本場ミュンヘンのオクトーバーフェストでは、実は日本で売られているビールの9割が会場に持ち込み禁止です。
オクトーバーフェストといえば、まず外せないのが「マルツェン(Märzen)」です。その名前はドイツ語で「3月」を意味する「März」に由来しており、かつては3月に仕込んで夏の間低温で貯蔵し、秋の収穫祭に合わせて飲み頃を迎えさせていたビールです。冷蔵技術がなかった時代の知恵が詰まっています。
マルツェンの特徴は、麦芽の香ばしさと深い琥珀色です。アルコール度数は5〜6%程度で、しっかりとした飲みごたえがある一方で苦味は控えめ。麦の甘みがふんわりと鼻に抜けるような風味があり、ビールが苦手な方でも飲みやすいと感じることが多いです。つまり、ビール初心者の方にもおすすめできるスタイルです。
日本で入手しやすい代表的な商品としては、パウラーナー(Paulaner)のオクトーバーフェスト・マルツェンがあります。500ml缶でスーパーや輸入食品店に並ぶことがあり、価格は1本500〜800円程度です。見た目の琥珀色が美しく、食卓に置くだけでオクトーバーフェストの雰囲気が出るので、ホームパーティーにもぴったりです。これは使えそうです。
| 項目 | マルツェンの特徴 |
|---|---|
| 色 | 琥珀色(こはく色) |
| アルコール度数 | 5〜6%程度 |
| 味の特徴 | 麦の甘み・香ばしさ・苦味少なめ |
| おすすめな人 | ビール初心者・苦味が苦手な方 |
マルツェンと並んで重要なのが「フェストビール(Festbier)」です。実はオクトーバーフェストで提供されるビールの主役が、1990年代以降にマルツェンからフェストビールへと大きく移り変わっています。これは意外ですね。
フェストビールはマルツェンより色が薄く、ペールゴールドに近い外観をしています。アルコール度数は同じく6%前後ですが、飲み口はよりすっきりとしていて、軽やかな後味が特徴です。大量に飲む祭り向けに、飲み疲れしにくいよう設計されたスタイルとも言えます。軽さが基本です。
6大醸造所のひとつ、スパーテン(Spaten)が1950年代にフェストビールの普及をリードしたとされており、現在ではアウグスティナー(Augustiner)、レーベンブロイ(Löwenbräu)、ホフブロイ(Hofbräu)なども同スタイルのビールをオクトーバーフェストで提供しています。これら6社以外のビールは、会場のビアテントには一切持ち込めません。
日本でフェストビールを試したい場合は、ホフブロイやスパーテンの輸入缶ビールを探してみましょう。ネット通販のアマゾンや楽天市場で「オクトーバーフェスト ビール セット」と検索すると、6大醸造所のビールをまとめて購入できるセット商品が1セット3,000〜5,000円程度で見つかります。飲み比べると違いがよくわかります。
「ヴァイツェン(Weizen)」は、小麦麦芽を50%以上使って醸造するドイツの伝統的なビールスタイルです。「ヴァイツェン」はドイツ語で「小麦」を意味し、白く濁った見た目から「ヴァイスビア(白ビール)」とも呼ばれています。見た目だけで選んでも正解なスタイルです。
ヴァイツェンの最大の特徴は、バナナのような甘い香りとクローブ(丁子)に似たスパイシーな風味です。これは発酵に使う特定の酵母が生み出す香り成分によるもので、麦の風味だけでなくフルーティーな後味も楽しめます。アルコール度数は5%前後と比較的穏やかで、炭酸が強めのためのどごしも爽快です。
オクトーバーフェスト会場でヴァイツェンを提供するテントも存在しますが、メインのビールはあくまでマルツェンまたはフェストビールです。ヴァイツェンはどちらかというと「サブ的な選択肢」として位置づけられています。日本では「エルディンガー・ヴァイスビア」や「パウラーナー・ヘフェヴァイスビア」が入手しやすく、スーパーで500ml瓶が700〜900円程度で購入できます。
ヴァイツェンはジョッキではなく、細長い専用グラス「ヴァイツェングラス」に注ぐと泡立ちが美しく、香りもよく立ちます。グラスへの注ぎ方でも味の印象が変わるので、ぜひ専用グラスを用意してみてください。グラスの選択は大切です。
オクトーバーフェストに参加できる醸造所は、ミュンヘン市内に拠点を持つ6社のみと厳しく定められています。この6社は「アウグスティナー」「ホフブロイ」「レーベンブロイ」「パウラーナー」「スパーテン」「ハッカー・プショール」で、それぞれに個性と歴史があります。6社が条件です。
なかでも最も歴史が古いのはアウグスティナーで、創業は1328年とされています。約700年近くの歴史を持つ醸造所で、オクトーバーフェストでも「最も本物に近いビール」として地元ミュンヘン市民に愛されていることで有名です。木製の樽から直接注ぐスタイルにこだわっており、他の醸造所が金属樽を使うのとは一線を画しています。
ホフブロイは日本でも比較的知名度が高く、東京・大阪などで開催される日本版オクトーバーフェストでもよく目にするブランドです。「ホフブロイハウス」はミュンヘン市が所有する醸造所で、1589年にバイエルン公爵ヴィルヘルム5世によって創設されました。歴史だけでも飲みごたえがあります。
パウラーナーは現在、世界130か国以上に輸出されており、日本でも最も入手しやすい6大醸造所のひとつです。コンビニや大型スーパーで見かける機会も多く、手軽に本場の味を体験できます。まず試すならパウラーナーが入り口として最適と言えるでしょう。
本場のオクトーバーフェストは毎年9月中旬〜10月上旬にミュンヘンで開催されますが、実際に現地へ行かなくても自宅でその雰囲気を十分に楽しむことができます。ポイントをおさえれば、家でも十分です。
まず、ビールの温度管理が重要です。マルツェンやフェストビールは8〜10℃で飲むのが理想とされており、冷蔵庫から出してすぐではなく、5分ほど室温に置いてから飲むと香りが開いて風味がよくなります。冷やしすぎには注意が必要です。温度が低すぎると麦の甘みや香ばしさが感じにくくなるため、少しだけ待つ一手間が味の差を生みます。
おつまみの組み合わせもオクトーバーフェスト気分を高める重要な要素です。本場では「ブレーツェル(プレッツェル)」「ヴァイスヴルスト(白ソーセージ)」「シュヴァインスハクセ(豚のすね肉のロースト)」などが定番です。日本では白ソーセージの代わりにフランクフルトや粒マスタード添えのウインナーで十分に雰囲気が出ます。材料費は1人前500〜1,000円程度で揃います。
さらに、ビールを注ぐグラスにもこだわると気分が上がります。オクトーバーフェストで使われるジョッキは「マスクルーク(Masskrug)」と呼ばれる1リットル容量の陶器または厚手ガラスのものです。日本のネット通販で1個1,500〜3,000円程度から購入でき、一度用意しておくと毎年使えます。これは長い目で見てもお得ですね。
家族や友人を呼んでの小さなオクトーバーフェストパーティーを開催するなら、6大醸造所の飲み比べセットをネットで注文し、それぞれの特徴を話しながら楽しむのが盛り上がります。同じ「オクトーバーフェストビール」という括りでも、飲み比べると驚くほど味が違います。違いを知ると選ぶ楽しさが増します。
| ビールの種類 | 色 | 風味の特徴 | 日本での入手しやすさ |
|---|---|---|---|
| マルツェン | 琥珀色 | 麦の甘み・香ばしさ | ◎ スーパー・通販 |
| フェストビール | ペールゴールド | すっきり・軽やか | ○ 輸入食品店・通販 |
| ヴァイツェン | 白く濁る | バナナ・クローブの香り | ◎ スーパー・通販 |
| ドゥンケル | 濃い茶色〜黒 | チョコレート・ロースト香 | △ 輸入食品店・通販のみ |
ドゥンケルはオクトーバーフェストのメインビールではないものの、濃い色と深い風味が好きな方に根強い人気があります。チョコレートやコーヒーのような香ばしさがあり、同じドイツビールでも全く異なる個性を持っています。一度は試してみる価値があるスタイルです。
オクトーバーフェストビールの世界は、思っていたよりずっと奥が深いものです。種類を知ってから飲むと、同じ1杯がまったく違う体験になります。好みのスタイルを見つけることが、ビールをもっと楽しむ第一歩です。