農業女子プロジェクト メンバーになる方法と活動の魅力

農業女子プロジェクトのメンバーとは何か、どうすれば参加できるのかを詳しく解説します。農業未経験でも参加できる?企業連携の特典は?主婦にも関係する意外な事実とは?

農業女子プロジェクト メンバーの全貌と参加する方法

女性がいる農家は、そうでない農家より売上が約20%高いって知っていましたか?


この記事でわかること3つ
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農業女子プロジェクトとは何か

農林水産省が2013年に設立。現在メンバーは1,000名超・参画企業32社に成長した女性農業者の国内最大級ネットワーク。

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メンバーになる条件と手順

年齢制限なし・農業キャリア不問。「農業を職業とする女性」という条件を満たせば、公式サイトから申し込むだけで参加できます。

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メンバーが得られる具体的な恩恵

モンベル・しまむら・ダイハツなど大手企業との商品開発への参加、全国の女性農業者ネットワーク、セミナー参加など多彩な特典あり。


農業女子プロジェクトとは?メンバー1,000名超の国家プロジェクト

農業女子プロジェクト(通称:農業女子PJ)は、農林水産省が2013年11月に立ち上げた取り組みです。当初はわずか37名の女性農業者と9社の企業でスタートしましたが、2024年9月時点でメンバー1,024名・参画企業32社・教育機関8校にまで拡大しています。設立から約10年でメンバー数が約27倍になった計算です。


プロジェクトの目的は大きく3つです。「社会・農業界での女性農業者の存在感を高めること」「女性農業者自身の意識改革と経営力の向上」「女性の職業の選択肢に農業を加えること」。農業省が直接関与する国家的な後押しを受けているため、参画企業のラインナップも実に多様です。


具体的には、アウトドアブランドの株式会社モンベル、ファッションチェーンのしまむら(クロスプラス株式会社)、農機メーカーの井関農機株式会社、軽自動車で知られるダイハツ工業株式会社、さらには楽天グループ株式会社や大日本印刷株式会社など、農業と一見縁遠い企業まで名を連ねています。これが原則。


なぜ農業と関係なさそうな企業が参加するのでしょうか? 答えは、農業女子という視点が「新しい市場」として企業側にとっても価値があるからです。農業女子の知恵・声・生活実感をもとに商品開発を行うことで、他にはないユニークな製品が生まれ、企業の新規顧客開拓にもつながります。農業女子は企業にとっても貴重なパートナーということですね。


また、このプロジェクトは国連のSDGs(持続可能な開発目標)第5番「ジェンダー平等を実現しよう」とも連動しており、2018年からSDGsの推進を活動の柱の一つに掲げています。女性農業者の活躍を支援することが、そのまま国際的な社会課題への貢献にもつながっているわけです。


内閣府男女共同参画局:農業女子プロジェクト10周年の詳細な取り組みと社会への波及(公式)


農業女子プロジェクト メンバーになる条件と申し込み手順

「女子」という名称がついているため、「若い人向けでは?」「農業歴が必要では?」と思ってしまいがちです。条件は意外とシンプルです。


公式の募集要領によると、参加資格は「農業を職業とし、自らの経営や地域とのかかわり方などに志を持つ女性で、プロジェクトの趣旨に賛同する方」とされています。年齢制限はなく、参加したメンバーの年齢層は19歳から65歳と非常に幅広くなっています。農業キャリアの長さや農場の規模も問われません。


2015年時点のメンバーデータによると、作物の種類も水稲・野菜・果樹・花き・畜産とさまざまで、後継者・配偶者・農業法人勤務など立場も多様です。「農家に嫁いだ主婦」「夫の実家の農業を手伝い始めた女性」も多く含まれているのが実態です。


さらに注目すべき点があります。2024年以降は就農を予定している段階(まだ就農していない方)でも、プロジェクト主催のセミナーや企業プロジェクトに参加できるようになりました。経営セミナーで学びながら、就農の準備を進められる仕組みです。これは使えそうです。


申し込みは農業女子プロジェクト公式サイト(nougyoujoshi.maff.go.jp)の「新規メンバー募集」ページから行います。申し込みフォームには氏名・住所などの基本情報のほか、農園名や作物の種類、サイトに掲載するプロフィール情報の入力が必要です。承認後は各地域のグループに所属し、活動がスタートします。


農業女子プロジェクト公式サイト:新規メンバー募集ページ(農林水産省)


農業女子プロジェクト メンバーが参加できる活動と企業連携の内容

メンバーになった後、実際に何ができるのかを具体的に見ていきましょう。主な活動の場は「地域版グループ」と「農業女子ラボ」の2種類です。


地域版グループは、北海道・東北・関東など全国7つのグループに分かれて活動します。2014年(設立翌年)に第1号の地域版グループが誕生し、マルシェの開催・農業者向けセミナー・農業体験イベントなどが地域ごとに展開されています。コロナ禍以降はオンラインでのセミナーや交流会も活性化しており、遠方のメンバーとも気軽につながれる環境が整っています。


農業女子ラボは、同じ志や関心を持つメンバーが自主的に集まる有志グループです。テーマ別・作物別など多様な切り口で活動しており、具体的な経営課題の解決や情報共有の場になっています。ラボ活動の中から海外販売に挑戦した事例も出ています。


企業との連携活動が特に注目されています。


たとえば、モンベルとの「フィールドウェア開発プロジェクト」では、農業女子メンバーが農作業中にウエアを試着・モニタリングし、「しゃがんだときに腰が出ない」「スマートフォンが手袋をしたまま操作できる」などの細かい要望をフィードバックしました。その声が実際の商品仕様に反映され、農業女子向けの機能性ウエアが誕生しています。


しまむらの親会社・クロスプラス株式会社との企画では、農業女子メンバーの声をもとに「農業女子のまいにち服」が開発・全国販売されました。ポケットからものが落ちにくい設計や、しゃがんでも背中が見えない着丈の長さなど、現場目線の工夫が随所に盛り込まれた商品です。


また、井関農機株式会社との「農業女子向け農機セミナー」では、実践的な農機操作の実習が行われ、女性農業者が農機を安全・効率的に使うためのマニュアル作成にもつながっています。農業女子メンバーの意見から生まれたミニ耕うん機「ちょこプチ」の二次元コードは、後に他機種でも標準仕様となり、新規就農者や高齢者にも使いやすい製品へと発展しました。これが基本です。


minorasu(BASFジャパン):農業女子プロジェクトの企業コラボ事例を詳細に解説した記事


農業女子プロジェクト メンバーが農業経営に与える20%の売上効果

ここは、農業を営む家庭の主婦にとって特に関心が高い部分ではないでしょうか。


農林水産省の公式インタビューで、農業女子PJメンバーの石橋正枝さん(ファームいしばし/千葉県山武市)がこう語っています。「地域の先輩から教わったのですが、女性が働いている農家のほうが、売り上げが約20パーセント上がるのだそうです」。


女性が農業経営に関わることで売上が上がる理由は複数あります。まず、横のつながりの広げやすさです。女性は他の農家とも友達感覚で意見交換しやすく、「こうやって育てたら成功した」といった実践的な情報が自然に集まります。次に、細かな作業品質です。パッキング作業などで女性のほうが丁寧に仕上げる傾向があり、クレームや返品が減ることが売上維持につながります。


農林水産省のデータでも「女性農業者がいる経営体は、販売金額が大きく、経営の多角化に取り組む傾向が強い」という統計が示されています。女性の存在は農業経営にとって明確なプラスになることが数字でも裏付けられています。つまり、主婦がより積極的に農業経営に関与することは、家庭の収入を守ることに直結するということです。


農業女子プロジェクトのメンバーになることは、この「売上効果」をさらに高めるチャンスでもあります。セミナーやネットワークを通じて経営の知識が深まり、企業との連携で新しい販路や商品アイデアが生まれることがあるからです。農業経営への関与度を上げるきっかけとして、プロジェクトへの参加を検討する価値があるでしょう。


なお、農業女子プロジェクト公式サイトには全国メンバーのプロフィールが掲載されており、同じ地域や同じ作物を栽培する先輩メンバーの情報を参考にすることができます。まずはそこから、現状の農業経営を振り返ってみることをおすすめします。


農林水産省「aff」2020年3月号:農業女子PJメンバーのリアルな声と売上データ


農業女子プロジェクト メンバーの就農ルートと主婦からの参加事例

農業女子プロジェクトのメンバーの就農ルートは、大きく分けて「家業継承型」「結婚による参入型」「新規参入型」の3パターンがあります。農林水産省の記事(2020年3月時点)によると、約3割のメンバーが新規参入者というデータが示されています。農業一家の生まれでなくても、メンバーの3人に1人近くが新たに農業を始めた人です。


実際のメンバーの声を見ると、農業との出会い方はさまざまです。


| 就農ルート | 具体例 |
|---|---|
| 実家の農業を継承 | 父が腰を痛め、助ける形で農業に入った(神奈川県・永野さん) |
| 結婚を機に農業へ | 夫が実家の農業を継ぐタイミングで参入(千葉県・石橋さん、實川さん) |
| 調理師から転身 | 体調不良で実家に戻り農業に従事(埼玉県・須賀さん) |
| 農学部出身で参入 | 大学で農業を学び夫の実家農家に入った(千葉県・小島さん) |


注目したいのは、「結婚を機に農業へ」参入したケースです。これは、農家に嫁いだ主婦がそのまま農業の担い手となり、プロジェクトに参加しているパターンです。「農業のプロでないと入れない」は思い込みということですね。


農業に携わり始めたばかりの方でも、プロジェクトの趣旨に共感しさえすれば参加できます。実際に農業女子プロジェクトに参加した方の多くが、「入ってみると同じ境遇の全国の女性農業者仲間がたくさんいて驚いた」「ベテランも新人も関係なく、みなフレンドリーに接してくれた」という感想を持っています。


農業経験が浅いうちは、地域版グループの勉強会やオンラインセミナーで知識と人脈を積み上げ、慣れてきたら企業との商品開発プロジェクトに参加するという流れが取り組みやすいでしょう。焦らず段階的に関与していくのが条件です。


農畜産業振興機構:農業女子プロジェクトの概要と活動事例(詳細なメンバー構成データを含む)


農業女子プロジェクト メンバー向けグッズと知っておきたい支援制度

農業女子プロジェクトを通じて開発された商品は、メンバー以外でも購入可能なものが多くあります。日々の農作業を少し楽にする、現場目線のグッズが揃っています。


代表的な商品をまとめます。


- 🧤 ロング手袋「農業女子Gloves」(東和コーポレーション):手袋と腕カバーが一体化しており、土・泥の侵入を防ぐ設計。UVカット繊維で日焼け対策にもなります。手袋をしたままスマートフォン操作が可能です。


- 👖 ひざ腰サポートスパッツ(ワコール):農作業中の立ったりしゃがんだりの繰り返しで、膝・腰・股関節にかかる負担を軽減するサポート設計。


- 🪚 農具「Lacuno(ラクノ)」シリーズ(カネコ総業):握る力が弱くても使いやすい波形グリップを採用。鎌は錆びにくく、鍬はバランスが良い設計です。


- 🚜 草刈機「かる~の」(丸山製作所):軽量で両肩と腰のバンドで重さを分散。女性が一人で扱える草刈機として設計されています。


- 🚗 軽トラ「ハイゼットトラック」農業女子パック(ダイハツ):全8色のボディカラー、UVカットガラス(紫外線99%カット)、身だしなみチェック用ミラーなど女性視点の装備が充実。


これらのグッズは、農業女子プロジェクトの公式サイトや各メーカーのサイトから詳細を確認できます。


農業女子プロジェクトの参加と並行して知っておきたい支援制度として、農林水産省の「農業次世代人材投資事業」があります。50歳未満の新規就農者を対象に、就農後の経営安定を支援する交付金を最長3年間、年間最大150万円受け取れる可能性があります(条件あり)。これは必須です。


雇用される形での農業参入を選んだ場合は「雇用就農資金」という制度があり、2026年度第1回の募集が2026年3月4日から開始されています(申請期限2026年4月7日)。農業法人などへの雇用就農1人あたり最大60万円、最長4年間交付されます。この情報を確認する先は農林水産省の公式ページか、各都道府県の農政局になります。


農林水産省:農業女子プロジェクト公式ページ(最新情報・推進会議資料を掲載)