液体昆布だしを毎日使っているのに、知らず知らず塩分を摂りすぎています。
「利尻昆布」と一口に言っても、実は産地によって品質や風味にかなりの差があります。利尻昆布は北海道の礼文島・利尻島・稚内沿岸で水揚げされるもの全般を指す名称です。
中でも特に知っておきたいのが、礼文島産と利尻島産の違いです。礼文島の海は栄養分が非常に豊富で、そこで育った利尻昆布は利尻島産よりも入札価格が高く、業者の間では「最上級品」として扱われています。透き通った澄んだ出汁が取れることから、京料理や茶懐石でも長く愛用されてきた昆布です。
また、利尻昆布には「天然物」「養殖」「促成栽培」の3種類があります。天然物は2年間かけて自然の海で育ったもの、養殖も同じく2年、促成栽培は1年で育てたものです。天然物がもっとも希少性が高く、風味の奥深さが違います。天然物が条件です。
市販の液体だし製品を選ぶ際、原材料表示に「利尻昆布」「礼文島産」「根昆布(ねこんぶ・ねこぶ)」などの記載があるかどうかを確認するのが第一歩です。根昆布とは昆布の根元部分を指し、昆布の中で最も栄養価が高い希少な部位です。粘り気が強いため、独自の製法でエキスを抽出した製品が多く出回っています。これは使えそうです。
雑誌『MONOQLO』が行った根昆布を使った液体だし比較テストでは、以下のようなランキング結果が出ています。
| 順位 | 商品名 | 評価 | 容量 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 🥇 1位 | ベル食品「北海道万能 根昆布だし」 | 4.25点 | 400ml | 昆布エキス+昆布だし配合で風味豊か |
| 🥈 2位 | とれたて!美味いもの市「ねこぶだし」 | 3.63点 | 450ml | 味は良いが鰹の風味がやや強め |
| 🥉 3位 | 島の人「礼文だし」 | 3.50点 | 500ml | 利尻昆布使用・スッキリした上品な味 |
| 4位 | 空知舎「空知舎のねこんぶだし」 | 3.13点 | 500ml | 素材は悪くないが昆布の香りが薄め |
1位のベル食品「北海道万能 根昆布だし」は、「だし」そのものを含む唯一の製品で、昆布の風味が群を抜いていた点が高く評価されました。3位の「礼文だし」はテストで比較された製品の中で唯一、だし向きとして名高い利尻昆布を使用しています。スッキリした澄んだ風味が特徴です。
産地・素材の違いを知ることが、自分に合った液体だし選びの基本です。
液体だしを使う最大のメリットは、昆布のうまみ成分「グルタミン酸」を手軽に料理に加えられることです。グルタミン酸は昆布の細胞内に存在し、1908年に東京帝国大学の池田菊苗博士が昆布から発見した世界初のうまみ成分として知られています。つまりうまみの科学的な発見は、昆布から始まったのです。
ここで知っておきたいのが「うまみの相乗効果」です。昆布のグルタミン酸(アミノ酸系)と、鰹節のイノシン酸(核酸系)を組み合わせると、単独で使うよりもうまみが最大7〜8倍にも強くなることが研究で明らかになっています。この数字は、東京ドーム5個分の面積を持つフィールドが、急に50個分の広さになるようなイメージです。たった1種類加えるだけで、うまみが爆発的に増えます。
利尻昆布だし液体に鰹節を合わせる、またはかつおぶしエキス入りの合わせだし製品を選ぶだけで、この相乗効果を簡単に享受できます。うまみ相乗効果が条件です。
料理ごとの活用ポイントをまとめると、以下のようになります。
液体だしはパックや顆粒と違い、計量スプーンで量を自在に調節できます。そのため少量から試せるのも主婦の味方です。いいことですね。
うまみ成分と料理の組み合わせを深掘りしたい場合、日本うまみ調味料協会のサイトが参考になります。
液体だしは開封後の扱いを間違えると、風味が落ちるだけでなく品質劣化を招きます。保存方法が原則です。
未開封の液体だし製品は、直射日光を避けた冷暗所での常温保存が基本です。ただし開封後は状況が変わります。開封後は必ず冷蔵庫に移して保存し、1〜2週間を目安に使い切るのが推奨されています。製品によっては開封後30日以内と記載があるものもありますが、風味の観点では早めに使い切るほうがよいです。
まとめると以下の通りです。
| 状態 | 保存場所 | 目安期間 |
|---|---|---|
| 未開封 | 冷暗所(常温可) | 賞味期限まで |
| 開封後・液体だし製品 | 冷蔵庫 | 1〜2週間以内 |
| 自家製の昆布だし汁 | 冷蔵庫 | 2〜3日以内 |
| 冷凍保存(製品・自家製とも) | 冷凍庫 | 2週間〜1ヶ月目安 |
意外と見落とされがちなのが「沈殿・変色・においの変化」です。保存期間内であっても、底に白っぽい沈殿物が現れたり、色が変わったり、酸っぱいにおいがした場合は使用を控えてください。液体だしは傷みやすい食品です。
一度に大量に購入した場合は、冷凍保存が有効です。製氷皿に入れて凍らせると1回分ずつ取り出しやすく、冷凍庫での酸化を抑えられます。2週間〜1ヶ月が目安になります。
【参考】出汁の賞味期限と保存方法を徹底解説(yurudashi.com)
「昆布だしは体に良いから、たっぷり使って大丈夫」と思っていませんか? 実は液体だし製品には、思った以上の塩分が含まれています。
一般的な和風液体だし製品の場合、100gあたり約16.5gの食塩相当量を含むものがあります。これは醤油(100gあたり約14.5g)に匹敵するレベルです。計量せずに料理に使っていると、1日の塩分摂取目標量(成人女性で6.5g未満)を簡単に超えてしまいます。塩分の使いすぎには注意が必要です。
ただし自然の昆布から水出しで作っただしは別です。水出し昆布だし100gあたりの食塩相当量はわずか約0.2gで、醤油と比べると70分の1程度しかありません。液体だし製品は調味液として塩分が加えられているため、純粋な昆布エキスとは異なります。
また、昆布に特有の健康リスクとして「ヨウ素の過剰摂取」があります。ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料として不可欠なミネラルですが、昆布には他の食品とは比較にならないほど高濃度のヨウ素が含まれています。毎日大量に昆布だしを使い続けると、甲状腺機能低下症を発症するリスクが高まることが複数の医療機関から報告されています。特に注意が必要なのは以下のような方です。
ヨウ素過剰摂取による甲状腺機能低下症は、摂取をやめると元に戻るケースが多いとされています。ただし、不安がある場合は医療機関に相談するのが確実です。
【参考】昆布の過剰摂取と甲状腺機能低下の関係(かがやきクリニック)
商品選びで多くの方が見落としているのが「原材料の順番」と「塩分濃度のバランス」です。
食品表示では、原材料は含有量の多い順に記載されます。つまり「昆布エキス」が一番最初に書かれている商品と、「食塩」が最初に書かれている商品では、意味がまったく違います。塩分で味を補っている商品は、だしの風味そのものが薄い可能性があります。塩分で味をごまかしていないかが条件です。
また、液体だし製品には「液体調味料タイプ」と「純粋なだし液タイプ」の2種類があります。前者はそのまま料理の調味ができる製品(礼文だしや根昆布だしなど)で、後者は天然素材を煮出しただけのだし汁に近い製品です。目的に合わせて使い分けましょう。
購入前にもう1つ確認したいのが、「10倍希釈で塩濃度1%」のような表示です。これはだしとしての塩分バランスが適切に設計されていることを示すもので、使いやすさの目安になります。礼文だし(島の人)はAmazonの商品説明にも「10倍希釈で塩濃度1%」と明記されており、塩分コントロールがしやすい設計になっています。
なお、液体だし製品は定期購入(サブスク)で購入すると、通常価格より10〜20%程度割引になる公式通販サービスが多くあります。毎日使うものだからこそ、まとめ買いや定期便の活用でコストを抑えるのが賢い選択です。
つまり選び方の基本は「原材料の順番・塩分濃度・タイプの確認」の3点です。この3つだけ覚えておけばOKです。