自然の水だから安全と思って飲んでいたら、実はPFASが検出される場合もあります。
熊野古道は世界遺産にも登録された自然豊かな聖地であり、その清らかな水は古来より多くの人に愛されてきました。しかし近年、「PFAS(ピーファス)」と呼ばれる化学物質が水環境に広がっていることが全国的に問題視されており、熊野古道周辺も例外ではありません。
PFASとは「ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物」の総称で、1万種類以上の化合物が含まれます。代表的なものにPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)があります。これらは撥水加工、フライパンのコーティング、消火剤など日常生活に広く使われてきた物質です。
問題なのは、その分解されにくさです。
PFASは自然環境中でほとんど分解されないため「永遠の化学物質(Forever Chemicals)」とも呼ばれています。一度土壌や水に染み込むと、何十年も残留し続けます。熊野古道の山間部を流れる河川や湧水にも、上流の農地や周辺環境からPFASが流入している可能性は否定できません。
実際、環境省は2020年以降、全国の河川・地下水を対象にPFASの調査を拡大しています。熊野地方を含む紀伊半島の一部河川でもモニタリングが実施されており、ゼロではない検出事例が報告されています。つまり「自然の中だから安心」とは言い切れない状況です。
環境省:PFAS(有機フッ素化合物)に関する情報まとめ(PFOS・PFOA等の水質調査・健康影響・対策方針)
健康リスクが気になるところです。
国際的な研究機関や日本の国立環境研究所の調査では、PFASへの長期暴露が甲状腺機能の異常、免疫機能の低下、特定のがんリスクの上昇、さらに妊娠中の女性や子どもへの悪影響と関連している可能性が示されています。アメリカのEPA(環境保護局)は2024年に飲料水中のPFASの最大汚染レベル(MCL)を従来よりも大幅に厳しくし、PFOA・PFOSについてはそれぞれ4ng/L(1リットルあたり4ナノグラム)という非常に厳しい基準を設定しました。これはペットボトル500mlに角砂糖の約1000億分の1ほどの量しか許さないという、極めて微量な基準です。
日本の暫定目標値はPFOSとPFOAの合計で1リットルあたり50ナノグラムとされています。
熊野古道を訪れる際、登山者や旅行者が渓流水や湧水をそのまま飲む場面は珍しくありません。地元の観光案内でも「名水」として紹介されることがある水源もありますが、その全てが定期的にPFASの検査を受けているわけではない点には注意が必要です。
特に家族で訪れる際、子どもや妊娠中・授乳中のお母さんが自然水をそのまま飲む行為は健康リスクの観点からも慎重であるべきです。PFASは体内に蓄積しやすく、特に小さな子どもへの影響が懸念されています。
国立医薬品食品衛生研究所:PFASの健康影響に関する情報(PFOS・PFOAの毒性・規制・暴露評価)
調査状況を整理しておきましょう。
和歌山県・三重県・奈良県にまたがる熊野地方では、自治体ごとに飲料水のPFAS調査が進んでいます。和歌山県は2022年度から県内の水道水に対するPFAS検査を強化し、現時点では水道水については日本の暫定目標値(50ng/L)を下回る地域がほとんどであると報告されています。
しかし重要なのは、「水道水」と「自然水(湧水・河川水)」は管理体制がまったく異なるということです。
水道水は浄水場での処理と定期的な水質検査が義務付けられています。一方、観光地の湧水や沢水は多くの場合、自治体による定期的なPFAS検査の対象外となっています。
熊野古道を歩いている途中に目にする美しい湧水や小川の水は、見た目がきれいであっても化学物質は目に見えないため、外観だけでは安全性を判断できません。これが最も注意すべき点です。
また、熊野古道周辺には農地や林業地が広がっており、農薬・除草剤の成分や過去に使用された薬剤が雨水とともに土壌に浸透し、やがて水源に混入するケースも全国で報告されています。地域の水を飲む際は、地元自治体の最新の水質情報を確認することが基本です。
和歌山県:PFAS(有機フッ素化合物)に関する水質調査結果(県内河川・水道水のPFOS・PFOA測定データ)
対策は難しくありません。
まず最優先でできるのが、「自然の水を直接飲まない」という判断です。観光地の湧水や沢の水は、いかに清澄に見えても飲料として安全とは限りません。熊野古道を歩く際には、飲料水は必ず自宅か販売店で購入した安全な水を携帯することをおすすめします。これだけでPFAS暴露リスクを大きく下げることができます。
次に家庭での水の管理についても見直してみましょう。
日常使いの水道水については、日本の水道水は暫定目標値の管理下にありますが、さらに安心したい方には浄水器の活用が選択肢になります。ただし、浄水器の種類によってPFASの除去能力には大きな差があります。活性炭フィルターや逆浸透膜(RO膜)を使った浄水器はPFASの除去効果が高いとされており、特にRO膜方式はほぼ99%除去できるという試験データもあります。
| 浄水方式 | PFAS除去率の目安 |
|----------|----------------|
| 活性炭フィルター | 50〜80%程度 |
| 中空糸膜フィルター | 効果が低い場合あり |
| 逆浸透膜(RO膜) | 90〜99%以上 |
浄水器の導入を検討する場合は、浄水器・整水器協会(JWPAS)の認証を受けた製品の中からPFAS除去試験結果が公開されているものを選ぶのが安心です。RO浸透膜方式は確かな効果が期待できます。
また、熊野古道を含む山間部では、飲料水だけでなく「手を洗う・顔を洗う」目的での自然水使用も頻度が高くなります。皮膚からのPFAS吸収は飲水ほど高くないとされていますが、頻繁に大量使用する場合は注意が必要です。
日本水道協会:水道水におけるPFAS対策の取り組み状況と技術的な知見(浄水処理での除去手法を解説)
ここで少し視野を広げてみましょう。
熊野古道は「自然の聖地」として多くの人に愛されています。しかし、日本全体で見ると、PFAS汚染は都市部だけでなく農村・山間部にも広がりつつあることが調査で明らかになってきています。国立環境研究所の2022年の調査では、全国の主要河川・湖沼・地下水の約3割からPFASが検出されています。3か所に1か所という頻度はコンビニの数より多いイメージで、決して他人事ではありません。
この問題の根は深いです。
PFASは1950年代以降から工業製品・日用品に広く使われ始め、消火訓練場・工場・空港周辺では特に高濃度の汚染が報告されています。日本国内でも沖縄・東京・神奈川などの米軍基地周辺で高濃度のPFAS汚染が問題になったことは多くの方が記憶しているのではないでしょうか。
問題の難しさは「見えない」「臭わない」ことです。
そのため被害が出て初めて気づくケースが多く、特に乳幼児や妊婦への影響は深刻です。2023年に公表された国内の調査では、PFOA・PFOSの血中濃度が高い妊婦ほど、出生児の体重が平均より低い傾向が確認されています。
こうした背景から、環境省は「水・大気・土壌のPFAS総合対策ロードマップ」を策定し、2024年度以降は未規制のPFAS物質への監視強化や、地方自治体への検査費用補助を進めています。家族の健康を守る立場として、こうした行政の動向にアンテナを張っておくことも大切です。
熊野古道という自然の象徴的な場所を起点に、日本の水環境の現状について改めて考えるきっかけとしていただければ幸いです。家族を守れるのは、正確な情報を持った自分自身です。
環境省:PFAS総合対策ロードマップ(PDF)(今後の規制強化方針・地方自治体への支援策を収録)
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