市販のアボカドオイルの約82%は、他の安価な油と混ぜられているか品質が劣化しています。
アボカドオイルを料理に使う最大のメリットは、その驚くほど高い発煙点にあります。発煙点とは、加熱によってオイルが煙を出し始める温度のことです。煙が出た状態になると、油の中に有害物質が発生し、食材と一緒に体内に入ってしまうリスクがあります。
精製したアボカドオイルの発煙点は約271℃(520°F)で、これはサラダ油(約230℃)やオリーブオイル(約176〜243℃)を大きく上回ります。これが原則です。
つまり、家庭での炒め物はもちろん、180〜190℃が目安とされる揚げ物にも十分余裕を持って対応できます。「熱に弱い健康オイル」というイメージとは正反対なのが、アボカドオイルの面白いところです。
| 油の種類 | 発煙点 | 揚げ物への適性 |
|---|---|---|
| アボカドオイル(精製) | 約271℃ | ◎ |
| サラダ油 | 約230℃ | 〇 |
| オリーブオイル(EV) | 約176℃ | △ |
| ごま油 | 約177℃ | △ |
風味はバターのようなマイルドなコクがありながら、オリーブオイルのような独特の香りが少ないため、和食・洋食・中華を問わずどんなレシピにも馴染みやすいです。使い方としては次のような場面が特に向いています。
- 生食(ドレッシング):大さじ1のアボカドオイル+レモン汁大さじ1+塩少々を混ぜるだけで、シンプルなサラダドレッシングが完成。オリーブオイルよりもあっさり仕上がります。
- 炒め物:ほうれん草や野菜炒めに使うと、素材本来の旨味を引き出しながらコクが加わります。使う量は小さじ1〜2杯程度で十分です。
- 揚げ物・天ぷら:高温でも酸化しにくいため、天ぷらや唐揚げなどの揚げ物に使うと、カラリと仕上がります。
- パン・お菓子作り:バターの代わりにアボカドオイルを使うと、カロリーを抑えながらしっとり感を出せます。
1日の目安量は大さじ1〜2杯程度です。ただし油は1gあたり約9kcalと高カロリーなので、食べすぎには注意が必要です。これだけ覚えておけばOKです。
アボカドオイルには、目の老化防止に役立つ「ルテイン」も豊富に含まれています。ルテインは加齢性黄斑変性症(視野の中心が欠けるなどの目のトラブル)のリスクを下げる成分として注目されており、1日10mgの継続摂取が推奨されています。料理に取り入れることで、毎日少しずつ補えます。
アボカドオイルの栄養成分について、農林水産省の「食品成分データベース」も参考になります。
スキンケアでアボカドオイルを使うとき、多くの方が「しっとりするから化粧水なしでも大丈夫では?」と考えがちです。しかしこれはNGです。
オイルだけを乾いた肌に塗っても、水分を補給することはできません。洗顔後の肌は水分が飛びやすい状態になっているため、まず化粧水で水分を充分に与えてから、アボカドオイルでフタをするのが正しい使い方です。これが基本です。
正しいスキンケアの順番は次のとおりです。
1. 洗顔:汚れや余分な皮脂をしっかり洗い流す
2. 化粧水:コットンや手のひらで、肌がしっとりするまでしっかりなじませる
3. アボカドオイルを1〜2滴:両手のひらで温めてから、顔全体にやさしく押さえるように伸ばす
量は1〜2滴が目安です。はがきの横幅(約10cm)程度の範囲を覆うだけの量で、顔全体に行き渡ります。アボカドオイルの主成分であるオレイン酸は人の皮脂と同じ成分なので、肌との相性が抜群で、少量でもスッと浸透していきます。これは使えそうです。
アボカドオイルをスキンケアに使う理由として特筆すべきなのが、ビタミンEの含有量です。アボカドオイルのビタミンEはオリーブオイルの約2倍とも言われています。ビタミンEは「若返りビタミン」とも呼ばれ、血行を促進して肌のターンオーバーを整え、シミやくすみの改善をサポートしてくれます。
夜のスキンケアにはアボカドオイルをそのまま使い、朝は紫外線を受けるため、オイルはごく少量にとどめるか、日焼け止め成分の入ったクリームで仕上げるのがおすすめです。乾燥が気になる季節(特に冬)は、アボカドオイルに酸化しにくいアルガンオイルを1:1でブレンドすると、べたつきを抑えながらより高い保湿効果が得られます。
ボディケアにも活用できます。かかと・ひじ・ひざなど、角質が固くなりやすい部位にお風呂上がりにたっぷり塗り込むと、翌朝にはなめらかさを実感できます。粘度が高いオイルのため、体が温まったお風呂上りに使うのがポイントです。
スキンケアオイルの使い方について、信頼性の高い皮膚科学系の情報も確認しておきましょう。
アインズラボ:アボカドオイルでしっとりエイジングケア(スキンケア使い方の詳細解説)
アボカドオイルは、髪のケアにも役立てることができます。意外と見落とされがちな使い道です。
髪の傷みや乾燥が気になる方は、シャンプー前のプレトリートメントとして使う方法がおすすめです。この方法は日本のサロンでも「オイルトリートメント」として行われており、シャンプーの洗浄力で髪が傷むのを防ぐ目的があります。
具体的な手順は次のとおりです。
- シャンプー前のプレトリートメント:乾いた髪の毛先を中心に、アボカドオイルを3〜5滴なじませてから10分ほど置き、その後シャンプーする。毎週1〜2回行うと、パサつきが改善されやすいです。
- お風呂後のアウトバストリートメント:タオルドライ後、まだ湿った状態の毛先に1〜2滴なじませる。ドライヤーの熱によるダメージを軽減できます。
- スカルプマッサージ(週1回の頭皮ケア):アボカドオイルを大さじ2〜3杯、耐熱容器でぬるめのお湯を使って人肌程度に温めてから頭皮にもみこみ、10〜15分置いてからシャンプーする。乾燥した頭皮がしっとりと柔らかくなります。
アボカドオイルに含まれるオレイン酸・ビタミンE・必須脂肪酸は、頭皮と髪の水分を保持し、傷んだキューティクルを保護する働きが期待されています。いいことですね。
ただし髪に使いすぎると、べたつきや油感が残ることがあります。「少量を丁寧に」が原則です。洗い残しにもつながるため、シャンプー前に使う場合はすすぎをしっかり行いましょう。
実は、スーパーや通販で売られているアボカドオイルの大多数が、品質問題を抱えている可能性があります。
カリフォルニア大学デービス校の研究チームが発表した調査では、市販のアボカドオイルの約82%が「酸化済み」または「別の安価なオイルと混ぜられている」ことが判明しました。また別の調査では、「100%ピュアなアボカドオイル」と表示されていながら、実際のアボカドオイル含有量が20%未満だったブランドも存在したと報告されています。
健康のためにわざわざ選んだのに、中身が別のオイルだったとしたら、お金と健康が両方損をします。痛いですね。
品質の良いアボカドオイルを選ぶ際の目安は以下のとおりです。
| チェック項目 | 良い表示の例 |
|---|---|
| 製法 | 「コールドプレス」または「低温圧搾」 |
| グレード | 「エクストラバージン(Extra Virgin)」 |
| 原材料 | アボカドのみ(混合油でないこと) |
| 色 | 未精製品は濃い緑〜黄緑色が目安 |
| 認証 | オーガニック認証・第三者機関の品質認証があるもの |
開封後の保管も重要です。アボカドオイルは天然オイルの中では酸化しにくい部類に入りますが、直射日光・高温・空気は劣化の大敵です。「冷暗所=冷蔵庫」と思いがちですが、実際には15〜25℃以下の遮光できる棚や引き出しがベストです。冷蔵庫に入れると成分が固まってしまう場合があるので注意しましょう。
開封後は約1〜3ヶ月以内に使い切ることを目安にします。使うたびにしっかりキャップを締め、空気との接触を最小限にする習慣がオイルの寿命を延ばします。「使い切れるサイズを選ぶ」というのも、品質を守るうえで大切な選び方のポイントです。
アボカドオイルの品質に関する調査については、下記のオリーブオイルタイムズの記事(英語研究の日本語解説)が参考になります。
オリーブオイルタイムズ:市販アボカドオイルの82%が偽装または低品質と判明した研究
ここからは、料理・美容・ヘアケアをバラバラに使うのではなく、1本のアボカドオイルを「朝・晩のルーティン」に組み込む実践的な方法をご紹介します。1本で全部まかなえるというのが、アボカドオイルならではの強みです。
朝のルーティン(所要時間:プラス3分)
朝食時にサラダや目玉焼き、トーストに小さじ1杯かけるだけで、1日に必要なオレイン酸の補給が手軽にできます。特にトーストにバターの代わりにアボカドオイルをさっとかけて、塩を少し振るだけでおしゃれなオープンサンド風に仕上がります。朝の忙しい時間でも取り入れやすい方法です。
夜のルーティン(所要時間:プラス5分)
この流れを習慣にすれば、1本のアボカドオイルで食事・スキンケア・ボディケアが完結します。結論は「1本を毎日少しずつ使い切る」が最も理にかなった活用法です。
気になるコストについては、国内で流通するエクストラバージンのアボカドオイル(230〜250ml)は1,000〜1,500円前後が平均的な価格帯です。1日の使用量が小さじ1〜2杯(5〜10ml)程度であれば、1本で約25〜50日間使えます。1日あたり約30〜60円の計算になります。高品質な美容クリームやサプリを別々に購入するコストと比べれば、非常にコスパの良い選択と言えるでしょう。
アボカドオイルの成分やオレイン酸の健康効果については、下記のハーパーズバザー記事(管理栄養士監修)も合わせて確認してみてください。
Harper's BAZAAR:アボカドオイルとオリーブオイルの違いを栄養士が解説