オゼックス点眼販売中止と代替品への切替え対応

オゼックス点眼液0.3%の販売中止・一部包装単位廃止の経緯や時期、製造販売元移管の詳細、代替薬の選び方まで医療従事者向けに解説。処方変更で迷っていませんか?

オゼックス点眼販売中止の経緯と代替品への対応

オゼックス点眼液は「全滅」ではなく、今も5mL×10本だけ継続販売されています。


🔍 この記事の3つのポイント
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一部包装単位のみ販売中止

5mL×5本は2025年10月、5mL×50本は2026年7月に在庫消尽で販売中止。5mL×10本は継続販売中(日東メディック)。

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製造販売元が大塚製薬→日東メディックへ移管

2024年5月31日付で富士フイルム富山化学→日東メディックへ承継。ブランド名「オゼックス」は継続。トスフロ点眼液0.3%は2027年3月31日に経過措置期間満了予定。

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代替薬選択のポイントは「小児適応」の有無

オゼックス点眼液は国内で初めて新生児・乳幼児を含む小児に対する用法用量が承認された抗菌点眼薬。処方変更時は適応範囲を必ず確認。


オゼックス点眼液の販売中止はどの包装単位か

2025年7月18日、日東メディックは「オゼックス点眼液0.3%」の一部包装単位について、在庫消尽をもって販売を中止すると正式に案内しました。対象となる包装は「5mL×5本」と「5mL×50本」の2種類です。


| 包装単位 | 統一商品コード | 在庫消尽予定時期 |
|----------|----------------|-----------------|
| 5mL×5本 | 497310118 | 2025年10月(予定)|
| 5mL×50本 | 497310132 | 2026年7月(予定) |
| 5mL×10本 | 497310125 | 販売継続中 |


つまり「オゼックス点眼液が全て使えなくなる」というわけではありません。5mL×10本の規格は引き続き供給されます。これが基本です。


「在庫消尽」というのは、メーカーの手元在庫がなくなり次第終了という意味です。公表されている予測時期はあくまで目安であり、流通量によって前後する可能性があります。病院・薬局の購買担当者は、5mL×5本や5mL×50本の在庫状況を早めに確認しておく必要があります。


医療機関での採用規格が5mL×5本や5mL×50本の場合、5mL×10本への規格変更対応や、院内薬事委員会での品目変更手続きが必要になるケースも出てきます。これは見落とされやすいポイントです。


日東メディック公式:オゼックス点眼液0.3% 一部包装単位販売中止のご案内(2025年7月18日)


オゼックス点眼の製造販売元移管と販売中止の背景

オゼックス点眼液0.3%はもともと富山化学工業(後の富士フイルム富山化学)が開発し、大塚製薬が販売を行っていました。それが2024年5月31日付で、製造販売承認が富士フイルム富山化学から日東メディックへ承継され、販売会社も大塚製薬から日東メディックへ移管されました。


この移管に合わせて起きた動きが「トスフロ点眼液0.3%の販売中止」です。トスフロ点眼液も同じトスフロキサシントシル酸塩水和物を有効成分とする点眼液で、日東メディックが製造・販売していました。2つの同成分製品が同一メーカーに揃ったことで、製品統合が図られた形です。


結論は「同成分2製品の一本化」です。


トスフロ点眼液0.3%は2025年1月1日をもって販売中止となり、経過措置期間は当初2026年3月31日の満了が予定されていましたが、2026年1月23日のアナウンスにより延長され、現在は2027年3月31日が満了予定となっています。医療機関によっては、まだトスフロ点眼液の在庫や請求が残っている場合もあるため、経過措置期間の確認が必要です。


日東メディック:トスフロ点眼液0.3%販売中止のご案内(代替品・経過措置期間の記載あり)


DSJP(医療用医薬品供給状況データベース):オゼックス点眼液0.3%の販売移管・中止情報


オゼックス点眼液の薬効と小児適応という独自の強み

処方変更を検討するうえで、オゼックス点眼液(一般名:トスフロキサシントシル酸塩水和物点眼液)の薬効上の特徴を改めて把握しておくことは重要です。


有効成分のトスフロキサシンは第三世代ニューキノロン系抗菌薬で、グラム陽性菌・陰性菌・嫌気性菌と広い抗菌スペクトルを持ちます。特にStaphylococcus属、Streptococcus属、肺炎球菌、インフルエンザ菌、緑膿菌に対して強い抗菌活性を示すことが確認されています。


これは使えそうですね。


さらに注目すべきが小児適応です。オゼックス点眼液は国内で初めて、新生児・乳児・幼児を含む小児を対象とした臨床試験を実施し、用法用量が承認された抗菌点眼薬です。ニューキノロン系薬は原則として経口・注射剤では小児への使用が制限されることが多いですが、点眼剤として全身吸収がごく微量であることから、トスフロキサシン点眼液のみが例外的に小児適応を持ちます。


小児例の臨床データを見ると、新生児を含む44例中43例(97.7%)で有効判定が得られており、検出菌の消失率も81.3%(16例中13例)という結果が報告されています。小児科・眼科での処方ではこの点が特に重要です。


黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、緑膿菌に対して長いPAE(Post Antibiotic Effect:抗菌薬投与後効果)を示すことも、本剤の特徴の一つです。PAEとは、薬の血中濃度が最小発育阻止濃度(MIC)を下回った後も一定時間、菌の増殖を抑制する効果のことです。点眼後もしばらく効果が持続するということですね。


日東メディック:オゼックス点眼液0.3% インタビューフォーム(薬効・臨床成績・小児適応の詳細)


新生児の外眼部細菌感染症に対するトスフロキサシントシル酸塩水和物点眼液の有効性(学術論文)


オゼックス点眼販売中止後の代替薬と処方変更のポイント

オゼックス点眼液(5mL×10本)は販売継続中ですが、一部の包装単位が終了することや、将来的な供給状況の変化に備えて、代替薬についても整理しておくのが臨床現場の実務上の備えになります。


同一成分・同効薬として現時点で確認できる主な抗菌点眼薬を整理すると以下のとおりです。


| 製品名 | 有効成分 | 薬価(mL) | 小児適応 | 備考 |
|--------|----------|-----------|---------|------|
| オゼックス点眼液0.3% | トスフロキサシン | 78.5円 | ✅ あり(新生児含む) | 5mL×10本のみ継続 |
| トスフロ点眼液0.3% | トスフロキサシン | 67.3円 | ✅ あり | 販売中止(経過措置2027年3月)|
| ガチフロ点眼液0.3% | ガチフロキサシン | — | ❌ 添付文書上の制限あり | 第四世代キノロン |
| ベガモックス点眼液0.5% | モキシフロキサシン | — | ❌ | 第四世代キノロン |
| クラビット点眼液1.5% | レボフロキサシン | — | ❌ | 術前・術後無菌化に多用 |


処方変更で特に注意が必要なのが小児患者への対応です。ガチフロ点眼液やクラビット点眼液では、小児(特に低出生体重児・新生児・乳幼児)への用法用量が承認されていない場合があります。成人への代替は比較的容易に行えますが、小児への代替は一律ではありません。これが条件です。


小児適応を必要とする症例でオゼックス点眼液を使用している場合、単純に同系統のニューキノロン点眼液へ変更できるわけではないことを意識しておく必要があります。薬剤師・眼科医・小児科医が連携して処方変更の可否を検討することが求められます。


また、薬価の観点では、オゼックス点眼液0.3%は1mLあたり78.5円、トスフロ点眼液(販売中止品)は67.3円でした。5mL1本で換算するとオゼックスは392.5円、トスフロは336.5円の差となります。後発品(ジェネリック)が現状ではトスフロキサシン点眼液として存在していないため、同成分でのコスト削減には限界があります。


「ジェネリックに切り替えればいい」は、この薬では成立しません。


日本眼科学会:眼薬一覧(抗菌薬の成分・規格・剤形情報)


オゼックス点眼販売中止に伴う院内・薬局での実務対応

製品の販売中止・包装変更に伴い、医療機関・保険薬局それぞれで確認・対応が必要な実務ポイントがあります。


採用規格の確認と変更手続き


院内薬事委員会で5mL×5本・5mL×50本を採用している施設では、5mL×10本への規格変更手続きが必要になります。規格変更自体は同一製品ですが、統一商品コードが異なるため、電子カルテ・オーダリングシステム・調剤システム上のマスタ修正が生じます。システム変更は早めの着手が原則です。


各施設のDI(医薬品情報)担当者または薬剤部が、院内への情報周知を行う際には、以下の点を明確に伝えることが重要です。


- 5mL×10本は現在も継続販売であること
- 5mL×5本・5mL×50本は在庫消尽次第終了すること
- 製品名・成分・薬価はそのまま変わらないこと


在庫確認のタイミング


5mL×5本の在庫消尽予定は2025年10月と公表されています。現在(2026年3月)の時点では、すでに5mL×5本の入手が困難になっている可能性が高い状況です。もし施設内に残在庫がある場合でも、追加発注は難しい見込みです。


在庫状況は卸業者への確認が確実です。


処方せんへの記載と疑義照会


保険薬局では、処方せん上に5mL×5本の規格が記載されていた場合、同一製品の5mL×10本への変更は処方せん通りの調剤が原則であるため、処方医への疑義照会が必要になります。


ただし、規格(包装単位)ではなく薬品名(オゼックス点眼液0.3%)で処方されており、数量が調整可能な場合は疑義照会不要のケースもあります。各施設のルールに沿って判断することが求められます。「どちらかわからない」なら照会するが基本です。


薬剤師会・卸業者からの情報を定期的に確認し、出荷調整や在庫状況の変化に早めに対応できる体制を整えておくことが、トラブル予防につながります。


日東メディック:製造販売中止品目一覧(医療関係者向け公式情報)


DSJP:オゼックス点眼液0.3%の供給状況データベース(包装別ステータス確認)