紅はるかは、さつまいも品種の中で最高クラスの甘さを誇る品種です。焼き芋にすると表面に蜜がにじみ出ることがあり、見た目からしてスイーツの様相を呈します。この濃厚な甘さの理由は、収穫後の「熟成」にあります。紅はるかは収穫直後には糖度が低く、繊維質も多いのが特徴です。しかし、11月から1月にかけての貯蔵期間を経ることで、でんぷんが糖へと変化し、糖度が30度まで上昇します。焼き芋にすることでさらに糖化が進み、最大で50度近くまで達することもあり、この甘さはスイーツ並みの濃厚さです。
食感面では、ねっとりとした口あたりが最大の特徴ですが、単なるねっとり系ではなく、従来のさつまいもらしいホクホク感も残っているのが紅はるかの魅力です。安納芋ほど極度にねっとりしているわけではなく、しっとりとした食感の中にホクホク感が共存しており、この「良いとこ取り」の食感が多くのファンを虜にしています。冷めても甘さが引き立つため、温かいうちはもちろん、冷めた状態でもスイーツ感覚で楽しめます。焼きたての状態では芳醇な香りが広がり、一口食べるごとに深い甘みが感じられるのが特徴です。
後味は意外とすっきりとしており、濃厚な甘さを持ちながらも後を引かない爽やかさがあります。甘すぎるさつまいもが苦手な人でも、この後味の良さのおかげで食べやすいと感じることが多いのです。ブランド品種としては、JA大分の「甘太くん」や「紅優甘」など、特に糖度が高く品質が安定しているものがあり、こうしたブランド化された紅はるかはさらに質の高い甘さを実現しています。
シルクスイートは2018年に品種登録された比較的新しいさつまいも品種で、「春こがね」と「紅まさり」を掛け合わせて誕生しました。最大の特徴は、その名が示す通り「絹のようななめらかさ」です。焼き芋にすると、スプーンですくって食べられるほどのスムースな食感が実現します。この独特の粘質感は、熟成によってもたらされます。収穫時期は8月下旬から10月頃にかけてで、掘り立ての状態ではホクホクとした食感が強く、一般的なさつまいもらしい風味を保っています。
しかし、収穫後約1ヶ月の貯蔵期間を経ることで、でんぷんが糖に変わり、粘質へと変化していきます。この熟成過程が11月以降に訪れ、この時点でシルクスイートの真価が発揮されるのです。熟成前のシルクスイートは甘さがやや控えめですが、熟成後は甘さがしっかり増し、洗練された上品な甘さになります。糖度は約8.8度程度で、一般的なさつまいもよりは高いものの、紅はるかの5分の1程度の甘さです。この「控えめながらしっかりした甘さ」というバランスが、甘すぎるさつまいもが苦手な人や、主食としても楽しみたい人にぴったり合致しています。
シルクスイートの食感は、ホクホクとした軽さとねっとりとした粘質感を両立させるもので、従来のさつまいもらしさを保ちながらも新しい食感を提供します。この「和のスイーツ」的なスムースさが、特に女性を中心に人気が急上昇している理由となっています。繊維が少なく、舌に優しい食感が心地よく、焼き芋はもちろん、おかずやスイーツにも取り入れやすいのが利点です。
どちらのさつまいも品種でも、調理方法によって味わいを最大限に引き出すことができます。焼き芋にする場合、最も基本的で効果的な方法は「180℃のオーブンで1時間焼く」というもので、この条件下ではどちらの品種でも絶品に仕上がります。紅はるかの場合、この焼成温度・時間により、表面に蜜がにじみ出るほどの甘さが引き出されます。対して、シルクスイートは180℃、1時間の加熱により、絹のようななめらかさが最大限に発揮されます。
冷凍保存した場合でも、両品種とも美味しさがそのまま保持されるのは驚くべき特性です。これは、どちらの品種も糖分と水分がしっかり含まれているため、解凍後も食感が損なわれないからです。冷凍焼き芋は夏場の冷たいデザートとしても楽しめ、スイーツの代わりになります。紅はるかの冷凍焼き芋は濃厚な蜜感が引き立ち、シルクスイートの冷凍焼き芋はなめらかさと爽やかさが相まって、夏の疲労回復食として最適です。
焼き芋以外の調理方法としては、天ぷらや大学芋、スイーツへの応用も考えられます。紅はるかはスイーツ向けで、その濃厚な甘さを活かしたさつまいもケーキやパイ、モンブランなどに適しています。シルクスイートはより食事寄りで、おかずとしてのポテンシャルが高く、塩辛い味付けと相性が良好です。
紅はるかの最適な食べ時期は、11月から1月にかけてです。この期間を「最盛期」と呼び、この時期に出回っている紅はるかは、充分な熟成期間を経ており、糖度が最大限に高まっています。逆に、8月から10月に出回る紅はるかは収穫直後であることが多く、まだ甘さが引き出されていない状態です。購入する際は、産地直送の通販サイトを活用し、熟成状態の良いものを選ぶことがおすすめです。スーパーではブランド品種を選ぶことで、品質が安定した紅はるかが手に入りやすくなります。
一方、シルクスイートの旬は11月から2月にかけてで、紅はるかよりも長く市場に出回ります。シルクスイートの特徴は、掘り立ての状態(8月下旬から10月頃)でも十分に美味しく食べられる点です。熟成を待たずに早い段階から出回り、その時期のホクホクとした食感を楽しみたい人には良い選択肢になります。スーパーではあまり見かけない品種であることが多いため、見つけたときに購入する価値があります。訳あり品は価格が安いため、大量に購入して焼き芋やスイーツにする際には経済的です。
外観での選び方としては、どちらの品種でも「表面の傷が少なく、形が整ったもの」「重量感があるもの」を選ぶのが基本です。紅はるかは表皮が濃い紅色で、内部が濃い黄色をしているのが良質な個体の証です。シルクスイートも濃い紅色の皮を持ちますが、紡錘形(さきが細い形)でバランスの取れた形が特徴です。大きさは150~350g程度がスタンダードで、この範囲内のものが調理しやすく、品質も安定しています。
焼き芋ブームにより、紅はるかとシルクスイート以外にも新しいさつまいも品種が次々と登場しています。それぞれの品種は異なる特性を持ち、食卓の多様なニーズに応えています。例えば、「安納芋」は濃厚なねっとり感が特徴で、紅はるか以前から焼き芋ファンの間で絶大な支持を得ています。「紅あずま」はホクホク食感の代表格で、従来のさつまいもの印象を保ちながら甘さを兼ね備えた品種です。「鳴門金時」は甘さと食感のバランスが良く、関西地方で特に人気です。
これらの品種を選ぶ際の判断基準は、「何を優先するか」という価値観です。最高の甘さを求めるなら紅はるか、食感の質感を重視するならシルクスイート、そしてねっとり感の極致を求めるなら安納芋、というように、好みに応じて選択肢が広がります。食卓の多様な場面を想定し、複数の品種を食べ比べることで、自分たちの家族にぴったり合った「推し芋」を見つけるのが、現代の食事の楽しみ方といえるでしょう。さつまいもは栄養価も高く、食物繊維が豊富なため、質の高い品種を選ぶことは家族の健康にも寄与します。
参考:紅はるかとシルクスイートの比較情報
有機野菜・無農薬野菜の宅配「オーガニック」:紅はるかとシルクスイートの違いとは?特徴、糖度、食感

vegepple 2025年収穫分 紅はるか 箱込約5kg以上 シルクスイート 熊本県産 さつまいも 食物繊維 腸活 美容 焼き芋 スイーツ 産地 野菜ソムリエ&フルーツマイスター ※しっとりになるのは12月中旬頃からです