テラムロ配合錠AP出荷調整の原因と対応を解説

テラムロ配合錠APの出荷調整はなぜ起きているのか?複数メーカーが同時に供給制限となった背景・代替品への切り替え方法・診療報酬への影響まで、医療従事者が今すぐ知っておくべき情報とは?

テラムロ配合錠AP出荷調整の原因と医療現場への影響を解説

テラムロ配合錠APを代替品に変えれば、加算が下がらずに済む施設がある。


この記事でわかること
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出荷調整の原因と現在の状況

複数メーカーで同時多発的に進行中。原薬の試験不適合・他社品の品質不正の余波など、背景にある構造的な問題を解説します。

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代替品・切り替え対応の実務ポイント

単剤(テルミサルタン+アムロジピン)への切り替え方法と、処方変更時に確認すべき規格・用量の注意点をわかりやすく整理します。

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診療報酬・加算への影響と臨時的取扱い

厚生労働省が令和8年9月30日まで延長した「後発品使用割合の算出除外」制度。施設が知らないと損をするしくみを具体的に説明します。


テラムロ配合錠APの出荷調整が起きているメーカーと現状(2026年3月時点)

テラムロ配合錠AP(テルミサルタン40mg/アムロジピン5mg配合剤)の出荷調整は、2024年から2026年にかけて複数の後発品メーカーで同時多発的に発生しており、医療現場での安定入手が極めて難しい状況です。2026年3月時点でDSJP(医療用医薬品供給状況データベース)に登録されている主な状況は以下のとおりです。


| メーカー | 状況 | 告知日 |
|---|---|---|
| 沢井製薬(サワイ) | 限定出荷(Aプラス-③) | 2026年3月3日 |
| 第一三共エスファ(DSEP) | 限定出荷(A-②) | 2026年3月9日 |
| 東和薬品(トーワ) | 出荷停止 | 2025年12月10日 |
| ニプロ | 出荷停止 | 2025年11月6日 |
| 日医工 | 成分重複品統合後、供給停止 | 2025年10月2日 |
| 日本ジェネリック(JG) | 販売中止 | 2025年12月18日 |


限定出荷(Aプラス)とは、比較対象期間の月平均出荷量を上回る状態を指します。つまり出荷量は確保されていますが、需要に対して完全には対応しきれていない状態です。一方、東和・ニプロは在庫消尽後に出荷停止となっており、入手不可の状況です。


現場では「別のメーカーに変えようとしたらそこも限定出荷だった」という連鎖が起きています。これは特定の1社の問題ではなく、後発品業界全体を揺るがす構造的な問題が背景にあります。


参考リンク(DSJPによる最新の供給状況一覧):

テラムロ配合錠AP「DSEP」の最新出荷状況はこちらで確認できます。


DSJP|テラムロ配合錠AP「DSEP」供給状況(医療用医薬品供給状況データベース)


テラムロ配合錠APの出荷調整の原因:原薬不適合と後発品業界の構造問題

出荷調整の原因はメーカーによって異なりますが、大きく2つに分類できます。


まず1つ目は、原薬の試験不適合です。東和薬品は「生産に使用する原薬が試験不適合となったことから、安定生産ならびに供給が難しい状況」と公表しています。医薬品の原薬(有効成分そのもの)は品質基準が厳格に定められており、1回の試験不適合が即座に製造ラインの停止につながります。後発品メーカーは原薬を海外(中国・インドなど)に依存する割合が高く、原材料の調達トラブルが発生した際のバッファ(予備在庫)が少ないことが多いです。


2つ目は、他社品の品質不正の余波による需要集中です。第一三共エスファは「他社製品の出荷停止の影響により、想定を上回るご注文をいただいており、弊社の一部製品につきまして安定供給に支障をきたす状況」としています。あるメーカーが供給停止になると、残った数社に注文が殺到します。これが限定出荷の連鎖を生む「玉突き現象」です。


根本的な背景として、厚生労働省は「問題を起こした企業の単独・一過性の問題ではなく、産業構造上の課題がある」と明確に指摘しています。約190社のジェネリックメーカーが乱立し、薬価ベースで見ると1品目あたりの利益が薄い構造です。そのため製造設備への投資や品質管理体制に十分な余裕が生まれにくいという根本問題があります。つまり構造的な問題です。


なお、2026年の業界予測では、ジェネリック医薬品協会(GE薬協)が「2026年度中に需給バランスが回復する」と表明しています。ただし個別品目ではすでに販売中止に至ったものも多く、テラムロ配合錠APについては全メーカーが揃って通常出荷に戻る見通しは、現時点では示されていません。


参考リンク(後発医薬品の供給不安の継続に関する記事):

ジェネリック医薬品の供給不安がなぜ長期化しているかが詳しく解説されています。


テラムロ配合錠AP出荷調整時の代替品・処方切り替えの実務ポイント

テラムロ配合錠APが入手できない場合、代替手段は主に2つです。


① 別メーカーのテラムロ配合錠APへ変更


現状(2026年3月)では沢井製薬と第一三共エスファのPTP100錠が限定出荷(増加)で供給継続中です。ただし需要集中により入手が不安定なため、卸への事前確認が必須です。


② 単剤2剤(テルミサルタン+アムロジピン)への切り替え


テラムロ配合錠APはテルミサルタン40mg+アムロジピン5mgの配合剤です。以下のように単剤2種類の処方に切り替えることが可能です。


- テルミサルタン錠40mg(例:ミカルディス錠40mg、またはGE品)
- アムロジピン錠5mg(例:アムロジン錠5mg、ノルバスク錠5mg、またはGE品)


切り替えにあたっては、以下の点に注意が必要です。


| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 用量の一致 | テラムロAPはテルミサルタン40mg+アムロジピン5mg。BP(80mg/5mg)との混同に注意 |
| 処方設計の変更 | 1剤→2剤になるため、処方箋の記載を2行に変更する必要がある |
| 患者説明 | 「薬の数が増えた」と感じる患者には、変更理由と薬効が同等であることを説明する |
| 投与回数 | いずれも1日1回投与で変わらない。飲み忘れリスクへの再確認を促す |


東和薬品は公式文書において「代替候補品として配合剤に対応する弊社製品(単剤)のご案内が可能です」と明記しており、単剤への代替を推奨しています。単剤変更は現実的な対応です。


なお、テルミサルタン単剤も一部で出荷調整中の製品があるため、在庫状況は都度確認が必要です。切り替え前に卸の在庫情報をチェックしておく、これが原則です。


参考リンク(配合剤と単剤の規格比較):

テラムロ配合錠APとミカムロ配合錠APの規格・用法が整理されています。


管理薬剤師.com|配合剤一覧(テラムロ・ミカムロなど)


出荷調整が後発品使用体制加算・調剤体制加算に与える影響と臨時的取扱いの活用法

ここが多くの施設で見落とされやすいポイントです。後発品が入手できず先発品や代替品を使わざるを得ない場面が増えると、後発医薬品の使用(調剤)割合が下がり、各種加算の算定要件を満たせなくなるリスクが生じます。


厚生労働省はこの問題に対応するため、以下の臨時的取扱いを継続・延長しています。


- 令和8年3月5日発出の事務連絡によると、供給停止となっている後発医薬品と同一成分・同一剤形の医薬品については、令和8年4月診療・調剤分から令和8年9月30日まで、後発医薬品の使用割合の算出対象から除外しても差し支えないとされています。


対象となる加算は以下のとおりです。


- 後発医薬品使用体制加算(入院)
- 外来後発医薬品使用体制加算(診療所・外来)
- 後発医薬品調剤体制加算
- 調剤基本料注8の後発医薬品減算


また、令和8年6月1日から施行される新点数(「地域支援・医薬品供給対応体制加算」等)においても同様の取扱いが適用される予定です。


重要なのは「別添2に示す全ての品目について除外するか、全品目を含めるかの二択である」という点です。一部の成分の品目だけ算出対象から除外することは認められていません。施設の状況に応じて1月ごとに適用するかどうかを判断できますが、部分的な適用は不可です。


ここで一つ注意すべき点があります。カットオフ値の算出については今回の臨時的取扱いの対象外です。つまり後発品使用割合の分母からは除外できますが、カットオフ値は別途正確に計算する必要があります。これは問題ありません、ただし混同しないよう注意してください。


加算区分に変更が生じる場合や基準を満たさなくなる場合は、しかるべく変更等の届出が必要です。自施設の後発品使用割合が臨時取扱いの適用によって加算区分を維持できるかどうか、今月中に試算しておくことが重要です。


参考リンク(厚生労働省・令和8年3月5日発出の最新事務連絡):

後発医薬品の出荷停止等を踏まえた診療報酬上の臨時的な取扱い(令和8年4月~9月30日適用分)の原文です。


厚生労働省|後発医薬品の出荷停止等を踏まえた診療報酬上の臨時的な取扱いについて(令和8年3月5日)


テラムロ配合錠AP出荷調整で医療現場が取るべき独自視点:「玉突き入荷難」への備え

多くの解説記事が「代替品を探しましょう」で終わっていますが、現場で最も困るのは「代替品も同時期に限定出荷で入手できない」という玉突き状況です。これはテラムロ配合錠APに限らず、後発品不足全体で繰り返し起きているパターンです。


では医療従事者として何ができるでしょうか?具体的な対策として以下が有効です。


🔔 DSJPのアラート機能を活用する


DSJP(drugshortage.jp)では品目ごとの出荷状況変更通知を受け取ることができます。「出荷停止」に切り替わる前の「供給に関するお詫び」段階で情報を取得し、前倒しで代替品の確保に動くことができます。対応が1週間早まるだけで、処方変更がスムーズになります。


📋 一般名処方の積極活用


配合剤に固定された処方箋よりも、一般名処方(「テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩配合錠AP」)のほうが薬局側での代替対応の柔軟性が高まります。一般名処方加算1・2は出荷調整品目においても今回の臨時措置の対象外であり、要件を満たせば算定可能です。


📊 卸との情報共有の定例化


月1回以上、担当卸のMR・DMまたはCSから出荷状況の更新情報を収集する体制を整えると良いでしょう。テラムロ配合錠APのように突発的に複数メーカーが同時停止する事態では、情報格差が施設間の対応速度に直結します。


なお、2026年度診療報酬改定(令和8年6月施行)では後発品使用体制加算が廃止され、新たな「地域支援・医薬品供給対応体制加算」に再編されます。加算の枠組みが変わることで施設基準の見直しも必要になるため、改定内容の確認は必須です。


参考リンク(2026年度診療報酬改定と後発品使用体制加算の再編):

後発品使用体制加算廃止・新加算設立の詳細と影響が整理されています。


GemMed|2026年度診療報酬改定答申18:後発品使用体制加算廃止と新加算の創設