酒粕甘酒を毎回砂糖ゼロで作っている人ほど、実は栄養を半減させていることが多いです。
酒粕甘酒を作るときに最初に悩むのが、酒粕と水の分量のバランスです。一般的な黄金比は、酒粕50g:水400ml:砂糖大さじ2~3とされており、これがもっとも飲みやすく栄養も取り出しやすい割合です。酒粕50gというのは、だいたいクレジットカード1枚分の厚みのブロックをイメージするとわかりやすいでしょう。
まず板状の酒粕を使う場合は、小さくちぎってから鍋に入れるのが基本です。酒粕はそのまま入れると溶けにくいため、ちぎるか事前に少量の水に30分ほど浸しておくと、なめらかに仕上がります。これが基本です。
手順は次のとおりです。
火にかける時間は、弱火で5〜8分が目安です。強火で一気に温めると酒粕のたんぱく質が固まりやすく、ざらつきの原因になります。弱火でじっくりが原則です。
なお、酒粕にはアルコールが含まれており、そのままでは成人でも飲みにくいと感じる場合があります。アルコールを飛ばすには、沸騰させて約1〜2分間保つ必要があります。ただし沸騰させすぎると酒粕の風味が飛びやすいため、沸騰したらすぐ弱火にして1分間キープ、という方法が風味と安全性のバランスに優れています。
酒粕甘酒は「飲む点滴」と呼ばれることがあります。これは米麹甘酒に対してもよく使われる表現ですが、酒粕甘酒にも豊富な栄養素が含まれており、日常的に取り入れる価値は十分あります。
主要な栄養成分を見てみましょう。
栄養が豊富なのはいいことですね。ただし、見落とされがちなポイントがあります。
砂糖ゼロで作ることにこだわりすぎると、エネルギー源となるブドウ糖が少なくなり、酒粕の栄養素の吸収効率が落ちることがあります。特にビタミンB1は糖質と一緒に摂ることで代謝に活かされやすいため、「砂糖なしが健康的」と思い込んで無糖にするのは必ずしも正解ではありません。少量でも砂糖を加えることが、栄養バランスという点では合理的なのです。
また、酒粕甘酒を1日に飲む量としては、コップ1杯(150〜200ml)程度が適量とされています。飲みすぎるとカロリーや糖質の摂りすぎになるため、1杯を毎日続けることが無理なく効果を得るコツです。
農林水産省のサイトには、甘酒の成分や活用法に関する情報も掲載されています。参考にしてみてください。
酒粕や甘酒に関する農林水産省の情報ページ。
農林水産省:日本酒・酒粕に関する情報
基本の酒粕甘酒に慣れてきたら、ぜひアレンジを試してみてください。水の代わりに豆乳や牛乳を使うと、コクが増してカフェ風の仕上がりになります。これは使えそうです。
豆乳を使う場合は、水200ml+豆乳200mlの割合がおすすめです。全量を豆乳にすると加熱時に分離しやすいため、水と半々にするのがポイントです。豆乳の植物性タンパク質と酒粕のアミノ酸が合わさることで、たんぱく質の摂取量を効率よく増やすことができます。
生姜を加える際は、加熱後に入れると風味が飛びにくいです。火を止めてから加えるのが基本です。また、生姜は乾燥生姜(パウダー)でも代用可能で、体を温める成分「ショウガオール」は乾燥・加熱後に増えることが分かっています。これは意外ですね。
アレンジによって飲みやすさだけでなく栄養バランスも変わるため、目的に合わせて使い分けると毎日続けやすくなります。
作った酒粕甘酒の保存方法を間違えると、翌日には風味が落ちたり、最悪の場合は腐敗につながることもあります。保存は正しく行うことが大切です。
冷蔵保存の場合、密閉できる容器(ガラス瓶やジップ付き保存袋)に入れて冷蔵庫へ。日持ちの目安は3〜5日です。ただし、砂糖や牛乳・豆乳を加えている場合は2〜3日以内が安全です。冷蔵した甘酒は分離することがありますが、温め直す際によく混ぜれば問題ありません。
冷凍保存もできます。製氷トレーに流し込んで凍らせると、1個あたり約30ml(大さじ2杯分)のキューブになり、使いたい分だけ取り出せて便利です。冷凍での日持ちは約1カ月が目安とされています。
温め直しに電子レンジを使う場合は、ラップをせずに加熱するとアルコールが適度に飛びやすくなります。沸騰させると風味が落ちるため、600Wで1分を目安にして様子を見てください。
また、酒粕甘酒を大量に作り置きしたいときは、砂糖や牛乳を加える前の状態(酒粕を水で溶かしただけの状態)で冷凍保存すると、解凍後に風味が変わりにくく長持ちします。冷凍前は完全に冷ましてからが条件です。
酒粕甘酒を手作りするとき、多くの人がやりがちな失敗があります。最もよくあるのは「溶け残り」と「アルコールが飛んでいないまま子どもに飲ませてしまう」という2つです。
溶け残りを防ぐには、板粕の場合は必ず事前にちぎるか、少量の水に30分以上浸しておくことが重要です。ペースト状の練り粕を使うと溶けやすく、初心者には特に向いています。つまり酒粕の形状選びが成否を分けます。
アルコールについては、意外と見落とされているポイントがあります。市販の酒粕のアルコール度数は商品によって異なりますが、8〜14%程度含まれているものもあります。これは缶チューハイ(5〜9%)よりも高いケースもあり、ひとなめしただけでもお酒に弱い人や子どもへの影響が出ることがあります。
厳しいところですね。ただ、正しく加熱処理をすればアルコールをほぼ除去できるため、過度に心配する必要はありません。アルコール除去に注意すれば大丈夫です。
一方で、「完全に沸騰させ続けた」という失敗例もあります。長時間の加熱は酒粕に含まれる酵素やビタミンB群を壊してしまうため、沸騰したら1〜2分で火を止めることを徹底してください。栄養とアルコール除去のバランスを保つのが、手作り甘酒のコツです。
子ども向けや妊娠中の方が飲む場合は、ノンアルコールの米麹甘酒のほうが安心です。スーパーや通販で購入できる米麹から作るタイプは、発酵過程でアルコールが生成されないため、加熱処理なしでも安全に飲めます。
酒粕を使った甘酒・発酵食品の栄養に関する専門的な解説。
独立行政法人 酒類総合研究所(NRIB):日本の発酵・醸造に関する研究機関の公式サイト
酒粕甘酒の作り方は、基本の分量と火加減さえ押さえれば決して難しくありません。分量・加熱・保存の3点が条件です。毎日の健康習慣としてコップ1杯から始めてみることで、腸内環境や冷え対策など、体の内側からの変化を感じられるはずです。ぜひ今日の夕食後に、一杯試してみてください。