あなたが500円払った瞬間に、醤油の小瓶がもらえます。
マルキン醤油記念館は、香川県小豆郡小豆島町苗羽(なわ)にある、1907年創業の老舗醤油蔵を改装した施設です。大正初期に実際の工場として使われていた建物が、1987年に記念館として生まれ変わりました。国の登録有形文化財にも指定された合掌造りの建物で、足を踏み入れると醤油の芳醇な香りが鼻をくすぐります。
入場料は大人(中学生以上)500円、小学生250円、幼児は無料です。
「500円か…ちょっと高いかな」と感じる方も多いのですが、実はこの500円がとてもお得な内容になっています。入場チケットを購入すると、受付で濃口醤油か刺身醤油のどちらかを選んでプレゼントしてもらえます。さらに、隣の物産館で使える100円クーポンも付いてくるので、実質的に見学料は非常に安く感じられます。つまり醤油の小瓶代込みの価格ということですね。
| 区分 | 通常料金 | 団体料金 |
|---|---|---|
| 大人(中学生以上) | 500円 | 450円 |
| 子ども(小学生) | 250円 | 200円 |
| 幼児 | 無料 | 無料 |
営業時間は9:00〜16:00(夏季・秋の繁忙期は16:30まで延長)で、年に数日の不定休があります。特に2026年の休館日は1月1日・1月13日・2月10日・2月24日・6月9日・6月16日などが設定されていますが、臨時休館もあるため、訪問前に公式サイトで確認しておくと安心です。アクセスは坂手港から車で約3分と、フェリー到着後すぐに立ち寄れる好立地です。
参考:マルキン醤油記念館の公式情報(営業時間・料金・アクセスなど)
マルキン醤油記念館 公式ページ|盛田株式会社
マルキン醤油の歴史は1907年(明治40年)1月22日、創業者・木下忠次郎が現在の小豆島工場で醸造を開始したところから始まります。ブランド名の「マルキン」は、地元香川県の金刀比羅宮(こんぴらさん)の紋章にちなんだもの。創業からわずか3年後の1910年には日英博覧会で金賞を受賞し、その翌年にはハワイへの進出も果たした、当時から国際的な醤油メーカーだったのです。意外ですね。
小豆島での醤油造りの歴史はさらに遡り、文禄年間(1592〜1595年)の大坂城築城まで起源が辿れます。当時、採石のために小豆島を訪れた大名たちが紀州・湯浅の醤(ひしお)を持参したことがきっかけとされています。小豆島は古来より良質な塩の産地として知られており、醤油の原料となる塩と大豆・小麦が海上交通を通じて集まりやすい環境にありました。400年以上の醸造文化が根づいているということですね。
なかでも特筆すべきは、マルキンが保有する「木桶」の数です。天然醸造蔵には、秋田杉で作られた1本あたり5,400リットルもの巨大な木桶が306本も収められています。これは日本記録認定協会に「日本で最も多くの木桶を所有する天然醸造醤油蔵」として2024年11月に認定されたほどの規模です。5,400リットルというのは、家庭用浴槽(約200リットル)27杯分に相当する大きさ。そのような桶が300本以上並ぶ蔵の光景は圧巻です。
木桶仕込みの醤油が日本全体の生産量に占める割合は、わずか約1〜1.5%と推計されています。つまり、スーパーに並ぶ醤油の約99%は木桶を使わずに製造されているということです。木桶が希少である理由は、製造コストや管理の手間にあります。ワインやウイスキーの樽熟成と同じように、木桶には蔵独自の微生物が棲みつき、その蔵だけの風味を醸し出します。これが基本です。
参考:日本一の木桶数を誇るマルキンの天然醸造蔵について詳しい情報
盛田株式会社 マルキン天然醸造蔵木桶仕込み醤油|PRtimes
マルキン醤油記念館の一番の目玉といえば、「もろみしぼり体験」です。1日2回(10時・14時)開催されており、実際の工場で使っているもろみとろ布を使って、手押しの小型搾り機でお醤油を搾ります。ぐっと力を入れてプレスすると、アンバー色の生醤油がじんわりと染み出してくる感覚は、テレビや本では体験できない感動があります。これは使えそうです。
搾りたての生醤油は、火入れ(加熱処理)をしていないフレッシュな状態のため、市販の醤油とは一線を画す軽やかでまろやかな風味が特徴です。搾りたてをそのまま試食させてもらえるので、「お餅が欲しくなる!」と感じる来館者も多いほど、素材の旨みが凝縮されています。もろみしぼり体験の時間に間に合うよう、訪問時間を計算しておくのが条件です。
記念館の見学自体は20〜30分程度でひと通り回れます。展示スペースにはそれほど広い面積はなく、明治時代から使われていた道具やパネルを通して醤油の製造工程が解説されています。小学生でも理解しやすい内容なので、子ども連れにも人気のスポットです。
見学後のお楽しみは、物産館(記念館向かい)に立ち寄ることです。ここでしか味わえない名物「しょうゆソフトクリーム」は、生醤油を使ったキャラメルに似た独特の風味で、見た目は淡いきつね色。「醤油なのに甘くておいしい!」という声が多く寄せられており、口コミサイトでも高評価です。入館料500円に付属する100円クーポンを使って300円でいただける場合もあり、実質お得に食べられます。
木桶仕込みの天然醸造醤油が、市販の一般的な醤油と味の面でどう違うのかを知っておくと、使い方の幅が広がります。香川県産業技術センター食品研究所の分析によると、マルキンの木桶仕込み天然醸造醤油には、大規模タンク仕込みの醤油に比べてエステル系の香り成分が多く含まれています。エステル系の成分とは、花や果実のような甘くフルーティーな香りを生み出すもので、醤油に深い旨みと奥行きを与えます。いいことですね。
うま味の核となるグルタミン酸やアラニンなどのアミノ酸も豊富で、先味より後味にかけて旨みがじんわりと広がるのが特徴です。この「キレと余韻」がある醤油は、卵かけご飯や刺身、冷奴など「醤油そのものの味が主役になる料理」に特に合います。
家庭での使い方として、木桶仕込み醤油を一番活かしやすい場面をご紹介します。
マルキンの木桶仕込み醤油を自宅で試したい場合は、公式サイトや楽天市場で購入できます。物産館限定の「生しょうゆ」シリーズは現地でしか手に入りにくいため、記念館を訪れた際には必ず立ち寄っておきたい場所です。
参考:小豆島醤油の特徴・種類・選び方の詳細情報
小豆島醤油の特徴|しま醤油 公式サイト
マルキン醤油記念館があるエリアは、小豆島の「醤の郷(ひしおのさと)」と呼ばれています。苗羽(なわ)から馬木(うまき)にかけての一帯に、今も現役の醤油蔵や佃煮工場が立ち並び、瓦屋根の蔵が続く独特の風景は、まるで時間が止まったかのような趣があります。醤油の香りが通りに漂い、散策するだけで感覚が研ぎ澄まされる場所です。
醤の郷の平均滞在時間は約1〜2時間。マルキン醤油記念館を起点に、徒歩や自転車でまわれる複数の醤油蔵・佃煮屋が集まっています。エリア内には無料で蔵を公開している醤油屋もあり、それぞれ個性の違う醤油を比べながら歩くのが醤の郷の醍醐味です。
坂手港からマルキン醤油記念館まで車で3分、草壁港からは10分程度です。記念館の駐車場は無料で利用できるため、車でのアクセスが最も便利です。公共交通機関を利用する場合はオリーブバス坂手線「丸金前」バス停で下車すれば目の前です。
小豆島全体の観光と組み合わせるなら、午前中に醤の郷エリアで醤油文化を堪能し、午後はエンジェルロードや寒霞渓ロープウェイへ移動するのがおすすめの半日プランです。時間の配分を考えておくと安心です。
参考:小豆島の観光スポット一覧・モデルコースの詳細
マルキン醤油記念館|小豆島観光協会公式サイト