バターをたっぷり入れたブリオッシュ生地で作ったドーナツは、低温よりも高温・短時間で揚げるほど中がしっとり仕上がります。
そもそもブリオッシュ生地とは、フランス生まれのリッチな菓子パン「ブリオッシュ」に使われる生地のことです。一般的なパン生地が水でこねるのに対して、ブリオッシュ生地は水の代わりに牛乳を使い、さらにたっぷりの卵とバターを練り込むのが大きな特徴です。
普通のドーナツは、ベーキングパウダーで膨らませたケーキ生地や、イーストを使ったシンプルな発酵生地が使われています。一方、ブリオッシュ生地のドーナツは卵とバターの配合量が圧倒的に多く、焼き上がり(揚げ上がり)の色は鮮やかな黄色みを帯びているのが特徴です。これが生地の美しさと豊かな風味の正体です。
生ドーナツという名前で人気を集めているスイーツも、このブリオッシュ生地を使ったドーナツのこと。SNSで爆発的に話題になり、福岡発の人気ベーカリー「AMAM DACOTAN(アマムダコタン)」が火付け役となりました。専門店に長蛇の列ができるほどの人気で、自宅で再現しようとする人も急増しています。
つまりブリオッシュ生地が基本です。
普通のドーナツとの違いを簡単に整理すると、以下のようになります。
| 項目 | 普通のドーナツ | ブリオッシュ生地ドーナツ |
|---|---|---|
| 生地の種類 | ケーキ生地・シンプルイースト | ブリオッシュ(リッチ生地) |
| 卵・バターの量 | 少なめ | たっぷり |
| 揚げ方 | 中温でじっくり | 高温・短時間 |
| 食感 | サクサク〜しっとり | ふわふわ・もちもち |
| 日持ち | 常温2〜3日 | 当日〜冷蔵2〜3日 |
ブリオッシュ生地ドーナツは食感がデリケートなぶん、作るタイミングとすぐ食べることを意識するのが大切です。
参考:生ドーナツのふわもち食感の仕組みや普通のドーナツとの違いが詳しく解説されています。
神戸製菓専門学校|いま話題の生ドーナツの作り方とは?ふわもち食感を完全再現
ブリオッシュ生地ドーナツを成功させるには、まず材料の「配合バランス」を正しく理解することが重要です。材料の割合が少し変わるだけで、食感が大きく変わってしまいます。
家庭でドーナツ6個分を作る場合の基本的な材料はこちらです。
ポイントは、バターの配合量が通常のイーストドーナツの2倍近くになること。バターが多いと生地がグルテンを作りにくくなるため、「バターは生地がある程度まとまってから加える」のが鉄則です。最初からバターを入れてしまうと、グルテンの形成が妨げられて生地がまとまりにくくなります。これは意外に見落としがちなポイントです。
牛乳と卵は冷たいものをそのまま使うレシピも多く、これは特に夏場に生地が発酵しすぎるのを防ぐためです。バターだけは必ず常温に戻しておくこと。これが条件です。
また、砂糖の量もドーナツ生地独特の甘みとイーストの発酵活性のバランスに影響します。砂糖が多すぎるとイーストの働きが抑制されてしまうため、配合を守ることが大切です。きび砂糖を使うと、コクが増してより風味豊かに仕上がりますよ。
参考:ブリオッシュ生地の材料と配合について、プロのレシピを参考に詳しく紹介されています。
ブリオッシュ生地ドーナツ最大の「ふわもち食感」を生み出すのが、低温での長時間発酵です。発酵のやり方を間違えると、せっかくのリッチな生地も台なしになってしまいます。
発酵の流れは以下の2段階です。
なぜこの「冷蔵低温発酵」がふわもち食感を生むのか、仕組みを解説します。低温では酵母(イースト)の働きがゆっくりになり、その分グルテンの伸びが落ち着きます。それによって気泡が細かく均一になり、きめ細かい生地に仕上がるのです。
「低温発酵なら長時間ほどよい」と思いがちですが、目安は24時間以内です。24時間を超えると過発酵になり、生地が硬く弾力のない仕上がりになってしまいます。冷蔵庫に入れたまま忘れてしまうのは要注意ですね。
冷蔵庫から取り出した後は、すぐに成形せずに室温で30分〜1時間かけて生地温度を20℃前後まで戻すことが大切です。冷えたまま無理やり成形すると生地が縮んで二次発酵がうまくいきません。時間を取るのが原則です。
二次発酵は35〜40℃で30〜40分を目安に行います。オーブンの発酵機能が使えれば理想的ですが、ぬるま湯を張ったボウルの上に置いて布をかぶせる方法でも代用できます。
参考:一次発酵のタイミングや冷蔵発酵の移すタイミングについて、プロのポイントが詳しく書かれています。
富澤商店|冷蔵庫でパンの生地を「低温発酵」させるパン作りがおすすめ
生地をせっかく丁寧に仕上げても、揚げ方を間違えると台無しになります。ブリオッシュ生地のドーナツに最適な揚げ方の「温度と時間」は、一般的なドーナツとは大きく異なります。
正しい揚げ方のポイントを押さえましょう。
高温で短時間揚げることで、表面はきつね色にカリッとなりながら、中の水分が残ってしっとりとした食感が生まれます。反対に170℃以下の低温で長時間揚げると、生地内の水分が油に置き換わる形で抜け出てしまい、油っぽくパサパサした仕上がりになります。これが失敗の代表パターンです。
揚げる前に、生地の表面を室温に置いて10〜15分ほど乾かすのもプロのテクニックです。表面が少し乾くことで、油に入れたときに生地の表面が素早く固まり、油の吸い込みを抑えられます。油っぽくなりにくくなるわけですね。
家庭での揚げ油は、クセのないサラダ油や米油が扱いやすくおすすめです。米油はトランス脂肪酸が少なく酸化しにくいため、揚げ物が気になる方にも選ばれています。
揚げた後は油を切って粗熱を取り、完全に冷めてから粉糖をまぶすのが基本です。温かいうちに粉糖をかけると、水分を吸ってべとつく原因になります。仕上げは冷めてからが条件です。
ブリオッシュ生地のドーナツの魅力のひとつが、アレンジの豊富さです。生地自体がシンプルなリッチ風味なので、どんなフィリングや仕上げとも相性が抜群です。
人気のフィリング・仕上げバリエーションを紹介します。
フィリングを詰める場合は、ドーナツが完全に冷めてから行うのが基本です。温かいうちにクリームを入れると、熱で生クリームが溶けてしまい食感が損なわれます。
手作り生地で作ったドーナツに独自の視点でアレンジを加えるなら「黒豆きなこクリーム」もおすすめです。きなこと砂糖を混ぜた生クリームを詰めて、黒豆を1粒のせるだけで、和菓子風の高級感ある仕上がりになります。市販のきなこ菓子のような甘さではなく、ほんのりした香ばしさが特徴で、子どもから大人まで喜ばれます。これは使えそうです。
フィリングなしで楽しみたい場合は、揚げたての生地をそのまま食べるのも十分においしいのがブリオッシュ生地の底力です。バターと卵の豊かな風味が引き立ち、シンプルに粉糖やグラニュー糖をまぶすだけでも専門店の味に近づけます。
参考:生ドーナツのクリームや仕上げのバリエーションについて、プロのレシピが詳しく紹介されています。
手間をかけて作ったブリオッシュ生地ドーナツ、できれば長くおいしく楽しみたいものです。しかし実は、生ドーナツの保存方法は普通のドーナツとは少し考え方が違います。
まず保存期間の目安を確認しましょう。
| 保存方法 | 目安期間 | 注意点 |
|---|---|---|
| 常温 | 当日中 | 油が酸化しやすいため当日食べきりが理想 |
| 冷蔵 | 2〜3日 | ラップで個包装して乾燥を防ぐ |
| 冷凍(生地状態) | 約2週間 | 揚げる前の生地を冷凍するのが最善 |
| 冷凍(揚げた後) | 約2週間 | クリームなしの状態で保存、食感は落ちやすい |
クリームを詰めた状態での冷凍は、生クリームが分離しやすいためおすすめできません。冷凍するなら「クリームなし・揚げた状態」か「揚げる前の成形済み生地」で保存するのが得策です。食べるときは、冷蔵庫で自然解凍してから電子レンジで10〜15秒ほど温めると、揚げたてに近い食感が戻ります。
よくある失敗とその対策をQ&A形式でまとめます。
参考:手作りドーナツの保存方法と日持ちについて、常温・冷蔵・冷凍それぞれの目安が詳しく解説されています。
手作りドーナツの日持ちはいつまで?常温から冷凍までの保存目安と注意点