野菜を毎日しっかり食べさせているつもりでも、腎臓病の家族の血液検査でカリウム値がかえって上がってしまうことがあります。
「カリウム制限が必要」と医師に言われたとき、最初に疑問に思うのは「どのくらい制限すればいいのか」ということではないでしょうか。実はカリウム制限は、腎臓病のすべてのステージで必要なわけではありません。これが原則です。
日本腎臓学会のガイドラインによると、カリウム制限が推奨されるのは慢性腎臓病(CKD)のステージG3b以上からとされています。ステージG3bではカリウムの1日摂取量を2,000mg以下、ステージG4〜G5(透析直前・透析中)では1,500mg以下に制限することが目標です。
日本人が普通の食事をするとカリウムを1日2,500〜3,500mg前後摂取しているといわれています。つまりステージG4〜G5の方は、普通の食事の半分以下にカリウムを抑えなければならないことになります。これは想像以上に厳しい管理です。
宅配のカリウム制限食(腎臓病食)では、1食あたりのカリウム量を500mg以下に設定しているサービスが多く、3食合計でちょうど1,500mg以内に収まるよう設計されています。つまり宅配食が条件です。
| CKDステージ | eGFR(目安) | カリウム制限目標 |
|---|---|---|
| G1〜G3a | 45以上 | 制限不要 |
| G3b | 30〜44 | 2,000mg/日以下 |
| G4〜G5 | 15〜29以下 | 1,500mg/日以下 |
医師から「カリウムを控えてください」と言われたら、まずはステージを確認し、目標値を把握しましょう。数字を知ることが、宅配サービスを正しく選ぶ第一歩です。
参考:腎臓病のステージとカリウム制限の詳しい目安はこちら
慢性腎臓病(CKD)の食事療法〜カリウム・リン|サルスクリニック
カリウム制限食を自炊で管理しようとすると、実はかなりの手間がかかります。意外ですね。たとえば野菜に含まれるカリウムを減らすためには「茹でこぼし」という調理法が欠かせません。葉物野菜は3〜5分、根菜類なら10〜15分以上、切ってから茹でてお湯を捨てる工程が必要です。さらに、かぼちゃやいも類・豆類は茹でこぼしをしてもカリウムが落ちにくい食材で、量自体を相当絞らなければなりません。
問題はそれだけではありません。カリウムは水に溶けやすいので、野菜を水にさらすだけでもある程度は減りますが、調理後に食材のカリウム量が「いったい何mg残っているか」を正確に計算するのは、専門知識なしには難しいのが現実です。
さらに、主婦がやりがちな「体に良いから」という理由での野菜ジュースやグリーンスムージーが、腎臓病の方には大きなリスクになります。野菜や果物を濃縮して作られる市販の野菜ジュース1本には、普通の食事の数倍ものカリウムが含まれていることも。通常の食事より注意が必要です。
こうした「見えないカリウム」のリスクを避けながら、毎食の栄養バランスも整えるのは、家庭での自炊管理には限界があります。カリウム・たんぱく質・塩分の3制限すべてに対応し、1食あたりのカリウムが500mg以下に調整済みの宅配食は、こうした苦労をまるごと解決してくれます。これは使えそうです。
参考:カリウムを減らす調理法について詳しくはこちら
野菜・果物・芋|腎臓病のカリウム制限とうまくつきあうには|B-styleクリニック
宅配の腎臓病食・カリウム制限食を選ぶとき、何を見ればいいか迷いますよね。確認すべき点は3つに絞れます。
① カリウム・たんぱく質・塩分の「3制限」すべてに対応しているか
腎臓病の食事管理では、カリウムだけでなく、たんぱく質と塩分の制限もほぼ同時に求められます。ところが、宅配サービスの中には「たんぱく質+塩分」の2制限のみで、カリウムは非対応というサービスも少なくありません。たとえば人気サービス10社の比較でも、カリウム制限まで対応しているのは10社中4〜5社程度にとどまります。サービスを選ぶ前にカリウム対応の明記があるか確認が条件です。
カリウム制限に対応していることが明記されている主なサービスには、ウェルネスダイニング(1食カリウム500mg以下)、まごころケア食(1食カリウム500mg以下)、ライフデリ(カリウム低減調理対応)、Dr.つるかめキッチン(1食カリウム500mg以下)などがあります。
② 価格と継続しやすさ
カリウム制限食の宅配は1食あたり約600〜800円台が相場です。7食セットで見ると、税込3,800〜7,700円前後の幅があります。継続的な食事管理が目的であるため、無理のない価格帯かどうかも重要です。まごころケア食は定期便で1食約400円台と比較的リーズナブルで、初回限定お試しセットも用意されています。痛いところですが、医療費との比較で考えると宅配食は決して高い選択ではありません。
③ お試しや初回割引の有無
味が合わないまま継続するのはストレスになります。初回限定のお試しセットや割引が用意されているサービスを選ぶことで、リスクなく始められます。まごころケア食では初回限定14食セットを1食90円でお試しできるプランがあります(健康バランス食コース)。ウェルネスダイニングも初回送料無料の制度があります。
カリウム制限に対応した代表的な宅配サービスを比較します。どのサービスも管理栄養士または専門医の監修がついていて、冷凍で届くタイプが主流です。
| サービス名 | カリウム(1食) | 価格(7食) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ウェルネスダイニング | 500mg以下 | 定期5,346円 | 100種類以上のメニュー、管理栄養士に相談可 |
| まごころケア食 | 500mg以下 | 定期3,825円〜 | コスパ優秀、冷凍庫レンタルあり |
| Dr.つるかめキッチン | 500mg以下 | 定期5,508円 | 専門医+管理栄養士のW監修 |
| ライフデリ | 低減調理対応 | 825円/食〜 | 国産食材8割、1食から注文可能 |
ウェルネスダイニングは、食事制限専門の宅配食として長年の実績を持ちます。たんぱく質10g以下・塩分2.0g以下・カリウム500mg以下をすべて1食に収め、100種類以上のメニューで飽きずに続けられます。常駐の管理栄養士に日常的な食事の悩みを相談できる体制も整っています。
まごころケア食は、50種類以上のメニューから毎回異なるセットが届きます。1食あたりのカリウムが500mg以下・リン200mg以下とリンも調整済み。定期便14食または21食セット利用で冷凍庫の無料レンタルサービスがある点もユニークです。自宅に大きな冷凍庫がない場合でも安心です。
Dr.つるかめキッチンは、現役の専門医と管理栄養士がダブルで監修しているという安心感が特徴です。定期コースを利用すると都度購入より約28%オフになります。たんぱく質・塩分・カリウム・リンの4制限に対応しています。
参考:腎臓病食の宅配サービス比較については以下も参考に
腎臓病食宅配弁当サービスおすすめ2選|ラクタさん編集部
カリウム制限食の宅配を毎食使わなければいけないわけではありません。柔軟な活用で、無理なく長く続けることができます。
まず、宅配食を主軸にするのは「夕食だけ」「平日だけ」といった運用でも十分効果があります。たとえば夕食にカリウム500mg以下の宅配食を1食使うだけで、1日のカリウム目標1,500mgのうちの3分の1が確実に管理できる計算になります。残りの朝・昼はシンプルに低カリウムの食材(うどん、しらたき、精白米など)を中心に整えるだけで、全体としてのコントロールがしやすくなります。
自炊で気をつけるべき主なポイントは以下の通りです。
また、カリウム制限は「食事の種類を減らす」のではなく「調理法と量を工夫する」ことが本質です。宅配食はその工夫のお手本にもなります。届いた宅配食のメニューを観察し、どんな食材をどのくらいの量で使っているかを参考にすることで、自炊の献立の見直しにも役立てることができます。これが条件です。
宅配食と自炊を組み合わせながら、無理なくカリウム管理を続ける。それが結果的に腎臓への負担を減らし、家族の健康を長く守ることにつながります。
参考:透析患者のカリウム管理と食材の選び方については以下も参照
透析とカリウム〜野菜や果物は食べちゃダメ?|メディクック東洋