「眠気が出にくいから安全」と思って処方していると、肝機能障害患者では通常の約2.4倍もロラタジンが血中に蓄積することがあります。
ロラタジンOD錠10mg「サワイ」は、沢井製薬が製造販売する後発医薬品(ジェネリック医薬品)で、先発品はバイエル薬品の「クラリチンレディタブ錠10mg」です。有効成分・含量・剤形はいずれも同一で、薬事法上の生物学的同等性が確認されています。
一般名は「ロラタジン10mg口腔内崩壊錠」で、薬効分類は「持続性選択H1受容体拮抗・アレルギー性疾患治療剤」に該当します。薬価は1錠14.80円(2025年度改定後)であり、先発品クラリチンレディタブ錠10mgの31.70円と比較すると約53%の削減が可能です。1年間(365日)1日1錠を処方した場合の差額は、
$$\text{年間薬価差} = (31.70 - 14.80) \times 365 = 6,168.5 \text{円}$$
となり、患者負担(3割)では年間約1,850円の軽減につながります。
「先発品と後発品は何が違うの?」という問いに対しては、添加物の組成がわずかに異なる点が主な違いです。本剤の性状は白色の口腔内崩壊錠で、割線が入っています。添加物由来の甘みおよび酸味を有しますが、芳香(におい)はありません。有効期間は3年、保管は室温保存です。
ジェネリックへの切り替え時には、アルミピロー包装開封後は湿気を避けて保存する必要があります。これは基本ですね。
沢井製薬公式:ロラタジンOD錠10mg「サワイ」製品情報(医療関係者向け)
本剤の効能・効果は、①アレルギー性鼻炎、②蕁麻疹、③皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒の3つです。アレルギー性鼻炎の臨床試験では、通年性アレルギー性鼻炎に対して9週間投与したときの最終全般改善率(中等度改善以上)が65.3%(32例/49例)と報告されています。これは使えそうです。
用法・用量は以下のとおりです。
| 対象 | 用量 | 頻度 | 投与経路 |
|---|---|---|---|
| 成人 | 1回10mg(1錠) | 1日1回・食後 | 経口投与 |
| 7歳以上の小児 | 1回10mg(1錠) | 1日1回・食後 | 経口投与 |
| 3歳以上7歳未満 | ドライシロップ1%を使用 | − | − |
7歳未満にはOD錠の適応がない点が原則です。3歳以上7歳未満はロラタジンドライシロップ1%を選択してください。低出生体重児・新生児・乳児・3歳未満の幼児については臨床試験が実施されておらず、安全性は確立していません。
OD錠としての特性として、本剤は舌の上にのせると唾液で崩壊するため水なしでの服用が可能です。ただし、寝たままの状態では水なしで服用させないよう、患者への服薬指導が必要です。誤嚥リスクを考慮した、見落とされやすい注意点です。水で服用することも当然できます。
季節性アレルギー性鼻炎患者に対しては、症状の好発季節の直前から投与を開始し、好発季節終了まで継続することが望ましいとされています。
くすりのしおり:ロラタジンOD錠10mg「サワイ」(患者向け情報、用法・用量確認に有用)
本剤は「眠気が少ない」というイメージから副作用が軽視されがちですが、重大な副作用も報告されています。眠気が少ないだけでなく、重大な有害事象を見逃さないことが重要です。
重大な副作用(いずれも頻度不明、添付文書より)は以下です。
その他の主な副作用については頻度別に整理すると、
「眠気が少ないから運転に制限なし」と思い込んでいる医療従事者もいますが、これは注意が必要な点です。添付文書には「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう十分注意すること」と明記されています。アレグラやデザレックス、ビラノアとは異なり、ロラタジンには自動車運転への注意記載があります。これが条件です。
患者への薬剤交付時に「眠気はほとんどない薬ですが、まれに眠くなる方もいます。初めて飲む際は運転に注意してください」と一言添えるだけで、リスクを大幅に下げられます。
日経メディカル処方薬事典:ロラタジンOD錠10mg「サワイ」(副作用・相互作用の詳細)
本剤の禁忌は「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」のみです。シンプルに見えますが、慎重投与の対象患者には注意が必要です。
慎重投与が必要な患者群。
特に見落とされがちなのが、「アレルゲン皮内反応検査への影響」です。本剤はアレルゲン皮内反応を抑制するため、アレルゲン皮内反応検査を実施する3〜5日前(ほぼ1週間前として余裕をもって考えることが多い)から投与を中止する必要があります。中止せずに検査した場合、偽陰性となり、アレルゲンの正しい同定ができなくなります。これは損失が大きいですね。
アレルギー科・耳鼻咽喉科・皮膚科と複数の診療科が関わる患者では、検査前の服薬中止を院内で情報共有できる体制を整えることが重要です。電子カルテのアラート設定や、患者への「アレルギー検査を受ける予定がある場合は事前に申し出てください」という事前案内が有効です。
JAPIC:ロラタジン錠10mg/OD錠10mg「サワイ」添付文書PDF(慎重投与・臨床検査への影響の原文)
ロラタジンの代謝経路は、医療従事者が把握しておくべき重要なポイントです。ロラタジンはCYP3A4およびCYP2D6によって代謝され、活性代謝物のdescarboethoxyloratadine(DCL)に変換されます。つまり、これらの酵素を阻害する薬剤との併用では、ロラタジン・DCL双方の血漿中濃度が上昇するということです。
添付文書で併用注意とされている薬剤。
| 薬剤名 | 主な作用 | 起こりうる影響 |
|---|---|---|
| エリスロマイシン | 抗生物質(マクロライド系) | ロラタジン・DCLの血漿中濃度上昇 |
| シメチジン | H2受容体拮抗薬(胃潰瘍治療薬) | ロラタジン・DCLの血漿中濃度上昇 |
エリスロマイシンとロラタジンを併用した試験では、ロラタジンのAUCが約40%上昇したという報告があります。それ自体で重篤な不整脈などのリスクには直結しにくいとされていますが、肝機能障害を合併している患者では、両方の要因が重なって濃度がさらに上昇します。相互作用に注意すれば大丈夫です。
CYP3A4を阻害する薬剤としてはエリスロマイシン以外にも、アゾール系抗真菌薬(フルコナゾール、イトラコナゾールなど)、一部のHIV薬、クラリスロマイシンなども臨床上注意が必要です。添付文書には記載がなくても、CYP3A4阻害薬を多剤服用している高齢患者への処方時は薬剤師との情報共有が重要です。
また、風邪薬や市販の総合感冒薬にも抗ヒスタミン成分が配合されているケースがあります。ロラタジンOD錠10mg「サワイ」と市販の抗ヒスタミン含有風邪薬を同時に使用すると、抗ヒスタミン作用が重複して眠気などの副作用が増強するリスクがあります。OTC薬も含めた服薬歴の確認が原則です。
なお、過量投与時には本剤を血液透析で除去できないため、過剰摂取が疑われる場合は対症療法が中心となります。海外では40mgから180mgの過量投与で眠気・頻脈・頭痛が報告されています。
QLife:ロラタジンOD錠10mg「サワイ」との飲み合わせ情報(併用注意薬24件の一覧)