卵を冷蔵庫から出してそのまま使うと、生地が台無しになります。
シュークリームの生地は、材料の数が少なく、スーパーで手軽にそろうものばかりです。基本のシュー生地の材料(約6〜8個分)は、薄力粉50〜60g・無塩バター40〜50g・水100ml(または水50ml+牛乳50ml)・塩ひとつまみ・卵2個(約110g)です。砂糖は一切入りません。これはシュークリーム生地の大きな特徴で、「甘さゼロの生地にあの甘みが生まれるの?」と驚く方も多いです。
甘さはクリームだけで出します。
下準備は作業の半分を占めるといっても過言ではありません。下準備を省略すると仕上がりに直接響くので、以下の4点は必ず守ってください。
| 下準備の内容 | なぜ必要なのか |
|---|---|
| 薄力粉をふるっておく | 温かい液体に一気に加えるため、ダマを防いで素早く混ざるようにするため |
| 卵を常温に戻しておく | 冷たい卵だと生地の温度が下がり、固くなって膨らみが悪くなるため |
| バターを1cm角に切る | バターが早く溶けることで、水分の蒸発を最小限にするため |
| オーブンを200℃に予熱する | 生地を絞ったらすぐに焼成へ移りたいため |
特に卵の常温戻しを忘れがちな方は多いですが、これが膨らまない原因の第1位とも言われます。冬場は室温でも冷たいまま、ということがあるので、冷蔵庫から出して30分程度は置いておくのが安全です。これが基本です。
参考:シュー生地の材料・工程の詳細解説はこちら
失敗しないシュークリームの作り方・レシピ|プロフーズ
まず鍋に水(または水+牛乳)・無塩バター・塩を入れて弱めの中火にかけます。バターが溶けたら中火に上げ、鍋の中央部分まで「フツフツ」とした泡が立つくらいしっかりと沸騰させましょう。この沸騰のタイミングがとても重要です。泡が立ち上がっているところに向けて、ふるっておいた薄力粉を一気に加えます。これを「泡のお風呂へダイブ!」と表現するパティシエもいるほど、勢いよく入れることがポイントです。
火を止めて素早くゴムベラや木べらで混ぜ、粉っぽさがなくなりひとかたまりになったら、もう一度弱めの中火にかけます。これが「2回目の加熱」で、でんぷんの糊化(こか)をさらに進める重要な工程です。鍋底に薄い膜がうっすら張り、生地の温度が80℃前後になるまで練りながら加熱します。加熱が足りないと生地が膨らまない最大の原因になります。
鍋をボウルに移し、常温の溶き卵を3〜4回に分けて加えます。ハンドミキサーを使うと素早く混ぜられて便利です。卵を全量入れる必要はなく、生地の固さで量を調整します。ゴムベラで生地をすくい上げたとき、「逆三角形にゆっくり垂れ落ちて止まる状態」がベストです。これで大丈夫です。
生地を口金をセットした絞り袋に入れ、天板から1cm浮かせた状態で直径5cm程度のドーム形に絞ります。全体に霧吹きで水をたっぷりかけてから200℃に予熱したオーブンで焼成します。最初の8〜10分は高温で、その後180℃に下げてさらに20分ほど焼きます。亀裂の奥まで茶色くなったら完成です。
シュークリーム生地が膨らまないとき、原因は大きく「粉の加熱不足」「卵の量ミス」「焼き方の問題」の3つに絞られます。意外ですね。
最も多い失敗は、粉の加熱不足です。でんぷんの糊化が不十分なまま次の工程へ進むと、膨らまない・膜が多い・形がいびつ、といったトラブルが起きます。「鍋底に薄い膜が張るまで」というレシピの記述は、フッ素加工の鍋では膜が張りにくいため、完全に正確とは言えません。正確な目安は生地の温度が80℃前後に達しているかどうかです。調理用温度計があると確実ですが、持っていない場合は「チリチリ」と音がして生地に艶が出るまで加熱する、が目安になります。
次に多い失敗が卵の入れすぎです。卵を多く加えすぎると生地が横に広がってしまい、上に膨らむ力がなくなります。逆に卵が少ないと生地が固すぎてぼこぼこした形になります。卵の全量を一度に入れてしまうのはNGです。必ず少しずつ様子を見ながら加えてください。卵の量は毎回変わる、これが条件です。
焼き方の失敗で多いのが「途中でオーブンを開けてしまう」ことです。シュー生地は焼いている最中に内側の水蒸気が膨らませる力を持っています。その最中にオーブンを開けると庫内温度が急降下して一気にしぼみ、再度焼いても膨らまなくなります。また、実際に調べてみると、家庭用オーブンの表示温度と庫内の実温度が60℃以上ずれているケースもあることがわかっています。もし何度作ってもしぼむ場合、オーブンの庫内温度計で確認してみる価値があります。
参考:シュー生地が膨らまない原因の詳細解説
シュー生地が膨らまないときにチェックしたい3つの原因|アトリエ S・Liaison
「焼く前の生地を冷凍できる」という事実を知らずに、まとめて生地を作っても余ってしまうという方は多いです。実は、シュー生地は焼く前の状態で冷凍保存でき、最長約2週間の保存が可能です。これは使えそうです。
冷凍の方法は非常に簡単です。作ったシュー生地をオーブンシートを敷いたバットの上に絞り出し、そのまま1時間ほど冷凍庫に入れます。カチカチに固まったらオーブンシートからはがしてフリーザーバッグへ移して保存完了です。解凍は不要で、冷凍のまま天板に並べてオーブンへ入れて焼くだけです。
検証によれば、作りたての温かい生地と冷凍した生地を同じ温度・時間で焼いたとき、「ほぼ変わらず膨らんでいる」という結果が出ています。冷凍生地を焼く際はオーブンの庫内温度が下がりやすいので、予熱温度をやや高め(210℃)に設定してから180℃に落とす工夫をすると、より安定した仕上がりになります。
一方で「冷蔵保存」はあまりおすすめできません。冷蔵庫内で生地表面が乾燥してしまい、膨らみが悪くなるからです。冷蔵保存は翌日まで可能ですが、その際は絞り袋に入れたまま保存し、焼く直前に霧吹きをたっぷりかけるのが対策になります。つまり冷凍が基本です。
| 保存方法 | 保存期間 | 焼き時の注意 |
|---|---|---|
| 冷凍保存(焼く前) | 約2週間 | 解凍不要・予熱は高めに設定 |
| 冷蔵保存(絞り袋に入れたまま) | 1日まで | 焼く前に霧吹きをたっぷりかける |
| 焼いた後の冷凍 | 約2〜3週間 | 180℃で3〜4分温め直すとパリッと戻る |
参考:焼く前の生地を冷凍・冷蔵した場合の比較検証データはこちら
多くのレシピに「逆三角形になるまで卵を加える」と書かれていますが、初めて作る方には「逆三角形ってどんな状態?」がわかりにくいです。どういうことでしょうか?
正確には、ゴムベラや木べらで生地をたっぷりすくって持ち上げたとき、「ゆっくりと垂れ落ちながら、ベラに残った生地がV字(逆三角形)の形を保つ状態」を指します。ダラダラと糸を引くように切れずに落ちる場合は入れすぎ、ブツッと塊で落ちる場合は固すぎです。この逆三角形が目印です。
この見極めに慣れるまでは、以下のチェックリストを活用してみてください。
ここで見落としがちな盲点があります。卵を加えるスピードが遅すぎると生地が冷えて固まってしまい、卵を正しい量加えても逆三角形にならないことがあります。この場合は卵不足ではなく冷えが原因です。ハンドミキサーを使って素早く混ぜることで、生地の温度低下を最小限に抑えられます。手作業のみでは温度が下がりすぎる可能性があるため、泡立て器やハンドミキサーの活用が成功率を大きく高めます。これには期限があります(生地が温かいうちに作業を終えること)。
また、日によって卵の重さが変わることも見落とされがちです。スーパーのMサイズ卵でも1個あたり50〜65gとかなりの幅があります。レシピに「卵2個」とあっても、卵が重い日は1.5個分で足りることもあります。生地の固さで判断することが、再現性の高いシュークリームへの近道です。