポリピッツァ職人に輝いた牧島昭成シェフのレシピでは、小麦粉1000gに対して水600g、塩30g、生イースト1〜3g という配合です。加水率でいえば60%。これはパン生地(50〜60%程度)とほぼ同じで、一般的なナポリ生地の基本的な加水率です。


加水率が上がると生地がしなやかになり、焼き上がりが「外はカリッ、中はもちっ」という食感になります。プロの中には70〜80%という超高加水で作る場合もありますが、これは扱いが難しく、初心者には向きません。まずは60〜65%から始めましょう。60〜65%なら問題ありません。


イーストの量には要注意です。日本のレシピには「ドライイースト5g」などと書かれているものも多いですが、プロは「できる限りイーストを減らして、長時間かけてゆっくり発酵させる」のが基本です。「ピッツェリア イル タンブレッロ」の大坪善久シェフは、水1リットルに対して夏場はわずか0.2g、冬でも最大1gしかイーストを使わないと語っています。イーストが多いと生地がお腹にもたれる仕上がりになる、というのも見逃せないポイントです。


家庭でのおすすめ配合(直径30cm×2枚分)はこちらです。



  • 🌾 強力粉 240g+薄力粉 60g(合計300g)

  • 💧 水(常温) 180〜195g(加水率60〜65%)

  • 🧂 塩 9g

  • 🫙 ドライイースト 1g(前日から仕込む場合)/3g(当日仕込みの場合)


塩とイーストは直接触れさせないよう注意してください。塩がイーストの働きを阻害してしまいます。イーストを水に溶かしてから粉に加え、塩は後から加えるのが基本の手順です。


参考:世界チャンピオン直伝のナポリピッツァ生地レシピと作り方
おすすめナポリピッツァの作り方|プロに教わる基本のピザ生地と簡単レシピ – 富澤商店


ナポリピザ生地プロ流の発酵時間と冷蔵庫活用術

プロのナポリピザと家庭のピザの味の差が最も出るのが、発酵の時間と方法です。発酵は「ただ膨らませる工程」ではありません。イースト菌が働くことで乳酸菌や有機酸が生まれ、生地に深い旨味と香り、そして消化しやすさが加わるのです。これが条件です。


発酵時間による味の変化はおおよそ次のとおりです。



  • ⏱️ 4〜6時間(短時間発酵):シンプルな風味・軽い食感。当日すぐ食べたいとき向き

  • 🌙 12〜24時間(中時間発酵):小麦の甘みが出始め、もちもち感が増す。バランスの良い仕上がり

  • ❄️ 24〜72時間(長時間低温発酵):本場ナポリに最も近い深い旨味と香ばしさ。軽くて消化しやすい生地に


プロが愛用するのが「低温長時間発酵(オーバーナイト法)」です。一次発酵を常温で1〜2時間おこなった後、生地をボール状に丸めてバットや密閉容器に入れ、冷蔵庫(約4〜5℃)で24〜48時間寝かせます。その後、焼く2時間前に冷蔵庫から出して常温に戻してから成形します。意外ですね。


イーストを少量にして時間をかけることで、生地がゆっくりと熟成し、風味が何倍にも豊かになります。さらに、グルテンが緩んで伸びやすくなるため、手で広げるときの作業もしやすくなるという嬉しい副効果もあります。


家庭でのポイントとして、生地を冷蔵庫に入れるときは乾燥防止のためにラップかふたをすることが大切です。表面がテカテカして膨らんできたら発酵完了のサインです。急いでいるときは、常温(25〜28℃)で4〜6時間の発酵でも焼けますが、ぜひ一度は冷蔵庫で一晩寝かせる方法を試してみてください。


参考:発酵時間ごとの違いと本場イタリアのオーバーナイト法について
ピザ生地の発酵について詳しく解説 – ピザフォンタナ


ナポリピザ生地のプロ流こね方と手伸ばしで耳を作るコツ

「こねればこねるほどおいしくなる」というのは、ナポリピザ生地においては正しくありません。過度にこねすぎるとグルテンが締まりすぎて、発酵しにくく硬い生地になることがあります。


プロのこね方の基本は「8〜10分程度、均一になるまで混ぜる」というものです。生地を引っ張ったときにビヨ〜んと透けるくらい伸びれば(グルテンチェック)、こね上がりのサインです。「ブチブチ切れる場合はこね不足」が原則です。


こね上げ後の生地の温度は25℃前後が理想です。夏は水を冷水にし、冬はぬるま湯(18℃程度)にして調整してください。この温度管理がプロが毎日安定した生地を作れる理由の一つです。これは使えそうです。


成形(伸ばし方)については、ナポリピッツァには「麺棒を使わない」というルールがあります。これはルールだけの問題ではなく、科学的な理由もあります。麺棒を使うと生地内の空気(発酵で生まれた気泡)が押しつぶされ、コルニチョーネ(耳)が膨らまなくなってしまうのです。


手伸ばしの手順はこのとおりです。



  • 👋 生地をバットから取り出し、打ち粉をした台の上に置く

  • 🖐️ 親指以外の8本の指を使い、中心から外側へ向かって押し広げる

  • 🔄 生地をくるくると回しながら均等な厚さになるように広げていく

  • ✅ 直径30cmを目安に、耳(コルニチョーネ)の部分だけ1〜2cmの幅で触らないようにする


耳を残す理由は、そこに発酵で蓄積したガスが集まっているからです。焼いたときにコルニチョーネがふっくら膨らんで、あの「もちもちした耳」になります。手でやさしく、でもテンポよく伸ばすのがポイントです。


台や手に生地がくっつく場合は、打ち粉(セモリナ粉が理想ですが、強力粉でもOK)を使ってください。あまり打ち粉を多用すると生地の水分が変わるので、必要最低限にとどめましょう。


参考:ナポリピッツァ協会が定める正式な手伸ばしの方法
Associazione Pizzaiuoli Napoletani in Giappone(ナポリピッツァ協会 日本)


ナポリピザ生地をプロ仕上げにする「焼き方」と家庭オーブンの限界を超えるコツ

ここだけの話ですが、生地がどれだけ完璧でも、焼き方で「別物」になります。本格ナポリピッツァを名乗るには450〜485℃の薪窯で60〜90秒で焼き上げる、という規定があります。家庭用オーブンの最高温度は通常250〜300℃ですから、そのままでは本場の焦げ目や食感は出しにくいのが現実です。厳しいところですね。


ただ、工夫次第で家庭でもかなり近づけることができます。最も効果的な方法が「ピザストーン(石板)」や「ピザスチール」の活用です。石や鉄は熱を蓄える能力が高く、生地を置いた瞬間に底面に一気に熱を伝えます。コンクリートブロック1枚分くらいの大きさのピザストーンをオーブンに入れ、最低30分以上予熱することで、底面からの強い熱で本格的なカリッとした食感に近づきます。


もう一つの方法は「グリル機能との併用」です。オーブンを最高温度で予熱した後、生地を入れてから2〜3分焼いたところで上面のグリル(ブロイラー)を入れると、表面の焦げ目と香ばしさが一気に増します。焼き色がつきすぎないよう、目を離さずに管理してください。


近年では家庭用のピザ窯(例:OONI Koda 16など)も人気で、400℃近い高温が出せるものもあります。価格は5〜10万円程度と決して安くはありませんが、本格的なナポリピザを自宅で毎週焼きたい方には投資する価値があると評判です。週に1〜2回作れば、外食より圧倒的にコスパが良くなります。


また、「焼く前に生地を常温に戻す」という工程も大切です。冷蔵庫から出したばかりの生地は内部が冷えており、熱の入り方が不均一になります。焼く30〜60分前に冷蔵庫から取り出して室温に戻しておきましょう。これだけで焼き上がりが見違えるほどよくなります。


以下の表に、家庭でできる「プロに近づける焼き方」のレベルをまとめました。


































方法 底面の仕上がり コスト 難易度
普通のオーブン(天板のみ) やや柔らかめ 追加コストなし ★☆☆
ピザストーン使用 カリッと香ばしい 2,000〜5,000円 ★★☆
ピザスチール使用 カリカリ・強い焦げ目 5,000〜10,000円 ★★☆
家庭用ピザ窯(OONI等) 本場ナポリに最も近い 50,000〜100,000円 ★★★


まずはピザストーンから試してみることをおすすめします。2,000〜3,000円台から購入できるものもあり、最初の投資としては手頃です。




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