フェットチーネを毎日茹でている主婦ほど、太さの選び方を間違えてソースが絡まず損しています。
フェットチーネ(Fettuccine)はイタリア語で「小さなリボン」を意味します。語源となる「fetta(フェッタ)」はイタリア語でスライスや薄切りを意味し、そこから来た愛称が「fettucce(フェッチェ)=リボン」→「fettuccine(フェットチーネ)=小さなリボン」です。
パスタはその形状によって大きく分類されます。スパゲッティのような円形断面のロングパスタ、リガトーニのような筒形のショートパスタ、そしてフェットチーネのような平打ちのロングパスタ、この3系統が主要なカテゴリです。フェットチーネは「平打ちロングパスタ」に分類されます。
幅は約6〜9mmほど。はがきの短辺が約10cmですから、そのちょうど1/10強の細い帯状の麺、とイメージしてください。厚みは約1〜2mmで、表面がなめらかなのが特徴です。
つまり「平たくて幅広のリボン麺」が基本です。
日本では生パスタブームとともに広まり、スーパーの乾麺コーナーでも「フェットチーネ」と表記された商品を見かけるようになりました。ニップンやバリラ、ディ・チェコなど複数のブランドから乾麺が発売されており、手軽に入手できます。
フェットチーネと混同されがちなパスタがあります。それが「タリアテッレ(Tagliatelle)」です。見た目はほぼ同じリボン状の平打ち麺ですが、出身地と幅がわずかに異なります。
タリアテッレはイタリア・エミリア=ロマーニャ州ボローニャが本場で、幅は約8〜10mmとフェットチーネよりやや広め。イタリア商工会議所(CCI)には「タリアテッレの正しい幅は、ボローニャのアルキジンナジオ図書館に保管された黄金のタリアテッレ見本に基づき、調理前12.27mmと定められている」という記録があるほど、ボローニャでは国民的なプライドを持った麺です。
一方フェットチーネはローマを中心とするラツィオ州が発祥。同じように見えて、地域のアイデンティティが違います。
| 項目 | フェットチーネ | タリアテッレ |
|------|------------|------------|
| 発祥地 | ラツィオ州(ローマ) | エミリア=ロマーニャ州(ボローニャ) |
| 幅の目安 | 約6〜9mm | 約8〜12mm |
| 厚み | 約1〜2mm | 約1〜2mm |
| 合うソース | クリーム、トマト、ミート | ボロネーゼ(肉系ミート) |
「どちらでも同じでは?」と思うかもしれませんが、幅の差がソースの絡み方に影響します。少し広いタリアテッレはより重厚なボロネーゼに向き、フェットチーネはクリーム系でも軽やかにまとまりやすいのです。意外ですね。
家庭で料理をするとき、この2種を置き換えても大きな問題はありませんが、「ボロネーゼを作るならタリアテッレ」「カルボナーラやクリームなら少し細めのフェットチーネ」と覚えておくと仕上がりのレベルが上がります。
フェットチーネは「ソースを抱え込む力」が強い麺です。これが最大の特徴です。
表面積の広い平打ち形状は、ソースが絡みやすく、一口食べたときに麺とソースが一体化したリッチな口当たりになります。スパゲッティのような丸麺だとソースが下に落ちやすく、皿の底にたまってしまうこともありますが、フェットチーネはその心配が少ない。これは使えそうです。
特に相性がいいソースは以下の通りです。
逆に、ペペロンチーノのようなオイルベースの軽いソースとの相性はあまりよくありません。油は麺の表面をすべってしまいやすく、フェットチーネの幅広な形状では絡みが薄く感じられがちです。「ペペロンチーノはスパゲッティに任せる」が原則です。
茹で時間はパスタの出来を左右します。これは必須の知識です。
乾麺のフェットチーネは、メーカーによって異なりますが目安は8〜12分です。バリラ製品は約10分、ディ・チェコは約11分を推奨しています。スパゲッティ(一般的に7〜9分)より長めと覚えておきましょう。
生パスタのフェットチーネは全く異なります。市販の生パスタや手打ちのフレッシュタイプは2〜3分で十分で、長く茹ですぎると柔らかくなりすぎてソースとのバランスが崩れます。乾麺と生パスタで茹で時間を同じにするのはNGです。
アルデンテに仕上げるには、パッケージ記載の時間より1分早めに引き上げて、ソースのフライパンで残り加熱する方法が有効です。麺がソースを吸いながら仕上がるので、全体の一体感が増します。
茹でる際の塩の量も重要なポイントです。目安はお湯1リットルに対して塩10g、約小さじ2杯。海水に近い塩分濃度が、麺の芯まで下味をつけます。これを省略すると、いくら美味しいソースを作っても「なんか薄い」という印象になります。
茹で汁を少量とっておくことも忘れずに。でんぷんが溶けた茹で汁はソースと乳化し、なめらかなとろみを作ります。大さじ2〜3杯を残しておくだけで仕上がりが変わります。これは料理上手の主婦が必ずやっていることです。
「フェットチーネって難しそう」と思いがちですが、実は普段のスパゲッティより失敗が少ないパスタです。
クリーム系ソースはオイル系と違い、乳化(油と水が混ざる状態)を細かくコントロールしなくていいため、加熱中に分離しにくく扱いやすいのです。特に初めてフェットチーネを使う方には、まず生クリームとベーコンだけで作るシンプルなクリームソースから試すのをおすすめします。
フェットチーネ・シンプルクリームソースの材料(2人分)
手順の概略
① フェットチーネをたっぷりの塩湯で茹で始める(乾麺なら10分前後)。
② フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて弱火で香りを出し、ベーコンを炒める。
③ 生クリームを加えて中火で軽く煮詰め、茹で汁大さじ2を加えてなじませる。
④ 麺を1分早く引き上げてフライパンへ。チーズを加えてよく絡め、塩・こしょうで整える。
調理時間は茹で時間込みで15分以内で完成します。短い。
チーズはスーパーで購入できる粉チーズでも代用できますが、塊のパルミジャーノ・レッジャーノを細かく削ると風味が段違いです。
なお、冷凍保存したフェットチーネを使う場合は、凍ったまま茹で湯に投入してOKで、時間は+2分ほどを目安に。市販の冷凍フェットチーネは「マ・マー」や「日清フーズ」からも展開されており、忙しい日の夕食に重宝します。
また、カルボナーラを本格的に作る場合は生クリームを使わず、卵黄とチーズだけで仕上げるのがイタリア流です。ただし卵黄が固まりやすいため、火を止めてから混ぜることと、茹で汁で温度を下げながら作業するのがコツ。平打ち麺は卵黄ソースが絡む面積が広いため、丸麺よりもカルボナーラに向いているという意見もあります。
手打ちのフェットチーネは、主婦が「料理上手」と言われるきっかけになる一品です。
材料はシンプルで、小麦粉と卵だけ。ただし小麦粉の種類が食感を大きく左右します。イタリアでは「00粉(ドッピオゼロ)」と呼ばれる超薄力粉を使うのが一般的で、細かく挽かれた粉はなめらかな舌触りと伸びのよい生地になります。日本では輸入食材店(カルディや富澤商店など)で購入できます。
日本で一般的な薄力粉でも作れますが、グルテンが少ない分、生地がまとまりにくいことがあります。デュラム小麦のセモリナ粉(乾麺の原料)を2〜3割混ぜると、もちっとした歯ごたえが出て家庭でもプロに近い仕上がりになります。
手打ちフェットチーネの基本比率(2人分)
粉に卵を割り入れてこね、まとまったらラップで30分以上休ませます。生地を休ませることでグルテンが落ち着き、伸ばしやすくなります。これが条件です。
伸ばした生地を6〜8mm幅に切り分ければフェットチーネの完成。パスタマシンがあれば均一に伸ばせますが、麺棒でも十分です。フライパンや鍋のふたを使って均一に押さえる主婦のアイデアもSNSで話題になっています。
手打ちの生パスタは冷凍保存が可能で、打ち粉をしてバラバラにした状態でジッパー袋に入れると約1ヶ月保存できます。まとめて作っておくと、忙しい日の即戦力になります。
フェットチーネとは、実は「家で作れるパスタ」の筆頭です。スパゲッティは市販の乾麺を超えられませんが、生パスタのフェットチーネは家庭の手打ちが最高においしいと言われるほどシンプルな素材で映えます。ぜひ週末の料理チャレンジに取り入れてみてください。
参考リンク:
フェットチーネの正しい名前の由来とイタリアの平打ちパスタの種類についての詳細な情報はこちらで確認できます。
手打ちパスタの作り方と小麦粉の選び方について、料理研究家監修のわかりやすい解説が掲載されています。
デュラム小麦セモリナ粉の特徴と乾麺との比較については以下のサイトが詳しいです。