三温糖を選んでいるのに、実は上白糖とカロリーはほぼ同じで健康差もほとんどありません。
三温糖の正体を理解するには、砂糖がどのように作られるかを知ることが近道です。砂糖はまず、さとうきびやてん菜の搾り汁を精製することで不純物を取り除き、結晶を分離させる「分蜜糖」の工程を経ます。この段階で最初にできるのがグラニュー糖や上白糖です。
その後、白い砂糖の結晶を取り出した残りの糖液を、さらに繰り返し煮詰めてできるのが三温糖です。煮詰めの工程で糖が加熱され続けることでカラメル化が起き、あの特徴的な黄褐色が生まれます。つまり三温糖の茶色は、「加熱による色」なのです。
一説では「三度温めて作るから三温糖」という由来があるといわれていますが、実際には工場によって加熱回数は異なります。大切なのは色ではなく、カラメル化によって生まれたコクと風味が、三温糖の最大の個性だということです。
上白糖との製法の違いを整理すると、以下のようになります。
| 項目 | 上白糖 | 三温糖 |
|---|---|---|
| 製法の位置づけ | 精製過程の前半でできる | 上白糖製造後の残液をさらに煮詰める |
| 色 | 白 | 黄褐色(カラメル色) |
| 甘さの性質 | すっきりとした甘さ | コクのある強い甘み |
| 大さじ1の重さ | 約9g | |
| 100gカロリー | 391kcal | 390kcal |
どちらも「分蜜糖」という同じカテゴリに属しています。製法の出発点は同じで、工程の順番が異なるだけです。これが基本です。
農畜産業振興機構(alic)も、白い砂糖と三温糖は同じ精製糖であり、製造方法は基本的に同じだと解説しています。製法の違いが生む「風味の差」こそが三温糖を選ぶ本質的な理由です。
参考:三温糖の製造工程と白砂糖との関係についての解説(農畜産業振興機構)
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_000610.html
「茶色い砂糖のほうが体にいい」というイメージを持っている方は少なくありません。しかし、これは大きな誤解です。意外ですね。
三温糖と上白糖の栄養成分を文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」で比べると、100gあたりのカロリーは三温糖が390kcal、上白糖が391kcalとほぼ差がありません。ミネラルについても、ごくわずかに三温糖のほうが多い程度で、健康上の意味のある差とはいえないのが実情です。
| 砂糖の種類 | カロリー(100g) | カリウム(100g) | カルシウム(100g) |
|---|---|---|---|
| 上白糖 | 391kcal | 2mg | 1mg |
| 三温糖 | 390kcal | 約13mg | 約6mg |
| 黒糖 | 352kcal | 1100mg | 240mg |
| きび砂糖 | 約396kcal | 約110mg | 約13mg |
表を見れば一目瞭然です。本当にミネラルを砂糖から補いたいなら、選ぶべきは三温糖ではなく黒糖ときび砂糖です。三温糖のカリウムは100gで約13mgですが、黒糖は同量でなんと1100mgと、約85倍もの差があります。
管理栄養士が解説する記事(kenko-bi.jp)でも、「ミネラルを補給するのであれば、三温糖ではなく他の食品から摂取するほうが効率的」と明記されています。砂糖から健康効果を期待するなら、砂糖の「種類の選び方」ではなく、「摂取量のコントロール」と「食事全体のバランス」が先決です。これだけ覚えておけばOKです。
参考:管理栄養士による砂糖の種類と健康効果の解説
https://www.kenko-bi.jp/mybeauty/1260/
見た目がよく似た三温糖ときび砂糖ですが、生まれ方がまったく異なります。三温糖は白砂糖を作り終えた後の糖液からできる「精製度の高い砂糖」。一方のきび砂糖は、精製途中の糖液を煮詰めて作るため、ミネラルや風味が残りやすい砂糖です。
この製法の差が、料理の仕上がりに直接影響します。
三温糖のカラメル風味は、長時間煮込む「おでん」「筑前煮」「豚の角煮」のような料理で特に力を発揮します。料理の出来上がり色も少し濃く仕上がるため、見た目に照りと深みが出るのも魅力です。
一方、きび砂糖で三温糖の代用をする場合には、コクはありますが三温糖よりやや甘みが控えめになります。分量をわずかに多めにするか、仕上がりの色と味を確認しながら調整するといいでしょう。
料理の特性に合わせた砂糖の使い分けが基本です。
参考:農林水産省による砂糖の種類と製造方法の解説
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2111/spe1_01.html
「レシピに三温糖と書いてあるけれど、家にない」という場面はよくあります。代用は可能ですが、仕上がりに差が出ることを知っておく必要があります。
まず、重さの基準を確認しましょう。三温糖・上白糖・きび砂糖はいずれも大さじ1杯で約9gで、同量そのまま代用できます。グラニュー糖だけは大さじ1杯で12gとやや重いため、レシピの重量指定に注意が必要です。
各代用砂糖の特徴をまとめると以下のとおりです。
三温糖が手元にないとき、煮物のコクが必要な場面では上白糖+少量の醤油やみりんを加えることでも風味を近づけることができます。これは使えそうです。
代用品を選ぶ判断は「仕上がりに色とコクが必要かどうか」が条件です。
スーパーの砂糖コーナーを見渡すと、茶色い砂糖がいくつも並んでいます。三温糖・きび砂糖・黒糖・てんさい糖…。見た目は同じような色でも、その正体はまったく別物です。
重要なのは「茶色の理由」が砂糖によって根本から違うという点です。
三温糖の茶色は、糖液を高温で繰り返し加熱したことによる「カラメル化」です。精製度は高く、ミネラルはほぼ除去されています。一方、きび砂糖の茶色はさとうきびに含まれるミネラルが残っているからです。黒糖はさらに精製度が低く、さとうきびの搾り汁をそのまま煮詰めるため、カリウム1100mg、カルシウム240mg(100gあたり)という突出したミネラル量を誇ります。
てんさい糖はさとうきびではなくてん菜(ビート)を原料としており、オリゴ糖を含むことで腸内環境への働きかけが期待できる点が他の砂糖と一線を画す特徴です。また血糖値の急上昇を示すGI値も白砂糖の110に対してきび砂糖・てんさい糖は65程度と低く、健康を意識するなら注目すべき違いがあります。
「茶色だから体にいい」という思い込みで三温糖を選んでいるなら、少し見直す余地があります。料理のコクを出したいなら三温糖、ミネラルやGI値を意識した健康目的なら、てんさい糖やきび砂糖のほうが理にかなっています。
日常的に煮物をよく作る家庭では三温糖、料理全般に幅広く使いたい場合はきび砂糖、腸活を意識するならてんさい糖というように、目的に応じて使い分けることが賢い選択です。砂糖選びは「用途と目的」が条件です。
農林水産省もミネラル豊富な砂糖として黒糖(含蜜糖)と、精製度の高い分蜜糖(三温糖・上白糖)の差を明確に区別して説明しており、砂糖の健康効果を語るうえで製法の理解が欠かせません。
参考:農林水産省・砂糖の種類別解説(含蜜糖と分蜜糖の違いについて)
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2111/spe1_01.html