トランス脂肪酸パンワースト|含有量と健康リスク避ける選び方

パンに含まれるトランス脂肪酸の含有量が多い商品とその健康への影響について詳しく解説します。大手メーカーのワースト商品や安全な選び方、低減への取り組みまで網羅的にご紹介。毎日食べるパンだからこそ、正しい知識で健康的な選択をしませんか?

トランス脂肪酸パンワースト

トランス脂肪酸パンの主な特徴
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菓子パンに高含有

デニッシュやドーナツなど油脂を多く使用するパンにトランス脂肪酸が多く含まれる傾向があります

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健康への影響

LDLコレステロールの増加とHDLコレステロールの減少により心疾患リスクが高まります

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表示義務なし

日本ではパッケージへの含有量表示義務がなく、消費者が選択しにくい状況です

トランス脂肪酸パンのワースト商品一覧

週刊新潮の調査によると、トランス脂肪酸含有量が多いパンのワーストランキングは以下の通りです。トップ10はすべて菓子パンで占められており、食パンよりも圧倒的に含有量が多いことが明らかになっています。

 

ワースト1位から5位
1位はヤマザキ製パンの「スナックスティック9本入り」で、しっとりふわふわの食感を出すためにマーガリンやショートニングが大量に使用されています。2位は同じくヤマザキ製パンの「シュガーロール5個入り」、3位はフジパンの「コッペパン〜アーモンドクリーム〜」と続きます。4位にはフジパンの「ふんわりソフトパンケーキ3個入〜玄米ミルクホイップ〜」、5位にはヤマザキ製パンの「アメリカンファッションドーナツ」と敷島製パンの「パイ饅頭5個入り」が同率でランクインしています。

 

ワースト6位から10位
6位はフジパンの「牛乳コッペ〜抹茶クリーム〜」、7位には同率でフジパンの「デニッシュドーナツ4個入」と敷島製パンの「スナックパンはちみつレモン8本入」が入りました。8位はヤマザキ製パンの「大きなチョコチップメロンパン」で、メロンパンのような人気商品でもトランス脂肪酸含有量が高いことが判明しています。9位はヤマザキ製パンの「ケーキドーナツ」、10位には同率でヤマザキ製パンの「ずっしりカスタードクリームデニッシュ」と「チョコチップスティック」がランクインしています。

 

トランス脂肪酸パンに含まれる主な原材料

トランス脂肪酸を含むパンには、特定の油脂成分が使用されています。原材料表示を確認することで、トランス脂肪酸の含有を推測することができます。

 

📌 マーガリン
植物油を加工して作られるマーガリンは、パンの風味向上や食感改善のために広く使用されています。製造過程で水素添加が行われることでトランス脂肪酸が生成されます。現在は低減化技術が進んでいますが、完全にゼロではありません。マーガリン10gあたり約0.1〜0.99gのトランス脂肪酸が含まれるとされています。

 

📌 ショートニング
マーガリンから水分と添加物を除いた純度の高い油脂で、パンや焼き菓子をサクサクした食感に仕上げるために使用されます。バターやラードの代替品として広く普及しており、ドーナツやクロワッサン、デニッシュパンなど油脂含量の多い製品に特に多く含まれています。ショートニング10gあたり約1.0gのトランス脂肪酸が含まれることがあります。

 

📌 ファットスプレッド
油脂含有量が80%以下のマーガリンの一種で、パンの製造過程で使用されます。マーガリンよりも油脂含有量は少ないものの、トランス脂肪酸は10gあたり約0.69g含まれています。原材料表示でこれらの表記を見つけたら、トランス脂肪酸が含まれている可能性が高いと判断できます。

 

トランス脂肪酸による健康リスクと影響

トランス脂肪酸の過剰摂取は、様々な健康リスクを引き起こすことが科学的に証明されています。アメリカでは2018年6月から事実上使用禁止となり、世界46カ国が規制を導入しています。

 

🔬 心血管疾患リスクの増加
トランス脂肪酸は血液中のLDL(悪玉)コレステロールを増加させ、同時にHDL(善玉)コレステロールを減少させます。この作用は飽和脂肪酸よりも強力で、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈性心疾患のリスクを高めます。大規模コホート研究では、トランス脂肪酸の摂取量が増えるほど心疾患リスクが上昇することが示されています。

 

🔬 その他の疾患との関連性
食品安全委員会の評価書によると、トランス脂肪酸と糖尿病、がん、胆石、脳卒中、加齢黄斑変性症、認知症との関連については結論が出ていませんが、可能性が指摘されています。また、発ガン性、うつ病、アルツハイマー、不妊、流産との関係も研究されており、健康への悪影響が懸念されています。

 

🔬 WHOの勧告基準
世界保健機構(WHO)は、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1%未満(通常の食事摂取量で1日あたり約2g未満)にするよう勧告しています。日本人の平均摂取量は男性0.30%、女性0.33%と低いものの、菓子パンを頻繁に食べる人は注意が必要です。

 

トランス脂肪酸パンを避けるための選び方

健康を守るためには、トランス脂肪酸が少ないパンを選ぶことが重要です。日本では表示義務がないため、消費者自身が原材料をチェックする必要があります。

 

原材料表示の確認方法
パンを購入する際は、必ずパッケージ裏面の原材料表示を確認しましょう。「マーガリン」「ショートニング」「ファットスプレッド」の記載がある商品は避けるか、摂取量を控えめにすることをおすすめします。原材料は使用量の多い順に記載されているため、これらが上位に来ている商品は特に注意が必要です。

 

食パンより菓子パンに注意
調査結果によると、食パンよりも菓子パンに圧倒的に多くのトランス脂肪酸が含まれています。デニッシュ、ドーナツ、クロワッサン、メロンパンなど、しっとり感やふわふわ感、ボリューム感を出すために油脂を多用する菓子パンは特に含有量が高い傾向にあります。毎日の朝食には、シンプルな食パンを選ぶ方が安全です。

 

パン屋さんでの購入時の注意点
市販のパンには原材料が表示されていますが、店舗で販売されるパン屋さんのパンには詳細な表示がないことが多いです。一般的なパン屋では「フランスパン以外の全てのパンにマーガリンを使用している」というケースもあります。自然派や無添加を謳うパン屋では「全てのパンがマーガリン不使用」と明言している店舗もあるため、購入前に確認することをおすすめします。

 

農林水産省のトランス脂肪酸の摂取と健康への影響についての公式情報

製パン大手3社のトランス脂肪酸含有状況

大手製パンメーカー3社の商品におけるトランス脂肪酸の含有状況には、メーカーごとに大きな差があることが判明しています。2024年の調査結果から、各社の現状を見ていきましょう。

 

山崎製パンの状況
開示商品数105商品のうち、トランス脂肪酸が含まれるのは11商品(10.4%)と、3社の中では最も含有商品の割合が低くなっています。同社は「デニッシュペストリーやドーナツなどの油脂含量の多い製品やバター等乳脂肪を含有する一部の食品では1個あたり1g未満のトランス脂肪酸を含んでいる」と回答しています。脱臭工程由来の微量のトランス脂肪酸や天然由来のトランス脂肪酸の除去は技術的に難しいとしています。

 

フジパンの状況
開示商品数163商品のうち、含まれるのは42商品(25.7%)です。同社は「原料メーカー様と協議し、原材料のトランス脂肪酸含有量は100g中5g未満(製品1包装あたり2g未満を基準)としています」と説明し、トランス脂肪酸を含有しない製品にすべく対応を進めているとしています。

 

敷島製パン(Pasco)の状況
開示商品数263商品のうち、含まれるのは151商品(57.4%)と、3社の中で最も高い割合となっています。同社は「トランス脂肪酸は牛などの反すう動物の胃の中でも生成されるため、肉や乳にも含まれており、バターなどの乳加工品を多く使用する商品にもトランス脂肪酸が含まれております」と回答し、社内基準を設定して管理していると説明しています。

 

トランス脂肪酸低減に向けた業界の取り組み

日本の製パン業界では、世界的な規制の流れを受けて、トランス脂肪酸の低減化に向けた様々な取り組みが進められています。この取り組みは業界全体で推進されており、消費者の健康意識の高まりにも対応しています。

 

🏭 製油メーカーとの協力
現在は製油メーカーの技術開発により、トランス脂肪酸の発生を抑える油脂が複数開発されています。部分水素添加の工程を改良したり、異なる加工方法を採用することで、トランス脂肪酸の含有量を大幅に削減することが可能になっています。無添加パンの製造を行う専門家によると「トランス脂肪酸を含有しないパンを作ることは十分に可能」とされており、大手メーカーでも技術的には実現可能な状態です。

 

🏭 商品の改良と新規開発
パンのしっとり感やふわふわ感を維持しながら、トランス脂肪酸を削減する取り組みが進んでいます。例えばミスタードーナツでは、低トランス脂肪酸オイルを使用し、1個あたりのトランス脂肪酸摂取量を0.25g程度まで抑えています。大手製パンメーカーでも、トランス脂肪酸を含まない商品の開発が進められており、消費者の選択肢は徐々に広がっています。

 

🏭 情報開示の推進
日本パン工業会では、トランス脂肪酸の低減化に関する取組みについての情報を公開しています。各メーカーのウェブサイトでは、主要商品のトランス脂肪酸含有量を開示する動きが広がっており、消費者が商品選択の際に参考にできる環境が整いつつあります。ただし、パッケージへの表示義務化は実現しておらず、さらなる制度改善が求められています。

 

日本パン工業会のトランス脂肪酸低減化への取り組みについての公式ページ

トランス脂肪酸が少ない安全なパンの特徴

健康志向の高まりとともに、トランス脂肪酸を含まない、または極めて少ない安全なパンも市場に増えています。どのようなパンを選べば良いのか、その特徴を詳しく見ていきましょう。

 

🌾 天然酵母・無添加パン
天然酵母を使用し、マーガリンやショートニングを一切使わない無添加パンは、トランス脂肪酸の心配がほとんどありません。全国には「アルペンローゼ」や「パヌトン」「味輝」など、天然酵母100%にこだわり無添加で保存料を使わないパンを製造する専門店が増えています。これらの店舗では、国産小麦や有機材料を使用し、安心して食べられる本物のパンづくりに取り組んでいます。価格は一般的なパンより高めですが、健康への投資として価値があります。

 

🌾 米粉パン・グルテンフリーパン
新潟県産米など国産米粉100%で作られたパンは、アレルギー特定原料28品目を含まないものも多く、トランス脂肪酸を含まない有機オーガニックパーム油や天然酵母を使用している商品があります。グルテンフリーパンの中には、添加物を使わずに製造される「クリーンラベル」商品も登場しており、健康志向の消費者に支持されています。

 

🌾 シンプルな食パン
複雑な加工を施していないシンプルな食パンは、菓子パンに比べてトランス脂肪酸含有量が少ない傾向にあります。原材料表示で小麦粉、イースト、塩、砂糖など基本的な材料のみで作られている商品を選ぶことで、不要な油脂の摂取を避けることができます。バターを使用している商品であっても、天然由来のトランス脂肪酸は工業的に生成されたものより少量です。