タンパク質は20種類のアミノ酸から構成され、そのうち9種類は体内で合成できない必須アミノ酸として食事から摂取する必要があります。動物性タンパク質は肉、魚、卵、乳製品などに含まれ、必須アミノ酸をバランス良く含有しています。アミノ酸スコアは100に達するものが多く、肉類や卵、牛乳などがその代表例です。
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一方、植物性タンパク質は大豆、豆類、穀物、野菜、ナッツなどに含まれますが、一部の必須アミノ酸が不足している傾向にあります。例えば大豆はメチオニンが、精白米はリジンが不足しており、それぞれアミノ酸スコアは86と65となっています。しかし植物性タンパク質でも、異なる食品を組み合わせることでアミノ酸バランスを補うことが可能です。
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動物性タンパク質の大きな特徴は、必須アミノ酸の中でも筋肉合成に重要なロイシンを豊富に含むことです。このため筋肉づくりや運動後の回復において高い効果を発揮します。タンパク質の質を評価する上で、アミノ酸スコアは重要な指標となっています。
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消化吸収率において両者には明確な差があります。動物性タンパク質の消化吸収率は約90〜99%と非常に高く、体内で効率的にアミノ酸が利用されます。この高い吸収率は、運動後の筋肉修復や成長促進に特に重要な役割を果たします。
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植物性タンパク質の消化吸収率は約70〜85%とやや低めです。植物性食品にはフィチン酸などの抗栄養素が含まれることがあり、これがタンパク質の吸収に影響を与える可能性があります。しかし適切な調理や加工方法を用いることで、植物性タンパク質の消化率を向上させることができます。
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吸収速度にも違いがあり、動物性タンパク質は素早く吸収されるのに対し、植物性タンパク質は緩やかに吸収されます。この特性から、筋トレ後には動物性タンパク質が効率的ですが、植物性タンパク質は低カロリー・低脂質で、ダイエット中の摂取に適しています。食物繊維やビタミンなどタンパク質以外の栄養素も同時に摂取できる点も植物性の利点です。
植物性タンパク質を多く摂取する人は、2型糖尿病、心臓病、がん、認知症などのリスクが低いことが研究で明らかになっています。48,000人以上の中年女性を対象とした調査では、植物性タンパク質を食べている人は年齢を重ねても全体的に健康的である傾向が示されました。植物性食品には食物繊維が豊富に含まれており、腸内環境を整え、便秘改善や免疫力向上、デトックス機能の向上が期待できます。
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動物性タンパク質には筋肉づくりに不可欠なビタミンB群、特にビタミンB12が多く含まれています。B12は赤血球の形成やエネルギー代謝に関与し、筋トレ時のパフォーマンス向上に寄与します。さらに鉄分や亜鉛などの微量栄養素もバランス良く含まれており、鉄分は酸素運搬に、亜鉛はテストステロン生成をサポートします。
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植物性タンパク質は脂質が少なく、不飽和脂肪酸を含むものが多いため、コレステロールを抑えつつ心血管系の健康をサポートします。一方、動物性タンパク質には飽和脂肪酸やコレステロールが多く含まれる食品もあり、摂りすぎると生活習慣病のリスクが高まる可能性があります。動物性から植物性タンパク質への摂取移行は心臓の健康に有益であるという研究結果も報告されています。
参考)動物性タンパク質と植物性タンパク質の違い
植物性タンパク質の代表的な食品は大豆製品で、豆腐、納豆、豆乳、大豆ミートなどがあります。大豆はアミノ酸スコア86と植物性の中では比較的高く、「畑の肉」とも呼ばれています。大豆製品にはサポニンやイソフラボンといった抗酸化作用を促進したり、ホルモンバランスを保つ成分も含まれています。
参考)https://www.shinnihonseiyaku.co.jp/s/column/healthcare/2506-vegetable-protein/
豆類全般も優れた植物性タンパク質源で、レンズ豆、ひよこ豆、黒豆などがあります。穀物では玄米や全粒粉のパン、オートミールなどが挙げられ、精白米よりも栄養価が高くなっています。ナッツ類ではアーモンド、カシューナッツ、くるみなどが植物性タンパク質を含み、同時に良質な脂肪も摂取できます。
野菜の中でもブロッコリー、ほうれん草、アスパラガスなどは比較的タンパク質含有量が高い食品です。キヌアやアマランサスなどの擬似穀物も近年注目されており、必須アミノ酸のバランスが良好です。植物性タンパク質は代謝を上げるナトリウムやカリウムも豊富に含むため、体の機能維持にも貢献します。
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動物性タンパク質の代表的な食品は肉類で、鶏肉、豚肉、牛肉などがあります。特に鶏むね肉は高タンパク・低脂質で、多くの必須アミノ酸を含むため筋肉づくりに最適です。魚類ではマグロ、カツオ、アジ、サーモンなどが優れたタンパク質源となり、オメガ3脂肪酸も同時に摂取できます。
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卵はアミノ酸スコア100の完全食品で、手軽に良質なタンパク質を摂取できます。乳製品では牛乳、チーズ、ヨーグルトがあり、特にチーズは凝縮されたタンパク質源として重要です。ホエイプロテインも乳製品由来で、筋肉合成に効果的なロイシンを豊富に含みます。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8566416/
動物性タンパク質を摂取する際は、脂身の多い部位やコレステロールの過剰摂取に注意が必要です。赤身肉や脂肪の少ない部位を選ぶことで、タンパク質を効率的に摂取しながら脂質の摂りすぎを防げます。また煮干し、かつお節などの乾物も凝縮されたタンパク質源として活用できます。調理方法を工夫し、焼く・蒸すなどの方法で余分な脂質を減らすことも重要です。
健康維持のためには、植物性タンパク質と動物性タンパク質をバランス良く摂取することが推奨されます。研究によれば、中年期に両方をバランス良く食べていた人は、年齢を重ねても健康である傾向があることが示されました。一般的に動物性タンパク質に偏りがちな現代の食生活では、植物性食品を増やすことが勧められています。
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タンパク質は一度に大量摂取しても全て吸収されるわけではないため、朝昼晩の食事で均等に摂取することが大切です。具体的には1回の食事で20g程度のタンパク質を摂取するように心がけましょう。糖質と一緒に摂ることで血糖値が上昇し、タンパク質を全身に運ぶインスリンが分泌されるため、効率的な吸収が可能になります。
参考)https://pantry-lucky.net/blogs/column/protein
植物性タンパク質で不足しがちなアミノ酸は、異なる植物性食品を組み合わせることで補えます。例えば米と大豆製品を組み合わせることで、互いに不足するアミノ酸を補完できます。ビタミンB6と一緒に摂取することでタンパク質の代謝が促進されるため、マグロや鮭、バナナなどと組み合わせると効果的です。筋肉づくりには動物性、健康維持には植物性という特性を理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。
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江崎グリコの公式サイトでは、タンパク質の種類や体を作る働きについて、アミノ酸スコアの詳細な説明が掲載されています
健康長寿ネットでは、三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量について専門的な情報が提供されています
糖尿病ネットワークでは、植物性タンパク質と糖尿病リスクに関する最新の研究結果が紹介されています