ラフィノースは胃や小腸で消化吸収されることなく、そのまま大腸まで到達する難消化性オリゴ糖です。大腸内に棲息する善玉菌であるビフィズス菌は、ラフィノースを栄養素として資化し増殖します。この特性により、ラフィノースは他のオリゴ糖と比較してもビフィズス菌増殖効果が特に高いことが研究で明らかになっています。
参考)ラフィノースFP|製品解説|日本甜菜製糖
ラフィノースの摂食による腸管内のビフィズス菌増加に関連して、腸管内の代謝物は劇的に変化することが研究で示されています。従来報告されていた乳酸の増加だけでなく、アミノ酸がラフィノース摂取により顕著に増加することが明らかとなりました。このアミノ酸の蓄積が腸管内における栄養状態の改善やプロバイオティクス効果にも関与する可能性が示唆されています。
参考)https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-24780133/24780133seika.pdf
てん菜糖蜜から独自技術で分離精製されたラフィノースは、ショ糖(グルコース+フルクトース)にガラクトースがα結合した三糖類です。1〜2週間程度ラフィノースを摂取し続けることで、腸内のビフィズス菌の割合が増えることが研究データで確認されています。
参考)純国産ラフィノース100 類似品に注意!日本甜菜製糖株式会社…
大腸に達したラフィノースは腸内の善玉菌であるビフィズス菌のエサとなって腸内を酸性化するとともに、ウェルシュ菌等の悪玉菌の増殖を抑制します。この作用により、アンモニア等の悪臭有害成分の腸内発生を低下させ、便秘を改善することが報告されています。
参考)甜菜由来の「ラフィノース」で腸活!ビフィズス菌を増やして美腸…
研究によると、ラフィノースには便の水分含量を調節する働きがあります。便秘気味の方だけでなく、下痢気味の方がラフィノースを摂取すると便の水分含量が減少し、下痢が改善されることも明らかになっています。この双方向の調整機能により、様々な腸の不調に対応できる優れた特性を持っています。
参考)https://shokuhin.click/gutt/unlocking-relief-raffinose-a-supplement-for-constipation/
ラフィノースは消化されにくい性質を持っているため、腸まで届きやすく、水分を保持する働きもあります。そのため、便の量を増やし、柔らかくすることで、スムーズな排便を促進します。腸内フローラを整えることで、便通を促し、腸内環境全体の改善につながります。
ラフィノースには肌の奥の隠れ乾燥を改善する効果があることが研究で明らかになっています。角層内の細胞間脂質のラメラ構造を安定化させる効果があり、このラメラ構造は脂質と水分が交互に重なった層状の構造です。肌の刺激や加齢によって乱れたこのラメラ構造をラフィノースが回復・安定化させることで、肌のバリア機能を改善します。
参考)ラフィノースが肌の奥の隠れ乾燥を改善する
臨床試験において、ラフィノースのアトピー性皮膚炎に対する有効率は76%(有効32%、著効44%)という高い数値を示しました。50例中1例においてわずかに下痢が認められましたが、一回投与量の減量で消失し、副作用は認められないかきわめて軽微であることが実証されています。
参考)https://patents.google.com/patent/JP3665852B2/en
ラフィノースには古い角質の柔軟作用があり、モチモチしたお肌作りに貢献します。また、角質の水分量を持続させることで水分蒸散量の減少を促進する機能を持っていることが大手化粧品会社の研究文献で報告されています。腸内環境が整うことで、肌の調子も良くなることが知られており、内側からの美肌効果が期待できます。
参考)https://ameblo.jp/mirainoryu-method/entry-12847172836.html
ラフィノースの投与により、アトピー性皮膚炎が改善する症例が認められています。この疾患は、食品抗原やダニなどの環境抗原に対するTh2応答の亢進が端緒となっていますが、ラフィノースは食品抗原に対するTh2応答を抑制することで免疫応答に影響を与えることが研究で示されています。
参考)301 Moved Permanently
ビフィズス菌の宿主免疫機構に対する影響も知られており、主な作用として免疫賦活作用、抗腫瘍作用、インターフェロン誘導作用、NK細胞活性化増強、抗体産生増強作用などがあります。ラフィノースによってビフィズス菌が増殖することで、これらの免疫機能を間接的にサポートする効果が期待されます。
参考)腸活にオリゴ糖! 手軽に摂れる「ラフィノース100」
病原菌の感染防止や免疫力の強化など、様々な健康維持につながる効果が報告されています。免疫力の下がっている方やアレルギー反応を起こしやすい方に対して、ラフィノースがやさしく腸内環境を整えるのに役立つとされています。将来的にはアレルギー疾患の予防などに利用できる可能性も示唆されています。
ラフィノースの有効摂取量は1日あたり3gで、最大10gまでとされています。個人差があるため、1〜2週間程度継続して摂取し、便の様子を観察しながら量を増減することが推奨されています。多少量を加減しても問題はなく、体調に合わせた調整が可能です。
参考)https://www.b-eco.com/raffinose_drinking.pdf
ラフィノースはほんのり甘いオリゴ糖で、甘さは砂糖の約5分の1(20%程度)です。そのまま召し上がってもよいですし、コーヒーや紅茶などの飲み物、味噌汁に混ぜても美味しく摂取できます。加熱しても大丈夫なので、ご飯に混ぜて炊いたり、料理の中に砂糖の代わりとして使用することも可能です。
ラフィノースはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルの吸収を促進する効果も期待できます。特に回腸においてタイトジャンクションが広がり、ミネラルの吸収が促進される可能性が研究で示唆されています。ヨーグルトにかけて摂取すると、プロバイオティクスとの相乗効果でさらに効果的です。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjdf2004/12/1/12_1_1/_pdf
ラフィノースは非吸湿性という他のオリゴ糖にはない優れた特性を持っています。湿度が90%で6ヶ月保存しても吸湿せず、常温で固まることがない性質があります。この特性により、造粒・打錠特性も高く、各種サプリメントへの配合に最適であり、吸湿を嫌うプロバイオティクスとの混合も適しています。
ラフィノースは非還元性のため、メイラード反応による着色性が低いという特徴があります。加熱安定性はショ糖と同等であり、160℃まで煮詰めても殆ど分解せず、レトルトなどの加熱処理食品にも使用できます。180℃まで加熱してもメリビオースという同じく難消化性でビフィズス菌増殖効果のあるオリゴ糖が大部分残存します。
酸性条件における熱安定性も優れており、pH4、95℃、30分加熱でも殆ど分解しません。pH3.5以下で加熱した場合でも、分解で生じたメリビオースと残存したラフィノースを合わせると、pH3.0付近でも約80%のオリゴ糖が残存するため、様々な食品加工に適しています。これらの特性により、ラフィノースは和洋菓子、キャンデー、菓子パン、野菜飲料、乳幼児用粉ミルクなど幅広い用途に使用されています。
日本甜菜製糖株式会社のラフィノースFP製品解説ページ
製造方法や安定性データなど、ラフィノースの素材特性に関する詳細情報が掲載されています。
日本食物繊維学会誌「食物繊維およびその他ルミナコイドのミネラル吸収促進効果」
ラフィノースによるミネラル吸収促進のメカニズムに関する学術的な研究データが記載されています。
抗アトピー性皮膚炎組成物(特許文献)
ラフィノースのアトピー性皮膚炎に対する臨床試験結果と有効率76%という具体的なデータが示されています。