浸水した水を捨てると、せっかくのビタミンを丸ごと捨てているんです。
胚芽米を炊くとき、「白米と同じでいいかな」と思ってそのまま炊いてしまっていませんか。実は、白米とはほんの少しだけ水加減が違います。
胚芽米1合(約150g・180ml)に対して、必要な水の量は約210mlです。白米の場合の水量は180〜200ml程度ですから、差は小さじ2杯ほど。コップ半分にも満たない差ですが、この差が炊き上がりのふっくら感に直結します。
なぜ少し多めが必要なのでしょうか?胚芽米は胚芽部分を残しているため、白米よりも水分量がもともと少ない状態になっています。その分、水をほんの少し足してあげることでバランスが取れ、ふっくらと炊き上がります。
水は多すぎてもベチャつく原因になります。まずは白米の目盛りから小さじ1〜2杯足すところから始めるのがおすすめです。炊飯器によって微妙に差が出るので、自分の炊飯器の説明書も一度確認しておくと安心です。
| お米の種類 | 1合あたりの水量 | 備考 |
|---|---|---|
| 白米 | 約180〜200ml | 炊飯器の目盛り標準 |
| 胚芽米 | 約200〜210ml | 白米より小さじ1〜2杯増し |
| 玄米 | 約240〜360ml | 1.3〜2倍が目安 |
水の量が決まったら、次に重要なのは計量の仕方です。炊飯器の内釜に水を入れたら、必ず水平な台に置き、目線を釜の目盛りと同じ高さに合わせて確認してください。斜めから見ると水量のズレが生じやすく、毎回炊き上がりが変わる原因になります。
胚芽米は水加減が基本です。
参考:お米のおいしい炊き方(胚芽精米)
https://www.3284rice.com/fun/oishiku/takikata_09/
胚芽米の炊き方で、洗い方と浸水の工程は特に丁寧にやっておきたい部分です。ここを適当にすると、どんなに良い水加減にしても炊き上がりが台無しになります。
まず洗い方から確認しましょう。胚芽米の胚芽は力を入れてとぐと簡単に剥がれてしまいます。1回目はお米を入れた内釜に一気に水を入れてさっとすすぎ、すぐに水を捨てます。これは、最初に触れた水を吸収しやすいお米が、とぎ汁のぬかを吸い込むのを防ぐためです。2〜3回目は水をためながら、手でやさしくかき混ぜる程度にとどめます。ゴリゴリと研ぎ洗いするのはNGです。
洗い方はやさしく、が原則です。
次に浸水です。胚芽米は白米より硬いため、十分に水を吸わせないと芯が残ったり、ぼそっとした食感になります。季節を問わず60分以上の浸水が理想的で、冬場は2時間ほどを目安にするとより確実です。
ここで多くの人がやりがちなNG行動があります。それは「浸水に使った水を捨てて新しい水に替える」ことです。実は、胚芽米を浸した水にはビタミンB1などの水溶性ビタミンが溶け出しています。この水を捨てると、せっかくの栄養を丸ごと捨てていることになります。浸水した水はそのまま炊飯に使いましょう。
また、夏場の浸水には注意が必要です。気温が高い時期に常温で長時間浸水すると、水が傷んでにおいが出ることがあります。夏場は内釜ごと冷蔵庫に入れて浸水させるのが安全で確実な方法です。
参考:栄養豊富な「胚芽米」、炊飯器でおいしく炊く方法は?(栄養士監修)
https://smartagri-jp.com/food/7963
胚芽米が注目される理由のひとつが「GABA(ギャバ)」という成分です。GABAはアミノ酸の一種で、血圧を下げる効果や、ストレス・緊張を和らげる働きがあるとされています。血圧が高めで気になっている方には特に意識してほしい成分です。
驚くことに、胚芽米は炊き方によってGABAの量が最大10倍も変わります。それが、浸水の温度と水の性質です。
ポイントは次の2つです。まず、浸水に使う水を40℃前後のぬるま湯にすること。常温の水で浸した場合と比べ、40℃のぬるま湯で1時間浸すとGABAの生成量が飛躍的に増えます。東北食糧の公式情報によれば、すぐに炊いた場合と比べて10倍の差が出るとされています。
これは使えそうです。
もうひとつは、水を弱酸性にすること。GABAはpH7.0以上のアルカリ性の水ではほとんど生成されません。pH5.5〜6.0程度の弱酸性の環境が最も効率よくGABAを増やせます。方法は簡単で、ぬるま湯に食酢を小さじ1杯加えるだけです。酢のにおいは炊飯中に飛ぶので、炊き上がったご飯に酸っぱさは残りません。
市販のミネラルウォーターの多くはpH7前後のものが多いため、普段ミネラルウォーターで炊いている方は注意が必要です。水道水(pH6.5〜7.5程度)と同じく、酢を少し加えて調整するのが確実です。
GABAは血圧を下げる効果を得るために1日6〜10mgの摂取が目安とされており、胚芽米に換算すると1合(茶碗に軽く3杯分)に相当します。毎日の食卓にある胚芽米から効率よくGABAを摂るために、この一手間はとても価値があります。
参考:胚芽精米の炊き方 GABAとアルカリ水について(株式会社東北食糧)
https://www.tohoku-rice.com/haigaseimai/takikata/
胚芽米を初めて炊く方からよく聞かれるのが「炊飯器のモードはどれを選べばいいの?」という質問です。結論は明確で、白米モード(または普通モード)で問題ありません。
玄米モードは必要ありません。玄米モードは長時間かけてじっくり加熱するプログラムで、糠層が厚い玄米向けに設計されています。胚芽米は糠層をほぼ取り除いていますから、白米と同様の炊飯時間で十分に火が通ります。玄米モードで炊くと逆に炊き過ぎになり、食感がべちゃっとなることがあります。
炊飯器の内釜にお米を入れたら、表面を平らにならしてからスイッチを入れましょう。お米が内釜内で均一に広がっていると、炊きムラが少なくなります。
炊き上がり後の「蒸らし」と「ほぐし」も重要です。蒸らしは炊飯器が自動でやってくれることがほとんどですが、その後すぐにふたを開けてほぐしましょう。ほぐしはしゃもじを内釜の縁に沿って一周させてからご飯を十文字に4等分し、底からまんべんなく空気を入れるように混ぜます。余分な水蒸気が飛んで、ご飯に透明感と光沢が出ます。
ほぐしが条件です。
そして、炊き上がった胚芽米の保温はできるだけ避けてください。胚芽米は白米に比べて保温中に味が落ちやすく、脂質の酸化が早まりやすいとされています。食べきれない分は1食分ずつラップに包み、粗熱が取れたら冷凍保存するのが最もおいしさを長持ちさせる方法です。冷凍した胚芽米は電子レンジで温めると炊きたてに近い状態に戻ります。
参考:胚芽米とは?玄米との違いや栄養・美味しい炊き方をご紹介(デリッシュキッチン)
「胚芽米に切り替えたいけれど、家族が嫌がりそう…」という方には、白米と胚芽米を混ぜて炊く方法がおすすめです。いきなり全量を胚芽米にするのではなく、段階的に移行することで、家族も気づかないうちに慣れていきます。
混ぜて炊く場合の基本的な考え方はシンプルです。白米8:胚芽米2からスタートして、慣れてきたら6:4、5:5と割合を増やしていきます。この比率であれば、炊き上がりの見た目も食感もほとんど白米と変わらないため、子どもや胚芽米が苦手な家族からの抵抗も少なくなります。
混ぜて炊くときの水加減も基本は同じです。白米と胚芽米の合計量に対して、白米の目盛りより小さじ1程度多めにするだけで問題ありません。割合が5:5を超えてきたら小さじ2程度に増やしてみてください。
意外なことに、混ぜて炊くと胚芽米特有のぬかっぽさが和らぎ、食べやすくなる方も多いです。胚芽米だけで炊くと少し独特な風味が気になるという方も、白米と混ぜることで食べやすさが増します。
続けることが大切ですね。
また、胚芽米は開封後、白米より酸化が早い点も覚えておくとよいでしょう。胚芽部分の脂質が空気に触れると酸化が進み、においや風味の低下につながります。購入後は密閉容器に移し替えて冷蔵保存(または冷暗所)するのがベストです。1〜2ヶ月を目安に使い切ることを心がけてください。
胚芽米を購入する際は、「胚芽精米(はいがせいまい)」という表示を確認しましょう。胚芽を8割以上残した基準を満たすものが「胚芽精米」と呼ばれます。スーパーや米穀店のほか、オンラインでも購入できます。各都道府県の銘柄米を胚芽精米に仕上げたものも流通しているので、好みの産地・銘柄を選ぶ楽しみもあります。
参考:胚芽米の炊き方と混ぜ炊き法|白米と無理なく切り替える考え方
https://sukko.jp/genmai-haigamai-takikata/