「国産」と書いてあれば安心だと思っていませんか?実は、国産の肉でも飼料の国産比率はわずか13%で、食卓の安全が輸入依存に揺らいでいます。
「産直データブック」は、パルシステム生活協同組合連合会が毎年発行している冊子です。前年度の産直事業の実績や取り組みを、生産者・メーカー・利用者に向けて詳しく報告するためのものです。
2024年6月に発行された最新版では、産直産地数・有機JAS認証取得面積・産地交流の参加者数・農薬削減の進捗など、食の安全に関わる具体的なデータが一冊にまとまっています。主婦にとって「この食材は本当に安心なのか」を確かめるための、一次情報に近い資料と言えます。
データブックは無料でPDFが公開されており、気になる方はパルシステムの公式サイトから確認できます。単なる宣伝パンフレットではなく、数値と事実に基づいた報告書という性格が強い点が特徴です。
つまり、数字で産直の中身を知れる資料です。
2024年のデータブックによると、パルシステムが産直協定を締結している産地は全国594カ所にのぼります。青果・米・畜産・卵・水産・加工原料を合わせた数字で、重複する産地は1カウントとして集計されています。
産直比率を品目別に見ると、驚く数字が並んでいます。
| 品目 | 産直比率 |
|---|---|
| 青果 | 97% |
| 米 | 100% |
| 鶏肉 | 100% |
| 卵 | 100% |
| 牛乳 | 100% |
| 豚肉 | 93.1% |
| 牛肉 | 88.6% |
特筆すべきなのは、米・鶏肉・卵・牛乳がすべて産直比率100%という点です。スーパーで一般的に売られている食材のほとんどは、産地が不明確なまま市場を経由して流通します。パルシステムでは「産直協定書」を締結した産地のみを産直産地と呼び、市場を介さず直接取引をしています。
生産者と直接つながっているということですね。
産直四原則として、①生産者・産地が明らかであること、②生産方法や出荷基準が明らかで生産の履歴がわかること、③環境保全型・資源循環型農業をめざしていること、④生産者と組合員相互の交流ができること、の4つが掲げられています。
この四原則のもとで産地と契約を結ぶため、農家の名前や栽培方法が食卓まで届く仕組みになっています。「誰が、どのように育てたか」がわかるのは、毎日の献立を担う主婦にとって大きな安心材料です。
パルシステムの産直青果で特に注目したいのが、1998年からスタートした「農薬削減プログラム」です。このプログラムは、毒性の強い農薬の使用を避けながら使用総量も削減することを目的としており、生産者と組合員が共同で取り組んできました。
プログラムの中で生まれた独自基準が「コア・フード」と「エコ・チャレンジ」です。
2023年度の出荷量データを見ると、コア・フード(有機栽培)が全体の約7.2%(3,302トン)、エコ・チャレンジが約21.6%(9,555トン)を占めています。合計すると出荷量の約3割が、一般基準よりも厳しい独自基準の青果ということになります。
3割が厳しい独自基準の野菜です。
さらに注目すべきは、商品検査センターによる残留農薬検査の基準です。農薬など化学物質403成分を一斉に検査したうえで、産直農産物には「事前に使用申請のない農薬が検出されない」「残留農薬は国の基準の1/10以下」という高い目標が設定されています。
国の基準をクリアしているだけでは不十分、というスタンスで運営されていることがわかります。
千葉県産の秋冬どり人参を例に挙げると、千葉県の慣行栽培基準では化学合成農薬を18回使用できるところ、パルシステムの「エコ・人参」は9回以下に削減。さらに「有機人参」になると0回という厳しさです。農薬使用回数が半分以下になるというのは、体内への蓄積リスクを考えると、子どもや妊婦がいる家庭にとって無視できない差といえるでしょう。
パルシステム公式:栽培基準(コア・フード・エコ・チャレンジの詳細)
2024年版データブックの中でも、特に見過ごせないのが食料自給率に関するデータです。日本の食料自給率は2024年時点でカロリーベース38%、世界116位という低水準にあります。
「国産」の肉を食べているから大丈夫、と思っていると少し話が複雑になります。
豚・鶏・肉牛の飼料の大部分を占めるトウモロコシや大豆といった濃厚飼料の国産比率は、わずか13%にすぎません。比較的自給率の高い粗飼料(牧草やサイレージなど)でも76%にとどまります。つまり、「国産」と表示された肉でも、飼料まで国産といえるものはごくわずかというのが実態です。
これは知っておくべき事実ですね。
パルシステムでは、こうした輸入依存の問題を解決するため「日本型畜産」を推進してきました。以下は産直産地での国産飼料活用の代表例です。
また、パルシステムが自社工場「パルブレッド」で製造するパンは、2024年度の国産小麦使用比率が84.4%に達しました。一般的な大手メーカーのパンが輸入小麦に依存する中、これは際立った数値です。
食料自給率の向上は家庭単位でも取り組める課題です。パルシステムのお料理セット(ミールキット)は、野菜・肉・大豆加工品の国産比率が100%という点でも、毎日の食事から自給率を支える具体的な選択肢になります。
パルシステム公式:食料自給率の向上(国産化への取り組み詳細)
「顔の見える産直」という言葉はよく聞きますが、実際に何をしているのかはあまり知られていません。データブック2024では、産地交流の規模が具体的な数字で示されています。
2023年度に開催された産直交流企画への参加者は、4万2,339人にのぼりました。これはコロナ禍前の2018年度(2万1,198人)と比べると約2倍超という驚きの数字です。オンライン交流の導入が普及したことで、海外産地や防疫上の理由で直接訪問が難しかった畜産現場ともリアルタイムでつながれるようになりました。
2倍以上というのは意外ですね。
なかでも独自性が高いのが「公開確認会」という取り組みです。これは、組合員の代表が「監査人」として産地を訪れ、栽培・生産方法や安全性への取り組みを直接確認するパルシステム独自の仕組みです。専門家や社員だけが確認するのではなく、食べる側の一般利用者が監査に参加できる点が大きな特徴です。
累計開催数は162回を超えており、組合員が農薬の保管状況・栽培記録・生産工程などを確認した結果は、産地へのフィードバックにも活用されています。
「知らないまま食べている」から「確認した上で食べている」への転換は、食の安全に敏感な主婦にとって大きな意識の違いをもたらします。
「産地へ行こう。」という体験型の交流企画では、農作業体験や生産者との懇談が行われています。参加したい場合は、パルシステムの各地域生協のイベントページから申し込むことができます。
パルシステム公式:公開確認会の一覧と詳細(組合員が監査人として参加できる取り組み)
「有機野菜はマイナー」という印象を持っている人は多いでしょう。ところが、データブック2024のデータを見ると、パルシステムが国内の有機農業に占める存在感の大きさに驚かされます。
2024年時点で、パルシステムが提携する国内産直産地の有機JAS認証取得面積は2,595ha(データブック2024版時点)から2,881haへと拡大しています。これは、国内の有機JAS認証取得農地全体の約13.2%に相当します。
日本の有機農業全体のうち、約13%がパルシステムの産直産地に集中しているということです。
東京ドームは面積が約4.7haですので、2,881haというのは東京ドーム約612個分の有機農地がパルシステムの産地にある計算になります。ひとつの生協グループが国内有機農地の1割以上を担っているという事実は、一般にはあまり知られていない数字です。
有機農業は手間がかかり、生産量が安定しにくいため、これほどの規模を維持するには産地との長期的な信頼関係と経済的なサポートが欠かせません。パルシステムでは「利益もリスクも分かち合う」という姿勢で、農薬削減に挑戦する農家を組合員の購買という形で後押しし続けています。
また、有機JAS認証を取得する青果・米の産地数は75産地、生産者数は579人という規模です。スーパーの棚に並ぶ有機野菜の多くが輸入品である中、パルシステムの産直有機野菜は国内産地の生産者の顔が見えるという点で、食の選択の質を大きく変えるものです。
有機農産物の出荷量も具体的で、コア・フード(有機JAS認証)の青果出荷量は2024年度で3,740トンに達しています。1家庭の年間野菜消費量を約150kgとすると、約2万5,000世帯分の有機野菜量に相当します。これが毎年、国内の顔が見える産地から安定供給されているというのは、食の安全を日常的に考える主婦にとって頼もしい事実です。
パルシステム公式:オーガニックとサステナブルな農業(有機JAS認証面積・産地数の詳細)