りうぼう(リウボウ)は、1948年7月26日に「琉球貿易商事株式会社」として沖縄県那覇市に設立された企業です。沖縄戦終結からわずか3年後、アメリカ軍政府の認可を得て創業したこの会社は、当時日本本土および外国との貿易が禁止されていた沖縄で唯一貿易を認められた企業でした。創業者の宮里辰雄氏は、かつお節や畜産物、薬の原材料となる海藻類などの列島間貿易を手掛け、沖縄と外の世界を繋ぐ重要な役割を担っていました。
参考)リウボウ - Wikipedia
1954年には那覇市松尾にリウボウビルを建設し、百貨店事業を本格的に開始しました。当時の沖縄では近代的でモダンな百貨店店舗となり、海外からの輸入商品や東京の最先端商品を扱う「舶来品のお店」として県民から憧れの存在でした。1964年には現在の商号である「株式会社リウボウ」へ変更され、その後も事業を拡大し続けています。
参考)会社概要 - デパートリウボウ|RYUBO
1991年には百貨店をパレットくもじへ移転し、現在も那覇市久茂地で「デパートリウボウ」として営業を続けています。沖縄県内唯一の百貨店として、地域社会への貢献とお客様第一主義の基本精神を守り続けています。
リウボウグループの詳細な沿革はこちら:創業から現在までの歴史が時系列で確認できます
デパートリウボウは、沖縄県那覇市久茂地のパレットくもじビル内にあり、売場面積約18,837平米を誇る県内唯一の百貨店です。ゆいレール県庁前駅直結というアクセスの良さから、地元客だけでなく観光客にも人気のスポットとなっています。最新のファッションから「デパ地下グルメ」まで充実した品揃えで、週替わりの催事も開催されています。
参考)デパートリウボウ
2017年に立ち上げられた独自ブランド「樂園百貨店」は、2階フロアの半分近くを占める館の顔として成長しました。「沖縄のいいモノ、日本のいいモノ、世界のいいモノ、からだにいいモノ」の4つの軸をコンセプトに、全体の約7割を沖縄関連商品が占めています。工芸品、アパレル、雑貨、アクセサリー、食品など多彩なジャンルを扱い、カフェも併設されています。
参考)沖縄唯一の百貨店デパートリウボウ “絞る・広げる・埋める”改…
百貨店以外にも、リウボウグループはスーパーマーケット「りうぼう」を県内各地で展開しており、首里りうぼう、普天間りうぼう、三原りうぼうなど23店舗を運営しています。さらに沖縄ファミリーマート337店舗、リウボウ旅行サービスなど、グループ全体で地域の生活を支えています。
参考)リウボウストア - Wikipedia
デパートリウボウ公式サイト:最新の催事情報やフロアガイドが掲載されています
「りうぼう」という独特な社名は、前身である「琉球貿易商事株式会社」に由来しています。「琉球」の「琉」と「貿易」の「貿」を組み合わせて「リウボウ」となりました。この表記については2つの説が存在します。
1つ目は歴史的仮名遣いを模したものとする説です。実際に「貿」の旧仮名遣いは「ばう」であり、この読み方を採用したとされています。2つ目は英語の発音に合わせたとする説で、英語には「リュ」という発音がないため、「Ryukyu」は「リウキュー」と発音される傾向があり、その発音に合わせたものとされています。
どちらの説も沖縄の歴史と国際性を反映しており、戦後の米軍統治下で生まれた企業ならではの背景が感じられます。この社名は70年以上経った現在も、沖縄県民にとって馴染み深い名称として親しまれ続けています。
株式会社リウボウストアは、1983年9月29日に設立された総合小売企業で、主にスーパーマーケット事業を展開しています。設立当初は西友との共同出資により株式会社リウボウ総合開発として誕生し、1999年に現在の商号へ変更されました。資本金50百万円、従業員数は約208名で、沖縄県内で幅広い店舗網を構築しています。
参考)https://www.wikipedia.cfbx.jp/wiki/index.php?title=%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%9C%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A2
主力業態である「りうぼう」ブランドのスーパーマーケットは、県内に13店舗を展開しています。代表的な店舗として、1987年3月開店の「首里りうぼう」は、グループ初の食料品部門を構えた店舗であり、2007年のリニューアルで衣料部門を閉鎖してスーパーマーケット中心の業態に移行しました。営業時間は午前9時から午後11時まで、首里駅から徒歩7分の好立地にあります。
その他にも、那覇市の「三原りうぼう」(営業時間7:00〜24:00)、「西町りうぼう」、「古島マルシェ」、宜野湾市の「普天間りうぼう」、浦添市の「浦添りうぼう」など、地域の生活に密着した店舗を多数運営しています。多くの店舗が深夜12時まで営業し、電子マネーやクレジットカードにも対応しています。
参考)https://www.okinawalife.jp/shopping/sp-ryu-all.html
リウボウグループは、持株会社である株式会社リウボウホールディングスを中心に、12社で構成される総合流通グループです。百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストアから旅行サービス、化粧品卸まで、多彩な事業を通して沖縄のライフシーンを支えています。
参考)リウボウホールディングス
主要な子会社には、百貨店運営の株式会社リウボウインダストリー(売上高126億円)、スーパーマーケット運営の株式会社リウボウストア、そして337店舗を展開する株式会社沖縄ファミリーマート(リウボウ51%、ファミリーマート49%の共同出資)があります。その他にも、1968年設立の株式会社リウボウ旅行サービス(4営業所)、駐車場管理や受付案内を行う株式会社流通アシスト、空港売店運営の株式会社リウボウ商事などが含まれます。
グループ全体の基本精神は「感謝」と「貢献」であり、1948年の創業以来「地域社会への貢献」と「お客様第一主義」を掲げ続けています。2023年には沖縄本島北部に開業予定の新テーマパーク「JUNGLIA OKINAWA」への事業出資も発表し、新たな事業領域への挑戦も続けています。
企業名 | 事業内容 | 店舗数・規模 |
---|---|---|
株式会社リウボウインダストリー | 百貨店運営 | 売上高126億円(2025年2月期) |
株式会社リウボウストア | スーパーマーケット・無印良品 | 23店舗(無印良品3店舗、ダイソー6店舗含む) |
株式会社沖縄ファミリーマート | コンビニエンスストア | 337店舗 |
株式会社リウボウ旅行サービス | 一般旅行業 | 4営業所 |
りうぼうは戦後沖縄の経済発展において極めて重要な役割を果たしてきました。1948年の創業当時、米軍統治下にあった沖縄では民間人が自由に貿易を行うことができず、琉球貿易商事(りうぼうの前身)は海外や本土との懸け橋として機能していました。物資が困窮していた時代に、かつお節、畜産物、海藻類などの列島間貿易を担い、県民の生活を支えました。
参考)リウボウヒストリー
1949年には外国人お土産専門店「リバティーハウス」を那覇市牧志にオープンし、大いに賑わいました。創業者の宮里辰雄氏は「デパート経営は沖縄人でもできると言い張った手前もあり、誰もやっていなかった外国商品専門店でやることにした」と語っており、その狙いは見事に的中しました。
参考)リウボウホールディングス - 沿革
1954年のリウボウビル開業後は、沖縄初の本格的な百貨店として、海外輸入品や東京の最先端商品を提供し、県民に新しい生活文化をもたらしました。貿易規制が緩んだ1950年代以降も事業を継続し、子会社設立により事業を拡大していった結果、現在では12社からなるリウボウグループとして沖縄経済の一翼を担っています。
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