冷蔵保存したしぼりたて日本酒は、常温で1週間以内に飲まないと風味が半減します。
しぼりたて日本酒とは、醪(もろみ)を搾った後、ほとんど時間を置かずに瓶詰め・出荷された日本酒のことを指します。一般的な日本酒は搾った後に「火入れ」という加熱殺菌工程を2回経て、数ヶ月かけて熟成させてから出荷されます。しぼりたては、そのプロセスを最小限にとどめたものです。
日本酒の製造工程の中で「搾り」とは、発酵を終えた醪をプレス機や袋吊りで固体(酒粕)と液体(清酒)に分離する工程のことです。この搾りの直後に出荷されるものが「しぼりたて」であり、加熱処理をしていないものは「生酒」とも呼ばれます。つまり、しぼりたてと生酒は概念が重なる部分が大きいです。
ただし、法律上の明確な定義があるわけではありません。蔵元や銘柄によって「しぼりたて」の使い方に若干の幅があります。一般的には「搾りたて=火入れなし=生のフレッシュな状態」を指すと理解しておけば問題ありません。
フレッシュな果実のような香りと、軽い微発泡感が特徴です。これは酵母がまだ活動している証拠でもあり、通常の日本酒とはまったく異なる飲み口です。しぼりたてが好きですね、と語る愛好家が増えているのも納得できます。
「しぼりたて」「新酒」「生酒」という言葉は混同されやすいですが、それぞれ異なる意味を持っています。整理すると理解しやすくなります。
まず「新酒」とは、その年の秋に収穫された新米を使って仕込み、同年度内(おおよそ7月1日〜翌年6月30日の酒造年度内)に出荷された日本酒のことです。新酒のうち、搾ったばかりのものが「しぼりたて」にあたります。つまり、しぼりたては新酒の一形態といえます。
次に「生酒」とは、火入れ(加熱殺菌)を一切行っていない日本酒のことです。日本酒は通常、搾り後と瓶詰め前の2回、60〜65℃前後で加熱処理します。この処理をしないのが生酒です。しぼりたては多くの場合、生酒でもあります。
一方で「生貯蔵酒」や「生一本」とは別の概念です。生貯蔵酒とは、貯蔵中は火入れしないが瓶詰め前に一度だけ火入れをするタイプです。生一本とは、単一の醸造元で造られた純米酒を指します。これらとしぼりたては別物だと覚えておけばOKです。
また「無濾過生原酒」という表記もよく見かけます。これは「無濾過(炭素濾過なし)」「生(火入れなし)」「原酒(加水調整なし)」の3つの特徴を持ったもので、アルコール度数が17〜20度程度と高く、しぼりたての中でも特に個性が強いタイプです。
| 用語 | 火入れ | 熟成 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| しぼりたて | なし(多くの場合) | ほぼなし | フレッシュ・微発泡 |
| 生酒 | なし | あり・なし両方 | 生のフレッシュ感 |
| 新酒 | あり・なし両方 | 短め | その年の若い酒 |
| 生貯蔵酒 | 瓶詰め前1回 | あり | 生感と安定感の両立 |
| 無濾過生原酒 | なし | 強個性・高アルコール |
しぼりたて日本酒が店頭に並ぶのは、主に11月下旬から2月にかけての冬の時期です。日本酒の仕込みは秋から冬にかけて行われることが多く、その搾りたての状態でリリースされるためです。これを「寒仕込み(かんじこみ)」と呼びます。
特に毎年11月に解禁される「新酒」の第一陣は、蔵元や日本酒専門店で大きなイベントとなっています。年によっては予約が必要なほど人気の高い銘柄もあります。フレッシュさと若さが特徴のこの時期のしぼりたては、限定品として流通することも多いです。
旬の時期ということですね。冬にスーパーや酒屋の店頭でも「しぼりたて」と書かれたラベルを見かけるようになります。この時期を逃すと、同じ銘柄でも火入れ・熟成済みの通常版しか手に入らなくなります。
また、地域によっては春先(3月〜4月)にも「春の生酒」として出荷されることがあります。冬仕込みの酒を少し長く寝かせてから出荷するパターンです。しぼりたての入手可能期間は蔵元や流通経路によって異なるため、気になる銘柄は蔵元の公式サイトや酒販店のSNSで確認するのが確実です。
日本酒の製造工程や分類についての公的情報が確認できます。しぼりたて・生酒の定義の根拠を調べたいときの参考になります。
しぼりたては火入れをしていないぶん、保存に注意が必要です。これが一番大事なポイントです。
火入れ処理をしていない生酒は、酵母や酵素が生きた状態で瓶に入っています。常温に長時間置いておくと、酵母が再発酵して炭酸が発生し、ガスが溜まって瓶が膨張したり、液漏れが起きる可能性があります。また、紫外線や熱に非常に弱く、香りや味がすぐに変化してしまいます。
保存の基本は「冷蔵庫での直立保存」です。横に寝かせると液体がコルク(または栓)と常時接触してしまい、風味に影響が出ることがあります。未開封であれば、製造から3〜6ヶ月以内を目安に消費するのが原則です。
開封後は酸化が始まります。できるだけ早めに飲み切るのが理想で、目安は開封後1週間以内です。それ以上経過すると、フレッシュな香りは消え、酸味や雑味が目立ってきます。しぼりたての一番おいしい部分は「開けたての瞬間」にあると言っても過言ではありません。
また、購入する際には冷蔵保存されている販売店を選ぶことも重要です。常温の棚に並んでいるしぼりたては、すでに品質が落ちている可能性があります。購入時点の保管状態は必ず確認したいところです。
しぼりたて日本酒を選ぶとき、ラベルをどう読むかが一番の鍵です。難しそうですね、と思うかもしれませんが、ポイントを絞ればすぐに使えます。
まず確認するのは「生酒」「無濾過生原酒」「しぼりたて」といったキーワードがラベルに記載されているかどうかです。次に製造年月日を必ず確認します。日本酒は製造年月日から3ヶ月以内のものが特に新鮮とされています。冬のギフトや手土産としてしぼりたてを選ぶ場合は、できるだけ新しい製造日のものを選んでください。
価格帯については、しぼりたてのスタンダードなものは720ml換算で1,200〜2,500円前後が一般的です。無濾過生原酒タイプは1,800〜3,500円程度が多く、特定名称酒(純米吟醸・大吟醸など)はさらに高くなります。予算に応じた選択が可能です。
飲み方については、しぼりたては基本的に冷やして飲むのが王道です。グラスに注ぐ直前まで冷蔵庫に入れておいて、10〜12℃程度で飲むのが香りと味のバランスがよいとされています。温めてしまうと生酒特有のフレッシュな香りが消えてしまうため、燗酒(かんざけ)には向きません。
また、料理との相性という点でも、しぼりたては幅広く使えます。以下は特に相性がよいとされる料理の例です。
はじめてしぼりたてを試すなら、地元の酒屋やデパートの日本酒売り場に相談するのが確実です。専門のスタッフがその時期のおすすめを教えてくれます。また、近年は日本酒専門の通販サービス(「SAKETIME」「酒のいろは」など)を利用すると、産地や香りのタイプで絞り込んで選べて便利です。これは使えそうです。
しぼりたてを一度正しい状態で飲めば、通常の日本酒とはまったく違う体験ができます。冬の限られた時期にしか味わえないフレッシュさを、ぜひ正しい知識と選び方で楽しんでみてください。
しぼりたて・生酒・無濾過生原酒など、カテゴリ別に商品を探せる日本酒専門の通販サイトです。季節の限定品を探す際の参考になります。