トスフロ点眼液、赤ちゃんへの安全な使い方と注意点

赤ちゃんへのトスフロ点眼液(トスフロキサシントシル酸塩水和物)の安全性・有効性・正しい点眼方法について、医療従事者向けに最新情報を解説。販売中止後の代替薬の切り替えポイントも確認しておきませんか?

トスフロ点眼液と赤ちゃんへの適正使用ガイド

赤ちゃんの目をつぶっていても、目頭に1滴垂らすだけで正しく点眼できます。


トスフロ点眼液 × 赤ちゃん:3つのポイント
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国内初・小児に用法用量が承認されたニューキノロン系点眼液

トスフロ点眼液0.3%は、国内の抗菌点眼薬として初めて新生児・乳児・幼児を含む小児への用法用量が正式に承認された。臨床試験では新生児48例を含む全例で有害事象なし(PMDA再審査報告書, 2014)。

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小児は成人より早く治る→漫然と使い続けない

添付文書には「成人に比べて短期間で治療効果が認められる場合がある」と明記されており、経過を十分に観察し漫然と使用しないことが重要な注意事項となっている。

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2024年5月31日をもって販売中止→後継はオゼックス点眼液

日東メディックはオゼックス点眼液0.3%承継に伴いトスフロ点眼液の販売を中止。同一有効成分(トスフロキサシントシル酸塩水和物)であり、小児への用法用量も同等。切り替えの際はオゼックス点眼液を確認すること。


トスフロ点眼液の基本情報と赤ちゃんへの適応の根拠


トスフロ点眼液0.3%(一般名:トスフロキサシントシル酸塩水和物)は、ニューキノロン系抗菌点眼薬に分類されます。細菌のDNA複製を司るDNAジャイレースおよびトポイソメラーゼⅣを阻害することで殺菌的に作用します。有効成分であるトスフロキサシンは、黄色ブドウ球菌・表皮ブドウ球菌・肺炎球菌・インフルエンザ菌・緑膿菌など、眼感染症の主要起炎菌に対して強い抗菌力を持ちます。


この薬剤が小児・赤ちゃんに処方される大きな根拠として、2006年の承認時から新生児・乳児・幼児を含む小児への用法用量が正式に盛り込まれている点が挙げられます。これは国内の抗菌点眼薬として初めての承認です。他のニューキノロン系抗菌薬(たとえばレボフロキサシン点眼液など)は成人のみを対象とした承認にとどまるものも多く、小児専門外来や新生児科・眼科でトスフロ点眼液が特に選択されてきた重要な理由がここにあります。


重要なのが関節毒性の懸念です。経口・静注のニューキノロン系薬は幼若動物で関節軟骨障害が報告されており、小児への経口使用が長らく慎重視されてきた経緯があります。しかし点眼剤の場合、全身への吸収量が経口投与とは桁違いに少なく、PMDAの資料によれば「幼若ウサギを用いた13週間反復点眼試験において、本剤点眼時に新生児が曝露されるトスフロキサシン量は関節毒性試験の最小毒性量を大きく下回ることが予想される」と明記されています。つまり、点眼による全身曝露量は経口投与の100分の1以下に収まることが確認されており、関節毒性のリスクは問題にならないというのが現在のコンセンサスです。これは意外ですね。


PMDA再審査報告書(2014年)では、新生児調査として48例(未熟児を含む)が安全性解析対象となり、副作用は1例も認められませんでした。また同調査に先立つ2011年の臨床研究では、新生児外眼部細菌感染症44例中43例(97.7%)で有効と判定され、検出菌は16例中13例(81.3%)で消失したことが報告されています。数字が示す有効性と安全性が、現場での信頼を築いてきました。


効能・効果として承認されている疾患は、眼瞼炎・涙嚢炎・麦粒腫・結膜炎・瞼板腺炎・角膜炎(角膜潰瘍を含む)・眼科周術期の無菌化療法です。赤ちゃんに多い先天性鼻涙管閉塞に伴う涙嚢炎や、分娩時に起因する結膜炎などでも実際に処方されます。


参考:トスフロ点眼液0.3%の基本情報(添付文書・副作用・薬効など)
日経メディカル – トスフロ点眼液0.3%の基本情報


参考:PMDA再審査報告書(新生児調査の安全性エビデンス)
PMDA – トスフロ点眼液・オゼックス点眼液 再審査報告書(平成26年8月)


赤ちゃんへのトスフロ点眼液の用法・用量と使用上の注意

添付文書上の用法用量は「通常、成人及び小児に対して1回1滴、1日3回点眼。疾患・症状により適宜増量する」と記載されており、新生児・乳児を含む赤ちゃんについても成人と基本的に同じ1日3回・1回1滴が原則です。


用量は成人と同じ1滴、が基本です。


ただし、小児・乳幼児に関しては以下の重要な注意点が添付文書に明記されています。


- 経過を十分に観察し、漫然と使用しないこと
- 成人に比べて短期間で治療効果が認められる場合がある


これは、現場の医療従事者にとって大きな意味を持ちます。たとえば結膜炎であれば、成人が1〜2週間の点眼を要するケースでも、赤ちゃんでは3〜5日程度で充血や目やにが改善するケースが実際に多く報告されています。症状改善後も「念のため」で使用を継続することは、耐性菌の出現リスクや菌交替現象を招く可能性があるため推奨されません。


また、他の点眼剤と併用する場合は、少なくとも5分以上の間隔を空けることが必須です。涙嚢部の閉塞予防や全身吸収を抑えるために、点眼後1〜5分間の閉瞼と鼻涙管(目頭)圧迫も重要な操作です。赤ちゃんは自分で目頭を押さえられないため、介護者または医療スタッフが指でやさしく鼻側の目頭を押さえる対応が求められます。鼻涙管への流入を防ぐ点が、全身曝露を最小化する鍵になります。


キノロン系過敏症の既往歴がある患者への使用は禁忌です。ショック・アナフィラキシーは重大な副作用として添付文書に記載されており、初回使用時は特に観察が必要です。その他の頻度の高い副作用としては、眼刺激(0.97%)・点状角膜炎等の角膜障害(0.65%)があります。いずれも局所反応であり、使用中止により改善するケースがほとんどです。


参考:くすりのしおり – トスフロ点眼液0.3%(患者向け情報)
RAD-AR – くすりのしおり:トスフロ点眼液0.3%


赤ちゃんへのトスフロ点眼液の正しい点眼手技

赤ちゃんへの点眼は大人と異なるアプローチが必要です。成人なら「下まぶたを引いて結膜嚢に直接落とす」手順が標準ですが、乳児・新生児は動き回り、力で抵抗することが多く、角膜を傷つけるリスクや過量点眼のリスクが生じます。


まず頭部の固定が最優先です。仰向けに寝かせ、施術者の両膝で頭部を挟むように固定する、またはもう1人が体を軽く抱える2人介助が理想的です。点眼を1人で行う保護者・看護師には次の手順を指導します。







































ステップ 手順 ポイント
手指を石鹸と流水で洗浄 汚染防止の基本。アルコール消毒も可
赤ちゃんを仰向けに寝かせ、頭を固定 泣いていても点眼可能(後述)
目が開いている場合:下まぶたを軽く引き、結膜嚢内に1滴 容器の先がまつ毛・眼球に触れないこと
目が閉じている場合:目頭(内眼角)に1〜2滴垂らす 自然な瞬きで薬液が眼内へ入る
点眼後1〜5分、目頭を軽く圧迫しながら閉眼させる 鼻涙管への流入を防ぎ全身吸収を抑える
あふれた薬液は清潔なガーゼで目頭から目尻方向に拭き取る 逆方向に拭くと汚染を広げるリスクがある


特に知っておくべきポイントは「目を閉じたままでも点眼できる」ことです。赤ちゃんが泣いて目をぎゅっとつぶっていても、目頭(鼻側の角)に薬液を1滴垂らし、少し待つか軽く目元を動かすと自然に眼内に入ります。無理にまぶたをこじ開ける必要はありません。


1回に複数滴を点眼することは不要です。結膜嚢の容量は約30µL、1滴(約30〜50µL)ですでに満杯になるため、2滴以上の点眼は余剰薬液を増やすだけで治療効果の上乗せにはなりません。むしろ鼻涙管経由の全身移行量が増加します。


他の点眼剤(たとえば人工涙液や抗アレルギー点眼薬)が同時に処方されている場合、最低5分の間隔を確保して順番に点眼します。1回あたりの点眼が終わったら次の薬まで砂時計などで5分測るよう保護者に説明すると、アドヒアランスが改善します。これは使えそうです。


参考:子どもへの点眼薬の使用方法について(薬剤師向け資料)
アスカ製薬 – 子どもの点眼薬の使用方法PDF


赤ちゃんへの抗菌点眼液の選択に影響するトスフロ販売中止の実情

2024年5月31日、日東メディック株式会社は「トスフロ点眼液0.3%」の販売を正式に中止しました。これは「オゼックス点眼液0.3%」(富士フイルム富山化学製造・大塚製薬発売)の製造販売承認が同日付で日東メディックへ承継されたことに伴う製品統合によるものです。経過措置期間の満了予定は2027年3月31日であり、2026年3月現在でも一部の在庫や経過措置の範囲内で旧製品が存在する可能性はありますが、新規処方はオゼックス点眼液0.3%への切り替えが実質的に完了しています。


切り替えは同じ成分です。


有効成分・濃度・用法用量はまったく同一(トスフロキサシントシル酸塩水和物0.3%、1日3回1滴)であり、小児・新生児への用法用量の承認も引き継がれています。切り替えにあたって医師・薬剤師が特別な用量調整を行う必要はなく、添付文書上の注意事項も実質的に同等です。


ただし医療現場では、処方箋の記載や電子カルテの薬剤マスタが未更新のまま「トスフロ点眼液」として入力されているケースが散見されることがあります。赤ちゃんへの処方時、調剤薬局でのヒヤリハット防止のため、処方箋には「オゼックス点眼液0.3%(旧トスフロ点眼液の代替品)」と明記するか、電子カルテ上の薬剤名を最新の状態にアップデートしておくことが重要です。


また、市中薬局でトスフロ点眼液の在庫切れを確認できた場合は、後発品(ジェネリック)のトスフロキサシントシル酸塩水和物点眼液各社品、または先発のオゼックス点眼液0.3%(2024年5月以降の正式販売品)への変更を検討します。いずれも赤ちゃんへの用法用量は同一なので問題ありません。厳しいところですね。


参考:トスフロ点眼液0.3%販売中止のご案内(日東メディック)
日東メディック – トスフロ点眼液0.3%販売中止ご案内PDF


参考:オゼックス点眼液0.3%製品情報(日東メディック)
日東メディック – オゼックス点眼液0.3%製品ページ


赤ちゃんへのトスフロ点眼液:見落とされがちな点眼回数増量と耐性菌リスク

通常の用法用量は1日3回ですが、添付文書には「疾患・症状により適宜増量する」と記されており、重症の角膜炎(角膜潰瘍を含む)では1日6〜8回まで増量するケースも臨床では存在します。この点が、赤ちゃんを含む小児で見落とされやすい視点です。


増量の根拠は明確にしておく必要があります。ただし増量が必要なケースは比較的重症であり、多くの新生児・乳児の外来診療で遭遇する結膜炎・眼瞼炎・麦粒腫などの軽症〜中等症では1日3回を超える点眼はほぼ不要です。不必要な頻回点眼は保護者の疲弊・アドヒアランス低下・薬剤コンタミネーション(開口部汚染)のリスクにつながります。処方時には「今回は1日3回で十分」と保護者に明確に伝えることが、医療安全の観点からも重要です。


耐性菌リスクについても整理します。トスフロキサシンはキノロン系薬の中でも広スペクトルを持ちますが、2014年のPMDA再審査報告書では黄色ブドウ球菌のMIC90が4µg/mLと、承認時(25µg/mL以上)から大幅に改善されているデータが示される一方、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に対してはMIC90が高い傾向があります。培養・感受性試験で耐性が確認された場合は、異なるクラスの抗菌点眼薬への変更を検討することが原則です。


また、抗菌点眼薬は通常1〜2週間での使用終了が推奨されており、長期間の使用は菌交替現象(もともといなかった耐性菌が増殖する現象)を招くリスクがあります。結膜炎が長引く場合は、再診時に涙嚢炎の合併や先天性鼻涙管閉塞の評価を行うことも視野に入れてください。


特にNICU(新生児集中治療室)や周産期病棟での使用においては、複数の新生児が近接して管理されていることから、点眼ボトルの共有は絶対に行わないこと、ならびに1本の使用期間の管理(開封後の有効期限を病棟内でルール化する)も求められます。開封後のトスフロ/オゼックス点眼液の使用期限は基本的に開封後1ヶ月とされていますが、新生児・乳幼児では点眼時に容器先端が汚染されやすいため、治療が終了したら廃棄することが推奨されています。1本使い回しは厳禁です。


参考:新生児の外眼部細菌感染症に対するトスフロキサシントシル酸塩水和物点眼液の有効性・安全性(2011年)
医書.jp – 新生児の外眼部細菌感染症に対するトスフロキサシン点眼液の有効性・安全性




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