プロアントシアニジンとプロシアニジンの違いは化学構造と効果

プロアントシアニジンとプロシアニジンの違いについて、化学構造、健康効果、含有食品など詳しく解説します。同じ成分を指すのか、それとも異なる物質なのでしょうか?

プロアントシアニジンとプロシアニジンの違い

プロアントシアニジンとプロシアニジンの関係
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基本的な関係性

プロシアニジンはプロアントシアニジンの一種で、両者は同じ意味で使われることも多い

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化学構造の特徴

カテキンやエピカテキンなどのフラバン-3-オールが複数結合した重合体

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健康効果

強力な抗酸化作用、内臓脂肪減少、コレステロール低下などの効果が報告されている

プロアントシアニジンの基本構造と定義

プロアントシアニジンは、様々な植物に含まれるポリフェノールの一種で、植物の葉、果実、樹皮、材などに広く分布しています。フラバン-3-オールのフラバン骨格の炭素同士がC-C結合などによって結合したもので、塩酸のような無機酸で加熱することによってC-Cなどの結合が切れてアントシアニジンを生じる特徴があります。
参考)プロアントシアニジン - Wikipedia

化学的には、オリゴマーフラボノイドとして分類され、多くはカテキンとエピカテキンのオリゴマーとそれらの没食子酸エステルで構成されています。1947年にジャック・マスケリエによって発見され、松の樹皮とブドウの種子からオリゴマープロアントシアニジンを抽出する技術が開発されました。
参考)プロアントシアニジン

プロアントシアニジンは、プロシアニジン、プロデルフィニジン、プロペラルゴニジンなどの縮合フラバン-3-オールのグループを表し、生物活性および生体利用性が低いポリマー(4つ以上のカテキン)も含まれます。​

プロシアニジンの化学構造と分類

プロシアニジンは、カテキンやエピカテキンが複数結合した化合物で、加水分解によってアントシアニジンを生じる特性を持っています。この化合物はプロアントシアニジンとも呼ばれており、基本的には同じものを指す用語です。
参考)アントシアニジン類|【分析】製品情報|試薬-富士フイルム和光…

カカオや黒大豆、シナモン、ナッツ、アップル、グレープシードなどの食品に多く含まれています。フラバン-3-オールは、A、B、C環を基本骨格とし、3、5、7、3'あるいは4'がヒドロキシル結合した構造をもち、平面ではなく通常は立体構造をとっています。
参考)プロシアニジンの機能性

結合様式によりアイソマーが2つに大別され、C4-C8あるいはC4-C6結合したものをB-タイプ、C2-O-C7結合したものはA-タイプと称します。自然界に存在するプロシアニジンは、(-)-エピカテキンからなるもののほうが、(+)-カテキンから構成されるものより多く発見されており、主にB-タイプです。​

プロアントシアニジンとプロシアニジンの呼称の違い

プロアントシアニジンとプロシアニジンは、実質的には同じ化合物を指す異なる呼称として使用されています。両者とも植物に含まれる色素成分で、カテキンなどが重合した構造を持っており、加水分解するとアントシアニジンになる特徴があります。
参考)アントシアニンとプロアントシアニジン - A2Pro

厳密に区別する場合、プロシアニジンはプロアントシアニジンの中でも特にシアニジン骨格を持つタイプを指すことがあります。しかし、食品表示や機能性表示食品の届出では「りんご由来プロシアニジン」や「松樹皮由来プロシアニジン」として、両方の用語が互換的に使用されています。​
学術論文では「proanthocyanidin」という表記が一般的ですが、日本国内では「プロシアニジン」という呼称も広く普及しており、一般消費者にとってはより馴染みやすい表現として定着しています。
参考)https://shokuhin.click/anti-aging/proanthocyanidins-benefits-sources-how-to-take/

プロアントシアニジンの効果と健康機能

プロアントシアニジンは強力な抗酸化作用を持ち、その抗酸化力はビタミンC、ビタミンEを遥かにしのぐと言われています。数多くの研究により、抗酸化、抗炎症、免疫調節、DNA修復、抗腫瘍活性などの効果が実証されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5884402/

りんご由来プロシアニジンは内臓脂肪を減らす機能があることが報告されており、主にプロシアニジンB2が含まれています。日本農林規格(JAS)0024りんごジュース中のプロシアニジン類の定量法では、プロシアニジンB2を指標として定量する方法が定められています。​
松樹皮由来プロシアニジンには悪玉(LDL)コレステロールを下げる機能が報告されており、主にプロシアニジンB1とB3が含まれています。ブドウの種子に含まれるプロシアニジンB2 3,3"-ガレートは免疫調節活性を示し、炎症性のサイトカインの産生を抑える効果があります。
参考)https://www.shinshu-u.ac.jp/institution/suirlo/agr2022-magabe.pdf

プロアントシアニジンの生理機能に関する詳細な研究データ(日本醸造協会誌)

プロアントシアニジン含有食品と摂取方法

プロアントシアニジンは、ブドウの種子に多く含まれているため、赤ワインにもそのまま含まれています。一方、アントシアニンは皮の部分に多く含まれており、両方とも赤ワインに含まれています。​
ピーナッツの薄皮にもプロアントシアニジンが含まれており、焙煎したピーナッツ100gに対して15.6mg(平均値)が含まれます。抗酸化力などの作用を期待するなら、薄皮ごと食べるのがおすすめです。
参考)プロアントシアニジンを含む食品一覧|自然に抗酸化パワーを取り…

カカオ・チョコレートも優れた供給源で、ブラックチョコレート100gに対してプロアントシアニジンは246mg(平均値)含まれています。チョコレートにはリラックス効果や冷え性の改善、利尿作用の改善が期待できるテオブロミンも含むため、おやつにおすすめですが、1日30g程度を目安にすることが推奨されています。​
その他、クランベリー、ブルーベリー、リンゴ、シナモン、ナッツ類など多くの植物性食品に含まれています。食事からの摂取が難しい場合は、プロアントシアニジン配合のサプリメントを活用する方法もあります。​
プロアントシアニジンを含む食品の詳細情報(キッコーマン研究開発)