チャービルはイタリアンパセリの代用になるどころか、火を通すと風味がゼロになります。
チャービルという名前は、日常の買い物ではほとんど見かけないかもしれません。ところが、ショートケーキや洋菓子のデコレーションに使われているレースのような緑の葉、あれがチャービルである場合がとても多いのです。つまり知らないうちに目にしている、非常に身近なハーブと言えます。
チャービルはセリ科シャク属の一年草で、原産地はロシア南部から西アジアにかけてのエリアです。古代ローマ時代にはすでに食用・薬用として用いられていたという記録があり、2000年以上の歴史を持つハーブです。現在はフランス料理で欠かせないハーブとして知られており、日本国内では長野県などで国産栽培が行われています。
「チャービル」は英語名で、フランス語では「セルフィーユ(cerfeuil)」と呼ばれます。同じものです。さらにドイツ語では「ケアベル」、イタリア語では「セルフォッツォ」、日本の和名では「茴香芹(ういきょうぜり)」とも言います。国ごとに呼び方が異なるため混乱しがちですが、すべて同じハーブを指しています。
フランス料理によく使われることから「フレンチパセリ」と呼ばれることもあります。また料理家や食通から「美食家のパセリ」とも称されています。つまり一つの植物が「チャービル=セルフィーユ=フレンチパセリ=美食家のパセリ」という複数の呼び名を持っている、ということだけ覚えておけばOKです。
| 呼び名 | 言語・由来 |
|---|---|
| チャービル(Chervil) | 英語名 |
| セルフィーユ(Cerfeuil) | フランス語名 |
| フレンチパセリ | フランス料理での通称 |
| 美食家のパセリ | 食文化における愛称 |
| 茴香芹(ういきょうぜり) | 日本語の和名 |
スーパーではエスビー食品やオーケーネットスーパーなどで取り扱いがあり、価格は1パック(15〜30g)あたり200〜500円程度が相場です。大型スーパーや輸入食材店で見かけることが多く、見つからない場合は楽天市場やAmazonの通販でも購入できます。
参考:チャービルの特徴や栄養効果について詳しく解説されています。
見た目がよく似ているため混同されやすいチャービルとイタリアンパセリですが、実際には植物学的な分類から異なります。そこが意外なポイントです。
まず分類の違いから整理すると、イタリアンパセリはセリ科オランダゼリ属、チャービルはセリ科シャク属です。同じセリ科でも「属」が違います。いとこ同士のような関係で、似ているけれど別の植物という認識が正しいのです。
葉の硬さも大きく違います。イタリアンパセリは噛むとシャキシャキとした歯ごたえがあり、料理に使うと存在感が出ます。一方チャービルの葉は柔らかく、サラダの中に混ぜても違和感なく食べられるほどです。葉の柔らかさがハガキ1枚分ほどの薄さをイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。
香りの方向性もまったく異なります。
この香りの違いこそが、料理での使い分けに直結します。濃い味付けの料理にはイタリアンパセリ、素材の風味を活かしたい淡い料理にはチャービルというのが料理家の基本的な使い分けです。チャービルの方が主張しない分、どんな料理にも合わせやすいという特徴があります。これは使えそうです。
参考:イタリアンパセリの特徴と使い分けについて詳しい解説があります。
イタリアンパセリとパセリはどう違う?料理初心者でも迷わない完全ガイド
チャービルを使いこなす上で最も重要なポイントは、「加熱NG」という鉄則です。チャービルの繊細な甘い香りは、熱を加えるとほぼ完全に飛んでしまいます。加熱してしまうと、緑色の飾りにしかならなくなってしまうのです。イタリアンパセリなら炒め物の最後に加えることもできますが、チャービルはそれができません。そこが大きな違いです。
では、どのように使えばよいのでしょうか?基本は「仕上げに生のまま添える」が原則です。
スープに使う場合のみ例外があり、チャービルをたっぷり使ったポタージュ「クレームデュバリー」のようなフランスの伝統料理では、スープ自体の食材として加えることもあります。ただしこの場合も「素材として煮込む」という使い方であり、香り付けで加熱するのとは目的が異なります。
「フィーヌゼルブ(Fines herbes)」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。これはフランス料理の基本的なミックスハーブで、チャービル・フレンチタラゴン・チャイブ・イタリアンパセリの4種類を細かく刻んで混ぜたものです。このブレンドにチャービルは必須の素材として含まれており、フランス料理における位置づけの高さがわかります。
チャービルが余った時の活用法として、刻んでオリーブオイルに漬けた「チャービルオイル」を作っておくと、パスタやカルパッチョにサッと使えて便利です。冷蔵で3〜4日保存できます。
参考:チャービルをはじめフランス料理で使うハーブの使い方と加熱に関する注意点が詳しく掲載されています。
レースのように繊細な見た目 フランス料理に欠かせないハーブ チャービル(The Spice)
チャービルは料理の見た目を整えるだけのハーブではありません。実は女性にとって嬉しい栄養素が集まったハーブでもあります。飾り用に使うだけではもったいない、ということですね。
チャービルに含まれる主な栄養素は以下の通りです。
さらにチャービルには利尿作用と血液浄化作用があります。これによりむくみの解消やデトックス効果が期待できます。また、ビタミンCとβ-カロテンの相乗効果により肌のターンオーバーをサポートする美肌効果も期待されています。
中世ヨーロッパでは、復活祭前の「四旬節」にチャービルのスープを飲んで疲労回復する習慣があったと記録されています。単なる飾りハーブではなく、古くから健康食として重宝されてきた歴史があるのです。
チャービルを使ったハーブティーも手軽に楽しめます。生葉または乾燥チャービルをお湯で抽出するだけで、血液浄化・むくみ解消が期待できるスッキリしたお茶になります。むくみが気になる時期に取り入れてみると良いでしょう。
参考:チャービルの具体的な栄養素と健康効果が一覧でまとめられています。
チャービルとは?効果と栄養素について|みてミル 健康情報サイト
せっかく購入したチャービルやイタリアンパセリをすぐに傷ませてしまうのは、家計にとっても残念なことです。正しい保存方法を知っているかどうかで、使える日数がまったく変わってきます。
チャービルの保存で最も重要なのは、乾燥を防ぐことです。水で湿らせて軽く絞ったキッチンペーパーにチャービルを包み、ポリ袋または保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室に立てて保存します。この状態で冷蔵保存できるのは2〜3日が目安です。香りが命のハーブなので、早めに使い切るのが基本です。
もう一つの保存方法として、容器に少量の水を入れてチャービルの茎を浸した状態で冷蔵庫に置く方法もあります。切り花のように管理するイメージで、水は毎日取り替えます。この方法だと3〜5日程度持たせられることもあります。
冷凍保存もできますが、解凍すると葉が柔らかくなり飾り用には使えなくなります。香り付け目的であれば、刻んだチャービルを小分けにして冷凍しておく方法が便利です。ただし風味は若干落ちるため、2週間以内に使い切るのが理想です。
イタリアンパセリの保存は、チャービルよりも若干日持ちが良く、同様に湿らせたキッチンペーパーで包んで冷蔵保存すると4〜5日程度使えます。葉が硬い分、水分保持力が少し高いためです。
代用の考え方:チャービルがない時・イタリアンパセリがない時
チャービルが手に入らない時は、仕上げの飾り用であればイタリアンパセリで代用できます。香りの方向性が少し変わりますが、見た目のグリーンを添えるという目的は達成できます。デザートの飾りであれば、ミントも代用候補になります。
逆にイタリアンパセリが手に入らない時の代用候補は以下の通りです。
どちらのハーブも「なるべく冷蔵で2〜3日以内に使い切る」が基本です。それだけ覚えておけば大丈夫です。購入時は使い切れる量を考えて、小さなパックを選ぶと無駄が出にくくなります。SBフーズのフレッシュハーブシリーズはスーパーで手に入りやすく、チャービルも取り扱っているため参考にしてみてください。
参考:イタリアンパセリの代用食材ごとの使い方と分量の目安が詳しく解説されています。
イタリアンパセリの代用におすすめの食材6選!パセリとの違いも解説|grape