サバランを「ただのリング形ケーキ」だと思って子どもに気軽に出すと、アルコール度数2〜4%で気分が悪くなることがあります。
サバランとは、ブリオッシュ生地をリング型(ドーナツ型)に焼き上げ、ラム酒やキルシュなどの洋酒を加えたシロップにたっぷりと浸したフランスの伝統菓子です。正式な表記は「サヴァラン(Savarin)」で、フランス語では「サヴァラン」と発音しますが、日本では「サバラン」と呼ばれることがほとんどです。
見た目は中央に穴のあるドーナツ形で、焼き上がった生地はブリオッシュ特有のバターの風味があり、シロップを染み込ませることで断面がしっとりとした、スポンジのような独特の食感になります。フォークを刺した瞬間にじゅわっとシロップがにじみ出るのが、サバランの最大の醍醐味です。
仕上げには表面にアンズジャムを塗って艶を出し、中央の穴にホイップクリームやカスタードクリーム、季節のフルーツを飾ります。イチゴやラズベリー、サクランボなど色鮮やかなフルーツが映えるため、見た目にも華やかで、特別な日のテーブルを彩る存在感があります。
洋酒をたっぷり使うのがサバランの大きな特徴です。これが原因で「大人のためのケーキ」とも言われます。
市販品(ローソンのサバラン風カップケーキなど)のアルコール度数は概ね2〜4%程度とされていますが、パティスリーで作られる本格サバランや手作りレシピでは、使うラム酒の量によってアルコール度数がさらに高くなることがあります。ラム酒は一般的にアルコール度数40〜45%と高いため、シロップを加熱せずに浸した場合はアルコールが多く残ります。子どもや車の運転前の方には渡さないよう、注意が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生地 | ブリオッシュ生地(バターと卵をたっぷり使った発酵パン生地) |
| 型 | リング型(ドーナツ型)・王冠型 |
| シロップ | ラム酒・キルシュ・グランマルニエ・ブランデーなどの洋酒入り |
| トッピング | ホイップクリーム・カスタードクリーム・フルーツ・アンズジャム |
| アルコール度数(目安) | 市販品2〜4%、本格品はそれ以上 |
参考:サバランのアルコール度数や特徴について詳しく解説されています。
サバランの誕生は19世紀半ばのパリにさかのぼります。1844年頃、パリのブルス広場にパティスリーを構えていたジュリアン兄弟が、フランス北東部・ロレーヌ地方生まれの伝統菓子「ババ」をもとに改良を加え、新しいお菓子を作り上げました。これが現在のサバランの原型です。
そのレシピを考案したのは、ジュリアン兄弟の末弟であるオーギュスト・ジュリアン。彼はボルドーに滞在していた際に「焼いた生地をシロップに浸す」というアイデアを思いつき、ババ生地からレーズンを取り除き、リング型に焼いて、独自の風味を持つシロップを染み込ませる手法を開発しました。注目すべきは、オーギュストがこのレシピを半世紀以上も秘密にし続けたという点で、それだけ価値ある技術と自負していたことが伺えます。
このケーキの名前の由来は、フランスの著名な美食家・法律家であったジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン(1755〜1826年)への敬意から生まれました。ブリア=サヴァランは1825年に『美味礼讃(味覚の生理学)』を著し、美食学の創始者のひとりとして知られる人物です。
意外なのは、ブリア=サヴァランは1826年にすでに亡くなっており、自分の名前が付いたケーキが誕生したことを本人は知らないまま世を去った、という点です。サバランとは、彼の死後に送られたオマージュのお菓子だったのです。
また、日本でサバランが最初に作られたのは横浜という説があります。明治期に洋菓子文化が上陸した港町で、フランス菓子とともに日本に広まったとされています。
参考:サバランの名前の由来と歴史について詳しく書かれています。
「サバランとババは何が違うの?」という疑問を持っている方は多いです。結論から言うと、味はほぼ同じです。どちらもブリオッシュに近い発酵生地を焼いて、洋酒入りのシロップに浸したケーキであることに変わりはありません。
最も分かりやすい違いは形状です。サバランはリング型(ドーナツ型)が定番で、ババは円柱形(コルク型)が基本です。次にレーズンの有無が異なります。ババの生地にはレーズンが練り込まれているのが伝統的ですが、サバランにはレーズンが入りません。また、使う洋酒の種類もやや異なり、ババはラム酒を主に使い、サバランはキルシュやグランマルニエなど多様な洋酒を使います。
ただし現代では形のバリエーションが多く、「見た目だけでは判別しにくい」ケースも珍しくありません。日本では「サバラン」という名前でどちらも指すことがある点も、混乱の原因となっています。
「ババ」という名前の由来は、18世紀にロレーヌ公国を治めていたスタニスワフ公爵が、乾燥して固くなったパンにお酒を染み込ませて食べたことがきっかけとされています。公爵が愛読していた『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』の主人公「アリ・ババ」の名からとって「ババ」と呼ばれるようになったという説が有名です。つまりサバランはそのフランス版洗練形、ということですね。
参考:ババとサバランの違いについて分かりやすく解説されています。
サバランは材料自体はシンプルですが、いくつかのポイントを押さえないと生地がパサついたり、シロップがうまく染み込まなかったりします。手作りに挑戦したい方のために、材料の基本構成とコツをまとめました。
生地(6個分の目安)の材料は、強力粉95g・薄力粉25g・グラニュー糖10g・牛乳30cc・ドライイースト2g・卵1.5個(約75g)・無塩バター30gです。焼きドーナツ型や王冠型に流し込み、2回発酵させてからオーブンで焼き上げます。
シロップの材料は、水200ml・砂糖90g・ラム酒またはキルシュ70mlが基本です。砂糖と水を沸騰させて砂糖を完全に溶かしたのち、粗熱がとれてから洋酒を加えます。
手作りで失敗しないための3つの重要ポイントは以下の通りです。
シロップへの浸し方も重要です。冷ました生地をシロップに入れ、スプーンで何度もかけながら全体にしっかり染み込ませます。上下を返しながら、ゆっくりと時間をかけることが大切です。
子どもも一緒に食べる場合は、洋酒なしのシロップ(砂糖+水+オレンジ果汁など)に変えれば家族全員で楽しめます。これは使えそうです。
洋酒の代わりにオレンジジュースやはちみつレモンシロップを使うアレンジも、フルーティーで美味しいと評判です。手軽に作りたい方は、ホットケーキミックスを使った簡易版レシピも存在します(ただし食感や風味は本格版とは異なります)。
参考:パティシエが教える失敗しないサバランの作り方のポイントが詳しく載っています。
パティシエが教える。ラム酒香る本格サバランのレシピ——macaroni
「サバランを食べてみたいけれど、近くのスーパーやコンビニで売っているの?」と思う方も多いのではないでしょうか。実はサバランは、マカロンやオペラと並んで「日本ではなかなか見かけない」フランス菓子の代表格です。
コンビニ・スーパーでの入手については、常時販売されているわけではないというのが正直なところです。ただし、ローソンでは過去に「Uchi Cafe' サバラン風カップケーキ(295円)」が期間限定で発売され、話題になりました。コンビニスイーツでここまでサバランらしい味が出たことで、多くの人が「初めてサバランを食べた」という声もありました。
パティスリー・洋菓子店では、コロンバン(銀座の老舗洋菓子店)などが取り扱っており、品質の高い本格サバランを購入できます。ただし、「サバランを売っているお店」自体が少ないため、どこでも手に入るわけではない点が欠点です。
最近では「ニッポンのサバラン」というコンセプトで全国800店以上のサバランを食べ歩いたブログなども存在し、サバランが買えるお店情報をまとめたサイトも参考になります。近くにパティスリーがない方は、手作りにチャレンジしてみるか、通販サイトでのお取り寄せが現実的な選択肢です。
参考:銀座でサバランを購入できるお店の情報がまとめられています。
「サバラン、どこで売ってるの?」に、お答えします——銀座編(note)