食物繊維には水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類があり、それぞれ体内で異なる働きをします。水溶性食物繊維は水に溶けるとゼリー状のゲルになり、便を柔らかくしたり、善玉菌のエサとなって腸内環境を整える効果があります。一方、不溶性食物繊維は水分を吸収して膨らむ性質があり、便のかさを増やして腸を刺激し、ぜん動運動を促進します。
参考)https://www.kikkoman.co.jp/homecook/tsushin/tips0032/
水溶性食物繊維にはペクチン、アルギン酸、ガム質、グルコマンナンなどの種類があり、主にレモンやオレンジなどの柑橘類、昆布やワカメなどの海藻類、大豆や麦類に多く含まれています。不溶性食物繊維にはセルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン・キトサンなどがあり、大豆、ゴボウ、穀類、きのこ類などに豊富です。
参考)https://www.food-joint.shop/column/%E9%A3%9F%E3%81%B9%E9%81%8E%E3%81%8E%E3%82%92%E9%98%B2%E3%81%90%E3%80%81%E6%B0%B4%E6%BA%B6%E6%80%A7%E9%A3%9F%E7%89%A9%E7%B9%8A%E7%B6%AD%E3%82%92%E5%A4%9A%E3%81%8F%E5%90%AB%E3%82%80%E9%A3%9F%E6%9D%9030/
どちらの食物繊維も小腸では消化・吸収されずに大腸まで到達し、大腸内の細菌によって発酵・分解されてビフィズス菌などの善玉菌の餌になるため、腸内環境の改善に役立ちます。
参考)https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shokumotsu-seni.html
水溶性食物繊維は小腸での栄養素の吸収速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える効果があります。また、コレステロールを吸着して体外に排出することで血中のコレステロール値を低下させ、ナトリウムを排出する効果もあるため高血圧の予防にも役立ちます。水溶性食物繊維がゲル状の膜を作ることで、糖や脂質の吸収を緩やかにし、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の予防効果が期待できます。
参考)https://www.hakubaku.co.jp/omugi-lab/maintenance/fiber/
不溶性食物繊維は便の容積を増やすことで大腸を刺激し、排便をスムーズにします。さらに有害物質を吸着させて便と一緒に体の外に排出するため、腸をきれいにして大腸がんのリスクを減らす効果があります。食物繊維は低カロリーで肥満の予防にもなり、消化に時間がかかるため腹持ちが良く、食べ過ぎの防止に役立ちます。
参考)https://www.fujiyaku-direct.com/health_information/article/118main
食物繊維の摂取は便秘の予防・改善だけでなく、動脈硬化や心疾患など多くの生活習慣病の予防に効果があることが研究で明らかになっています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/56/6/56_560611/_article/-char/ja/
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の理想的な摂取バランスは「水溶性1:不溶性2」とされています。このバランスが腸内環境を整え、便通の改善に最も効果的であることが研究で確認されています。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人男性は1日あたり20~22g以上、成人女性は18g以上の食物繊維摂取が目標とされていますが、実際の摂取量は平均14.2~18.4gと不足しています。
参考)https://www.mdc.co.jp/content/dietaryfiber/detail_1.html
理想のバランスで摂取する場合、女性の目標量18gのうち、水溶性食物繊維を約6g、不溶性食物繊維を約12g摂取することが推奨されます。しかし野菜は不溶性食物繊維の割合が高く、水溶性食物繊維の割合が低い種類が多いため、水溶性食物繊維を含む食べ物を意識的に摂取することが大切です。
参考)https://www.happiness-direct.com/shop/pg/1h-vol225/
食物繊維の摂取量を増やすには、穀類、野菜、果実、いも類、豆類、きのこ類、海藻類、種実類を意識的に取り入れることが重要です。
参考)https://wellness.nichirei.co.jp/contents/detail/_39
| 食品分類 | 食品名(100g) | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 
|---|---|---|---|
| 海藻類 | 昆布・ワカメ | 多い | |
| 野菜類 | ゴボウ | 2.3g | 3.4g | 
| 野菜類 | オクラ | 1.4g | 3.6g | 
| 野菜類 | にんじん | 1.3g | 2.5g | 
| 穀物類 | 大麦(押麦) | 4.3g | 3.6g | 
| いも類 | こんにゃく精粉 | 79.9g(総量) | |
| きのこ類 | きくらげ(乾) | 57.4g(総量) | |
| 豆類 | 大豆 | 含む | 多い | 
食物繊維が最も多く含まれるのはこんにゃく精粉で100gあたり79.9g、次いであらげきくらげ乾燥で79.5g、粉寒天で79.0gとなっています。日常的に使いやすい食品では、大麦(押麦)は水溶性4.3g・不溶性3.6gと水溶性食物繊維が豊富で、理想のバランスに近い優秀な食材です。
海藻類は水溶性食物繊維が豊富で、わかめ、昆布、もずくなどが代表的です。果物ではりんご、バナナ、柑橘類に水溶性食物繊維が多く含まれます。野菜類ではオクラ、納豆、山芋などのネバネバした食材に水溶性食物繊維が豊富です。
参考)https://www.wakoshi-naishikyo.com/docblog/%E3%80%90%E5%B0%82%E9%96%80%E5%8C%BB%E3%81%8C%E8%A7%A3%E8%AA%AC%E2%97%8E%E9%A3%9F%E7%89%A9%E7%B9%8A%E7%B6%AD%E3%81%AF%E4%B8%87%E8%83%BD%E3%81%98%E3%82%83%E3%81%AA%E3%81%84%EF%BC%9F%E4%BE%BF%E7%A7%98/
きのこ類、玄米、全粒粉パン、ブロッコリーなどは不溶性食物繊維が多い食品です。
食物繊維の摂取量を増やすには、毎日の食事内容や調理方法の見直しが効果的です。野菜は加熱するとかさが減り一度にたくさん食べやすくなるため、生よりもゆでたり煮たりすることで自然と食物繊維の摂取量が増やせます。また、野菜の細胞壁を構成している食物繊維が熱によって変性することで、生のまま食べると消化・吸収しにくい細胞の内側の栄養素も体に取り込みやすくなります。
参考)https://ichijiku.co.jp/sommelier
具だくさん味噌汁やスープがおすすめで、いも、野菜、きのこ、海藻などを入れることで流出した栄養素も全部摂取でき無駄がありません。サラダや汁物を作る際には、野菜だけでなく海藻やきのこを取り入れるだけでも摂取できる食物繊維量が変わります。
主食では精白した白米より玄米や雑穀米のほうが食物繊維量は豊富で、そばや全粒粉パンなども効果的です。食物繊維が豊富な食品を意識的に取り入れるだけでなく、いろいろな植物性食品を食べることで栄養バランスの面からも健康的な食生活が実現できます。
同じものばかり食べていると実際は足りていないことも多いため、穀物、いも、豆、野菜、海藻、果物といった植物性食品をバランス良く選びましょう。
食物繊維は健康に良い成分ですが、摂り方を間違えると逆効果になることがあります。不溶性食物繊維を摂りすぎると便が硬くなり、水溶性食物繊維の過剰摂取は腸内でガスを発生させて腹部膨満感を引き起こすことがあります。特に過敏性腸症候群(IBS)の人では不溶性食物繊維によって症状が悪化するおそれがあるため、便秘解消のために食物繊維を摂る場合は自分に合うか様子を見ることが大切です。
便が硬くて悩んでいる人は水溶性食物繊維を意識的に摂ることが推奨されます。水溶性食物繊維は便を柔らかくする働きがあり、腸内の善玉菌のエサとなって腸内環境を整える効果も期待できます。一方、便の量が少ない、出にくいと感じる方は不溶性食物繊維の摂取を心がけましょう。
参考)https://www.kenei-pharm.com/ebenpi/column/column_64/
食物繊維を摂取する際は十分な水分補給も重要です。不溶性食物繊維は水分が不足していると便が硬くなりすぎて逆効果になることもあるため、水やお茶をこまめに飲むことを心がけてください。水溶性・不溶性どちらもバランス良く摂ることで、より効果的に腸の調子を整えられます。
健康長寿ネット「食物繊維の働きと1日の摂取量」
食物繊維の詳しい働きや年齢別の摂取目標量について、公益財団法人が監修した信頼性の高い情報が掲載されています。
厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
厚生労働省が運営する健康情報サイトで、食物繊維の必要性と健康効果について専門的な情報が提供されています。

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