食べチョクの社長として知られる秋元里奈さんは、2019年のテレビ番組「セブンルール」で自ら年収を360万円と公表しています。これはスーパーやネットで「食べチョクって儲かってるサービスでしょ?社長なら1,000万円以上もらってるはず」と思い込んでいると、実情と大きくズレてしまいます。
「女社長なのだから、かなり高い年収をもらっているはず」と思う方は多いでしょう。ところが2019年9月24日放送のフジテレビ系「セブンルール」で、秋元里奈さん自身が当時の年収として360万円という数字を明かしています。驚きますね。
360万円という数字は、2019年時点の日本の会社員の平均給与(約436万円)を大きく下回る水準です。スーパーのパートを週3〜4日こなすご家庭の主婦の方でも、年間200〜250万円前後の収入になることを考えると、会社を経営している社長としては相当低い設定です。
なぜここまで低く抑えていたのか。秋元さん自身は「廃業を決める農家を1人でも減らしたい」という強烈な使命感で会社を立ち上げており、創業初期は自分の給与よりもサービスの成長に資金を集中させていたと語っています。つまり社長の年収が低かったということですね。
また、女性起業家全体の平均年収は93.1万円というデータもあります。その水準と比べれば360万円は決して低くはないとも言えますが、会社の成長や知名度に対してはかなり謙虚な金額設定でした。
秋元里奈公式note「セブンルールを終えて」:当時の思いと農家への使命感が語られています
2019年の公表から時間が経過し、食べチョクは大きく成長しています。現在の秋元里奈さんの年収はどう変わったのでしょうか。
2022年に13億円、2023年に追加で約7億円の資金調達を実施し、シリーズCの累計調達額は約20億円に達しました。ユーザー数は公式サイトによると2026年時点で130万人を突破し、流通額はコロナ前比で2年間に128倍という驚異的な成長を見せています。これは相当な規模です。
ここ数年で会社として成熟し収益化も進んできたことから、社長の報酬が創業期と同じ水準のままとは考えにくい状況です。ビビッドガーデンが公開している求人情報では、正社員の想定年収が500万〜800万円と記載されています。代表取締役社長であれば、それと同等か上回る金額になっている可能性が高く、推定1,000万〜1,060万円程度と見る専門家もいます。
さらに秋元さんはTBSの「Nスタ」水曜レギュラーコメンテーター、読売テレビ「ウェークアップ」パートナー、「がっちりマンデー!!」などにも出演しており、テレビ出演料も年間60万円程度が別途加わると想定されます。結論は約1,000万円超です。
秋元里奈の年収・経歴まとめ記事:各収入源の試算が詳しく紹介されています
秋元里奈さんのプロフィールを整理してみましょう。意外な家庭環境が、食べチョク誕生の原点になっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生年月日 | 1991年1月21日 |
| 出身 | 神奈川県相模原市 |
| 学歴 | 慶應義塾大学理工学部管理工学科卒 |
| 前職 | 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA) |
| 創業 | 2016年11月 株式会社ビビッドガーデン |
| 役職 | 代表取締役社長 |
秋元さんは相模原市の農家に生まれましたが、3歳のときにお父さんを病気で亡くし、お母さん、双子の弟、祖父の4人で育ちました。中学校への進学頃に実家の農家が廃業し、荒れ果てた農地を眺めながら言いしれぬ寂しさを感じたといいます。
高校は神奈川県内でも有数の進学校・神奈川県立相模原高等学校(偏差値68)に進学し、大学は慶應義塾大学理工学部管理工学科(偏差値62.5〜65.0)を卒業というエリートコースです。大学卒業後は2013年にDeNAに入社し、Webサービスのディレクター・営業チームリーダー・新規事業立ち上げ・スマートフォンアプリのマーケティング責任者など多くの経験を積みました。そしてDeNA入社3年目に実家の農地跡地を目にして強烈な使命感が芽生え、2016年に退職・起業に踏み切ります。
秋元里奈 Wikipedia:経歴・受賞歴・メディア出演一覧が詳しくまとめられています
食べチョクを利用したことがある主婦の方も増えていますが、サービスの仕組みを深く理解している方は意外と少ないかもしれません。
食べチョクは、全国1万軒以上の農家・漁師が直接出品し、消費者が生産者から直接購入できるオンライン直売所です。「農家や漁師から"チョク"でお届け」というコンセプトどおり、生産者が自ら価格を設定できる仕組みになっています。これが基本です。
スーパーの野菜は農協→卸売市場→仲卸→スーパーという4〜5段階の流通を経るため、生産者の手元に残る金額は消費者が支払った価格のわずか20〜30%程度とも言われています。一方、食べチョクでは生産者への利益還元率が高く設計されており、農家が適正な対価を得やすい構造です。
主婦にとってのメリットとして注目したいのは次の点です。
- 新鮮さ:収穫後すぐに発送されるため、スーパーに並ぶ野菜より格段に新鮮
- 希少品が手に入る:規格外品・少量多品種・有機栽培品など市場に流通しにくい食材が購入可能
- 生産者への直接質問:投稿・返信機能で農家さんに料理法や農法を直接聞ける
- 登録・利用は無料:年会費不要で、購入した分だけ支払えばOK
家計の食費という視点では、規格外品や訳アリ品を上手に活用すると同品質のものをスーパーより安く入手できるケースもあります。これは使えそうです。
食べチョク公式サイト「食べチョクについて」:サービス概要・利用方法が確認できます
秋元里奈さんの知名度は国内にとどまりません。農業系の女性起業家として、国内外から数多くの表彰を受けています。
主な受賞・選出歴は以下のとおりです。
- 2019年 Forbes「30 UNDER 30 JAPAN 2019」日本を代表し世界を変えていく30歳未満の30人に選出
- 2020年 Forbes「30 Under 30 Asia 2020」アジアを代表する30歳未満の30人に選出
- 2022年 第22回Japan Venture Awards 中小企業庁長官賞
- 2023年 第37回JCI JAPAN TOYP 2023(青年版国民栄誉賞)グランプリ・内閣総理大臣奨励賞
- 2024年 世界経済フォーラム ヤング・グローバル・リーダーズ(YGL)2024 選出
世界経済フォーラムのYGLは、将来の世界のリーダーとなる40歳未満の人材をダボス会議主催の機関が選ぶものです。日本から選ばれることは決して多くなく、農業分野の起業家として高い評価を受けていることがわかります。
また秋元さんの経営哲学として注目されているのが、「生産者ファースト」という考え方です。消費者の利便性だけでなく農家や漁師が正当に評価され収入を得られる仕組みを最優先に設計している点は、一般的なECサービスとは一線を画しています。365日食べチョクのオリジナルTシャツを着用して生きたPRを続けるスタイルは「Tシャツ起業家」として広く知られ、2021年にはKADOKAWAから著書『365日 #Tシャツ起業家』も出版されました。
内閣府規制改革推進会議の専門委員、農林水産省地理的表示登録に係る学識経験者委員会委員も務めており、社長業にとどまらず一次産業全体の制度設計にも関わっているのが現在の秋元さんの姿です。
ビビッドガーデン公式プレスリリース「世界経済フォーラムYGL選出」:受賞の詳細と秋元里奈のプロフィールが確認できます