ホワイトデーにもらったラングドシャ、実は「友達でいよう」という意味が込められているって知っていましたか?
ラングドシャは、フランス語の「langue de chat(ラング・ド・シャ)」を日本語読みにした名前です。「langue(ラング)」は「舌」、「de(ド)」は「〜の」、「chat(シャ)」は「猫」を意味し、直訳すると「猫の舌」となります。
フランス発祥の伝統的な焼き菓子で、その歴史は17〜18世紀のフランス貴族のティータイムにまでさかのぼると言われています。当時はバターと砂糖をふんだんに使った上流階級のお菓子として親しまれていました。
なぜ「猫の舌」という名前なのかというと、本場フランスの伝統的なラングドシャは細長い楕円形で、中央がわずかにくびれたスティック状の形をしています。この形が猫の舌にそっくりだということから名付けられました。
日本ではなじみの深い丸型や四角形のものが多く見られますが、それはあくまでも日本市場向けにアレンジされた形です。つまり形が違っていても、材料と製法が同じであればラングドシャということですね。
「白い恋人」(石屋製菓)もラングドシャの一種で、1976年の発売以来、年間販売数が2億枚を超える大ヒット商品に成長しました。北海道みやげの代名詞として全国に広まったことで、日本国内でのラングドシャの知名度は一気に高まりました。これは使えそうです。
ラングドシャの基本材料は、卵白・砂糖・薄力粉・バターの4つです。シンプルな材料ですが、注目すべきは「卵白のみを使う」という点です。
一般的なクッキーは卵黄、または全卵(卵白+卵黄)を使います。卵黄には油脂が豊富に含まれているため、しっとりとした重めの食感に仕上がります。一方、ラングドシャは卵白だけを使うため、油脂が少なく、焼き上がりが薄くて白っぽい、サクサクと軽い独特の食感になります。
つまり卵白か卵黄かで、お菓子の食感が大きく変わるということです。
また、生地はとても薄く伸ばして焼くのが特徴です。厚さは2〜3mm程度、はがきの厚みの数倍程度に薄く仕上げることで、あの独特の軽さが生まれます。オーブンで150〜170℃で10〜15分焼くことで、ふんわりとした白い焼き色に仕上がります。
アーモンドプードルを加えるとコクと香ばしさが増し、より本格的な仕上がりになります。バニラエッセンスを少量加えるアレンジもポピュラーで、家庭での手作りでも取り入れやすい工夫です。
生地が柔らかいため、絞り袋(または市販のデコレーションバッグ)を使ってクッキングシートの上に絞り出すのがおすすめです。自然に薄く広がるので、無理に形を整える必要はありません。これが基本です。
焼き菓子の世界には、ラングドシャに似たお菓子がいくつかあります。混同しやすいサブレ、ビスキュイ、フィナンシェとの違いを整理しておくと、それぞれの特徴がよくわかります。
まずサブレとの違いについて。サブレは小麦粉・バター・砂糖・卵黄を使って作るフランスのクッキーの一種で、「サブレ(sablé)」はフランス語で「砂」を意味します。その名のとおり、ほろほろと砂のように崩れる食感が特徴です。バターの風味が強く、ラングドシャよりもコクがあります。重さと風味が強め、という点でラングドシャとは明確な違いがあります。
ビスキュイはスポンジケーキのような生地で、ふんわりとしっとりした食感です。ケーキの土台やシャルロットなどに使われることが多く、焼き菓子というよりはケーキ生地に近い存在です。ラングドシャとは別カテゴリと考えてよいでしょう。
フィナンシェはアーモンドプードルと焦がしバターが決め手の焼き菓子です。しっとりとした弾力のある食感で、濃厚な香りが特徴。ラングドシャのような軽さはなく、全く異なるお菓子です。
ドイツにも「カッツェンツンゲン(Katzenzungen)」という「猫の舌」を意味するお菓子があります。こちらはベルギー人のショコラティエが考案したチョコレート菓子で、細長い棒状の形のカリッとしたチョコの殻の中に、なめらかなガナッシュやプラリネが詰まっています。名前の意味は同じでも、全く別のお菓子です。意外ですね。
ラングドシャは、家庭で他のお菓子や料理を作ったときに余りやすい「卵白」を活用するのにぴったりのお菓子です。マヨネーズや卵黄を使うお菓子を作った後、余った卵白の使い道に困ったことはないでしょうか。そういう場面に、ラングドシャは最適です。
材料は卵白1個分(約30g)・無塩バター30g・粉砂糖30g・薄力粉30gが基本の比率です。これらを同量で合わせる「1:1:1:1」のシンプルな比率が覚えやすく、量を調整しやすいのも主婦に嬉しいポイントです。
失敗しないための最大のコツは、バターと卵白の温度をそろえることです。冷たいバターに卵白を加えると油と水が分離してしまいます。バターは室温に戻すか、電子レンジで10〜20秒ずつ様子を見ながら加熱して柔らかくしてから使いましょう。
もう一つのポイントは、卵白を一度に加えないことです。2〜3回に分けてバターに加えることで、分離を防ぎなめらかな生地に仕上がります。丁寧な作業が条件です。
焼き上がったラングドシャは湿気に弱いため、常温で保存する場合は密閉容器に乾燥剤を入れて保存するのがおすすめです。賞味期限の目安は常温で3〜5日程度。湿気を吸うとサクサク感が失われてしまうので、早めに食べ切るか、冷凍保存するのが得策です。
チョコレートをサンドしたり、アイスクリームに添えたりすることで、一気にカフェ風のスイーツに変身します。これは作ってみたいですね。
参考:余った卵白を使ったラングドシャのレシピが充実しているレシピサイト
余った卵白で絶品おやつ♪ ラング・ド・シャのレシピ動画・作り方 - デリッシュキッチン
ホワイトデーのお返しに何を贈るかで、相手への気持ちが変わると言われています。これを知らずにラングドシャを贈ると、思わぬメッセージを伝えてしまうことになりかねません。
ラングドシャを含むクッキー類には、「あなたとは友達のままでいたい(サクッとした関係でいたい)」という意味があるとされています。クッキーのサクサクとした軽い食感が「ドライな関係」「さっぱりした付き合い」を連想させることから、こうした意味が生まれたとされています。
一方でマシュマロには「あなたが嫌い」、キャンディには「好き」、バウムクーヘンには「末永く幸せに」といった意味があると言われています。お返しを選ぶときに意識しておくと、相手への気持ちをより正確に伝えられるかもしれません。
ただし、これらの「意味」はあくまでも日本で広まった俗説であり、公式に定められたルールではありません。贈る相手との関係性や、一言添えるメッセージカードのほうが、実際の意思疎通には大切です。知識として持っておく程度が適切です。
とはいえ、意中の相手へのお返しにラングドシャをうっかり選んでしまわないよう、知っておいて損はない情報です。逆に義理チョコへの義理返しとして使うなら、ラングドシャは品があって使いやすい選択肢と言えます。
参考:ホワイトデーのお菓子の意味と由来についての解説
ラングドシャってどんなお菓子?意味や語源は? - PREZO(プレゾ)