農学部じゃない大学生でも、約46%が農業インターンに参加しています。
農業インターンシップは、農業に興味を持つ学生・社会人が全国の農業法人で実際の就業体験をできる制度です。1999年度から公益社団法人・日本農業法人協会が農林水産省の補助事業として運営しており、歴史ある信頼できる制度として定着しています。
参加費は無料です。交通費のみ自己負担ですが、宿泊費や食費は原則として受け入れ先の農業法人が負担します。これは、田舎や農村に移動して農業体験をするにもかかわらず、ほぼお金がかからないということを意味します。大学生にとっては非常にありがたい条件ですね。
体験期間は2日以上6週間以内と幅広く設定されています。1日の就業時間は原則8時間、週40時間以内とされており、一般的な職場と同様の感覚で働けます。農業インターンに参加する目的は大きく3つあります。
- 🌱 農業適性の確認:実際に手を動かすことで、自分が農業に向いているかを確かめられる
- 📚 知見の習得:農家・農業法人で働く先輩から現場のリアルな知識を直接得られる
- 🔗 就農後のミスマッチ防止:理想と現実のギャップを事前に縮め、早期離職を防ぐ
令和元年度のデータによると、農業インターンシップの参加者全体の満足度は非常に高く、参加者の約97%が「満足」または「大変満足」と回答しています。体験者・受け入れ法人の双方にとってメリットのある制度といえます。
参考:農業インターンシップの制度詳細・受け入れ農業法人の検索はこちら。
「農業体験といえば、ひたすら畑を耕すだけ」と思っていませんか?これは多くの大学生が持つ先入観ですが、実際はまったく異なります。農業インターンシップでは、作物の栽培作業だけでなく、農業に関わるさまざまな業務を体験できます。
体験できる業務は、農業法人や参加する時期によって異なりますが、以下のようなものが代表的です。
| 分野 | 体験できる業務の例 |
|------|-------------------|
| 🥬 野菜栽培 | 種まき・育苗・定植・収穫・包装・出荷 |
| 🍎 果樹 | 袋かけ・病虫防除・収穫・箱詰め・観光農園の接客 |
| 🐄 酪農・畜産 | 搾乳・飼料調製・給餌・加工品製造 |
| 🍚 稲作 | 田植え・水管理・稲刈り・精米・配達 |
| 💐 花き | 種まき・移植・ハウス管理・出荷・配達 |
| 🏪 その他 | 経営者の商談同行・直売所の手伝い・地域活動への参加 |
経営に関わる業務や販売・加工も含まれるのが特徴です。令和元年度の体験内容のデータを見ると、「農作物の栽培」が617名と最多ですが、「農産物の加工」が217名、「農産物の販売」が156名、「経営者の商談等に同行」が106名と、現場の農作業以外の仕事にも多くの参加者が触れています。
つまり農業インターンが重要ということですね。農業を「生産から販売・加工まで一貫して学べる」場として活用できるのが、他のインターンシップにはない大きな特長です。就活で「農業や食に関わる仕事がしたい」と考えている大学生にとって、食品メーカーや流通業界などの就職活動でも活かせる経験が積めます。
農業インターンシップに参加するための条件は、実はほとんどありません。参加資格は「農業に関心のある18歳以上(高校生は16歳以上から相談可)で健康体で農作業できる体力がある方」とされており、農学部や農業系の専攻を学んでいることは必須条件ではないのです。
これは意外な事実です。令和元年度の参加者データを見ると、大学生参加者507名のうち農学系学生は275名で、残りの232名(約46%)は農学系以外の学生でした。文系・理工系・芸術系など、専攻を問わず参加できる制度として広く開かれています。
申し込みの流れは以下のとおりです。
1. 情報収集・受け入れ法人の選定 農業インターンシップの専用サイトから、全国約200の受け入れ農業法人の一覧を確認し、希望する法人・期間・内容を選ぶ
2. 申し込み 体験開始希望日の1〜2か月前を目安に申込フォームで申請する
3. 事務局から連絡 日本農業法人協会の事務局が調整し、受け入れ先が決定したら連絡が届く
4. 受け入れ先と直接調整 到着時間・持ち物・宿泊先などを直接確認してから体験スタート
注意点が一つあります。受け入れ先に直接申し込みをするとトラブルが生じやすいため、必ず事務局を通じて申し込むことが重要です。また、受け入れ準備が始まった後のキャンセルは農業法人に大きな迷惑をかけることになるため、参加意志を固めてから申し込むのが原則です。
参考:申し込みから体験までの流れが詳しく説明されています。
農業インターンシップに参加した大学生は、就活でどんな強みを手に入れられるのでしょうか?実は、農業系企業・食品メーカーへの就職を目指す学生以外にも、幅広いシーンで活かせるメリットがあります。
まず最初に挙げられるのは、自己分析の素材が豊富になることです。農業の現場は、早朝から始まる体力仕事、天候に左右される不確実な環境、チームワークが求められる共同作業など、社会人として直面するあらゆる状況が凝縮されています。インターン中に「どんな場面でやりがいを感じたか」「どんな困難に直面してどう乗り越えたか」を振り返ることで、面接や自己PR文章の具体的な素材になります。これは使えそうです。
次に、食・農業・環境に関連する業界への扉が開きやすくなる点があります。食品メーカー、農業資材メーカー、流通・物流、観光農園、農業関連スタートアップなど、農業インターンの経験が直接的に評価される企業は年々増えています。農業インターンシップを経由して農業法人に正式就職した人数は、令和元年度だけで22名(学生11名・社会人11名)にのぼります。
さらに見逃せないのが、地方移住・UIJターンへの視野が広がることです。農業インターンシップは全国の農業法人で実施されるため、都市圏以外の地方で生活することへの心理的なハードルが下がります。「大学卒業後に地方で働く」という選択肢をリアルに検討できるようになるのは、農業インターン独自の価値です。
就活中の大学生が農業インターンの体験を効果的に活かすためには、体験中に感じたことをこまめにメモしておくことが大切です。農業求人専門サイトの「あぐりナビ」では、農業法人への就職情報や求人検索もできるので、インターン後の就職活動の参考にするのも一つの手です。
農業インターンシップに参加する前に、多くの記事では触れられていない重要な視点をお伝えします。それは「子どもを送り出す親御さんにとって何を確認しておくべきか」という点です。
農業インターンは基本的に住み込み形式で行われます。農村部にある農業法人への滞在は、都市部の大学生にとってはじめての長期一人暮らしになることも少なくありません。1日8時間の農作業は、普段の大学生活とは比べ物にならない体力消耗があります。インターン中は体調管理が特に大切です。
参加前に確認しておくべきポイントは次のとおりです。
- 🏠 宿泊場所の確認:原則として経営者宅・社宅等への住み込みとなりますが、通いの場合もある
- 🍱 食事の提供内容:食費は受け入れ先負担が原則だが、内容は法人によって異なる
- 🏥 傷害保険の加入確認:参加期間中は農業実習総合保険に加入。保険手続きは事務局が行う
- 📱 連絡手段の確保:農村部では携帯電話の電波が弱いエリアもある
- 👕 持ち物の準備:作業着・長靴・帽子など農作業に適した服装は必須
報酬がない点も確認が必要です。農業インターンシップは就業体験であり、アルバイトとは法的に異なります。参加中に報酬が発生しないことは制度の原則であり、あくまでも「体験学習の場」として位置づけられています。これが条件です。
一方、万が一体験中にトラブルや体調不良が起きた場合は、受け入れ先と日本農業法人協会の事務局の双方に速やかに連絡することが定められています。「事務局を通す」仕組みがあることで、学生側にとっての安心感は高くなっています。農業インターンシップは、体験者・受け入れ法人・事務局の三者が連携することで成立する制度です。お子さんが参加を考えている場合は、公式サイトの目的・ルールのページをご家族そろって読んでおくと安心です。
参考:参加前に必ず確認しておきたいルールと注意事項が記載されています。
農業をはじめる.JP|農業インターンシップの目的とルール(PDF)