クレマンは「シャンパンの代わり」と思って買うと、実は風味がまったく別物です。
クレマンとは、フランスのシャンパーニュ地方以外の産地で、シャンパンと同じ「瓶内二次発酵」という製法で造られる発泡ワインのことです。フランス語で「Crémant(クレマン)」と表記し、語源はラテン語の「cremare(燃やす)」ではなく、細かい泡が「クリーミーに流れる様子」を表すフランス語の古い表現に由来するとされています。
正式には「AOC(原産地呼称)」の規制を受けており、ただの発泡ワインではありません。使用するぶどう品種、手摘みの比率、熟成期間など、厳格な基準をクリアしたものだけが「クレマン」と名乗れます。つまり品質が保証された発泡ワインです。
瓶内二次発酵とは、ワインをいったん瓶に詰めた後、瓶の中で再び発酵させることで自然な炭酸ガスを生み出す製法です。この製法により、泡のきめが細かく、口当たりがなめらかになります。大量生産のスパークリングワインに多い「タンク内発酵」とは根本的に異なります。これが基本です。
日本のスーパーやワインショップでは「スパークリングワイン」としてまとめて陳列されることも多く、クレマンとそれ以外の発泡ワインの違いに気づかずに選んでいる方も少なくありません。ラベルに「Crémant de ○○」と書いてあればクレマンと確認できます。
「シャンパンとクレマン、何が違うの?」と思う方は多いはずです。結論から言うと、最大の違いは「産地」です。
シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方で造られた発泡ワインだけが名乗れます。クレマンはそれ以外のAOC認定産地で造られます。製法はほぼ同じですが、使用できるぶどう品種が産地ごとに異なります。
価格の差は非常に大きく、シャンパンはエントリーモデルでも1本3,000円〜5,000円が相場です。一方、クレマンは1,500円〜3,000円台で品質のしっかりしたものが見つかります。価格差は約2倍以上になることもあります。コストパフォーマンスが高いですね。
ただし、味わいの方向性は異なります。シャンパンはシャルドネやピノ・ノワールを主体にした複雑な旨みと酸味が特徴です。クレマンは産地ごとに主体ぶどうが変わるため、アルザスのクレマンはリースリングやピノ・グリの花のような香り、ブルゴーニュのクレマンはシャルドネのリンゴや柑橘のすっきりした風味が楽しめます。
プレゼントや特別な食事に「シャンパンほど高くなくていいけど、見た目と品質はしっかりしたものを選びたい」という場面では、クレマンは非常に賢い選択肢になります。これは使えそうです。
| 比較項目 | シャンパン | クレマン |
|---|---|---|
| 産地 | シャンパーニュ地方のみ | フランス各地(7産地) |
| 製法 | 瓶内二次発酵 | 瓶内二次発酵(同じ) |
| 価格帯(目安) | 3,000円〜 | 1,500円〜3,000円 |
| ぶどう品種 | シャルドネ、ピノ・ノワールなど | 産地によって異なる |
| AOC規制 | あり |
クレマンには現在、フランス国内に7つの公認産地があります。産地ごとにぶどう品種も気候も異なるため、味わいはまったく別の個性を持ちます。産地を知ると選びやすくなります。
クレマン・ダルザス(Crémant d'Alsace)は、日本での流通量が最も多い産地です。アルザス地方はドイツ国境に近く、ピノ・ブランやオーセロワ、リースリングを主に使います。白い花や洋梨のような甘い香りと、すっきりした酸味が特徴で、食前酒として非常に合います。価格帯は1,500円〜2,500円程度と手頃です。
クレマン・ド・ブルゴーニュ(Crémant de Bourgogne)は、シャルドネとピノ・ノワールを主体に造られます。シャンパンに最も近い味わいで、柑橘系の爽やかな酸味と繊細な泡が特徴です。魚料理や鶏肉のクリーム煮など、洋食全般と相性がよいです。
クレマン・ド・ロワール(Crémant de Loire)は、シュナン・ブランというぶどうを主体にしており、蜜のような甘い香りとミネラル感が特徴です。食後のデザートやフルーツとの相性が抜群です。
クレマン・ド・ボルドー(Crémant de Bordeaux)は、メルローやカベルネ・フランを使ったロゼのクレマンが有名です。苺やラズベリーのような香りで、見た目も美しく贈り物に人気があります。
その他にもクレマン・ド・ディー(Crémant de Die)、クレマン・デュ・ジュラ(Crémant du Jura)、クレマン・ド・リムー(Crémant de Limoux)があります。クレマン・ド・リムーは11世紀から発泡ワインを造っており、シャンパンより古い歴史を持つとも言われています。意外ですね。
ワインショップやスーパーの棚の前で迷う方のために、シーン別の選び方を整理します。どういうことでしょうか?
日常の食事や晩酌に使いたい場合は、クレマン・ダルザスが最適です。1,500円前後で購入できるものが多く、開けやすいさっぱりした味わいが和食や魚料理にも合います。特に揚げ物や餃子などの脂っぽい料理と合わせると、泡の炭酸が口の中をリセットしてくれる効果があります。
誕生日や記念日のプレゼントに使いたい場合は、クレマン・ド・ブルゴーニュかクレマン・ド・ボルドーのロゼがおすすめです。見た目がシャンパンに近く、瓶のデザインも洗練されています。予算2,500円〜3,500円のものを選べば、受け取った相手も「高そう」と感じるクオリティがあります。
子育て中で甘口が好みの場合は、クレマン・ド・ロワールの「ドゥー(Doux)」や「ドゥミ・セック(Demi-sec)」と書かれたものを選びましょう。甘口という意味の表記です。普段ジュースや甘い飲み物が好きな方でも飲みやすく、フルーツタルトやシュークリームなどのスイーツとも合います。
ラベルの読み方に迷ったら、「Brut(ブリュット)=辛口」「Sec(セック)=やや辛口」「Demi-sec=やや甘口」「Doux=甘口」と覚えておくだけで選びやすくなります。これだけ覚えておけばOKです。
ワインショップが近くにない場合は、楽天市場やAmazonで「クレマン 産地名」で検索すると、レビュー付きの商品が多数見つかります。初めて購入する際は、複数の産地を少量ずつ試せる「飲み比べセット」も販売されており、1セット3,000円〜5,000円程度で3〜4種類を楽しめます。
クレマンをせっかく購入しても、飲み方や保存を間違えると本来の美味しさが半減します。保存方法は重要です。
開封前の保存については、冷蔵庫の野菜室(約10〜12℃)か、直射日光の当たらない涼しい場所に横置きで保管します。立てて保管するとコルクが乾燥して炭酸が抜けやすくなります。購入後は1〜2年以内に飲むことが推奨されています。長期熟成向きの銘柄は特記されている場合が多いので、ラベルを確認しましょう。
飲む前の冷やし方は、飲む2〜3時間前に冷蔵庫に入れるか、氷水入りのバケツに30分ほど浸けると適温になります。適温は6〜9℃程度です。冷凍庫で急冷するのは、炭酸が抜けやすく瓶が割れるリスクもあるため禁止です。急冷はダメです。
開封後の保存については、発泡ワイン用のストッパー(シャンパンストッパー)を使えば翌日まで炭酸をある程度キープできます。価格は300円〜1,000円程度で、100円ショップでも取り扱いがあります。
開封後の保存にはもう一つポイントがあります。冷蔵庫に入れる際は、なるべく立てた状態で保管することで液面が少なく、炭酸が抜けにくくなります。開封前は横置き、開封後は縦置きと逆になるのが基本です。
グラスの選び方も重要で、フルート型(細長いグラス)が泡立ちを楽しむのに最適です。普通のワイングラスでも飲めますが、泡の細さと持続時間で差が出ます。フルート型グラスは1客500円〜1,500円程度で入手でき、見た目も食卓を華やかにしてくれます。
「発泡ワインは洋食にしか合わない」と思っている方も多いですが、実はクレマンは日本の家庭料理との相性が非常によいです。これは意外な事実です。
和食との組み合わせでは、天ぷらや唐揚げなど油を使った料理との相性が抜群です。発泡の爽快感が脂を洗い流し、口の中がすっきりします。塩味の焼き魚やお刺身にも、辛口のクレマン・ド・ブルゴーニュがよく合います。
洋食との組み合わせでは、クリームパスタや鮭のムニエル、チキンのハーブ焼きなど、バターやクリームを使った料理に最適です。クレマンの酸味がこってりした味をまとめてくれます。特に週末のランチや記念日ディナーに、家で作る洋食と合わせると贅沢感が増します。
おつまみとの組み合わせでは、枝豆、チーズ、スモークサーモン、生ハムなどが定番です。ポテトチップスやかっぱえびせんなど、スナック菓子とも案外相性がよく、気軽なホームパーティーにも活用できます。
ロゼのクレマン(クレマン・ド・ボルドーなど)は、苺やトマトを使った料理と色のトーンも揃えやすく、テーブルの見栄えも良くなります。インスタグラムやSNSで食卓の写真を投稿する機会が多い方には、見た目の映えという観点でもおすすめです。
クレマンはアルコール度数が11〜12.5%程度と、日本酒や赤ワインよりやや低めです。食事中に少しずつ飲むスタイルに向いており、1本750mlをふたりでゆっくり楽しむと、それほど酔いすぎない範囲で楽しめます。適量が守りやすいですね。
ワインネット:クレマン産地別の特徴と選び方ガイド(アルザス・ブルゴーニュ・ロワールなどの詳細情報)