下味に醤油を長くつけるほど、舞茸の天ぷらはべちゃっとなります。
舞茸の天ぷらに下味をつけると、ひと口食べたときの風味がまるで違います。何もしないまま揚げると、塩や天つゆをかけてもどこか物足りない印象が残りますよね。それを解決してくれるのが、「酒+醤油」の下味です。
基本の黄金比は、酒:醤油=1:1。舞茸1パック(約100g)に対して、酒・醤油をそれぞれ小さじ1ずつ合わせた液に、手でほぐした舞茸をさっとくぐらせます。漬け込む時間は最長でも5分以内が鉄則です。これが大事なポイントです。
舞茸は水分量が約91%と非常に高い食材で、これはスイカの約92%に匹敵するほどです。醤油などの塩分が浸透すると浸透圧によって内部の水分がどんどん外に出てきます。5分以上漬けてしまうと、ボウルの底に水がたまるほど水分が抜け、揚げたときに衣の中から蒸気が大量発生してべちゃっとした仕上がりになるのです。
| 漬け時間 | 水分の出方 | 仕上がり |
|---|---|---|
| 1〜3分 | ほぼ出ない | ◎ サクサク |
| 5分 | 少し出る | ○ まずまず |
| 10分以上 | 大量に出る | ✗ べちゃっとしやすい |
つまり、「短時間だけ風味をまとわせる」感覚で使うのが正解です。
下味液からすぐに引き上げ、キッチンペーパーで表面の水分を軽く押さえてから打ち粉(薄力粉)をまぶすことで、衣がしっかり密着します。この流れが条件です。下味を使う場合もこの手順だけ覚えておけばOKです。
参考レシピとして、楽天レシピには酒・醤油で下味をつけた舞茸天ぷらが紹介されています。
下味をつけた舞茸を、そのまま天ぷら衣にくぐらせてはいけません。打ち粉のひと手間が、仕上がりを大きく左右します。これは必須です。
打ち粉とは、衣をつける前に食材に薄力粉を薄くまぶす工程のことです。役割は大きく2つあります。ひとつは「接着剤」の役割で、衣が舞茸にしっかり密着してはがれにくくなること。もうひとつは「水分の吸収」で、下味の影響でにじみ出た余分な水分を打ち粉が吸ってくれることです。
舞茸はヒダ状の構造が複雑で、ほかのきのこより表面積が広い食材です。名刺1枚(約148cm²)をイメージすると、あのくらいの面積に無数の溝と凹凸があるようなものです。打ち粉をポリ袋に入れてシェイクする方法が、その細かいヒダの裏側まで均一に粉をまぶすのに最適だと伊藤ヨーカドーのプロレシピでも紹介されています。
余分な粉が残ったまま揚げると、衣が厚くなりすぎてザクッとした食感にはなりません。軽く振り払うひと手間が大切ですね。
また、下味で少し水分が出た舞茸には、普通の天ぷらより気持ち多めの打ち粉(小さじ3)をまぶすと安心です。打ち粉が多ければ衣との接着が強くなり、揚げている最中に衣が浮いてしまうのを防げます。
まいたけの天ぷら、5つのコツ(伊藤ヨーカドー 顔が見える食品)
下味と打ち粉が完璧でも、衣と油の温度を間違えると元も子もありません。衣は冷たさが命です。
天ぷら衣に使う水は、冷蔵庫から出したての冷水(4〜5℃)を使いましょう。なぜ冷たい水が必要なのかというと、小麦粉と水を混ぜるとグルテンという粘り物質が生まれ、水の温度が高いほどグルテンが多く生成されるからです。グルテンが多い衣は、揚げると重くベタっとした仕上がりになります。
衣の材料と分量(2人分)は以下の通りです。
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 薄力粉 | 50〜70g | 衣のベース |
| 溶き卵 | 1/2個分 | ふっくら感を出す |
| 冷水(または炭酸水) | 100ml | サクサク食感をつくる |
| ベーキングパウダー | 小さじ1(任意) | 軽い仕上がりに |
炭酸水を使うとさらに効果的です。炭酸ガスが衣の中に気泡を作り、揚げているうちにその気泡が抜けることでサクッとした軽い食感が生まれます。意外ですね。
混ぜ方も重要で、少し粉っぽさが残るくらい(ダマがあってもOK)で止めるのが正解です。混ぜすぎるとグルテンが増えて衣が重くなります。箸で底から数回さっくり混ぜる程度で十分です。
揚げ油の温度は170〜175℃が最適です。温度の確認方法は、衣を1滴油に落として約2秒で浮き上がってくれば170℃の目安です。舞茸を一度にたくさん入れると油温が急激に下がるため、1パック(100g)分を2〜3回に分けて揚げるのがコツです。揚げ時間は2〜2分半を目安にしましょう。
これは検索上位の記事では見かけない独自視点のポイントです。舞茸の天ぷらがどうしてもべちゃっとなる……という方に試してほしい裏ワザがあります。
揚げる前に、ほぐした舞茸をトースターで7〜10分焼いて水分を飛ばす方法です。アルミホイルの上に重ならないように並べ、焦げないよう様子を見ながら水分を蒸発させます。これにより、舞茸の水分量が大きく減り、衣がべちゃっとしにくい状態になります。
クックパッドニュースでも「サクサクカリカリでおいしい」「ベチャッとしなくて最高」と多くの読者から支持されている手法として紹介されています。トースターで焼いている間に衣の準備ができるので、作業効率も上がるという利点があります。時短にもなりますね。
この方法は、下味をつけた舞茸に特に有効です。下味の塩分で水分が出やすくなっている状態の舞茸も、トースター加熱で余分な水分をしっかり飛ばせます。
ただし、焼きすぎると舞茸自体が縮んで食感が変わってしまうため、10分を目安に止めましょう。トースターの機種によって加熱力が違うため、7分から確認するのが安全です。
また、下味をつけた場合は、醤油の香ばしさがトースター加熱でさらに立ちやすくなります。これが揚げた後の「香ばしさ」に直結するのです。これは使えそうです。
せっかく下味をつけてサクサクに揚げた舞茸の天ぷら、食べ方もひと工夫すると満足感がぐっと上がります。
下味に醤油と酒を使った舞茸の天ぷらは、それだけで十分な風味があるため、天塩(塩)でそのまま食べるのが最もシンプルです。それ以上の調味が不要なくらい、舞茸の旨みが引き出されています。
天丼にする場合は、雪国まいたけ公式がおすすめする「醤油:白だし:みりん:砂糖=1:1:1:1」のタレが絶品です。このタレをご飯の上に盛った舞茸天ぷらにかけるだけで、居酒屋クオリティの天丼に仕上がります。
舞茸の天ぷらの栄養についても触れておきましょう。舞茸には免疫機能を高めるとされるβグルカンが、きのこ類の中でも特に豊富に含まれています。ホクト株式会社の調べによると、生のきのこ100gあたりのβグルカン含有量はマイタケで2.3gと、ぶなしめじ(1.8g)やエリンギ(1.9g)を上回ります。
天ぷらにしても脂溶性のビタミンD(カルシウムの吸収を助ける)は油との相性がよく、むしろ生食より吸収率が上がります。健康面でも安心して食べられる料理ですね。
舞茸の天ぷら1人前(165g)のカロリーは約195kcalと、揚げ物の中では比較的ヘルシーな部類です。
冷めた舞茸の天ぷらを翌日に食べるときは、トースターで2〜3分加熱するとサクサク感がある程度復活します。電子レンジだと水蒸気で衣がふにゃふにゃになるため、トースター一択です。これだけ覚えておけばOKです。