砂糖と水だけで作ろうとすると、金平糖の角が出ないまま丸いだけの飴になってしまいます。
金平糖を自宅で作るのに必要な材料は、意外なほどシンプルです。基本の材料はザラメ(ひとつかみ)、グラニュー糖150g、水100cc、そして着色したい場合は食紅のみ。道具はフライパンと竹串5〜6本、耐熱性の菜箸があれば十分です。
糖蜜の砂糖と水の割合が、角をきれいに出すための最大のポイントです。水と砂糖を1:1にしてしまうと蜜がゆるすぎて角が出ません。グラニュー糖150g:水100cc(約1.5:1)を目安にしてください。砂糖200gに増やしても問題なく、多いほど角が出やすくなります。
ザラメは「金平糖の核(芯)」になります。細かく砕いておくと均一な大きさの金平糖に仕上がりやすいです。昔はケシの実やゴマを核として使っていた歴史がありますが、油分が砂糖に移って黄ばみや定着不良が起きやすいため、現代ではザラメが主流です。これが基本です。
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| グラニュー糖 | 150〜200g | 糖蜜(シロップ) |
| 水 | 100cc | 糖蜜(シロップ) |
| ザラメ | ひとつかみ(約10g) | 核(芯) |
| 食紅 | お好みで | 着色用 |
参考リンク(金平糖のザラメを核とした基本レシピ・作り方の詳細)。
金平糖の作り方レシピ紹介。家で作れるコンペイトウ☆|YOSIN学院ブログ
実際の作り方を順番に見ていきましょう。動画と照らし合わせながら進めると、各工程のイメージがぐっとつかみやすくなります。
① 糖蜜を作る
グラニュー糖150gと水100ccを耐熱容器に合わせ、電子レンジで30秒〜1分加熱して砂糖を溶かします。溶け残りがある場合は10秒ずつ追加で加熱してください。これが「糖蜜(シロップ)」になります。
② ザラメをフライパンに準備する
ザラメをすり鉢や袋に入れて細かく砕き、フライパンの端に寄せておきます。フライパンは超弱火にかけ、軽く温めておくだけで十分です。
③ 糖蜜をかけてザラメを転がす
フライパン中央に糖蜜を少量(小さじ1杯程度)落とし、ふつふつと泡立ったら火から離してザラメと絡めます。竹串を熊手のように5〜6本まとめて持ち、ザラメを優しく左右に転がしながら混ぜます。最初はザラメ同士がくっつきやすいので、竹串でこまめに離してください。
④ 冷やしては繰り返す
フライパンが冷えてザラメの表面が白くなってきたら、また③の工程に戻ります。この「糖蜜をかけて転がして冷やす」作業を、目安として約2時間・100回程度繰り返します。この繰り返しが条件です。
⑤ 着色する(任意)
好みのサイズになったら、残った糖蜜に食紅を数滴垂らして色付き蜜を作り、同じ要領でコーティングします。ただし色付き蜜は量を少なめ(通常の半分以下)にしないと、色がべたついてうまく仕上がりません。市販のジュースで色を付けようとすると水分が多くてふにゃふにゃになるので注意が必要です。
フライパンで作る場合、完成した金平糖の大きさは2〜3mm程度(ごく小さなダイヤのカット面くらい)になります。角もしっかり出ますので、初めてでも楽しく作れます。これは使えそうです。
参考リンク(クックパッドでの金平糖フライパンレシピと実際の仕上がり写真)。
金平糖 by なつのゆり|クックパッド
金平糖のトレードマークである「角(つの)」は、1粒に17〜36個ほどあるとされています。意外ですね。実は、なぜあの角ができるのか、科学的にはっきりとした理由がいまだに解明されていません。
一説によると、釜やフライパンの表面に張り付いたザラメの一点が、回転によって引っ張られて盛り上がります。そこに糖蜜が乗りやすくなり、同じ点ばかりに糖蜜が付着することでどんどん突起が成長していく、と考えられています。雪だるまを転がすと特定の場所に雪が集まりやすくなるのと、似た現象です。
物理学者の寺田寅彦も、この角のできかたを随筆の中で考察していたほどです。つまり金平糖の角は、科学者を100年以上悩ませてきた謎ということですね。
家庭でフライパンを使って作る場合、角をきちんと出すためには次の3点が特に大切になります。
参考リンク(金平糖のトゲができる仕組みと科学的考察)。
金平糖が出来る仕組み|佐々木製菓コラム
家庭で作る金平糖と、プロの職人が作る金平糖の最大の違いは「時間」です。家庭のフライパンレシピでは約2時間で仕上がりますが、1847年創業の京都の金平糖専門店「緑寿庵清水」では、完成まで14日〜20日かけています。
職人は朝から晩まで8時間、銅鑼(どら)と呼ばれる大型の回転釜の前に立ち続けます。7〜8分おきに柄杓で70℃の糖蜜をかけ、鍬のような棒でかき混ぜる作業を繰り返します。釜の温度は80℃、回転速度は1分間に2回転。厳しいですね。
工場内の温度はクーラーをかけても効かないほど過酷で、入社したての職人は2週間ほど毎日のぼせて鼻血が出るほどだといいます。それだけの環境で、1日にザラメが大きくなるのはたったの1mmです。15mmの金平糖を作るには、単純計算で15日間必要です。
本格製法にはレシピが存在しないという点も、大きな特徴です。天候や気温・湿度によって釜の傾斜、回転速度、糖蜜の濃度を毎回調整しながら作ります。職人の「見た目と勘」だけが頼りです。だからこそ、市場では金平糖メーカーの数が年々減少しています。
参考リンク(緑寿庵清水の金平糖作りに密着したYouTube動画・公式情報)。
金平糖が出来上がるまで|緑寿庵清水 公式サイト
自宅で金平糖が作れるようになったら、次はアレンジを楽しんでみましょう。近年、SNSで大きく話題になったのが「紅茶の金平糖」です。日東紅茶の公式YouTubeで紹介されたレシピはSNSで142万回以上再生され、多くの主婦層がフライパンで挑戦しています。
基本の作り方は同じですが、糖蜜の水分を紅茶(熱湯100mlで2袋分を3分抽出)に置き換えるだけです。できあがった金平糖はほんのり紅茶の香りがして、お菓子としても、プレゼントとしても喜ばれます。抹茶や果汁を使ったアレンジも同じ要領でできます。
完成した金平糖は、市販品と同じように密閉容器に入れて常温保存が可能です。湿気を嫌うため、梅雨時期はシリカゲルを一緒に入れると長持ちします。手作り金平糖は着色料を調整できるので、小さなお子さんへのおやつとしても安心して使えます。
なお、金平糖を活用したレシピとして「こんぺいとうティー」もあります。カップに金平糖を数粒入れ、熱い紅茶を注ぐだけで、じんわり甘みが溶けていくほんのり甘いお茶になります。余った金平糖を無駄なく使えるので、お茶の時間をちょっと特別にしたいときにおすすめです。
参考リンク(日東紅茶公式レシピ・紅茶の金平糖の話題と作り方)。
金平糖の歴史は、なんと約450年前の戦国時代に遡ります。1569年、ポルトガルの宣教師ルイス・フロイスが織田信長に謁見する際、金平糖を献上したという記録が残っています。信長も初めて見るあの形に、さぞかし驚いたことでしょう。
語源はポルトガル語の「confeito(コンフェイト)」、意味は「砂糖菓子」です。それが日本語になまって「こんぺいとう」と呼ばれるようになりました。「金平糖」の漢字は当て字で、「金米糖」「金餅糖」「糖花」といった表記も存在します。
江戸時代には大阪の砂糖商、村上辰三郎氏が「金米糖製造器(銅鑼)」を開発し、量産化が実現しました。それまで秘匿されていた製法が広まり、庶民の間にも贈答用の高級菓子として定着しました。金平糖が条件です。
現代では、製造メーカーの数は大きく減っています。かつて大阪には金平糖工場が30軒以上ありましたが、暑く過酷な環境と長い修行に耐えられる職人が減り、今では生産会社は数えるほどしかありません。希少になってしまったのは、残念ですね。
一方で、家庭で手作りする文化はSNSを通じて広がりを見せています。Instagramや動画プラットフォームには「フライパンで作る金平糖」の投稿が多数あり、子どもと一緒に楽しむ様子も多く見られます。
| 時代 | できごと |
|---|---|
| 1569年(戦国) | ルイス・フロイスが織田信長に金平糖を献上 |
| 江戸時代 | 銅鑼(どら)が開発され量産化、贈答品として普及 |
| 1847年 | 緑寿庵清水が京都に創業(現在も唯一の金平糖専門店) |
| 現代 | 工場数が激減。SNS・動画で手作りレシピが広まる |
参考リンク(金平糖の歴史・語源・製法の変遷について詳しい解説)。
なんと完成まで2週間!? 知られざる「金平糖」の作り方とは|macaroni